財務諸表の見方読み方が100%わかる!財務諸表分析6つのポイント(初心者OK)

登録日:2018.1.7  |  最終更新日:2019.5.9



企業の経営活動を、明確な数値で表す「財務諸表」。中小企業であっても、経営者であれば財務諸表の読み方はきちんと身につけておきたいところです。



しかし、財務諸表は小難しい言葉・数値が数多く並ぶので、「実はいまいち読み方が分かっていない…」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?財務諸表は自社の分析にも活用できるため、これを機に内容を理解しておくべきです。


そこで今回は、現役18年の税理士が財務諸表の基礎から解説していきます。初心者の方でも100%理解できる内容なので、ぜひ最後まで読み進めていきましょう。



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■「財務諸表」ってどんな書類?



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財務諸表は、決算期を迎えた企業が公表する書類のひとつです。「諸表」という言葉が表しているように、財務諸表は以下の3つの書類から構成されています。


【書類その1】貸借対照表

【書類その2】損益計算書

【書類その3】キャッシュフロー計算書


まずは、上記の3つがそれぞれどのような書類なのかについて、概要を理解しておきましょう。


【書類その1】貸借対照表


企業の「資産・負債・資本」の3つをまとめた表です。簡単に言えば、企業が資金をどのように調達しており、どういった形で保有しているのかを表しています。

一般的な貸借対照表では、左側に資産を記載し、右側に負債・資本を記載します。最終的に「資産の合計額=負債・資本の合計額」となり、左側と右側の合計額が同じ値となるので、「バランスシート」と呼ばれることもあります。


【書類その2】損益計算書


損益計算書とは、一定期間の企業の経営成績を表すものです。具体的には売上高や売上原価などが記載されており、これらの数値から以下の5つの利益を算出します。


・売上総利益

・営業利益

・経常利益

・税引前当期純利益

・当期純利益


上記の当期純利益がマイナスの場合は、その期が赤字であったことを意味します。


【書類その3】キャッシュフロー計算書


キャッシュフロー計算書は、現金・預金など会社が保有するお金の流れを表した書類です。「営業活動・投資活動・財務活動」の3区分から構成されており、企業がどこから資金を調達したのか、何に資金を使ったのかが分かります。

企業のキャッシュフローを把握できるので、資金繰りを改善する場合は必須となる書類と言えるでしょう。


ここまで財務諸表の基礎を解説しましたが、経営者の方が気にするのはやはり「財務諸表の読み方・見方」でしょう。そこで次からは、財務諸表を分析する際のポイントについてご紹介していきます。



■【財務諸表分析のポイントその1】分析するべき5つの要素を理解する



Andreas Cappell


財務諸表をチェックする際には、以下で挙げる「会社に関する5つの要素」を読み取ることが大切です。


①収益性

順調に利益が生じているかどうか

②安全性

事業の継続性が高いかどうか

③効率性

無駄なコスト・時間がかかっていないかどうか

④生産性

投入した資源を活用できているかどうか

⑤成長性

前期などと比べて、順調に成長しているかどうか


財務諸表に記載されている数値をただ見るだけでは、当然何の分析にもつながりません。記載されている数値が何を表しているのか結果としてどのような状況につながっているのかを読み取らなければ、具体的な対策を立てることは難しいでしょう。


そのため、財務諸表では常に上記の5つを意識して、数値をチェックすることが大切です。自社の財務諸表を読む際には、上記の中で「どこに問題を抱えているのか」を意識しながら、会社の課題を見つけていきましょう。


■【財務諸表分析のポイントその2】貸借対照表は3つの比率をチェックする


貸借対照表をチェックする際には、以下で挙げる3つの比率を意識することが大切です。


【その1】流動比率

【その2】当座比率

【その3】自己資本比率


では、なぜ上記の3つが重要になるのかについて、以下で詳しく見ていきましょう。


【その1】流動比率


流動比率とは、会社の支払い能力を判断するための指標です。貸借対照表にそのまま記載されているわけではなく、以下の式によって算出をする必要があります。


流動比率(%)=(流動資産÷流動負債)×100


この流動比率が100%を超えている場合、その企業は「短期借入金をきちんと完済する能力がある」と判断できます。逆に、100%に満たない企業は資産が不足しているので、早急に対策を立てなければなりません。

数値目標は業種によって異なりますが、おおよその目安としては以下を参考にすると良いでしょう。


・製造業

190%~300%

・サービス業

220%~350%

・その他の業種

170%~300%


【その2】当座比率


この当座比率も、企業の短期間における支払い能力を判断できる指標です。具体的には、流動負債に対する当座資産の割合のことを指し、当座資産とは現金や預金など、現金化が比較的容易な資産のことを指します。

この当座比率は以下の式によって算出できるので、貸借対照表がある場合は計算してみましょう。


当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100


業種ごとの数値目標は、以下がおおよその目安となります。


・製造業

140%~250%

・サービス業

190%~320%

・その他の業種

130%~240%


【その3】自己資本比率


自己資本比率は企業の安全性を判断するだけではなく、金融機関から融資を受ける際にも用いられる指標です。さまざまなシーンで活用する指標なので、下記の計算式はきちんと覚えておきましょう。


自己資本比率(%)=自己資産÷総資産×100


この自己資本比率については、40%以上を維持することが望ましいと言われています。具体的な基準は金融機関ごとに異なりますが、この自己資本比率が低い場合、申し込みの段階で審査に落とされてしまうケースも珍しくありません。

自己資本比率が30%を切ってしまった場合は、負債・資産を減らす、自己資本を増やすなどの対策が必要になるでしょう。


上記の3つの比率は、いずれも企業の安全性をチェックできる指標です。貸借対照表から計算をする必要はありますが、経営者であれば把握しておくべき情報なので、きちんと計算して分析しておきましょう。



■【財務諸表分析のポイントその3】損益計算書はROAとROEをチェックする


損益計算書については、以下の2つの指標を見ることが重要です。


【その1】ROA

総資本利益率のことであり、「Return On Asset」の頭文字を取ってROAと呼ばれている。

【その2】ROE

純資産利益率のことであり、「Return On Equity」の頭文字を取ってROEと呼ばれている。


【その1】ROA


ROAは利益を生み出す効率を表しており、「会社の総資本全体をどれくらいうまく活用できたか?」を意味しています。計算式はやや複雑ですが、財務諸表が手元にある方は以下の式に当てはめて計算してみましょう。


ROA(%)=(事業利益÷総資本)×100=(経常利益+支払利息)÷総資本×100


さらに細かく分析したい方は、以下の式にも損益計算書の値を当てはめてみるべきです。


ROA=(事業利益/売上高)×(売上高/総資産)


上記の式に当てはめることで、事業利益・売上高・資産のどこに課題があるのかを見つけられます。ROA自体が低い場合は、会社の利益を生み出す仕組みを見直してみましょう。


【その2】ROE


ROEは、「株主資本から生み出している利益の効率性」を表す指標です。具体的な計算式は、以下の通りとなります。


ROE(%)=(当期純利益÷総資産)×100


こちらのROEも、以下のように分解することでさらに細かく分析できます。


ROE=(当期純利益/売上高)×(売上高/総資本)×(総資本/総資本)


ROAやROEの目安については、財務総合政策研究所が公表している統計などをチェックしてみましょう。業種やシチュエーションによって適正値が異なるので、こまめに統計などを確認することが重要です。


統計結果の公表情報




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■【財務諸表分析のポイントその4】キャッシュフロー計算書では3つのキャッシュフローをチェックする



frankieleon


キャッシュフロー計算書に関しては、「営業活動・投資活動・財務活動」の3つのキャッシュフローをチェックすることが重要です。では、具体的にどのようなポイントをチェックするべきなのかについて、以下で確認していきましょう。


【その1】営業活動によるキャッシュフロー


営業活動とは、企業の本業を指します。そのため、営業活動によるキャッシュフローがマイナスの場合は、倒産の危機が近付いているので注意しなくてはなりません。

逆に、ほかのキャッシュフローがマイナスであっても、営業活動によるキャッシュフローが大きくプラスであれば、近い将来経営が好転する可能性があるでしょう。


【その2】投資活動によるキャッシュフロー


企業は事業を進めるために、さまざまな投資活動を行います。そのため、経営状況に問題がなかったとしても、投資活動によるキャッシュフローがマイナスである企業は珍しくありません。大きいマイナスでない限りは、特に問題視する必要はないでしょう。

逆にプラスの場合は、「なぜプラスになっているのか」をきちんと把握することが大切です。


【その3】財務活動によるキャッシュフロー


通常は、上記2つのキャッシュフローがプラスであればマイナス、上記2つのキャッシュフローがマイナスであればプラスになります。これは、営業活動・投資活動で資金を捻出できない場合に、財務活動によって資金を調達する必要があるためです。

財務活動によるキャッシュフローが大きくプラスの場合は、多額の借入金が発生している恐れがあるので、内訳を細かく確認するようにしましょう。


■【財務諸表分析のポイントその5】フリーキャッシュフローもチェックしておこう!


キャッシュフロー計算書に関しては、フリーキャッシュフローを把握することも重要です。フリーキャッシュフローとは、営業活動によるキャッシュフローから、投資活動によるキャッシュフローを差し引いた金額を指します。

このフリーキャッシュフローは、会社が本業で稼いだお金のうち、いわば自由に使えるお金を意味します。フリーキャッシュフローの金額が多いほど、経営の自由度は高まるでしょう。

では、フリーキャッシュフローを増やすことができれば、具体的にどのようなメリットが発生するのでしょうか?主なメリットについて、以下で簡単にまとめてみました。


・金融機関からの借入金を減らせる

・事業拡大、規模拡大を狙える

・給与を増やすことで、従業員のモチベーションがアップする


つまり、企業が順調に成長を遂げるためには、このフリーキャッシュフローが欠かせません。そのため、フリーキャッシュフローの金額はこまめに把握するようにしましょう。


■【財務諸表分析のポイントその6】絶対額ではなく、業績の傾向を意識する


財務諸表を見る際に、「絶対額」の視点で数値を見る経営者は少なくありません。しかし、業界や業種、時期、経済状況などによって目標値は変わってくるので、絶対値をそこまで重視する必要はないでしょう。


財務諸表を分析する場合は、絶対額よりも「傾向」が重要になります。自社の数値にどのような傾向があるのか、その原因は何なのかを突き止めることにより、具体的な対策を講じやすくなるでしょう。


しかし、1期ごとに財務諸表を作成するだけでは、傾向をつかむことは難しいと言えます。そこでおすすめなのが、「年計表」を作成する方法です。

年計表では、1年間の財務状況を1ヶ月ずつずらして集計していきます。例えば、2018年1月時点では2017年1月~2018年1月までを、2018年2月時点では2017年2月~2018年2月までを集計します。


このようにデータを集計することで、企業は以下の情報を把握しやすくなるでしょう。

・異常値を見つけやすくなり、原因を特定できる

・季節による売上の傾向をつかめる

・日本経済の状況と照らし合わせることで、景気による影響が分かる


年計表はデータの参照範囲を変更するだけなので、こまめにデータを保管している会社であれば大きな手間はかかりません。これを機に、積極的に導入してみましょう。


■まとめ


今回は、財務諸表について詳しく解説してきました。いかがでしたか?


本記事を最後まで読んだ方は、「これなら自分にもできそう」と感じたはずです。重要なポイントを押さえておけば、財務諸表を読むことはそれほど難しくはありません。

少しずつ扱える指標などを増やしていき、分析の精度をどんどんと高めていきましょう。

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