【保存版】営業外費用とは?特別損失との違いや雑損失など15個の勘定科目の具体例も紹介!
登録日:2019.8.4 | 最終更新日:2019.9.30
企業の会計上で、営業外費用が発生することがあります。しかし、営業外費用に含まれるものや、営業外費用が多いとどうなるかは、意外と知られていません。
そこで本記事では、営業外費用について、わかりやすくまとめました。
- 営業外費用とは何?
- 営業外費用に含まれるのはどんな費用?
- 営業外費用と特別損失の違いは何?
- 営業外費用が多いと融資審査や与信判断はどうなる?
この記事を読むと、これらを簡単に理解できます。ぜひご覧ください。
営業外費用とは『本業以外による経常的な費用』
営業外費用は、損益計算書の区分の1つです。
企業等の本業以外で発生した、経常的な費用が営業外費用に分類されます。たとえば、財務活動による費用です。
上記の「本業」とは、その企業の主たる営業活動を指します。また「経常的な費用」とは、突発的ではなく、毎年のように発生する費用のことです。
具体的には、支払利息などが、営業外費用に該当します。他の勘定科目についても、本記事内に記載していますので、ご参照ください。
また、損益計算書については、以下のページで詳しく解説しています。
関連記事:貸借対照表と損益計算書の関係!見方やカンタンな作成方法を紹介!
営業外費用と特別損失の違いとは?意味や具体例をわかりやすく解説!
営業外費用と特別損失の違いは『経常的 or 突発的』
営業外費用と似ているものに、「特別損失」があります。特別損失とは、めったに発生しない費用のことです。たとえば、火災による損害や、株式売買による損失などが、該当します。
下記は、営業外費用と特別損失の比較表です。どちらも本業以外の費用という点は同じですが、次のような違いがあります。
営業外費用 | 特別損失 | |
---|---|---|
発生頻度 | 経常的(毎年のように発生) | 突発的(めったに発生しない) |
本業・売上との関連 | ・本業の営業活動以外で発生 ・売上と直結しない | ・本業の営業活動以外で発生 ・売上と直結しない |
損益計算書の区分 | 経常損益の部 | 純損益の部 |
営業外費用と特別損失の違いは、費用の発生が、経常的か突発的かということです。また、損益計算書上の区分も異なります。
特別損失の7個の勘定科目を紹介!
営業外費用との違いをわかりやすくするため、具体的な勘定科目を紹介いたします。特別損失に含まれるものは、次のとおりです。
<特別損失の具体例> | |
---|---|
勘定科目 | 内容 |
1.固定資産売却損 | 固定資産(建物・土地・車両等)を売却した際の売却損(売却価格と原価の差額) |
2.固定資産除去損 | 固定資産の解体等をした時の損失(解体費用等) |
3.固定資産廃棄損 | 評価額がない固定資産を廃棄等した場合の損失(区別せずに固定資産除去損とするのも可) |
4.固定資産圧縮損 | 国の補助金等を用いた固定資産購入時に補助金に税金をかけないための勘定科目 |
5.投資有価証券売却損 | 売買以外の目的の有価証券を売却した際の損失 |
6.関係会社株式売却損 | 関係会社の株式売却時に生じた損失(売却価格と帳簿価格の差額) |
7.火災損失 | 火災による建物や棚卸資産の損失 |
以上が、特別損失の一例です。営業外費用の勘定科目は、次の項目で記載していきます。
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営業外費用となる勘定科目の具体例15個
営業外費用に含まれる勘定科目には、下記の15個があります。
<営業外費用となる勘定科目の具体例15個>
- 支払利息
- 売上割引
- 支払手数料
- 手形売却損
- 電子記録債権売却損
- 債権売却損
- 為替差損
- 貸倒損失
- 貸倒引当金繰入
- 有価証券売却損
- 有価証券評価損
- 創立費
- 開業費
- 株式交付費
- その他:雑損・雑損失
財務諸表等規則では、営業外費用について、次のように定められています。
(財務諸表等規則第93条より引用)
営業外費用に属する費用は、支払利息、社債利息、社債発行費償却、創立費償却、開業費償却、貸倒引当金繰入額又は貸倒損失(中略)、有価証券売却損、売上割引その他の項目の区分に従い、当該費用を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。
それぞれの勘定科目について、以下で説明していきますね。
【営業外費用の勘定科目1】支払利息
支払利息とは、銀行等からの借入金に対して払う利息のことです。
【営業外費用の勘定科目2】売上割引
売上割引とは、売掛金の早期回収により、販売側が割り引いた金額を指します。
【営業外費用の勘定科目3】支払手数料
支払手数料とは、支払った手数料や報酬を処理する勘定科目です。具体的には、以下のような費用が支払手数料に含まれます。
<支払手数料の具体例>
- 銀行振込手数料
- 為替手数料
- 税理士・弁護士等へ支払った報酬
【営業外費用の勘定科目4】手形売却損
手形売却損とは、手形割引を行った際に、手形額面から差し引かれる金額を指します。手形の期日より早く現金化した場合の、手数料のことです。
【営業外費用の勘定科目5】電子記録債権売却損
電子記録債権売却損とは、電子記録債権を譲渡(売却)した場合に、差し引かれた差額のことを言います。電子記録債権を手形に例えると、電子記録債権売却損は手形売却損のようなものです。
【営業外費用の勘定科目6】債権売却損
債権売却損とは、債権を譲渡(売却)した場合に、差し引かれた差額のことです。
【営業外費用の勘定科目7】為替差損
為替差損とは、外貨建ての債権債務を円換算した場合に、為替レート(外国為替相場)によって生じた損失を指します。
【営業外費用の勘定科目8】貸倒損失
貸倒損失とは、取引先の倒産などにより、当期中に売掛金等の債権を回収できなくなった場合に、その損失を処理する勘定科目です。
【営業外費用の勘定科目9】貸倒引当金繰入
貸倒引当金繰入とは、貸倒引当金を増やした(繰入した)場合に、その増やした金額を処理するための勘定科目です。
【営業外費用の勘定科目10】有価証券売却損
有価証券売却損とは、売買目的の有価証券の売却による損失を指します。
前述の特別損失に分類される「投資有価証券売却損」との違いは、次のとおりです。
勘定科目 | 区分 | 内容 |
---|---|---|
有価証券売却損 | 営業外費用 | 売買目的の有価証券の売却損 |
投資有価証券売却損 | 特別損失 | 売買以外の目的の有価証券の売却損 |
具体的には、以下のような有価証券の売却損が、有価証券売却損となります。
<有価証券売却損に分類される有価証券の具体例>
- 株券
- 社債券
- 国債証券
- 地方債証券
【営業外費用の勘定科目11】有価証券評価損
有価証券評価損とは、保有する有価証券の計上額を、時価へ修正した際の損失です。取得時の原価よりも時価が下がっている場合、その差額が有価証券評価損となります。
【営業外費用の勘定科目12】創立費
創立費は、会社設立までにかかった準備費用のことです。具体的には、次のような費用が、創立費に分類されます。
<創立費の具体例>
- 設立登記の費用(登録免許税)
- 定款の認証費用
- 株主募集の広告費用
- 金融機関等の取扱手数料
- 設立の事務に関する給与
- 発起人の報酬
※いずれも会社設立前の費用のみ、創立費に該当。
【営業外費用の勘定科目13】開業費
開業費とは、会社設立から営業開始までにかかった、準備費用を指します。前述の創立費との違いは、以下のとおりです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
開業費 | 会社設立後から営業開始までの費用 |
創立費 | 会社設立前までの費用 |
具体的には、下記のような費用が開業費に該当します。
<開業費の具体例>
- 広告宣伝費
- 名刺作成料金
- 備品等の購入費用
- 開業準備に関わる移動交通費
※いずれも、設立後から営業開始前の費用のみ、開業費に該当。
【営業外費用の勘定科目14】株式交付費
株式交付費とは、株式の発行・交付のためにかかった費用を指します。
【営業外費用の勘定科目15】雑損・雑損失
雑損失(雑損)は、営業外費用のうち、他の勘定科目には該当しないものを言います。独立した勘定科目にするほど、発生頻度や重要性の高くない費用です。
たとえば、次のような費用が雑損失に分類されます。
<雑損失(雑損)の具体例>
- 現金過不足
- 罰金・反則金
- 損害賠償金
- 盗難の損失
営業外費用と間違われやすい勘定科目の具体例
営業外費用と間違われやすいものに「のれん償却額」があります。
<営業外費用に含まれないもの>
- のれん償却額(=販売費及び一般管理費)
のれん償却額は、営業外費用ではなく、販売費及び一般管理費に含まれます。「負ののれん償却額」が営業外収益のため、誤りやすいので、注意しましょう。
なお、のれん償却について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
関連記事:【保存版】のれん償却とは?計算式・仕訳方法を具体例付きでわかりやすく解説!M&Aに役立つ3つのポイントも!
営業外費用が多いと『与信判断・融資審査上で不利』
営業外費用が多いと経常利益が少なくなる
営業外費用が多い場合に気をつけたいのが、銀行融資等の審査です。一般的には、営業外費用が多いと、審査上、マイナスにはたらきます。理由は、営業外費用が多いと、経常利益が少なくなるからです。
経常利益は、次の式で求められます。
<経常利益の計算式>
・経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
金融機関が、融資の審査において重視しているのは、営業利益と経常利益です。そのため、営業外費用が多いと、借入審査や与信判断上で不利となります。
営業外費用を減らす対策は仕訳の見直し
経常利益を改善する方法は、営業外費用を減らすことです。他の費用へ振替できるものがないか、再度仕訳を見直してみましょう。
たとえば、特別損失などです。特別損失は、前述のとおり、固定資産の売却や災害等による突発的な損失を指します。
営業外費用として処理している中に、特別損失に計上可能なものがあれば、振替を行いましょう。
ただし、与信や融資審査のためには、経費全体の見直しや、徹底した予算管理が必要な場合もあります。以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:【保存版】予算管理とは?手順や効率化する5つのポイントをわかりやすく解説!
関連記事:予実管理とは?簡単な成功ポイントと5つの手順!失敗する原因もわかりやすく解説!


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