会社の資本金とは?増資の方法とメリット・デメリット完全ガイド
公開日:2017.11.1 | 最終更新日:2020.3.12

企業活動を続けていると、財務を健全化する目的で増資を検討する機会もあるでしょう。しかし、増資によって増やそうとしている、「資本金」という言葉の正確な意味を理解しているでしょうか?
投資家や株主から資金を集める以上、経営者として言葉の意味は正確に理解しておかなければなりません。間違って理解していると、投資家・株主からの信用を失ってしまう恐れもあるので注意が必要です。
そこで今回は、25年にわたって中小企業の増資手続きに携わってきた税理士が、資本金の意味と増資の具体的な方法をわかりやすく解説していきます。この記事を読めば、資本金・増資について100%理解を深められます。
■そもそも会社・個人事業主の資本金とは?
資本金は、会社の事業をスタートする時点で準備する資金を指します。場合によっては、「自己資本」と呼ばれることもあります。
金融機関からの融資で資金を準備することもできますが、融資は定められた期日までに利息をつけて返さなければならない「負債」です。これは自己資本には該当しないので、一般的には融資のみで資金を調達するべきではありません。会社全体の資金に占める自己資本比率が高いほど資金繰りが安定しやすく、財務が健全であると言えます。
健全な事業活動には、一定の資金が欠かせません。人件費や製造原価はもちろん、印刷に必要なインクや紙など細かなものも含めて、事業にはお金がかかります。これらは運転資金と呼ばれますが、不動産や機械などが必要になる場合は、設備資金と呼ばれるまとまったお金も必要です。
そのため会社法では、会社を設立する際に事業資金として資本金を設定するよう定められています。会社とは、事業活動を通してこの資本金を増やすための器だと考えるとよいでしょう。
○資本金と別に用意される会社の『資本準備金』とは
資本金とは別に「資本準備金」という仕組みが存在します。
資本金として株主から払い込まれたお金を、2分の1を超えない範囲で計上せずに、資本準備金として計上できるのです。
資本準備金は、会社の経営が悪化した時などに切り崩すことで、会社の経営を維持できます。
資本金が使えないような場面に備えて、資本準備金を用意しておくとよいでしょう。
資本準備金についてはこちらで詳しく解説しています。
【保存版】資本準備金3つのメリット!資本金と資本剰余金の違いとは?
○1円で株式会社の新規設立が可能に
以前は資本金として、有限会社は最低300万円、株式会社は最低1,000万円を準備するよう定められていました。しかし2006年の会社法改正によって、資本金が最低1円から設定可能となりました。
現在では新たな有限会社の設立ができなくなっています。ただ、それまでハードルの高かった株式会社の設立が、この改正によってぐっと身近なものになりました。
■会社の資本金はいくらに設定するべき?中小企業の平均は300万円〜500万円
現在の法律では資本金1円から会社設立が可能です。しかし、1円という資本金で本当に健全な事業運営ができるでしょうか?
現実的に考えて、1円では何もできません。せっかく設立した会社がすぐに行き詰まらないよう、事業内容に見合った資本金を準備して経営に乗り出しましょう。
中小企業の創業時における資本金平均額は、300万円前後といわれています。適切な資本金を決めるためのポイントとして、次の5つが挙げられます。
【資本金を決めるポイントその1】会社の事業が軌道に乗るまでの運転資金がまかなえるか?
資本金として準備すべきものは、開業資金に加え、利益が確保できるようになるまでの運転資金です。開業時には登記が必要です。登録免許税や定款の認証、実印の準備などで株式会社の場合は最低でも約25万円、合同会社の場合は約10万円かかります。
手続きを司法書士に依頼すれば司法書士報酬がかかりますが、電子定款による認証では印紙税がかかりません。そのため、費用面では逆にお得になることもあります。また、のちに税理士や会計士の顧問契約を締結することを条件に、無料で設立手続きを代行してくれる業者もあるのでいろいろと検討してみましょう。もちろん実際の開業時には、それら以上にオフィスや店舗の賃貸・改装資金、各種備品の購入費、広告宣伝費などがかかります。
事業内容にもよりますが、軌道に乗るまで利益の確保が難しいケースも。その間も、人件費や水道光熱費、家賃などはかかり続けます。そこで運転資金が底をつくと、焦って長期的視野に立った経営戦略を立てられなくなりがちです。
設立から3か月~半年程度は利益がまったくでない状態でも、事業が継続できる程度の金額を準備しましょう。
【資本金を決めるポイントその2】会社の取引先からの信頼が得られるか?
設立直後は「発注数量をきちんと納期までに納品できるか」「売った商品の代金を期日までに支払ってくれるか」という点を不安に思われることも。そこで、多くの企業では新規の取引先に対して、資本金を含む信用力のチェックを行います。
資本金額が小さすぎると相手にしてもらえなくなる可能性があるので、不安に思われないだけの金額は用意しておきましょう。
【資本金を決めるポイントその3】金融機関からの融資審査をクリアできるか?
資本金だけでは足りない部分は、金融機関からの融資を受けるなどの方法でまかないます。ところが金融機関は資本金があまりに少ないと、返済能力に疑問があるとして融資してくれません。
たとえ審査に通過しても、融資額は資本金額を根拠に決定されます。資本金が少ないと、その2倍程度といった小さな金額しか借りられないこともあるので注意が必要です。
【資本金を決めるポイントその4】許認可に必要な資本金額をクリアしているか?
業種によっては、事業を手がけるために許認可を得なければなりません。許認可の審査基準に資本金が入っている場合は、スタートラインに立つために最低限その金額は用意する必要があります。
この金額は一般建設業で500万円、第一種旅行業では3,000万円、一般労働者派遣事業では2,000万円×事業所数など、業種によって大きく異なります。資本金によって事業内容を決めるというのは本末転倒なので、まずは希望する事業に必要な資本金額を把握しておきましょう。
【資本金を決めるポイントその5】資本金1000万円を超えると高くなる税金の負担
創立時の資本金が1,000万円未満の企業は、最大2年間にわたって消費税の納付が免除されます。法人税の均等割も、資本金1,000万円未満だと7万円ですが、資本金1,000万円以上の場合は18万円です。
つまり、設立時の資本金が1,000万円を超えるかどうかで税金の負担が大きく変わるということです。取引先との関係や融資との兼ね合いでどうしても1,000万円以上にしなければならない場合を除き、それ未満にしておいた方がお得といえるでしょう。
以上の5つのポイントから、事業内容に見合った資本金額を決めていきます。創業希望者に対して助成金や補助金を出す制度を利用したり、事業に賛同してくれる人から出資を募ったりするという方法もあります。
■資本金を会社設立後に増やすことはできる?増資するメリットとは?
資本金は「一度会社を設立したら変更不可能なもの」ではありません。新たに会社の持ち分を意味する株式を発行して資金を調達した場合、その資金を資本金に算入して事業に充当します。このように設立以降に株式を発行することを「増資」といいます。
事業を続けていると新たな設備投資や人材確保が必要になってくることも多いため、必要に応じて増資を行い、財務体質の健全化を図りましょう。融資は負債に充当されるため、そればかりで資金を準備していると自己資本比率が低下し、財務体質が悪化します。
設備投資などの前向きな理由ばかりでなく、自社株式を他社に大量保有されている場合など、買収リスクを低減するために増資に踏み切るケースもあります。
では、増資にはどのような方法があるのでしょうか?
【1】公募増資
証券取引所の市場を通じ、新株を発行して投資家に売却します。通常は既発の株価に比べ、数%から数十%安く売却されます。
【2】第三者割当増資
特定の企業や金融機関に向け、新株を発行する方法です。持分を所有してもらうこととなるため、業務提携時など、企業間の連携を強くする意味で行います。
【3】株主割当発行増資
既存の株主に対して新株を発行する方法です。やはり既発の株価よりも割安に発行されます。
ご紹介した3つの増資方法について、以下でさらに詳しく解説していきましょう。
■会社の資本金を増やす!増資を行うメリットを徹底
資本金は、状況に応じて増資が可能です。
では、増資を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
こちらでは、資本金を増やすメリットについて解説します。
○【資本金増資のメリット1】会社の信用力向上につながる
資本金を増資すると、信用力の向上につながります。
資本金が多い=返済不要の自己資金が多いということになるので、会社として資金力があることの現れとなるのです。
実際に企業の経営状態をチェックする指標として『自己資本比率』が存在します。これは総資本のうち、どれくらいが資本金などの自己資本で賄われているかという指数です。
信用力があがると、大きな企業との取引に成功したり、新たな融資を受けられたりと、メリットは大きいです。
増資による資本金強化は、信用力の向上に繋がると考えてください。
○【資本金増資のメリット2】株主が増える!更なる出資者集めにつながる
資本金を増資すると、更なる出資者集めにつながります。
上場企業の場合、資本金が多い会社=多くの株主から支持されている会社 となりますよね。人は集団と同じ行動をする真理を持っているので、人が多いところには、更に多くの人が集まります。
すると出資者がどんどん増えるので、会社もそれに合わせて戦略の幅が広がります。
更なる出資者集めにつながるという点は、増資のメリットと言えるでしょう。
○【資本金増資のメリット3】返済不要の資金が増えて会社が安定する
資本金を増資すると、返済不要の資金が増えます。
融資だと返済義務が生じますが、資本金に返済義務はありません。
返済しなくてもよいお金があると、企業の経営状態の安定化にもつながります。
経営が安定すると新しい事業にもチャレンジしやすくなるので、企業の力を強くするには増資はとても効果的です。
■会社の資本金を増やす!増資を行うデメリットを徹底解説
このように、資本金を増やすメリットはたくさんあります。
では、逆に、増資を行うデメリットはあるのでしょうか。
こちらでは、資本金を増やすデメリットについて解説します。
○【資本金増資のデメリット1】資本金を増やすと税金の負担も増える
増資を行うと、税金の負担が増えます。
税金の種類にもよりますが、資本金が多ければ多いほど負担が増えるものは多いです。
例えば資本金が1,000万円あると、第1期・第2期の消費税免除が無くなり、創業当初から消費税を支払う義務が生じてしまいます。
1億1円を超えると法人税率が増加するなど、他にも多くの税負担を強いられることとなるでしょう。
もちろん資本金を使って、税負担分より多くの利益を上げれば問題ありません。
ただし節税面においては、資本金の増資はデメリットと言えます。
○【資本金増資のデメリット2】会社増資の手続きに手数料などのコストがかかる
資本金の増資には手続きが必要で、その分コストがかかります。
登録費や、司法書士への報酬金などが主な費用です。
具体的には、以下のような手数料が発生します。
| 登録免許税 | 増資した金額×7 ÷ 1,000もしくは3万円のいずれか高いほう |
| 司法書士報酬 | 増資金額に応じて、約3万円~10万円 |
| 増資手続きに必要な書類などの費用 | 実費(数千円~数万円) |
このように多額の手数料が発生するので、ポンポンと増資を行うことはできません。
増資をする際は、うまくタイミングを見計らうようにしましょう。
○【資本金増資のデメリット3】配当金を支払う金額が増える
株式によって資本金を増資した場合、利益に対して株主に配当金を配らなければなりません。
返済不要の出資を受けているぶん、利益が出た時には還元する必要があるのです。
配当金の支払いには決算月の月末や、決算付きの半年後の月末(中間配当)などがあります。
資本金は返済不要とは言え、配当金の支払いが残ってしまう点がデメリットでしょう。
■資本金の増資方法4選!自社に合った選択で、企業の力をアップ
こちらでは、資本金を増資する方法を4つ紹介します。
自社に合う増資方法で、企業の力をアップさせましょう!
■【増資の方法その1】公募増資
新規に株式を発行し、一般の投資家を対象に広く株主を募集します。売出株価は時価を基準に定められますが、通常は既発の株価に比べて割安な価格が設定されます。未上場企業の場合、この方法は取れません。
| メリット | デメリット |
| ・一般投資家から資金を広く集められる
・自己資本比率が高まり、財務体質が改善できる ・市場における株式流通量が増え、株主が増える ・割安なので購入してもらいやすい | ・市場の流通量が増えるため、株式が値下がりする
・既存の株主は資産価値が低下する ・1株あたりの利益率が下がる |
公募増資による株式は既存の株式より割安なので投資家から購入されやすく、資金を集めやすいという特徴があります。資本金に対する自己資本の割合(自己資本比率)が高まるので、財務体質が改善できるという点もメリットです。株主の数が増えれば、特定の企業などに買収されるというリスクも抑えることが可能です。
ただし、市場に流通する株式の絶対量が増えるため、需給バランスがそれまでと異なってきます。公募直後における一定の値下がりは避けられません。
株主に対しては業績好調時に出資割合に応じて「配当金」という形で利益が配分されますが、1株あたりの利益率も株式の絶対数が増えることで希薄化します。
■【増資の方法その2】第三者割当増資
既存の株主に限らず、特定の第三者に対して新株を発行し、資金を調達する方法です。上場企業では一般的に新規株式を発行する場合は「公募増資」を行いますが、特定の企業や金融機関との関係性を強めたい場合、この方法をとることもあります。
未上場企業の場合、市場で株式を売却することができません。そのため、この第三者割当増資による増資を検討することとなります。
| メリット | デメリット |
| ・自己資本比率が高まり、財務体質が改善できる
・売却先を自社に有利な相手に限定できる ・株価をある程度自由に設定できる | ・1株あたりの株価や利益率が低下する
・既存株主の持ち株比率が低下する ・既存の株価より安く売却するとさらに既存株主の不利益となる ・買収手段として行う場合、所有株式を売却しないので創業者利益が享受できない |
公募増資と同じく自己資本比率が高まるので財務体質が改善できますし、売却先を指定できるので思わぬ買収を受けるリスクもありません。市場を介すわけではないため、株価もある程度自由に設定できます。
ただし、1株あたりの株価や利益率が低下する点は公募増資と同じです。株式の絶対数が増えるため、既存株主の持ち株比率も低下します。株価が自由とはいえ、既存の株式より安く売ると既存株主が納得しないかもしれません。
この方法は役員派遣をともなうM&Aによる買収手段としても行われます。この場合、運転資金が注入できる反面でオーナーの持つ株式を売却できません。
そのため、創業者利益が享受できないという問題も生じます。ただし買収の時点では株価が低下しているケースが多いので、買収後に事業が好転してから株式を売却したほうが有利になるといえます。
■【増資の方法その3】株主割当発行増資
既存の株主に対して、保有する株式数に応じた数の新規株式の取得権利を割り当てる増資を指します。新規株式を公募増資で発行すると、既存の株主の持ち株比率は低下することになります。しかし、所有比率に応じて新株を引き受ければ、持ち株比率が低下することはありません。
定款に株式の譲渡制限の定めがある企業では、一般的にこの方法で増資を行います。上場会社でこの方法による増資を行うためには、定款の定めもしくは取締役会の決議が必要です。定款に定めれば株主総会による決議も可能ですが、機動性が下がるので取締役会の決議事項としましょう。
通常は時価よりも割安な価格で売り出されます。株主が権利に応じて新株を引き受けてくれれば、その対価を増資にあてられます。既存株主を対象とした発行であっても持分割合と連動しない発行や、既存株主以外にも新株購入の権利を与える場合は、第三者割当増資にあたります。
| メリット | デメリット |
| ・自己資本比率が高まり、財務体質が改善できる
・割安なので引き受けてもらいやすく、資金調達の確実性が高い ・取得権利を行使すれば持ち株比率の低下が避けられる ・割安なので既存株主に対する株価低下の影響が小さい ・株主構成や持分割合が大きく変化しにくい | ・特定の株主だけに新株を割り当てることはできない
・すべての株主が増資に応じてくれるわけではない ・失権株が生じると、課税が発生する可能性がある |
発行した全取得権利が行使されれば所有割合が変わらないので、株式を割安に発行しても課税関係は発生しません。しかし、行使されなかった権利がある場合は、割安な取得となるので課税対象となることがあります。
そのため、株主の絶対数が少ない早期段階の企業で採用されやすい手法です。
■無償増資って何?有償増資との違いとは?
ここまで解説してきたものは、お金を出して株式を取得してもらう「有償増資」と呼ばれる方法です。それに対し、株主からお金を受け取らない「無償増資」という方法もあります。
無償増資では株主から払込金を受け取りません。「資本準備金」や「利益準備金」を資本金に組み入れ、「株式分割」という形で組み入れた額に対応する新株を発行します。資本準備金は、法律上欠損金の補てんと資本の組み入れにしか使用できません。それらを事業に有効活用できるよう資本構成を組み替えたり、株主に利益を還元したりする目的で行われます。
株式分割については株価を下げ、株式を取得しやすくするという効果があります。例えば1株100万円の株式を100株に分割し、1株あたりの株価を1万円にするといったものです。このため、資本金を増額せず株式分割だけを行うという方法もあります。
■まとめ|会社の資本金増資は事業規模に合った方法を選ぶことが大切
今回は資本金の概要や金額の目安、増資の種類やそれぞれのメリット・デメリットなどをご紹介しました。
事業規模に対して極端に資本金の額が小さいと、取引先からも金融機関からも信頼が得られません。会社の規模が徐々に拡大してきたら、適切な増資によって健全な資本構成を維持しましょう。
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