会計帳簿の保存期間は7年?10年?経理書類の保管期間や義務を守らないとどうなる?

登録日:2018.1.8  |  最終更新日:2018.9.18



会社を経営している方なら、日々作成した経理の書類を大事な決算のために、きちんと保管することは常識としてご存じでしょう。

しかし、実は決算が終わった後でも、それらの書類を一定の期間保管しておかなければなりません。この点は、これから会社を経営される方や起業を検討中の方が、経理関係の書類については予備知識として必ず押さえておくべき点です。

そこで今回は、会計帳簿に関する基礎知識を現役12年の税理士が詳細にご説明します。この記事を最後まで読めば、これまで会計帳簿について曖昧だった方も、100%正しい知識を身につけられます。

「初めは会計処理も自分で行い、金銭の動きをきちんと把握したい」と考えている起業家や経営者の方は、ぜひ参考にしてください。


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■そもそも「会計帳簿」って何?必ず必要になるもの?



Justin See (coming back)


会計帳簿は経営に欠かせない書類ですが、なんとなく難しいイメージがあり、苦手意識をお持ちの方も少なくないでしょう。しかし、帳簿の書き方は「日々の金銭の動きを数字で正しく記入していくだけ」という単純なものです。子どもの頃、月々のお小遣いの収支を記録していた「小遣い帳」や、家計の管理に用いる「家計簿」と、基本的な流れはそれほど変わらないのです。

また、会計帳簿は決まった時期に必ず作成しなければならない「決算書類」の大本となる書類です。取引を行ったり資産を移動させたりしたときには、それらを正確に記載した帳簿を作っておかなければ、税法上必要になる決算書類の作成ができません。

そんな会計帳簿は、必ず作っておかなければならない「主要簿」と、作成は任意ですが必要に応じて作っておくと良い「補助簿」に2分されます。それらの内訳は、以下のようになっています。


【主要簿の内訳】


①仕訳帳

日々行われる取引について順に記載し、勘定項目ごとに仕訳する帳簿です。後から見ると「取引の年月日」「取引の内容」「取引金額」が確認できます。


②総勘定元帳

仕訳帳を基に、それぞれの取引を勘定項目別に分類して個々にまとめたものです。


③日記帳

日々の取引について、発生した時系列順に内容を記載していく帳簿です。また主要簿の中で、これだけは任意で作成が可能なものとなります。

決算時などに書類を作るとき、ミスを防ぐという意味でも記録用に作成しておくのがおすすめです。


【補助簿】

①得意先元帳

売掛金元帳」という別名で呼ばれることもあります。行った取引について、得意先別に分けて記載するために用いる帳簿です。

売掛金の発生なども、この帳簿に記録することになります。


②仕入先元帳

買掛金元帳」とも呼ばれ、仕入先別に分けて取引を記載する帳簿です。仕入で発生した買掛金についても、この帳簿に記録されます。


③現金出納帳

現金で行った取引について、収支を正確に記載するための帳簿です。ご家庭における「家計簿」のようなものと考えると良いでしょう。


④預金出納帳

こちらは、銀行口座で行った取引に関する収支を記載する帳簿です。主に、預金残高の管理に用いられます。


このほか、補助簿には固定資産の管理に用いる「固定資産台帳」、経費の記録を行うための「経費帳」などがあります。補助簿は必須の書類ではありませんが、ミスなく決算を行うには最低限でも「得意先元帳」「仕入先元帳」の2点は作成しておきましょう。



■会計帳簿の保存期間は?保存が必要な経理書類は?



Kārlis Dambrāns


会計帳簿は、決算が終わった後も「会社法」「法人税法」の、2つの法律で決められた一定の期間は保存しておかなければなりません。しかし、書類によって保存期間が異なりますから注意しましょう。

決算書や仕訳帳、総勘定元帳などは10年の保存期間が定められていますし、預金通帳や棚卸表などは保存期間が7年となっています。会社法と法人税法の両方がかかわってくる帳簿や書類もありますが、その場合基本的には「長いほう」の保存期間が適用されると考えると良いでしょう。

それでは以下の表で、会計帳簿ごとに保存期間が何年となるかについて見ていきます。


保存期間が7年のもの

保存期間が10年のもの

・契約書

・請求書

・納品書

・貸借対照表

・損益計算書

・通帳

・領収書

・棚卸表

・現金出納帳

・総勘定元帳

・売掛金元帳

・買掛金元帳

・売上帳

・仕入帳



基本的には「会社法で規定されている書類は保存期間10年、法人税法で規定されている書類は保存期間7年」となっています。会社法と法人税法の両方に関わる帳簿や書類の場合は、「長いほう=保存期間は10年になる」と考えるとわかりやすいはずです。


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■会計帳簿を破棄してしまった!罰則はある?



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「会計帳簿は、創業時からすべての年度分について保管している」という企業様も多いことでしょう。しかし、手違いで破棄してはいけない帳簿を捨ててしまったり、事故や不測の事態に巻き込まれたことで帳簿を紛失してしまったりする可能性も、決してゼロではありません。

ここでは、会計帳簿を破棄・紛失してしまった場合の対処法についてご紹介します。


【保存期間違反の罰則の有無について】


比較的新しいニュースとして、ある鉄道会社が社内規定の誤りによって、販売した回数券や定期券などの領収書の控えを1年で破棄してしまっていたため、国税当局から指導が入ったという件がありました。

先に述べた通り、領収書の控えは法人税法に基づいて7年間は保管しなければなりません。このケースではそれに違反したことになりますが、違反があった場合の罰則規定は特に設けられていないため、具体的な罰則はありませんでした


【罰則がなくても、違反すると大きなデメリットが!】


「罰則がないのなら、必ずしも保管義務にしたがう必要はないのか」と思ってしまうことは早計です。違反が明るみに出たことでペナルティがなかったとしても、書類が失われてしまうと経営上大きなデメリットを覚悟しなければなりません。


○消費税に関するデメリット


事業主は売上で発生した消費税額から、仕入で支払った消費税額を差し引いて税務署へ納付しています。その際の「仕入で支払った消費税額」は、それに関わる帳簿や書類が揃っていなければ控除を認めてもらえません

つまり、仕入時に支払った消費税を差し引いてもらえなくなりますから、売上で預かった消費税の全額を納付することになってしまいます。


○青色申告に関するデメリット


青色申告を行っている事業主の方は、帳簿や書類が揃っていなければ青色申告を取り消されてしまう場合があります。青色申告の要件そのものに「帳簿書類の保管」があるからです。

青色申告が取り消されると、当然ですが青色申告者が受けられる特例の対象外となってしまいます。その中でも「青色欠損金の繰越控除」が認めてもらえなくなる点は、大きなデメリットになってしまうでしょう。


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■会計帳簿の正しい保管方法をチェック!


会計帳簿は法規に則って保存期間を守ることはもちろんですが、可能であればすべての帳票類を破棄することなく長期にわたり保管しておきたいものです。しかし、紙の状態でたくさんの書類を取っておくのは大変…と多くの方が思っているはずです。

ここでは、会計帳簿の適切な保管方法についてご紹介します。


【保管方法その1】原則として紙保管!


税法上、帳簿や書類は原本での保管が必要となります。多少面倒ですが、紙の状態で保存しておかなければなりません。

「紙のスキャンデータやDVDなどへ記録したデータでの保管はできないの?」と考えてしまいますが、現状のところ最も安心なのは紙の原本による保管でしょう。ただし、税務署に届け出をすればデータによる保管が可能になる書類もありますから、保管方法にお悩みであれば次にご紹介する保管方法も検討してみてください。


【保管方法その2】電磁的記録(CDやDVD、クラウドサーバーなど)の形で書類を保管する


最近では税務署がインターネット経由での確定申告を推奨していますから、その流れで実は電磁的記録による帳簿類の保管も認められています。ただし、その場合はただ保管しておけば良いというのではなく、電磁的記録による保存を開始する3か月前までに管轄の税務署へ申請書を提出し、承認を受けることが必要となります。


【保管方法その3】スキャンデータによる保存は可能?


紙の書類をスキャンしたデータで保存することも可能です。この場合も、保存を開始する3か月前までに税務署へ申請書を提出し、承認を受けなければなりません。

また、注意したいのは「書類」のスキャンデータ保存は可能であっても「帳簿」は原本保管となるため、従来通り紙の状態で別途保管しておかなければならない点です。紙とデータの状態でそれぞれ保管することになり混乱も招きやすくなりますから、どちらかといえば電磁的記録による保存を選択するケースの方が多いのが現状です。


■手書きで作成する際の注意点まとめ!ソフトを使ったほうが便利?


帳簿や書類をすべて手書きで作成しているという方は、今ではかなり少数になったかもしれません。しかし、「経営状況を逐一把握したい」「個人事業主なのでお金の流れをきちんとチェックしておきたい」などの理由で、手書きでの書類作成にチャレンジしたいという方もいるでしょう。

そこで次からは、帳簿・書類を手書きで作成する場合の注意点についてご紹介します。


【注意点その1】記入項目がとにかく多い!時間と手間を割く覚悟を


なんといっても手書きで会計帳簿を作る際に驚くのが、記入項目の多さです。計算ミスをしないことはもちろんですが、記入項目漏れを作らないという点にも細心の注意を払わなければなりません。

そのため、会計帳簿の作成ではある程度時間がかかることを想定して、余裕を持って取りかかるようにしましょう。


【注意点その2】同じ取引なのに、帳簿を2つに分けて書く必要も


手書きで帳簿を作成していると、1つの取引内容を2つの帳簿に記入しなければならないことがあります。売上金をすぐに預からず、後日回収する「売掛」で計上された売上を記入する場合は、「売上帳」と「売掛帳」に同じ取引内容を書くことになります。

これを行わないと、売掛金を回収したときに記入漏れが発生しがちです。また後日、売掛金を現金で回収したら「現金出納帳」と「売掛帳」の2つに取引内容を記入しなければなりません。


【注意点その3】会計ソフトはメリットばかりではない


手書きで会計帳簿を作成することは意外に手間と時間がかかり、簿記などの知識・技能を習得していない限りはなかなかハードルが高い作業であることがわかりました。そこで活用したいのが、市販のインストールディスクやクラウドサービスなどで手軽に利用できる「会計ソフト」です。

会計ソフトを利用すれば、設定された各項目にしたがって数値を入力するだけで正確に計算を行ってくれますから、記入ミスも減らせます。また、決算時にもそれまでの記録を基に短時間で決算書類を作成できるなど、多くのメリットがあります。

しかし、帳簿や書類の作成を会計ソフト頼みにしてしまうことで、デメリットもあります。まず、さまざまな計算処理が自動化されますから、ご自分で書き込んで作成する場合と比較して、経営状況などを逐一把握することが難しくなる点です。さらに、勘定項目によっては、課税と非課税の取引が混在するケースもあります。具体的なものとしては、接待交際費などが挙げられるでしょう。

これらの項目は会計ソフトの自動判断にお任せできない場合もあり、それらは入力する方の判断が必要になります。


■まとめ


いかがでしたでしょうか?

会計帳簿は経営に関わる書類の中ではまだデジタル化の途上にある状況ですが、さまざまな手段で合理化や精度アップを図ることができます。初めはしばらく時間と手間をかけて手書きの書類を作ってみて、ある程度金銭の流れを理解できたら会計ソフトへ移行して合理化する手順を踏むこともおすすめです。


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