【保存版】算定基礎届とは?事業主のあなたが知るべき9つのこと!意味や書き方・申請方法をわかりやすく解説!
公開日:2019.5.31 | 最終更新日:2025.3.13

会社・事業主が毎年提出する書類の1つに「算定基礎届」があります。これは会社員には必要ない書類のため、起業して初めて知る方も多いでしょう。
意味のわからない用語を見て、提出が面倒になってしまう人もいます。しかし、算定基礎届を提出せずに放置すると、督促状が届く場合もあるのです。
そこで、本記事では算定基礎届について、わかりやすく解説しています。
特に次のような方にはおすすめです。
- 算定基礎届の書き方・提出方法がわからない
- 届出書類に出てくる言葉の意味が不明
- 社会保険料額の決め方を知らない
算定基礎届の提出は事業主の義務ですので、この記事を参考にして、期限までにしっかり提出しましょう。
算定基礎届とは?意味や基礎知識、事業主が知るべき6つのポイントを解説!

算定基礎届とは、会社・組織が日本年金機構(年金事務所)へ提出する書類です。正式名称を「被保険者報酬月額算定基礎届」といいます。算定基礎届は、従業員の「標準報酬月額」を決定するために提出します。
【事業主が知るべき事その1】算定基礎届の標準報酬月額は、社会保険料の計算基準になる金額
標準報酬月額とは、下記の社会保険料を算出する際に、計算の基準となる金額です。
| ・健康保険料(協会けんぽ)の納付額 |
| ・厚生年金保険料の納付額 |
たとえば、次のような計算式で用いられます。
<計算式>
・健康保険料額=標準報酬月額×保険料率
・厚生年金保険料額=標準報酬月額×保険料率
※雇用保険料の算出には、標準報酬月額を使いません。
【事業主が知るべき事その2】算定基礎届の標準報酬月額を計算する意味は『簡略化』
厚生年金や健康保険料は、事業主(会社)と被保険者(社員)が半分ずつ負担します。会社の負担分は、給与振込時にあらかじめ天引きされていますね。そのために、社会保険事務所や会社の経理担当者は、各従業員の社会保険料を計算します。
本来なら「給与×保険料率」で算出するべきところです。しかし、残業代等により実際の支給額は毎月変動しています。それをもとに算出すると業務が煩雑になるのです。
そのため、計算に使う報酬額(=標準報酬月額)を決めて、簡略化しています。その基準額となるのが標準報酬月額です。
【事業主が知るべき事その3】算定基礎届は、見直しのために提出が必要
標準報酬月額は、決定時期の給与・手当等をもとに算出されます。しかし、報酬は昇給や減給などで年々変動します。
そこで、実際の報酬と標準報酬月額に大きな差が生じないよう、毎年1回見直しを行います。そのために提出する書類が算定基礎届です。この届出をもとに、その後1年間の標準報酬月額が決定(定時決定)されます。
※定時決定:年1回、標準報酬月額を決定すること。
【事業主が知るべき事その4】算定基礎届・標準報酬月額の適用時期は1年間
算定基礎届は、毎年7月1日時点の被保険者(従業員)について、賃金等を会社が申請します。決定された標準報酬月額は、その後1年間(9月から翌年8月まで)適用されます。
【事業主が知るべき事その5】算定基礎届における標準報酬月額の対象は10個以上!
報酬とは、労働の対償として会社から支給される現金又は現物を指します。基本給だけでなく、手当などもすべて含みます。
| 【標準報酬月額に含まれる報酬】 |
|---|
| ・基本給 |
| ・歩合給・能率給・奨励給 |
| ・役職手当・役付手当 |
| ・勤務地手当 |
| ・日直手当・宿直手当 |
| ・家族手当 |
| ・休職手当 |
| ・住宅手当 |
| ・別居手当 |
| ・通勤交通費・通勤手当 |
| ・残業代・残業手当 |
| ・継続支給される食事補助 |
| ・継続支給される見舞金 |
| ・賞与・ボーナス(年4回以上支給される場合) など |
| 【標準報酬月額に含まれない報酬】 |
|---|
| ・賞与・ボーナス(年3回以下の場合) |
| ・決算手当(3回以下の場合) |
| ・出張交通費 |
| ・継続的でない見舞金 |
| ・大入り袋 |
| ・慶弔費・結婚祝い金 |
| ・退職金 など |
※ボーナス(賞与)は、年3回以下の支給であれば標準報酬月額の対象にはなりません。
※現金による報酬以外に、宿舎や食事、自社製品などの現物給与も報酬に含みます。
【事業主が知るべき事その6】算定基礎届における、標準報酬月額の支払い基礎日数の算出方法
「支払基礎日数」とは、給与支払いの対象となる労働日数のことです。
標準報酬月額は、原則として4月~6月の報酬の総額から求めます。しかし病気療養などにより、労働日数が少ない月が生じる場合もあります。
そのため、支払基礎日数が17日未満の月は、標準報酬月額の計算から除外されます。ただし、支払基礎日数がいずれの月も17日未満の場合は、15日以上ある月の報酬をもとに、標準報酬月額を算出します
算定基礎届における標準報酬月額の算出方法とは

標準報酬月額は、原則として、4・5・6月に支払われた報酬をもとに算出します。
| 標準報酬月額の算出手順 |
|---|
| 手順1:報酬の総額の算出 |
| 手順2:報酬月額(1か月あたりの平均金額)の算出 |
| 手順3:報酬月額をもとに、保険料額表で「標準報酬月額」を確認する |
基本的な計算式は次の通りです。
| 「4・5・6月に支払われた報酬の総額」÷「月数」=「報酬月額(1か月あたりの平均金額)」 |
しかし「報酬月額」と「標準報酬月額」はイコールではありません。以下の算出手順で「標準報酬月額」を確認しましょう。
算定基礎届における標準報酬月額の算出手順1:報酬の総額の算出
4・5・6月に支払われた報酬の総額(合計金額)を計算します。
| <計算例> |
| ・4月の報酬:285,000円 |
| ・5月の報酬:290,000円 |
| ・6月の報酬:328,000円 |
| ・4~6月の報酬の総額:903,000円 |
算定基礎届における標準報酬月額の算出手順2:報酬月額(1か月あたりの平均額)の算出
手順1で計算した報酬の総額を、月数(3か月)で割ります。
| <計算例> |
| ・報酬月額(1か月あたりの平均額)=903,000円÷3か月=301,000円/月 |
算定基礎届における標準報酬月額の算出手順3:保険料額表で「標準報酬月額」を確認
手順2で算出した報酬月額(1か月あたりの平均額)から、「標準報酬月額」を求めます。
全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページで確認できます。
| <保険料額表へのアクセス手順> |
| 1.全国健康保険協会公式サイトの「都道府県毎の保険料額表」を開く |
| 2.一覧より最新年度を選択 |
| 3.最新月分を選択 |
| 4.該当する都道府県を選択 |
以上で、都道府県別の保険料額表へアクセスできます。この表から標準報酬月額を確認します。
<例>東京都の平成31年4月分(令和1年5月納付分)の保険料額表より
| <標準報酬月額の確認手順> |
| 1.上記保険料額表の報酬月額の欄から、手順2で算出した報酬月額が含まれる欄を探します。 |
| 2.今回の計算例(報酬月額=301,000円)の場合、「290,000~310,000円」に含まれます。 |
| 3.この「290,000~310,000円」の左隣の欄が、該当する「標準報酬月額」です。 |
今回の計算例の場合、標準報酬月額は300,000円です。
この金額をもとに、健康保険料や厚生年金保険料の納付額が決められます。
算定基礎届における標準報酬月額の算出方法の注意点
- 報酬の総額は、手取り金額ではなく税引き前の総支給額で算出します。
- 報酬の総額は、4~6月に支給(振込等)をされた金額で計算します。
<例>3月労働分の給料が4月の給料日に振り込まれる場合は以下のようになります。
| 報酬総額の計算対象 | 正誤 |
|---|---|
| 4~6月に振込された金額(3~5月出勤分の給料)で計算 | ○ |
| 5~7月に振込された金額(4~6月出勤分の給料)で計算 | × |
算定基礎届の書き方・内容を詳細に解説!
算定基礎届の申請用紙は、事前に年金事務所から会社宛に郵送されます。毎年5月下旬から6月下旬頃に到着予定です。
下記の項目はあらかじめ印刷された状態で届きます。
| ・全被保険者の氏名 |
| ・生年月日 |
| ・従前の標準報酬月額 |
届いた用紙に必要事項を追記または修正して、提出しましょう。
算定基礎届の書き方・記入項目
算定基礎届の記入項目と書き方は以下の通りです。
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| ・提出者記入欄 | ・事業所整理記号は新規適用時または名称・所在地変更時の記号 ・事業主の押印は、署名(自筆)の場合は必要なし |
| ・被保険者整理番号 | ・資格取得時に払い出しされた被保険者整理番号 |
| ・生年月日 | ・記入例:昭和63年5月3日の場合「5-630503」と記入 ※「5」は元号一覧より選択 ・元号:1.明治 3.大正 5.昭和 7.平成 9.令和 |
| ・昇(降)給 | ・4月~6月に昇給(降給)があった場合の支払月 ・昇給または降給を〇で囲む |
| ・遡及支払額 | ・4月~6月に遡及分の支払があった月と、遡及差額分の金額 |
| ・給与計算の基礎日数 | ・報酬(給与)支払の対象となった日数 ※月給・週給者は暦日数、日給・時給者は出勤日数 |
| ・通貨によるものの額 | ・標準報酬月額の対象となるすべての合計金額 |
| ・現物によるものの額 | ・食事・住宅・被服等、現金以外で支払われた物の金額 |
| ・合計 | ・通貨と現物の合計額 |
| ・総計 | ・給与計算の基礎日数が17日以上の月の「通貨と現物の合計額」をすべて足した金額 ※パートタイマーで基礎日数17日以上の月がない場合は、15日以上の月の総計 |
| ・平均額 | ・「総計」を「給与計算の基礎日数が17日以上の月数」で割った金額(1円未満は切捨て) ※パートタイマーで基礎日数17日以上の月がない場合は、15日以上の月数で割った金額 |
| ・修正平均額 | ・4~6月に差額分が含まれている場合の、差額分を除いた平均額 |
| ・個人番号 | ・70歳以上被用者のみ記入 |
算定基礎届の書き方の注意事項
- 届出用紙に氏名等が印字されていない場合は、空欄に手書き等で追記します。
- 空欄が足りない場合は、年金事務所へ送付を依頼するか、ホームページからダウンロードしましょう。
- 基礎日数とは、給与支払日の日付ではありませんので、ご注意ください。
- 算定基礎届における「パート」とは、短時間就労者のうち、週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上の労働者を指します。
算定基礎届の提出方法・対象者・添付書類を一覧表で確認
算定基礎届の提出に関する基本事項(義務者・対象者・提出期限・提出先)
算定基礎届の提出義務者・対象者・提出期限・提出先は以下の通りです。
| ・算定基礎届の提出義務者 | ・事業主(会社・組織) |
|---|---|
| ・算定基礎届の対象者(書類に記載される人) | ・7月1日時点で健康保険・厚生年金保険の被保険者 ※上記に該当するすべての従業員が対象(休職中を含む) ※ただし、対象外の条件に該当する従業員については届出不要 |
| ・算定基礎届の対象外(書類に記載不要)の従業員 | ・6月1日から7月1日の間に被保険者となった人 ・6月30日以前に退職した人 ・7月から9月の間に「随時改定」または「育児休業等終了時改定」を行う人 ※随時改定・育児休業等終了時改定とは、標準報酬月額の決定方法の1つです。定時決定とは異なる手続きが必要となります。 |
| ・提出期限 | ・毎年7月1日~7月10日の間(年により多少前後する場合あり) |
| ・提出先 | ・日本年金機構(事務所の所在地管轄の年金事務所または事務センター) ※書類に同封されている返信用封筒を参照 |
算定基礎届の提出書類・添付書類の一覧表
算定基礎届では、以下の書類を提出します。
| ・被保険者報酬月額算定基礎届(通称:算定基礎届) |
| ・被保険者報酬月額算定基礎届統括表 |
| ・被保険者報酬月額算定基礎届統括表附表(雇用に関する調査票) |
総括表および総括表附表は、7月1日時点の被保険者数の確認に使用される書類です。
ここから先の書類は、該当する場合のみ提出します。
| 電子データ申請の場合の提出物 |
|---|
| ・電子媒体(CDまたはDVD) |
| ・磁気媒体届書総括票 |
| ・被保険者報酬月額算定基礎届統括表 |
| ・被保険者報酬月額算定基礎届統括表附表(雇用に関する調査票) |
| ※統括表および総括表附表は、電子媒体による提出不可のため、届出用紙が必要です。 |
| 該当者がいる場合の提出書類 |
|---|
| ・70歳以上被用者 算用基礎・月額変更・賞与支払届 |
| ・被保険者報酬月額変更届(7月改定者) |
| 保険者算定(年間報酬の平均で算定)を申し立てる場合の提出書類 |
|---|
| ・年間報酬の平均で算定することの申立書 |
| ・保険者算定申立に係る例年の状況・標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等 |
以上の届出書類を、ご希望の方法にて提出します。
算定基礎届の提出書類の注意事項
- 「被保険者報酬月額算定基礎届 総括表」は、該当者がいない場合も必要です。
- 届出用紙は、被保険者整理番号順にそろえて提出します。
- 算定基礎届の提出にあたり、賃金台帳等の提示を求められる場合があります。
- 電子申請(オンライン申請)の場合、「被保険者報酬月額算定基礎届総括表」は画像ファイル(JPEGまたはPDF)で添付します。
算定基礎届の4つの提出方法
算定基礎届の提出方法には、下記の4つがあります。
| 1.窓口に直接持参 |
| 2.郵送 |
| 3.電子申請(インターネット上で申請) |
| 4.電子データ(CDまたはDVD) |
日本年金機構から届く書類の中に、返信用封筒があるので、郵送の場合はこれを使用します。
また電子手続きも可能なので、本項で詳しく解説します。
算定基礎届の電子データによる提出について
電子データで提出する場合、「磁気媒体届書作成プログラム」が必要となります。日本年金機構のサイトからダウンロード可能です。
CDまたはDVDに、事業所名称・事業所整理記号等の記入をして提出します。
算定基礎届の電子申請(オンライン申請)について
算定基礎届は、e-Gov(イーガブ)にて電子申請することも可能です。
e-Gov(イーガブ)とは、総務省運営の公式サイトです。各種申請手続きをオンラインで行うことができます。
電子申請(e-Gov)には次のようなメリットがあります。
| ・夜間・休日等、24時間届出が可能 |
| ・自宅・職場などどこからでも提出可能 |
| ・届出のための移動時間・待ち時間の削減 |
| ・郵送料の削減 |
電子申請(e-Gov)の流れは以下の通りです。
| 1.電子証明書の取得 |
| 2.パソコンの環境設定 |
| 3.申請データの作成 |
| 4.申請 |
電子申請の始め方や届出書の入力方法は、厚生労働省の動画にて解説されています。
以上のいずれかの方法で書類を提出すれば、算定基礎届の手続きは完了です。
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