会計・経理・財務の違いとは?意味や仕事内容など5分でわかるガイド

公開日:2018.1.7  |  最終更新日:2025.3.11



-法人のお金に関する用語がよく分からない…。

-会計・経理・財務の違いが実は分かっていない…。


上記のような悩みは、非常に多く見られます。


個人事業主や経営者である以上、お金に関する用語はきちんと理解しておきたいところでしょう。しかし、特に会計・経理・財務はいずれもお金に関する用語であることから、意味を混同して覚えている方は少なくありません。


そこで今回は、現役18年の税理士が会計・経理・財務の基礎をまとめました。基礎知識から解説しているので、初心者の方でもこの記事を最後まで読めば、100%内容を理解できます。




■「会計」とは?仕事内容を徹底解説



「お会計は一緒で構いませんか?」「お会計をお願いします」など、会計という言葉は私たちの周りにあふれています。今回ご紹介する中でも、「会計」は特に聞き慣れている言葉ではないでしょうか?


この会計という言葉が表すのは、主に以下の内容です。


・金銭や物品の出入りを記録すること

・金銭に関する管理全般のこと


会計に該当する具体的なものとしては、帳簿や家計簿などが挙げられるでしょう。また、国や自治体がお金を管理する際にも、この会計という言葉が用いられます。


単に「お金のやり取り」「お金の計算」を意味する場合もありますが、ビジネスの世界では上記2つが会計の意味となるので、きちんと理解しておきましょう。


○管理会計と財務会計の違いは?


ビジネスの世界では、会計という言葉は「管理会計」「財務会計」の2つに分けられています。では、それぞれが具体的に何を意味するのかについて、以下で確認してみましょう。


・管理会計

売上や経費を管理、分析すること

・財務会計

経理がこなす会計作業のこと


一般的な企業でよく見られる帳簿・伝票への記録は、財務会計に該当します。こちらは経理がこなしているケースが多く、全ての企業で必要となるものです。


それに対して、管理会計は経営企画部、もしくは分析専門の部署などが担当します。管理会計は分析も兼ねているので、財務の問題点を見つける上で非常に重要な意味合いを持っています。



【管理会計が注意すべき点】会社の経営方針に間違いが無いか

管理会計が注意すべき点は、会社の経営方針に間違いが無いかどうかです。

管理会計はお金に関する分析も兼ねているので、常に市場を読み取り、最適な手段で会社を成長させる助けをしなければなりません。

  • 今の顧客だけで売上は今後も維持できるのか
  • 更に売上を伸ばすにはどうすればいいか
  • 今の仕入先は、利益率向上に役立っているか
  • 経費の無駄遣いは無いか

などを詳しく分析して、会社の経営をよりよいものにする意識を持ちましょう。

【財務会計が注意すべき点】帳簿の記載に間違いは無いか

財務会計が注意すべき点は、帳簿の記載に間違いが無いかです。

金銭や物品の出入りを記録することは会社にとって非常に重要で、後から見返して方向性を決めるということも珍しくありません。

そこで間違った情報が記録されていると、せっかく頑張ってきた今までのデータが無くなってしまうことと同じです。

正しく帳簿への記載を行い、また漏れがないようにすることで、後から他人が見返してもわかりやすいような帳簿を作成しましょう。


■「経理」とは?仕事内容を徹底解説


次に、経理について解説していきましょう。前述の会計はお金全般の管理を指しましたが、経理はその中に含まれる特定の業務を指します。具体的な業務としては、以下が挙げられるでしょう。


・伝票の作成

・帳簿の記帳

・買い手に対する請求

・売り手に対する支払い

・税金関係の申告


つまり、経理は公的な会計業務を表します。なお、仕事内容ではなく、上記で挙げたような業務をこなす人物を会社内で「経理」と呼ぶこともあります。


企業によっては、以下の書類を作成することも経理の仕事に含まれます。


・貸借対照表

・損益計算書

・キャッシュフロー計算書


上記の3つは「財務諸表」と呼ばれるものであり、経理はルールに従って企業内外のお金をまとめて、正確な財務諸表を作成します。


そのため、経理には簿記などの専門知識が求められることもあり、会社によっては複数人で「経理部」を構成するケースも存在します。



【経理で意識すべきこと1】売掛金の入金チェック

経理が意識すべきことは、売掛金の入金チェックです。

売買取引は、相手からお金を回収して初めて成立します。ところが企業間の取引だと、売掛を作ってまとめて入金をもらうことが多いです。

入金は1ヶ月~2ヶ月、遅いところだと4ヶ月後などに行われることもあります。

すぐに入金が反映されない分、しっかりとチェックしておかないと、実は入金がされていなかったという事態になりかねません。

経理担当者は、請求書の発行だけでなく、その請求書通りの金額がしっかりと振り込まれているかまでチェックを行う必要がります。

入金チェックは、会社の経営においてとても重要な仕事です。

【経理で意識すべきこと2】怪しいお金の確認

会社のお金が不正に利用されていないかをチェックするのも、経理の重要な仕事です。

  • ちゃんと商品を売った分だけ請求ができているか
  • 仕入先から余分なお金が振り込まれていないか
  • 社員が使った経費の水増しは無いか
  • 会社のお金が不当に引き出されていないか

など、チェックすべき点は多いです。

不正利用は犯罪であり、場合によっては会社自体の存続が困難になるかもしれません。

しっかりと状況を調べ、正しい流れでお金が使われているかどうかを把握するようにしましょう。


■「財務」とは?仕事内容を徹底解説


最後に財務ですが、財務は会計・経理とは大きく異なる仕事です。財務の仕事内容は、経理が作成した財務諸表などを参考に資金計画を立てて、以下で挙げるような行動を起こすことです。


・銀行などの金融機関から資金を調達する

・株式を新たに発行し、資金を調達する

・投資やM&Aなどで、会社の資産を運用する

・会社の予算を管理する


なお、上記で挙げた仕事をこなす人物を、「財務」や「財務担当」と呼ぶ会社も多く見られます。


会計・経理と財務の大きな違いとしては、「過去に関する仕事をするか、未来に関する仕事をするか」という点が挙げられるでしょう。会計・経理は過去のデータをまとめる仕事ですが、財務は会社の未来を明るくするために資金計画を実行する仕事です。


そのため、財務には計画力や行動力、実行力などが求められます。なお、中小企業に関しては特に財務を決めずに、経営者や経理の方が財務をこなすケースが多くなっています。

【財務が仕事で意識すること1】資金繰り

財務の仕事では、会社の資金繰りを意識します。

いくら売上がいい企業であっても、資金繰りが悪いと、黒字倒産という形になってしまいかねません。

売掛金や手形などをうまく現金化し、仕入先への支払いや借入金の返済などを期日通りに行う必要があります。

そのために新たな金融機関から融資を募ったり、ファクタリングや手形割引などを利用して現金を集めたりと、色々な手法を使わなければなりません。

他にも、以下のようなことに意識を向けます。

  • 手形などを使い、買掛金の支払いを遅くする
  • 過剰な在庫を取らないように、仕入れを削減する
  • 人件費など、固定費の削減
  • 借金返済の条件緩和(借り換えなど)

いずれも、資金繰りをよくするためには重要です。

財務をやる上で、資金繰りは意識すべき重要なポイントと言えるでしょう。

【財務が仕事で意識すること2】予算管理

予算管理も、財務管理の重要な仕事です。

予算管理がうまくできていないと、予期せぬ出費に対応できなかったり、売上が思うように伸びずに資金繰りに苦しんだりしてしまいます。

特に季節によって売り上げが増減する形態の企業だと、予算管理は非常に重要になるでしょう。

また売掛金の種類によっては、入金が2ヶ月~3ヶ月後になることも珍しくありません。

その間にどれだけ仕入れを行うかなどを決定する予算管理は、会社の経営状態を安定させるために大切です。

また、予想より多くの利益が出た場合は、そのお金をどのように運用していくかの指標を作ることも行う必要があります。

企業の方向性を決める、とても重要な仕事と言えるでしょう。

■会計・経理・財務のそれぞれの違いを徹底解説

会計・経理・財務の仕事は、似ているように見えて実は全く異なる意味合いを持っています。

こちらでは、会計・経理・財務の仕事がどのように違っているのかを確認します。

以下が、会計・経理・財務のそれぞれの特徴をまとめた表です。



会計

経理

財務

・仕事内容

お金に関すること全般

支払いや請求、財務諸表の作成など

資金調達や運用、予算管理など

・会社内での呼ばれ方

特になし

経理担当者、経理部など

財務担当者など

・求められる能力

お金に関する幅広い知識

財務諸表の作成方法

計画力や行動力、実行力など


すべてお金を使った仕事ではありますが、その内容は大きく違っています。

会計や経理が、会社の過去の売上を記録するのに対し、財務は将来に向けた資金調達や予算管理などを行います。

いずれの仕事も会社の経営に大きく関わることには間違いないので、それぞれの部署における役割をしっかりと把握し、適切な行動を取ることが求められるでしょう。


■会社にとって「会計・経理・財務」は必要?



さて、ここまでは会計・経理・財務の違いを解説してきました。会社にとってはそれぞれが重要なポジションと言えますが、果たして会計・経理・財務はどのような会社でも必要になるのでしょうか?


次からは、会計・経理・財務の必要性について解説していきます。


○会計が必要になる理由


企業はお金のやり取りによって存続するので、会計という仕事は必要不可欠です。会計担当者がいなければ、お客様とお金のやり取りをすることができませんし、決算書の作成も不可能です。


では、一般的な企業においては、なぜ「会計部」と呼ばれることがないのでしょうか?前述の通り、会計はお金の出入り全般の仕事を指すため、中小規模であっても会計を少人数でこなすことは難しいでしょう。


そのため、一般的な企業では「経理部」や「経営企画部」のように部署を分けて、会計の業務を分担しているのです。


○経理が必要になる理由


経理部や経理担当者も、会社にとっては必要不可欠な存在です。決算書をスムーズに作るには、日々帳簿をつける人材が必要になりますし、経理がいなければ請求・支払いもスムーズに進まないためです。


また、経理が作成する財務諸表は、経営者が自社を分析するために欠かせない書類となります。日々の売上はもちろん、資産や負債、資本の「どこに問題点があるのか?」を把握できる書類が財務諸表なので、正確な財務諸表を作成できる人材は必須でしょう。


従業員が数名の小規模な企業であっても、代表者や役員などが経理を担当しているケースは多く見られます。


ただし、扱うデータ量が増えるほど専門知識が必要になるので、中規模~大規模の会社に関しては、その多くが経理部・経理担当者を独立して用意しています。


○財務が必要になる理由


財務に関しても、ほとんどの会社で必要な仕事と言えるでしょう。ただし、財務は会社の状況・方針によって、行うべき仕事内容が変わってきます。


例えば、資金不足の企業Aが存在するとしましょう。この企業Aには投資をする資金は当然なく、今のままの状態が続くと運転資金がショートします。


では、この時に財務担当者はどのような行動を起こすべきでしょうか?このような資金不足のケースでは、金融機関や投資家などから融資を受けることが必要です。つまり、資金調達に注力する必要があるでしょう。


逆に、会社に豊富な資金がある場合は、その資金を活かした行動を起こすべきです。具体的には、M&Aによる他社の買い取りや投資活動などが挙げられるでしょう。


このように、財務担当者は会社の財務状況をチェックし、その時に最適な計画を立てなくてはなりません。会社の回復・発展がかかっている立場なので、財務も会社には必要不可欠な存在と言えます。


上記の通り、企業にとって会計・経理・財務はいずれも必要な存在です。どれが欠けても会社はうまく回らないので、人材不足で悩んでいる経営者の中には、これらの仕事を外部に依頼している方も見られます。


会計・経理・財務を外部に依頼する場合は、以下の専門家などが選択肢になってくるでしょう。


・会計士

・税理士

・経営コンサルタント会社

・経営アドバイザー


特に財務状況の分析については、ある程度の専門知識やスキルが必要になってくるので、初心者の方に対して安易に任せるべきではありません。


■一般的な会社の年間サイクルを理解しておこう!



一般的な会社では、会計・経理・財務の担当者はどのようなサイクルで仕事をこなしているのでしょうか?実は、会計・経理・財務の仕事内容は、時期によっても若干変わってきます


そこで次からは、会計・経理・財務を交えて一般的な会社のサイクルをご紹介していきます。もちろん、会社によって具体的なサイクルは異なりますが、一例を見て理解度をより深めていきましょう。


以下の一例は、3月に決算を迎える会社のサイクルとなります。


4月

期をまたぐお金に関して、前期分と翌期分にわける。「決算整理」と呼ばれる。

5月

税務申告に向けて、決算書を作成し始める。

決算書の内容から、資金計画を立てて実行する。

6月

申告書類を作成し、税務申告をする。

保険の算定基礎届を提出する。

また、ボーナスがある場合は賞与の計算・支払いを行う。

7月

労働保険の更新をする。

8月


9月


10月

中間税務申告に向けて準備を整える。

11月

中間税務申告を行う。

12月

ボーナスがある場合は賞与の計算・支払いを行う。

1月

年末調整を行う。

償却資産税申告書、給与支払報告書、法定調書を提出する。

2月


3月

棚卸資産をチェックする。「実地棚卸」と呼ばれる。


上記が基本的なサイクルとなりますが、記載されている仕事内容はほとんど経理が担当します。保険の更新や加入、解約などについては、財務が担当する場合もあるでしょう。特に経理は時期によって仕事内容が大きく変わってくるので、幅広い知識が求められます。


なお、上記表の決算書は「年次決算書(1期分の決算書)」を指しますが、必要な場合は「月次決算書(1ヶ月分の決算書)」も作成します。


月次決算書は必ず必要になる書類ではありませんが、自社の経営状況を的確に判断するため、月次決算書の作成を推奨している専門家は少なくありません。


さて、ここまで一般的な会社の年間サイクルをご紹介しましたが、実は会計・経理・財務の仕事内容は、月間で見てもサイクルがあります。月初めと月末で仕事内容が変わってくるので、月間のサイクルについても確認していきましょう。


○一般的な会社の月間サイクル


月初め

・前月の取引に関して、入金があるかどうかをチェックする

・毎月10日までに、源泉所得税や住民税を支払う

・前月の月次決算書を作成する

・月次決算書を分析する

月末

・各種保険料を支払う

・取引先へお金を支払う

・請求書を作成し、送付する

・従業員の給与計算をする


上記のほか、取引が確定したタイミングでは見積書の作成も必要になります。


月初めに関しては、前月分のお金の処理をしなくてはなりません。


また、1ヶ月ごとに決算書を作成する会社では、経理担当者が月次決算書を作成する必要があります。月次決算書は必ずしも月初めに作成する必要はありませんが、財務担当者に分析してもらう必要があるので、早いタイミングで作成することが望ましいでしょう。


月末については、支払いに関する業務が中心となります。また、請求書の作成も重要な仕事であり、取引のあった全ての取引先に対して請求書を送付しなければなりません。


このように、1ヶ月・1年のサイクルで仕事内容を見てみると、特に経理担当者は仕事内容がコロコロ変わると言えます。それに対して、財務担当者の仕事内容は会社の状況によって大きく変わります。


前述の通り、経理がこなす会計作業を「財務会計」と言いますが、この言葉の影響で会計・経理・財務を混同している方は少なくありません。


しかし、特に経理と財務は意味合いが大きく異なるので、きちんと区別して覚えるようにしましょう。



■まとめ



今回は、会計・経理・財務の違いについて詳しく解説しました。いかがでしたか?


これらの言葉は、シーンによっては同じ意味合いとして用いられることもあります。しかし、厳密に言えば全く異なる言葉であり、特に経理担当者と財務担当者の仕事内容は大きく異なります。


経営者の方は今一度会社の体制を見直し、各担当者の役割をきちんと分けてみてはいかがでしょうか?そうすることで、業務全体の効率がアップする可能性があるでしょう。


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