役員報酬は変更できる?3つの手順と増額・減額のタイミング!報酬額を決める3つのポイントもわかりやすく解説!
公開日:2019.7.1 | 最終更新日:2019.11.6
会社の経営状況などで役員報酬を変更したくても「役員報酬は1度決めたらなかなか変更できない」というイメージがありませんか?
でも実際には、条件を満たすと役員報酬を変更することが可能です。
そこで本記事では、役員報酬の変更について、わかりやすくまとめました。
役員報酬を変更する手順は?
役員報酬を変更・増額・減額できるタイミングは?
役員報酬を変更できる条件は?
役員報酬の変更後の金額の決め方は?
この記事を読むと、これらのことが簡単に理解できます。役員報酬の変更で悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
役員報酬を変更する3つの手順
役員報酬変更の手続きが可能な時期は期首から3ヶ月以内
役員報酬を変更できる時期は、原則として、期首(事業年度の開始日)から3ヶ月以内のみです。
例えば、12月末決算の場合、役員報酬を変更可能な時期は「1~3月」の3か月間となります。この3か月間に変更しなかった場合は、次の決算時期までの1年間、同じ金額の役員報酬を支払う必要があります。
ただし、これはあくまでも原則です。実際には、この3か月以外でも変更できますが、税金面での負担があるのです。
他の時期に変更した場合、増額分の役員報酬は、損金不参入となります。そのため、余分に税金がかかる場合もあります。
それを避けるために、通常は期首から3か月以内に役員報酬の変更を行います。
※損金不算入とは、税法上で損金(費用・経費)として認められないことです。
役員報酬変更の手順①株主総会の開催・役員報酬の決定
役員報酬の変更には株主の決定が必要ですので、まず株主総会を開催します。
そこで、役員報酬変更の決定を行います。
役員報酬変更の手順②株主総会の議事録の作成
役員報酬決定について、株主総会の議事録を作成します。この議事録は、役員報酬の変更が正当に行われたことを表す資料となります。
つまり、変更後の役員報酬にもとづいて、適切に損金参入している証明にもなるのです。議事録がなければ、損金参入を税務署に認められない場合があります。
また、社会保険料変更の手続きでも、議事録が必要となる可能性があります。株主総会の議事録は必ず残しておきましょう。
合同会社の場合は、決定書・同意書などを作成して保存する必要があります。
次に社会保険料等の手続きを行いますが、届出の必要がない場合、役員報酬の変更手続きはこれで完了となります。
役員報酬変更の手順③税務署・日本年金機構の手続き
税務署の届出
定額の役員報酬変更の場合、税務署への届出は必要ありません。
関連記事:【保存版】役員報酬を徹底解説!報酬の3つの種類と給与との違い、決め方など
社会保険料の届出
厚生年金・健康保険の加入者の場合は、社会保険料の手続きが必要となる事もあります。
以上で、役員報酬の変更の手続きは完了です。
関連記事:【保存版】算定基礎届とは?事業主のあなたが知るべき9つのこと!意味や書き方・申請方法をわかりやすく解説!
役員報酬を変更して「増額」できるタイミングは2つ
原則として、役員報酬は期首から3か月以内でなければ変更できません。
しかし、以下の条件に当てはまると、事業年度の途中でも役員報酬が変更可能(=損金に参入可能)になります。
上記条件に当てはまるパターンを解説いたします。
【役員報酬を増額できるタイミング①】新規に役員に就任した時
今まで役員ではなかった人が、新しく役員に就任した場合は、年度の途中であっても、役員報酬を増額できます。就任前は、もともと役員報酬の支給がないので、就任のタイミングで増額するのはごく自然のことです。
そのため、臨時改定事由に該当するとして、年度の途中でも変更可能となっています。
【役員報酬増額できるタイミング②】役員の地位変更・昇格があった時
既に役員だった人に、役員の地位変更・昇格があった時も、年度途中での役員報酬変更が可能です。例えば取締役から常務や専務、代表取締役になった場合です。
役職が変われば職務内容や責任も変わるため、それに伴う役員報酬の変更は、臨時改定事由に該当します。
役員報酬を変更して「減額」できるタイミングは4つ
役員報酬の減額についても、増額の時と同様です。以下の条件に当てはまると、事業年度の途中でも役員報酬が変更可能(=損金に参入可能)になります。
上記条件に当てはまるパターンを解説いたします。
【役員報酬を減額できるタイミング①】会社の業績が悪化した時
会社の業績が著しく悪化した場合にも、年度途中での役員報酬の変更(=損金参入)が認められています。
国税庁では、次のように基準を定めています。
上記2点の条件を満たした場合に「業績悪化改定事由」として、役員報酬の減額が認めらます。
【役員報酬を減額できるタイミング②】役員を退任した時
役員を退任した場合は、年度の途中であっても、役員報酬を変更できます。退任後に役員報酬が発生しないのは当然のことです。
そのため、臨時改定事由に該当するとして、年度の途中でも変更可能となっています。
【役員報酬を減額できるタイミング③】役員の地位変更・降格があった時
既に役員だった人に、役員の地位変更・降格があった時も、年度途中での役員報酬変更が可能です。例えば、常務や専務から、取締役になった場合です。
役職が変われば職務内容や責任も変わるため、それに伴う役員報酬の変更は、臨時改定事由に該当します。
【役員報酬を減額できるタイミング④】その他・特別な事情がある場合
前述で説明したタイミングの他に、以下のような特別な事情で、役員報酬の変更が認められる場合もあります。
役員報酬変更に関する注意点
【役員報酬変更の注意点】キャッシュフロー・期首の納税に注意
役員報酬を増額する時は、会社に利益が出ている場合が多いです。ただし、利益がたくさん出たということは、その後に税金の支払いもあります。
通常の役員報酬変更の期間は、期首(決算日の翌日)から3か月間です。
そして、納税時期も期首に集中しています。
決算日から3か月以内に役員報酬を変更した場合、多額の納税と、役員報酬の増額が同時期に重なります。
現状の残高だけを見て報酬の増額を決めるのではなく、キャッシュフローをよく考えて決定しましょう。
役員報酬変更における適正金額を決める3つのポイント
役員報酬額に関しては、法律上で具体的な金額について定められていません。例えば「社員の給与の○倍」「同業他社の報酬額の○倍」「利益の○%」というような決まりも一切ありません。
ただし、役員報酬の金額を決める際に指標となる3つのポイントがあります。それぞれのポイントについて、解説していきます。
【役員報酬変更の金額を決めるポイント1】会社法:定款・株主総会で決定
会社法では、役員が自分の都合で役員報酬額を決めることを禁止しています。役員報酬の金額等については、会社の定款または株主総会で決定すると定められています。
関連記事:【保存版】会社の定款とは?内容や3つの記載事項を詳しく解説!流れに沿って作成すれば大丈夫!
【役員報酬変更の金額を決めるポイント2】法人税法:不相当な高額報酬は不可
法人税法では、定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与以外の役員報酬は、損金にできないと定められています。
また、定期同額給与(役員報酬)であっても、不相当に高額なものは、損金不算入と決まっています。
関連記事:【保存版】役員報酬を徹底解説!報酬の3つの種類と給与との違い、決め方など
【役員報酬変更の金額を決めるポイント3】政令:従業員や同業他社の報酬額と比較
役員報酬額の適正性の判断基準について、政令(法人税法施行令)では、以下のように定められています。
税務署の調査でも、上記4の「同業他社の役員報酬」が、判断材料とされています。
役員報酬変更手続きを事業年度の途中で行う場合に知っておきたいこと
基本的に、役員報酬変更は期首から3ヶ月以内であることは冒頭でご説明したとおり。
とはいえ、やむを得ず事業年度の途中であっても役員報酬を変更したい場合もあるでしょう。
というわけで、ここでは事業年度の途中で役員報酬変更手続きを行う場合に知っておきたい注意点について説明していきます。
事業年度の途中で減額する場合
事業年度の途中で、役員報酬を減額・増額する場合、どちらも臨時総会を開き、議事録に役員報酬の変更の決定を記録します。
日本年金機構への連絡が必要な場合もありますが、定額報酬の場合は税務署への連絡は必要ありません。
事業年度の途中で増額する場合
事業年度の途中での増額は「損金不算入扱い」になるので注意して下さい。
そのため、極端に言えば損金にしなくてよいのであれば、事業年度内でも役員報酬の増額は可能です。
とはいえ、期首から初めの6ヶ月は100万だった役員報酬を増額し200万円にした場合、差額である6ヶ月×100万円の600万円は損金に出来ず、法人税が加算されます。
また、もちろん個人の収入に関しても所得税がかかり、二重に課税されることを肝に銘じておきましょう。
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