目の前の出来事に後押しされ起業。流通・消費財業界で長年感じていた選択肢の拡大へ キャッシュビー株式会社 代表取締役社長 小川拓也様
公開日:2019/7/26 | 最終更新日:2019/9/13
キャッシュビー株式会社 代表取締役社長 小川拓也様へ起業ストーリーをお伺いしました。
起業への興味はあったものの、多忙な日々を過ごすうちに月日は経っていきました。しかし、ある出来事から徐々に感じて来た起業への流れ。その流れに後押しされる形で、「CASHb(キャッシュビー)」をローンチします。感じていた業界への課題感や、起業後のエピソードなどもお話しいただきました。
起業のきっかけについて教えてください。
目の前に訪れた出来事が起業を後押ししているようで、流れに乗って起業をしました。
いつかは自分でやってみたい気持ちはありましたが、ライフイベントや仕事で多忙な生活を過ごしていたので、気付けばきっかけが無いまま月日が経っていました。
そんな中、プライベートなことではありますが、前職のカタリナマーケティングジャパン副社長在任中に、妻が亡くなりました。2年間の闘病をそばで見ているうちに、自分がやりたい事ができる事は、ほんとうに貴重なのだと気付かされましたね。
その後、子供も自立する年齢になっていたという事もあって、やってみたかった事業で起業をしてチャレンジしてみてもいいのではないか…と、漠然と思い始めました。では、どうする?と考えた時に、前職で携わってきた事業からヒントをもらう出来事があったんです。
その出来事とは何でしょうか?
アメリカの「ibotta(アイボッタ)」というサービスに出会った事です。
当時勤めていたカタリナマーケティングジャパンで、進行しているプロジェクトのために、海外のサービスを調査していた中で、向き合うべき問題の解決に効果的であろう"ibotta"の存在を知ります。
たまたま創業者が私と同じイェール大学だった縁もあって、コンタクトを取って対面。当初はibottaの日本進出を手伝うつもりでいましたが、先方がグローバル展開は考えていないということだったので、話の流れもあって、「では自ら日本で展開しよう」と。基本的なコンセプトを参考にさせてもらい、日本で立ち上げたのがCASHbです。
流通・消費財業界に長年いたわたしは、ある課題感を抱いていました。これを解決するためには、この流れでサービスを立ち上げることが最も適していると考えたのです。
仮にibottaが日本進出をしていたらマネージャーか何かになっていたでしょうし、務めていた会社で新規事業を起こす選択もありました。しかし、一連の出来事が自らの背中を押されているように感じて、起業にいたりました。
長年感じていた課題感とは何だったのでしょうか?
メーカーにとって、販売促進の手段が限られていることです。
一般消費者に向けてダイレクトに訴求するツールが非常に限られてしまっている。
高い費用をかけてテレビCMを流す目的は、商品の宣伝という一面もありますが、それ以上に店頭に商品を置いてくれるよう交渉材料として使われている面が実は大きいんですよね。
仕組みとして、流通側の意向がメーカーのマーケティングや販促に多大な影響を与えています。それは良しとしても、もっと違った選択肢があってもいいのではと思っていました。
テレビCMを打ち出すには、莫大なコストがかかってしまいます。そのためメーカーの費用感に合った、使いやすい販促ツールを別の形で築き上げて、提供していきたい想いがありました。
起業後大変だった事はなんでしょうか。
資本政策面ですね。
ファイナンスに強いメンバーがいなかったので、わたしが全てやっていましたが、いつどの様な資金ニーズがあって、手段はなにを使って調達していくか、外部から資金を調達する際は、企業価値の設定はどうすればいいかなど、今ふりかえると、ある程度見通しを立てて戦略的に進めればよかったと思っています。
資金が枯渇してどうにもならなかった企業も多いと思うので、資金管理はとても大切です。起業後の経験から、財務やファイナンスに関しては、早い段階から専門家の意見をちゃんと聞いていった方がいいと思います。 わたしはそれがうまくいかなかったところですね。
勤めていた頃と起業後の「違い」を感じたことはありますか?
違いは大きいです。お金を稼ぐ重さですかね。
前職のカタリナマーケティングジャパンでは副社長という立場でしたが、今思うと会社への貢献に100%リンクし切れていなかったと思います。
やはりどこかに「給料は出してもらえる」という感覚があって、今の感じている強い結びつきの状態よりはゆるかったと思います。 やはり、勤め人と起業は全然違いますよね。
あと、起業をすると降り掛かってくる課題や問題の量が圧倒的に多くなります。
難度も高く、解決しなければならない課題は毎日たくさん生まれるので、ひとつひとつ落ち込んでいると心身が持ちません(笑)。「必ず目の前の問題は解決できる」という強い神経を持つことが大切ですね。
もともと問題解決応能力はあるほうだと思っていましたが、問題の難度の高さは勤め人だったころと大きな差を感じています。
起業をして良かったと思われる点は?
「会社を活かすも殺すも自分次第」という意識で仕事ができることです。
わたしは「自分にあった環境を創れたこと」は、とても良かったと思っています。
この事業は、わたしが20年近く携わってきた業界のものなので、一番知っているのは自分だと思っています。なので、第三者が介入して、方向性で意見が分かれてしまうような形は避けたかったので、起業後ある程度の大きさになるまで自分でコントロールしていきたかった。
理想の経営環境をつくるにあたり、わたしは友人が資金を入れてくれた事が大きかったと思っています。
30年来の友人ばかりで、わたしという人間も知っていてくれる。そして経営にはあまり関与せず見守っていただけるので、自分に合った事業の進め方がしやすい。
わたしにとってベストな環境を創れているので、その分お返しをしないといけないという思いでやっていますね。
あらためて、CASHbの事業内容について教えてください。
CASHbは、消費者が普段のお買い物でキャッシュバックを獲得できる、企業と消費者をつなぐアプリです。企業側は、手軽に広告宣伝や販売促進、マーケティングリサーチなどを行えるツールとして使っていただけます。
消費者はCASHbのアプリから、商品の動画広告を見たりアンケートに回答したり、実際に商品を購入したレシートの写真とバーコードのデータを送ると、現金化できるポイントを獲得できる仕組みになっています。
CASHbはどの様な世界観をつくっていきたいのでしょうか?
消費者の生活を少しでも豊かにしていきたい。日常的な買い物を、もっと便利でお得にできるようにしたいと思っています。
買い物に行く時に、CASHbのアプリを開いて商品情報に接してもらい、商品を買ってレシートを送る。これが習慣化してポイントが貯まっていく。必ず1週間に1回CASHbを使って、お得をゲットしてもらえる世界を作りたいんですよね。
そのためには、掲載数が十分とはいえないので、食品メーカーを中心に充実させることが課題となっています。また、CASHbの登録者は現在約30万人。これを 2020年中には100万人を達成したいと思っています。
今後の展開について教えてください。
目先の目標としてはカテゴリーを拡大する事。ゆくゆくはアジアに進出したいとも考えています。
現在は食品と日用品のみの扱いですが、ファッションなどのカテゴリーも増やしていき、ユーザーを継続的に増やしていきます。
CASHbは商品を供給するメーカーのためのプラットフォームでもあるので、突き詰めていくと、メーカーと消費者の距離も限りなく深まっていきます。魅力的でお得な日本のコンテンツを、アジアを中心とした海外に持っていきたいですね。
起業を志す方へメッセージをお願いします。
まずはやってみることが大切です。
始めるのは若ければ若いほど良いでしょう。年齢を重ねると、守らなければならないものが出てくるので、リスクをとって起業することが難しくなります。家庭や勤め先の仕事などの責任があまり大きくないうちがチャンスです。
とはいえ、わたしは起業したいと思い、実際にCASHb を立ち上げたのは50歳を過ぎてからでしたが、全く後悔はしていません。想いがあるなら早くやってみることですね。
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