【徹底解説】会計監査とは?行う時期と監査種類は?9つの項目チェックリストや法的義務・罰則などをわかりやすく紹介!

登録日:2019.7.2  |  最終更新日:2019.9.30


会社の経営や経理をしていると、会計監査を受けることもあります。しかし、これから起業する場合や開業直後の時は、会計監査とは何なのか、全くわからない場合も多いですよね。

そこで本記事では、会計監査について、わかりやすくまとめました。

  • 会計監査とは何?
  • 会計監査では、いつ、どんなことをする
  • 会計監査を受ける義務がある会社は?
  • 会計監査を受けない場合、罰則はある
  • 会計監査項目のチェックリストが欲しい!

この記事を読むと、これらを簡単に解決できます。会計監査にお困りの方は、ぜひご覧ください。


会計監査とは何?初心者にもわかりやすく解説!


監査とは『法的な適正性のチェック』

監査とは、各種法令や規則と照らし合わせ、適正かどうかを確認することを言います。よく混同されがちですが「監査=会計監査」ではありません。

下記のように、監査する対象によって、名称が異なります。

<監査の具体例>

  • 会計監査
  • システム監査
  • IT監査
  • 品質監査
  • 内部統制監査

上記のように、会計監査は、監査の中の1つです。

なお、会計監査とシステム監査・IT監査との違いを知りたい方は、以下のページをご覧ください。
関連記事:システム監査とは?3つの評価基準や5つの流れをわかりやすく解説!IT監査との違いも説明!

会計監査とは『決算書・財務諸表の監査』

会計監査とは、企業等が作成した決算書・財務諸表を監査することです。

金融商品取引法や会社法などの各種法令に基づいて、適切な会計処理がされているかをチェックし、意見書や報告書を提出します。企業等で、会計監査を担当する法人や個人を、会計監査人と呼びます。

以下は、金融商品取引法の内容です。会計監査を受ける義務について、次のように定められています。

(金融商品取引法第193条の2 第1項より引用)
金融商品取引所に上場されている有価証券の発行会社(中略)が、この法律の規定により提出する貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類(中略)には、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。

引用元:平成30年法律第95号 金融商品取引法|e-Gov 電子政府の総合窓口

また、会社法第436条においても、会計監査義務付けの記載があります。これについては、本記事内で詳しく解説していますので、ご参照くださいね。

なお、決算書・財務諸表について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
関連記事:【誰でも簡単】決算報告書とは?書き方・作り方の3つのポイント!起業家が知っておきたい役割や開示義務も解説!

会計監査とはなぜ必要?目的は『利害関係者の保護』

会計監査を行う理由は、決算書・財務諸表の信頼性を確保するためです。信頼性の確保によって、以下のものを維持することが、会計監査の目的となります。

<会計監査の目的・必要性>

  • 投資家・債権者等の利害関係者の保護
  • 企業・組織等の適正な事業活動の継続
  • 国民経済の健全な発展

銀行・債権者・投資家等は、企業の財務状況を見て、取引や投資を決定します。しかし、企業が作成した決算書には、粉飾決算が行われている可能性や、誤りがある場合もあります。投資家や債権者は、それを調査できません。

そのため、独立した第三者が決算書等を精査します。会計監査人が、決算書類の適正性を証明することにより、安心して取引を行えるのです。

上記の「独立した第三者」とは、次のような状態を言います。

<独立した第三者の条件>

  • 監査先企業の会計記録に携わっていない
  • 監査対象の組織等と利害関係がない
  • 客観的で公正な視点で監査できる

第三者が会計監査をすることにより、会社等は信頼を得て、事業活動の継続をできるのです。また、金融機関や投資家が活動できる市場を維持することで、国内経済の発展にも寄与します。

なお、粉飾決算については、以下のページで解説していますので、合わせてご覧ください。
関連記事:粉飾決算とは?知らないと騙される!よくある3つの手口と見抜き方7選!基礎からわかりやすく解説!

会計監査の種類とは?『外部・内部・法定・任意監査』を一覧表で紹介!


会計監査には、外部監査や内部監査・法定監査など、様々な種類があります。以下は、会計監査の種類の一覧表です。

<会計監査の種類の一覧表>
外部監査会計監査人監査
(監査法人監査)
(公認会計士監査)
法定監査会社法による監査
金融商品取引法による監査
任意監査
(法定監査以外)
内部監査・監査役監査
・監査委員による監査

本記事では、主に会社法による会計監査について解説していきます。

会計監査を行う人とは誰?会計監査人の決め方・資格について解説!


会計監査人とは『公認会計士・監査法人』

企業の会計監査を担当する個人や法人を「会計監査人」と呼びます。会計監査人になるには、下記のどちらかに該当する必要があります。

<会計監査人となれる条件(いずれか)>

  • 公認会計士(個人・国家資格)
  • 監査法人(法人)

公認会計士とは、会計の専門知識を要する国家資格のことです。また、公認会計士が5人以上集まり、会計監査のために設立した法人を、監査法人と言います。

なお、監査法人や公認会計士について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
関連記事:【保存版】監査法人とは?3つの業務内容や役割・目的・設立方法をわかりやすく解説!

会計監査人の選任・任期とは『株主総会決議により1年』

会計監査人は、株主総会の決議で選任・解任され、任期は1年です。ただし、解任等をされなければ、再任となります。下記は、会社法の記載内容です。

(会社法第329条1項より「会計監査人の選任」について引用)
役員(中略)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。

(会社法第339条1項より「会計監査人の解任」について引用)
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

(会社法第338条1項より「会計監査人の任期」について引用)
会計監査人の任期は、選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

(会社法第338条2項より「会計監査人の再任」について引用)
会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。

引用元:平成30年法律第95号 会社法|e-Gov 電子政府の総合窓口

会計監査の具体的な内容とは?項目9選のチェックリストを紹介!


会計監査では、具体的に下記項目の確認が行われます。以下の表はチェックリストとしても活用可能です。

<会計監査項目のチェックリスト>
チェック確認項目
 1.経理処理・帳簿・システムの状態
 2.伝票
 3.損益計算書・貸借対照表の内容
 4.勘定科目
 5.固定資産の計上・除却
 6.引当金
 7.売掛金・買掛金の残高
 8.現金預金・借入金残高
 9.実地棚卸

会計監査を受ける必要とは?会社法の法的義務と罰則を徹底解説!


会計監査は、すべての会社が受けるわけではありません。法律上で、会計監査を受ける義務があるのは、次の3つの会社です。

<会計監査を受ける義務のある会社>

  1. 大会社
  2. 委員会設置会社
  3. 会計監査人を任意で設置した株式会社

義務についての法的根拠と、受けない場合の罰則を、以下で解説していきますね。

なお、義務がなくても、会計監査は任意で受けられます。資金不足で監査の依頼ができない場合は、Founderへ無料登録して、投資を募るのも方法の1つです。

会計監査の義務がある企業とは『会計監査人設置会社』

会計監査を受ける義務があるのは「会計監査人を設置した会社」です。

会社法第436条により、下記のように義務付けられています。

(会社法第436条2項1号より引用)
会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
第1号 前条第2項の計算書類及びその附属明細書:監査役(中略)及び会計監査人

引用元:平成30年法律第95号 会社法|e-Gov 電子政府の総合窓口

会計監査人(監査法人・公認会計士)については、以下のページで詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
関連記事:【保存版】監査法人とは?3つの業務内容や役割・目的・設立方法をわかりやすく解説!

会計監査人設置会社とは『大会社・委員会設置会社・任意設置会社』の3つ

会社法により、下記3つの会社には、会計監査人の設置義務(または任意設置)が定められています。つまり、会計監査を受ける義務があるのも、次の3つです。

<会計監査人の設置会社>
(=会計監査を受ける義務のある会社)

  1. 大会社(会社法第328条)
  2. 委員会設置会社(会社法第327条)
  3. 会計監査人を任意設置した株式会社(会社法第326条)

【会計監査の義務がある会社1】大会社

会社法上の大会社には、会計監査人を設置する義務があります。大会社とは、「資本金が5億円以上」または「負債合計額が200億円以上」の株式会社のことです。

会社法には、次のように記載されています。

(会社法第2条第6号より「大会社の定義」について引用)
大会社:次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(中略)に資本金として計上した額が5億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上であること。

(会社法第328条1項・2項より「会計監査人の設置義務」について引用)
第1項 大会社(中略)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。
第2項 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。

引用元:平成30年法律第95号 会社法|e-Gov 電子政府の総合窓口

【会計監査の義務がある会社2】委員会設置会社

下記2つの委員会設置会社には、会計監査人を置かなければなりません。

<会計監査人が必要な委員会設置会社(いずれか1つ)>

  • 監査等委員会設置会社
  • 指名委員会等設置会社

会社法では、下記のように定められています。

(会社法第327条5項より引用)
監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。

引用元:平成30年法律第95号 会社法|e-Gov 電子政府の総合窓口

【会計監査の義務がある会社3】会計監査人を任意設置した会社

株式会社は、定款に定めることで、会計監査人を設置可能です。設置は任意ですが、会計監査人を設けることにより、監査を受ける義務が生じます。

以下は、会社法の記載内容です。

(会社法第326条2項より引用)
株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。

引用元:平成30年法律第95号 会社法|e-Gov 電子政府の総合窓口

会計監査を受けない場合の罰則とは『100万円以下の過料』

前述のとおり、大会社と委員会設置会社には、会計監査人の設置義務があります。義務のある会社が、会計監査人を選任しない(=会計監査を受けない)場合の罰則は、100万円以下の過料です。

会社法では、次のように記載されています。

(会社法第976条第22号より引用)
第976条 発起人(中略)、会計監査人(中略)は、次のいずれかに該当する場合には、100万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

第22号 取締役(中略)又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任(中略)の手続をすることを怠ったとき。

引用元:平成30年法律第95号 会社法|e-Gov 電子政府の総合窓口

会計監査を行う時期や流れとは?4つのステップを紹介!


会計監査の流れは、下記4つのステップで進んでいきます。

<会計監査の流れ・4つのステップ>

  1. 予備調査(ショートレビュー)
  2. 監査計画の立案
  3. 四半期レビューおよび年度末監査
  4. 監査報告書の提出・監査意見の表明

それぞれの項目について、以下で説明いたします。

【会計監査の流れ・ステップ1】予備調査(ショートレビュー)とは

予備調査(ショートレビュー)とは、企業と会計監査人が契約を結ぶ前の調査です。次のような内容を簡易的にチェックされます。

<予備調査のチェック内容>

  • 決算書
  • 事業内容
  • 株主構成
  • 組織体制

【会計監査の流れ・ステップ2】監査計画の立案とは

監査契約の締結後、監査計画を立案します。立案内容は、以下のような項目です。

<監査計画の立案内容>

  • 監査チームの編成
  • 重要項目の検討
  • 往査範囲の計画
  • 往査時期の計画

【会計監査の流れ・ステップ3】四半期および年度末監査の時期とは

四半期レビューとは、金融商品取引法上の四半期報告書のチェックのことです。四半期および年度末監査では、前述のチェック項目の確認以外に、以下のようなことを行います。

<帳簿チェック以外の監査内容>

  • 各種契約書の確認
  • 経営者・監査役と面談

下記は、四半期レビュー・年度末監査を行う時期です(3月末決算の場合)。

<会計監査を行う時期(3月末決算の企業の例)>
内容時期
決算日3月末
年度末監査4~5月
四半期レビュー7月・10月・1月

3月決算の会社が多いため、会計監査は上記の時期に集中します。

【会計監査の流れ・ステップ4】監査報告書の提出・監査意見の表明とは

監査後に行うのが、監査報告書の作成と、監査意見の表明です。監査意見には、以下の4種類があります。

<監査意見の4つの種類>

  1. 無限定適正意見
  2. 限定付適正意見
  3. 不適正意見
  4. 意見不表明

企業会計監査と行政機関監査の違いとは『監査目的』

会計監査は、企業だけではなく、行政機関に対しても行われます。国に対する監査は「会計検査」と呼び、地方公共団体に対する監査は「会計監査」と言うのが一般的です。

企業監査と行政機関監査には、以下のような違いがあります。

<企業監査と行政機関監査の違い>
 企業監査行政機関監査
監査をする人・監査法人
・公認会計士
会計検査院(監査対象:国)
・監査委員(監査対象:地方公共団体)
監査目的・会計処理の適正性の監査違法性の監査
・不正・不合理性の監査
・使途と予算目的との合致性の監査

企業監査は、利害関係者等のための適正性監査であるのに対し、行政機関監査は、違法性の監査を目的としているのが、大きな違いです。

 

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