エクイティ投資の4つの種類|メリットや注意点・向いている企業の特徴を解説
登録日:2023.8.10 | 最終更新日:2023.8.17
ベンチャー企業や中小企業では、資金調達先の確保が困難といった課題に直面することも多いのではないでしょうか?
資金調達を行う際には、企業の信用性が求められます。しかし大企業に比べると、ベンチャー企業や中小企業は、社会的信用性が低い傾向にあるのは否めません。
エクイティ投資は、ベンチャー企業や中小企業に適した資金調達方法として注目されています。
とはいえエクイティ投資には種類があり、それぞれに特徴が異なるため、自社に適したものを見極めることが大切です。
そこで本記事では、エクイティ投資の種類やメリットを紹介します。注意点や向いている企業についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
エクイティ投資とは
エクイティとは「株主資本」を意味する言葉で、エクイティ投資とは「企業が新たに株式を発行し資金調達を行う手法」を指します。
投資においては「デット」という言葉も使われますが、デッドは返済を前提とした借金といった意味合いがあります。
本章ではエクイティについて詳しく掘り下げつつ、プライベートエクイティ投資やエクイティファイナンス、デットファイナンスの違いを見ていきましょう。
- エクイティ投資(ファイナンス)とは
- プライベートエクイティ投資とは
- エクイティファイナンスとデットファイナンスの違い
エクイティ投資(ファイナンス)とは
エクイティファイナンスとは、エクイティ(自己資本)を増やし資金を調達するといった意味合いがあります。企業が新株を発行する対価として、出資者を募り資金提供を受けるものです。
企業がエクイティ投資(ファイナンス)によって調達した資金は、「資本」として受け入れます。決算書には純資産として計上できるのも特徴です。
エクイティファイナンスは、企業が新事業の拡大や事業再生などを行う際の「増資」が主な利用目的となります。
新規株主となった出資者が議決権を持つ場合は、経営の自由度が低下するおそれがあることに留意しましょう。しかし企業は、株主から経営全般のサポートを受けられるという点も注目したいポイントです。
プライベートエクイティ投資とは
プライベートエクイティは「非上場企業の未公開株」を指し、プライベートエクイティ投資とは非上場企業に投資を行うことを意味します。
上場企業の株式は証券取引所で売買可能ですが、非上場企業の株式は証券取引所での売買ができません。
非上場企業の未公開株の売買には当事者の合意が必要なため、創業者や親族、取引先企業間での売買は可能です。しかし企業の成長や事業拡大を目的としたとき、資金調達は困難になるでしょう。
社会的信用性の低い企業では、銀行からの融資も受けられない可能性があります。
そこでプライベートエクイティ投資を実施すれば、非上場企業でも投資会社や機関投資家からの投資を受けられるのが利点です。
エクイティファイナンスとデットファイナンスの違い
エクイティファイナンスとデットファイナンスの違いは、「資金の調達方法」と「返済義務」にあります。他にもいくつかの違いを比較してみましょう。
上記の通り、資本の種類では「自己資本」と「他人資本」の違いがあるため、貸借対照表上の区分が異なります。
エクイティファイナンスには返済義務はありません。一方のデットファイナンスには返済義務が生じます。
さらに株主の権限にも違いがあるため、エクイティファイナンスでは株主による経営介入の可能性があるのが留意点です。デットファイナンスには、株主による経営介入はありません。
エクイティ投資の種類
エクイティ投資には以下の4つの種類があり、それぞれに特徴が異なります。本章ではエクイティ投資の種類について詳しく解説します。
- 公募
- 株主割当増資
- 第三者割当増資
- 転換社債型新株予約権付社債
エクイティ投資には種類によって良し悪しがあるため、自社にとって最適な種類を見極めることが大切です。種類別にメリットとデメリットも紹介しますので、目的に合わせて最適な種類を見極めてください。
公募
公募は、時価または時価に近い価格で新株を発行し資金調達を行う方法で、時価発行増資とも呼ばれています。
多くの一般投資家にも新株を購入できる権利が与えられるため、多額の資金調達を目的とする企業に適しています。
既存株主においては、保有株の下落を最小限におさえられるのがメリットです。
ただし出資者が増えるほど引受手数料が増えることや、有価証券届出書や目論見書といった書類の作成業務が増えることに留意しましょう。
株主割当増資
株主割当増資は、既存株を保有する株主の持ち分比率に応じて、新株の引き受け権利を与える方法です。「新株の申し込み権利を与える」のみとなり、申し込みや払い込み義務が生じるものではありません。
既存株を保有する株主が新規株の申し込みをしなければ、権利は消失します。
株主割当増資は、既存株保有分の比率と株主構成に大きな変化がありません。そのため調整がしやすく、スムーズな資金調達ができるでしょう。
ただし新株の引受先が限定されるため、多額の資金調達は困難であるのが留意点です。
第三者割当増資
第三者割当増資は、企業が特定する第三者に新株の引受権利を与える方法です。
- 取引先企業
- 自社役員
- エンジェル投資家
- ベンチャーキャピタル
- 金融機関
上記のように自社と関連性がある第三者が対象です。スタートアップ企業では資金調達が困難なケースが多いため、第三者割当増資を選択するケースが多くあります。
第三者割当増資は、出資者が集まりやすいのが特徴です。元々自社と関連性の高い第三者が出資するので、信頼関係を構築しやすいのもメリットといえるでしょう。
一方で発行株数が増えるため、既存株主の持ち分比率が低下する恐れがあるのが留意点です。
転換社債型新株予約権付社債
転換社債型新株予約権付社債は、新株を予約する権利を与えた社債のことです。与えられるのは「社債」のみのため、株式発行に必要なバリュエーション(企業価値評価)算定がありません。
バリュエーションの算定が困難な場合、資金調達ができなくなる恐れがあります。算定を誤って高く算定すれば、出資者からの信用を失う可能性があります。
転換社債型新株予約権付社債はバリュエーション算定がないので、スタートアップ企業にも導入しやすいでしょう。
事前に設定した価格を株式に転換することで、値上がりした場合は利益を得られます。値上がりしなくても、社債として保有し続ければ利子を獲得できるのがメリットです。
ただし転換社債型新株予約権付社債は借金となるため、満期まで利子を払い続ける必要があります。満期には元金の返済義務が生じることに留意しましょう。
個人がエクイティ投資を行うメリット
投資にはリスクが伴うため、個人がエクイティ投資を行う際は不安に思うこともあるでしょう。リスクは存在しますが、一方でエクイティ投資にはメリットもあります。
本章では、個人がエクイティ投資を行うメリットを3つ紹介します。
- 大きな利益になる
- 応援したい企業を選択できる
- 社会貢献につながる
それぞれのメリットについて詳しく解説しますので、個人でエクイティ投資を検討する際の参考にしてください。
大きな利益になる
エクイティ投資の最大のメリットは、大きな利益になることです。
投資家は出資に対して対価を求めます。どのような対価を求めるかは投資家によって違いはあるものの、企業の業績が上がれば配当金を得られます。
ベンチャー企業に投資した場合は、企業の成長に比例したキャピタルゲインを得られるでしょう。特に成長度合いが著しいユニコーン企業においては、100倍株になるケースもあります。
エクイティ投資は非上場企業に対して投資を行うため、安価で株を購入できる傾向があります。企業が大きく成長しいずれ上場すれば、売却した際に大きな利益につながるでしょう。
応援したい企業を選択できる
エクイティ投資は、投資家が応援したい企業を選択できます。
スタートアップ企業に投資する場合は、経営が不安定だったり事業収益が思うように上がらなかったりといった課題もあるでしょう。
しかし軌道に乗りいずれ上場を果たせば企業の社会的引用度もアップするため、さらなる株価上昇も期待できます。
とはいえ魅力を感じられない企業に対しては、そもそも投資したいと思わないでしょう。その点エクイティ投資は、投資家が自由に企業を選べるのがメリットです。
社会貢献につながる
エクイティ投資は社会貢献につながるのもメリットです。
企業の成長には資金の確保が欠かせませんが、資金繰りが困難になれば成長は叶いません。エクイティ投資は、資金繰りが困難なスタートアップ企業や中小企業に対して投資を行います。
企業がエクイティ投資により資金を調達できれば、企業の発展に貢献できます。さらに企業が手掛ける商品サービスが世の中の役に立てば、生活の質が向上し社会もより便利になるでしょう。
社会が便利になれば、結果的にエクイティ投資が社会貢献につながります。
個人がエクイティ投資を行う際の注意点
エクイティ投資にはさまざまなメリットがある一方で、注意しなければならないこともあります。個人がエクイティ投資を行う際に覚えておきたいのは、「資金に余裕があるか」「事業失敗のリスクに備える」ことです。
資金に余裕がなく、事業失敗のリスクへの備えなしに投資を始め失敗したケースも多くあります。
本章では、エクイティ投資を行う際の注意点について詳しく解説します。後悔しないためにも、これからエクイティ投資を検討している個人投資家の方はぜひ参考にしてください。
資金に余裕が必要となる
エクイティ投資は、資金に余裕を持たせる必要があります。
エクイティ投資は非上場企業に投資するため、株価は安価な傾向があります。しかしベンチャー企業が成長し業績を上げるまでの間は、配当金を期待できません。
他の企業にも投資を検討しているのであれば、資金の余裕が必要でしょう。エクイティ投資のみで始めるにしても、資金に余裕が必要です。
エクイティ投資では大きな利益が期待できる反面、無配当期間が長いことへの理解が必要になると理解してください。
事業失敗のリスクに備える
エクイティ投資では、事業失敗のリスクに備える必要があります。
将来性が期待できると判断して選んだ企業でも、必ず事業に成功するとは限りません。特にエクイティ投資の対象は、資金繰りが困難なベンチャー企業や中小企業です。
ベンチャー企業における生存率は、「創業20年後で0.3%」とあまり高くありません。エクイティ投資による資金提供を受けても、業績不振の状態が続けば事業失敗のリスクが伴います。
投資先を選ぶには慎重な見極めが必要ですが、同時に事業失敗のリスクに備えることも心がけてください。
参照:日経ビジネス
下記の記事では、ベンチャー投資の成功率やどれくらいの額から投資するべきかを解説しているので、ぜひこちらの記事もご覧ください。
エンジェル投資家のリターン相場は?リターンを得る方法・成功率も紹介
個人のエクイティ投資におすすめの企業の特徴
個人でのエクイティ投資は、投資する企業を自由に選べます。しかし、投資する企業を闇雲に選べば、思うような成果を得られないでしょう。投資を成功させるには、エクイティ投資に向いている企業の特徴を把握しておくことが大切です。
本章では、どんな企業が個人のエクイティ投資に適しているのかについて、以下の3つの視点から解説します。エクイティ投資の成功に向けたポイントを見ていきましょう。
- 今後成長が見込める企業
- 新規市場の開拓を行なっている企業
- 上場を目指している企業
今後成長が見込める企業
1つ目の条件は、今後の成長が見込める企業を選ぶことです。
そもそも投資は、将来性を見越して資金を提供します。企業が成長すれば業績はもちろんのこと、認知度も上がるでしょう。
企業が成長すればいずれ上場し、株価も上がります。投資した当初は非上場企業であっても、上場企業となれば株価も上昇するのでハイリターンが期待できるのもメリットです。
エクイティ投資の対象はベンチャー企業や中小企業ですが、中には大企業が対象になるケースもあります。多少資金の余裕は必要ですが、将来性が見込めるのであればエクイティ投資の対象に大企業を選ぶのも選択肢の一つです。
新規市場の開拓を行なっている企業
新規市場の開拓を行っている企業も、エクイティ投資の対象です。
新規市場の開拓とは、既存の商品やサービスに付加価値を付け、新たな魅力を売り出す施策を指します。既に既存の商品やサービスで地盤ができているので、一から始めるより成功しやすいのがメリットです。
現在の市場にはなくてもニーズがあれば、新規市場での注目度も高いといえるでしょう。成功すれば大きな利益につながる可能性があります。
積極的に新規市場の開拓を行っている企業は、個人がエクイティ投資先として選ぶのにおすすめです。
上場を目指している企業
上場を目指している企業は、個人のエクイティ投資に適しています。
そもそも上場を果たすには、厳しい審査基準をクリアしなければなりません。市場による違いはあるものの、投資した企業が上場を果たせばキャピタルゲインで大きい利益を得られる可能性があります。
上場には少なく見積もっても、約3年の準備期間が必要とされています。企業側でも上場に向けて念入りな準備を行うので、将来性が期待できると見ていいでしょう。
個人のエクイティ投資を成功させたいなら、上場を目指している企業を選ぶのも選択肢の一つです。
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引用元:Founder公式HP
エクイティ投資は、非上場企業に投資することで将来的に大きなリターンが期待できます。しかしエクイティ投資を行うにも、何を基準に企業を選べばいいか迷う方も多いでしょう。
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まとめ
エクイティ投資は非上場企業に出資し、企業が成長した暁にはハイリターンが期待できます。主な投資先はベンチャー企業や中小企業です。資金繰りが困難な状況でも、エクイティ投資によってスムーズな資金調達が可能です。
エクイティ投資によって受けた資金は、返済義務がないのは企業にとって何よりのメリットでしょう。企業が成長すれば、投資家には多額の配当金やキャピタルゲインを得られるため、双方にメリットがあるのも注目したいポイントです。
本記事で紹介したエクイティ投資の注意点を踏まえながら、ぜひエクイティ投資に挑戦してみてください。
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