【保存版】役員報酬の決め方11の注意点。最も税金を払わなくて済む方法は?

登録日:2018.1.7  |  最終更新日:2019.2.5



-経営者だから、役員報酬は自由に決められる。

-役員報酬を増やせば、自分の収入も一気に増える。


役員報酬について、上記のように安易に考えてはいませんか?

自分1人の会社であれば、役員報酬はある程度自由に決められます。しかし、役員が複数人いる場合や、多くの従業員を抱えている場合は、役員報酬を慎重に設定しなければなりません。また、役員報酬は税金にも関わってくるので、節税面も踏まえて金額を設定するべきです。


そこで今回は、現役18年の税理士が役員報酬について徹底的にまとめました。節税面についても解説しているので、この記事を最後まで読めば節税にも100%つながります。



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■そもそも「役員報酬」とは?



John Liu


役員報酬とは、その文字通り役員に支払う給与を指します。ここで言う役員とは、会社の取締役や監査役に該当する者のことです。


一般的な企業では、従業員の給与とは別にこの役員報酬を設定しなくてはなりません。会社の利益や税法、資金繰りなど、さまざまな要素を踏まえて慎重に金額を決定する必要があります。


そんな役員報酬と似た言葉に、「役員賞与」と呼ばれるものがあります。字面が似ているため混同されがちですが、これらのお金は以下のように意味が異なるので注意しておきましょう。


・役員報酬

賞与や退職給与を除いた、役員に対する給与のこと。

・役員賞与

役員に対して臨時的に支払われる給与のこと。ただし、退職給与はこれに該当しない。


では、役員報酬を決める際には、具体的にどのようなポイントを意識すれば良いのでしょうか?次からは、役員報酬を実際に決める際の注意点についてご紹介していきます。


■【役員報酬を決める際の注意点その1】役員報酬の決定・変更は期限が決められている


役員報酬の金額は、どのようなタイミングでも自由に設定できるわけではありません。起業後の法人については、「設立日から3ヶ月以内に設定をしなければならない」というルールがあります。


また、役員報酬を途中で変更する場合にも、原則として「期首から3ヶ月以内」といったルールが存在します。そのため、役員報酬の決定・変更では早めに動き出すことを意識しましょう。


詳しくは後述しますが、役員報酬は経営者だけでスムーズに決められない場合があるので、期限の直前になってから行動を始めるべきではありません。特に起業前の方は、設立をする以前から役員報酬を決めておくことが望ましいでしょう。


■【役員報酬を決める際の注意点その2】経営者が独断で決めることはできない


役員報酬は、経営者の独断ですぐに決めることはできません。これは法律でも定められており、会社法には「役員報酬は定款、または株主総会によって定める」と記載されています。


では、役員報酬は具体的にどのような流れで決められているのでしょうか?具体的な手順について、以下で簡単にまとめてみました。


【手順その1】

株主総会を開いて、役員報酬の総額を決定する。

【手順その2】

株主総会において、役員報酬の内訳を「取締役会、もしくは代表取締役が決める」点を決定する。

【手順その3】

取締役会を開き、株主総会で決めたルールを遵守した上で役員報酬を決める。

【手順その4】

株主総会、取締役会の議事録を作成する。


議事録については、税務調査で調査官に確認される可能性があります。そのため、株主総会・取締役会で決められた内容については、必ず議事録にまとめておくようにしましょう。


■【役員報酬を決める際の注意点その3】支払方法によっては損金として計上できない



OTA Photos


役員報酬を会社の損金として計上するには、役員報酬の支払方法にこだわる必要があります。損金計上できる支払方法は主に3つ存在しており、その3つ以外の方法を選ぶと損金計上できない恐れがあるので注意が必要です。


では、その3つの支払方法について、以下で詳しく解説していきましょう。


【支払方法その1】定期同額給与


1ヶ月以下の期間で毎回支払われる、定期的な給与のことです。また、各事業年度で支払われる金額が同額でなければ、「定期同額給与」としては認められません。一般的な会社では、毎月同じタイミングで支払われるケースが多くなっています。


この定期同額給与を選んだ場合、税務署への届出などは特に必要ありません


【支払方法その2】事前確定届出給与


役員に対して、賞与として支払われる給与です。かつての税法では、役員賞与は損金に含まれませんでしたが、2017年12月現在では下記の条件を満たす場合にのみ、役員への賞与を損金計上できるようになっています。


・「事前確定届出給与に関する届出書」を提出する(所轄の税務署)

・届け出た内容と同じ日時・金額で、役員へ賞与を支払う


察しの良い方であれば、この「事前確定届出給与」は節税に使えるのでは?と感じるかもしれません。しかし、「事前確定届出給与に関する届出書」については提出期限が定められているので、駆け込み的な節税目的での利用は難しくなっています。


下記のいずれかのうち、早い日が税務署への提出期限となるので注意しておきましょう。


・事業年度が始まる日から数えて、4ヶ月以内

・株主総会、取締役会で決議をした日から数えて、4ヶ月以内

※これから起業をする場合は、設立から2ヶ月以内


【支払方法その3】利益連動給与


有価証券報告書に記載されている、「利益に関する指標」に基づいて役員に支払われる給与です。ただし、以下のケースのように、同族会社の法人が役員に対して支払う給与に関しては、利益連動給与としては認められません。


・株主が経営者1人である

・株主が同族のみで構成されている


上記の3つ以外に、ストックオプションや退職金なども損金として計上できるものです。ただし、これらの給与は発生する頻度が低いので、基本的には上記3つの支払方法を選ぶことになるはずです。


「定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与」の金額については、法人税の申告をする際に書類に記載をする必要があるので、各給与の内容をきちんと理解しておきましょう。


■【役員報酬を決める際の注意点その4】金額が少ないほど法人税は増える


役員報酬は、会社が役員に対して支払う給与のことです。そのため、役員報酬を支払った分だけ会社の利益は減少し、結果として法人税などの税金を抑えることにつながります。


これは、役員報酬を決める上で非常に重要なポイントであり、「会社に多くのお金を残したいから」と言って役員報酬を減らすと、税金面で損をしてしまいます。もちろん、役員個人にも税金は発生しますが、役員報酬を増やしたほうが節税につながるケースは珍しくありません。


税金面で得をしたいのであれば、きちんと税金のシミュレーションをした上で、役員報酬を決定することが望ましいでしょう。


■【役員報酬を決める際の注意点その5】社会保険料とのバランスを考える


役員報酬を決める際には、税金だけではなく社会保険料も意識することが大切です。法人税などの税金とは違い、社会保険料は役員報酬が高いほど増えるので注意しておきましょう。


社会保険料を抑える手段としては、「役員報酬として支払っていた分を、役員賞与として支払う」方法が挙げられます。では、この方法を実践した場合、どれくらいの節約につながるのでしょうか?


具体的な計算方法は割愛しますが、以下では2パターンの社会保険料をご紹介します。


パターン

社会保険料

・毎月の役員報酬が100万円である場合

約246万円

・毎月の役員報酬を10万円、役員賞与を1,080万円に設定した場合

約117万円


上記のいずれのパターンでも、役員には1,200万円の収入が発生しています。では、同じ収入金額であるのにも関わらず、なぜ社会保険料は2倍近くも異なるのでしょうか?

その答えは、役員賞与の保険料を計算する過程にあります。


・役員賞与に対する健康保険料は、573万円に税率を掛けた金額が上限となる。

・役員賞与に対する厚生年金は、150万円に税率を掛けた金額が上限となる。


このように、役員賞与については社会保険料の上限が定められており、この制度を上手に活用すれば社会保険料を大きく抑えられます。そのため、役員報酬は税金面だけではなく、社会保険料とのバランスもきちんと確認しておきましょう。



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■【役員報酬を決める際の注意点その6】周りが納得できる金額に設定する



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役員報酬はコストを考えることも重要ですが、従業員の気持ちも軽視してはいけません。従業員の給与が低いにも関わらず、役員報酬のみが上がっていくような会社では、従業員のモチベーションは一向に上がらないでしょう。


世の中には、従業員が役員給与について一切知らない会社が数多く存在します。しかし、周囲の経営者や株主などから、役員報酬の大体の金額が知れ渡らないとも限りません。仮に、従業員が知らないことに安心して役員報酬を一気に増やしたとしても、役員の普段の振る舞いや身なりなどから、役員報酬が多いことは簡単に分かってしまうでしょう。


したがって、役員報酬は経営者自身はもちろん、周りの人が納得できる数値に設定するべきです。では、役員報酬の相場はどれくらいなのでしょうか?


以下は、国税庁が平成25年に発表した、中小企業における役員の平均年収をまとめたデータです。


企業規模(資本金の額)

役員の平均年収

2,000万円未満

543万円

2,000万円~5,000万円未満

752万円

5,000万円~1億円未満

1,037万円

全体

613万円


上記のデータを見て、「意外と少ないな…」と感じた方は多いのではないでしょうか?世間的には、役員は高給取りといったイメージを持たれていますが、実はそうではない中小企業は数多く存在しています。

もちろん、必ずしも上記の平均年収を意識する必要はありません。しかし、従業員も含めて周りの方が納得できるように、上記のデータをひとつの目安として考えてみてはいかがでしょうか?

特に従業員も納得できる金額に設定すれば、従業員への後ろめたさがなくなり、会社の団結力はより一層強まるはずです。


■【役員報酬を決める際の注意点その7】正確に損益計算をする


前述では、役員報酬の決定には期限があると解説しました。その期限までに金額を決めなくてはなりませんが、役員報酬を決定する前には、会社の損益計算をするケースが一般的です。


事前に会社の損益計算をしておかないと、会社に残る利益が分からないので、役員報酬の適した金額を導けません。そのため、最適な役員報酬を設定するには、正しく損益計算することを心がけるべきです。


ここまでを読んで、「自社は売上が伸びるから問題ない」と考えている方もいることでしょう。しかし、売上が伸びる場合であっても、損益計算は正確にしておくべきです。


例えば、会社の売上が増えると仕入の量も増加するので、逆に会社のキャッシュが減ることもあります。このような状況で多額の役員報酬が発生すると、さらに会社は資金不足の状況に陥るでしょう。つまり、会社は売上の増加によって、資金繰りが悪化することもあるのです。


では、正確な損益計算書を作成するためには、具体的にどのような金額を予測するべきでしょうか?特に重要な金額について、以下でまとめてみました。


・1年間の売上

年間の売上を、データや分析結果などに基づいて算出する。

・1年間の仕入金額

1年間の売上から、必要な仕入を算出する。

・1年間の粗利益

売上金額から、仕入金額を差し引いた金額。

・1年間の家賃や水道代

可能であれば、1年間の光熱費代などほかの固定コストも計算しておく。

・1年間の従業員への給与

1年間で従業員に支払う給与の総額を算出する。


少なくとも、上記の5つの金額は算出しておく必要があるでしょう。


これまで何年か経営してきている会社であれば、過去のデータを参照すれば上記の金額を導けるはずです。新しい会社については、平均値や統計値などを参考に計画を立ててみましょう。


見た目上は誤差の範囲であっても、予測と実際の数値が異なると大きなダメージとなる恐れがあるので、損益計算は根拠性にこだわって慎重に行うことが大切です。


■【役員報酬を決める際の注意点その8】年度途中で定期同額給与を変更しない


役員報酬を定期同額給与として支払う場合は、年度途中で金額を変更するべきではありません。年度途中で変更を加えると、役員報酬の一部を損金として計上できなくなるためです。


この説明だけでは少し分かりづらいので、以下で具体例を挙げてみましょう。期首から3ヶ月間は毎月50万円の定期同額給与を支払い、それ以降は変更を加えて毎月60万円の定期同額給与を支払ったとします。


○年度途中で変更しない場合

年度途中で金額を変更しない場合は、定期同額給与を損金として計上できます。この例に関して言えば、単純計算すると下記の金額を損金として扱えます。


(50万円×3ヶ月分)+(60万円×9ヶ月分)=150万円+540万円

     =690万円


○年度途中で変更を加えた場合


上記の例で途中から資金繰りが苦しくなり、期首から9ヶ月後に役員報酬を40万円に下げたとしましょう。このようなケースでは、定期同額給与は年間を通じて40万円として計算されます。


では、このルールにより、具体的にどれくらいの金額を損してしまうのでしょうか?支払った金額をそのまま全て損金計上できると仮定すれば、計上できる金額は以下のようになるはずです。


(50万円×3ヶ月分)+(60万円×6ヶ月分)+(40万円×3ヶ月分)=150万円+360万円+120万円

        =630万円


しかし、実際には年間を通じて定期同額給与が40万円とみなされるので、損金として計上できる金額は以下の通りです。


40万円×12ヶ月分=480万円


つまりこの例では、実に150万円分(630万円-480万円)の損をしました。これにより、会社の利益は150万円分増えてしまい、結果として支払う税金が高くなってしまいます。


上記の2つの例を見て分かる通り、定期同額給与を年度途中に変更すると、税金の面で損をします。資金繰りが苦しく、ほかに選択肢がない場合は仕方がないかもしれませんが、基本的には定期同額給与を年度途中に変更しないようにしましょう。


言うまでもありませんが、役員報酬にはこのルールがあるため、期首から4ヶ月以内の時点で慎重に金額を設定するべきです。


■【役員報酬を決める際の注意点その9】使用人兼務役員は税務調査の対象になりやすい


使用人兼務役員とは、従業員としての肩書も持っている役員のことです。具体例としては、「取締役管理部長」や「取締役営業部長」などが挙げられるでしょう。


この使用人兼務役員には、役員報酬に加えて給与手当を支払うことが可能です。また、賞与についても役員として、従業員としての両方を受け取ることができます。つまり、使用人兼務役員を用意すれば、会社は役員報酬・従業員報酬の両方を支払えるので、節税の選択肢を増やすことにつながるのです。

ただし、どのような役員も使用人兼務役員として扱えるわけではありません。使用人兼務役員として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。


・会社の従業員としての立場も兼ねていること

・使用人として、常時職務に従事していること

・代表取締役や副社長ではないこと


簡単に言えば、使用人兼務役員として認められるには普段から従業員と同じように、仕事をこなしている役員であることが必要です。また、代表取締役や副社長のように、経営に深く関わる役員は使用人兼務役員として認められません。


この使用人兼務役員についてですが、実は税務調査の対象になりやすい傾向にあります。これは、使用人兼務役員を上手に活用して、脱税を目論んでいる会社が存在するためです。


したがって、使用人兼務役員に報酬を支払う場合には、税務調査で指摘されないように以下の点に注意しなくてはなりません。


・役員報酬は定期同額給与として支払う必要がある

・賞与に関しては、事前に届出をした分しか支払ってはいけない

・業務内容と給与のバランスが、ほかの従業員と同じバランスでないといけない


上記のいずれかを守れていないと、調査官から脱税と疑われてしまう恐れがあります。使用人兼務役員は節税に活用できる存在ですが、ルールはきちんと守るようにしましょう。


■【役員報酬を決める際の注意点その10】基準を超えた金額にすると、損金計上ができない


役員報酬には一定の基準があり、この基準を超えた金額に設定すると、これまでご紹介したルールを守っても「過大」とみなされる恐れがあります。過大とみなされた場合は、その分を損金として計上できなくなるので、会社の税金の負担は増えてしまうでしょう。


役員報酬の基準については、以下の2つの基準が設けられています。


【基準その1】形式基準


形式基準では、以下の3点が守られているのかがチェックされます。


・定期同額給与として支給されていること

・定期同額給与以外で支給する場合は、事前に届出が行われていること

・利益連動給与の場合は、「有価証券報告書」に記載があること


上記の3点は、前述でも解説してきた内容です。そのため、中には「そんなの当たり前」と感じる方もいるかもしれませんが、疑いをかけられないようにするには証拠となる議事録が必要です。

したがって、株主総会・取締役会を開催して上記の3点を決めたら、必ず議事録を作成するようにしましょう。なお、議事録の作成方法については、定款などに記載されているルールを守る必要があります。


【基準その2】実質基準


実質基準については、形式基準のように明確なルールはありません。以下で挙げる点を調査し、「総合的に適正金額であると判断できるか」がチェックされます。


・役員がこなす仕事の内容

・会社の収益性とのバランス

・従業員の給与とのバランス

・同業他社の役員報酬との金額差


したがって、役員報酬の適正金額を決める際には、事前の情報収集が欠かせません。「どれくらいの収益なら、いくらぐらいが適切か」「同業他社と比較して高すぎないか」などを調べた上で、金額を慎重に設定することが望ましいでしょう。


仮に、従業員の給与や同業他社の役員に比べて金額が多い場合には、税務署が納得できる理由を用意しておく必要があります。「節税のため」では税務署も納得しないので、自社の経営状況などと紐づけて、合理的な理由を用意しておくようにしましょう。


上記の形式基準・実質基準は、税務調査が入ると高い確率でチェックされるポイントです。税務調査が決まってからでは遅いので、両方の基準を満たせるように普段から準備を整えておきましょう。



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■【役員報酬を決める際の注意点その11】逆に、役員報酬とみなされる場合もある


前述では役員報酬として支払った金額が、役員報酬としてみなされない可能性がある点を解説しました。しかし、実はその逆のケースも存在しており、従業員分の給与などとして支払ったつもりが、役員報酬として扱われる場合もあります。


では、具体的にどのようなケースが該当するのかについて、以下で詳しく見ていきましょう。


【ケースその1】会社が役員に対して無利息でお金を貸した場合


経営者は、会社のお金を役員に貸し付けることが可能です。これを「役員貸付金」と言いますが、役員貸付金には利子をつけなくてはなりません。これは借手が経営者であっても同様であり、無利息で役員にお金を貸し付けると、その無利息分が役員報酬として扱われる可能性があります。


また、役員貸付金の利子については、以下のルールが定められているので注意しておきましょう。


・金融機関から融資を受けている場合、その借入利率を適用する

・金融機関から融資を受けていない場合は、「国内銀行の短期貸出約定平均金利+1%以上」の利息にする


つまり、役員貸付金には少なくとも、年利数%の利息が発生するのです。貸し付けられた役員は、当然この利息分も会社に支払う必要があるので、安易に役員貸付金を利用しないようにしましょう。


【ケースその2】土地や建築物を相場より安く貸した場合


会社が所有する土地・建築物は、役員などに貸し付けることが可能です。そのため、会社から土地・建築物を借りて、その不動産を住居として使用している方もいることでしょう。


しかし、このようなケースでは、借手は会社に対して適正な家賃を支払わなければなりません。会社の持ち物だからと言って、割安で貸すような行為は認められていないのです。


もし、適正な家賃よりも安い賃料で貸している場合は、以下の金額が役員報酬として計上される可能性があります。


役員報酬として計上される金額=家賃の適正金額-実際に支払っている金額


【ケースその3】資産を無償で譲渡した場合


会社の資産を無償で譲渡すると、その資産の時価額相当分が役員報酬とみなされることがあります。高額な資産を譲渡すると、多額の役員報酬が計上される恐れがあるので注意しておきましょう。


上記の3つのケースを見て分かる通り、会社の資産を役員がプライベートで活用する行為は禁止されていることがあります。もし悪質な場合は、税務調査において脱税とみなされる恐れがあるので、そのような行為は控えるようにしましょう。


もし、会社から資産を借りる場合は、適正な利息や賃料を発生させることが必要です。


■最後にチェック!最も税金を支払わなくて済む方法は?


ここまでは、役員報酬を決める際の注意点について解説してきました。では、結局どのような決め方をすれば、税金を最も抑えることができるのでしょうか?


基本的な考え方としては、「経営者個人の現金+会社の現金」を最大の値にさせることが必要です。これには税金の細かい計算が必要ですが、以下では役員報酬を決める目安として、利益金額500万円~5,000万円の7パターンに分けて、実効税率を最も低くできる金額をご紹介します。


利益金額

役員報酬

会社に残すお金

実効税率

①500万円

460万円

40万円

19.93%

②1,000万円

675万円

325万円

22.91%

③1,500万円

700万円

800万円

24.80%

④2,000万円

1,200万円

800万円

26.49%

⑤3,000万円

2,200万円

800万円

31.07%

⑥4,000万円

2,300万円

1,700万円

34.44%

⑦5,000万円

2,600万円

2,400万円

36.67%


では、上記の表のように役員報酬を適正金額にすると、具体的にどれくらい節税効果を見込めるのでしょうか?上記の①を例に挙げて、以下で実際の金額を計算してみます。

①のケースでは500万円の利益に対し、実効税率が19.93%であるため、支払う税金の総額は以下のようになります。


500万円×19.93%=996,500円


一方で、会社の利益を全て役員報酬にした場合はどうでしょうか?細かい計算は割愛しますが、この場合の実効税率は20.42%となります。つまり、支払う税金の総額は以下のように計算できます。


500万円×20.42%=1,021,000円


このように、役員報酬を変えるだけで2万円以上の差が生じました。この金額差は、会社の利益金額が多いほど大きいものとなります。

役員報酬の適正金額については、上記の表を目安にすれば特に問題はありません。仮に、ご自身で実効税率を計算して導き出す場合には、以下の2点に注意をする必要があります。


・資本金1億円以下、法人所得が800万円以下の中小企業には、軽減税率が適用される

・役員報酬を2,500万円前後に設定すれば、住民税・所得税を抑えやすい


上記の点を見て、「表の①~②には当てはまらないのでは?」と感じた方もいることでしょう。表①~②に関しては、法人の軽減税率を利用するよりも、法人にかかる税金自体をなくす方向で考えたほうが、実効税率を下げやすくなります。



表③~⑤については、軽減税率が大きく効果を発揮するので、800万円というラインをきちんと意識しましょう。なお、会社の利益が4,000万円を超えると、役員報酬もそれなりの金額となり住民税・所得税の金額が跳ね上がるので、軽減税率はもちろん個人の住民税・所得税の税率も意識することが大切です。


■まとめ


今回は、役員報酬について詳しく解説してきました。いかがでしたか?


役員報酬は適正金額を設定することが難しく、最適値を導くには細かい計算が必要になります。そのため、「あまり手間をかけたくない…」という方は、本記事でご紹介した表を参考に金額を決めてみましょう。


ただし、役員報酬は必ずしも損金として計上できるわけではないので、ルールはきちんと守ることが大切です。


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