【保存版】資本準備金3つのメリット!資本金と資本剰余金の違いとは?
登録日:2019.5.31 | 最終更新日:2020.5.14
企業の決算書を見ていると「資本準備金」という項目があることに気づくと思います。
この資本準備金がどういったものなのか、あなたは正確に答えられますか?
「資本」と名のついた勘定項目は複数ありますよね。有名なものだと資本金がありますが、資本金と資本準備金では何が違うのでしょうか。
今回はそんな「資本準備金」について以下の点を解説しています。
- 資本準備金とは?
- 資本金や資本剰余金との違い
- 資本準備金を用意するメリット
- 資本準備金が融資に与える影響
資本準備金は特に難しいものではありません。サクッと理解できるようまとめさせていただいたので、是非参考にしてみてください。
資本準備金について、30秒でサクッと解説!
まずは資本準備金がどういったものなのか理解していきましょう。
資本金準備金には、主に以下3つの特徴があります。
- 資本準備金は資本金によってきまる
- 取り扱いが資本金よりも容易
- 法定準備金の1つ
それぞれ詳しくみていきますね。
資本準備金は資本金によってきまる
資本準備金は、会社法にて明確に定義されています。以下をご覧ください。
会社法445条
・払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
・資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
資本準備金は、取り扱いが資本金よりも容易
法定準備金って?資本準備金と利益準備金の違いとは?
株式会社であれば、株主に対して配当を支払う必要があります。しかし、配当を支払うには財務基盤がしっかりとしていなくてはいけません。利益準備金は財務基盤を整えるために積み立てられる資金のことです。
例えば、資本金が1000万であったら、その4分の1は250万。資本準備金+利益準備金=250万以上になるまで、積み立てを行なう必要があります。
資本準備金は、資本金との関係性でなく、利益準備金との関係性もあるんですね。
決算書をみてみると資本準備金のほかにも、似たような言葉があります。いったいどのような違いがあるのでしょうか?
資本金と資本剰余金とは?資本準備金との違いをわかりやすく解説
資本準備金と似た言葉に「資本金」と「資本剰余金」があります。3語とも資本ということばが入っており似ていますが、何が違うのでしょうか?それぞれ違いをみていきましょう。
資本準備金と資本金の違い
資本準備金との比較の前に、まずは会社法における資本金の定義をみていきすね。
会社法 445条1項
株式会社の資本金の額は、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
簡単にいうと、株式会社において資本金とは「株主から振り込まれたお金」です。もっというと、「株主から振り込まれた事業資金」です。
事業を行なうにはお金が必要ですよね。資本金は事業の運転資金とされるものです。元出ともいったりします。株式会社であれば、株式の発行とともに集められるお金が資本金です。資本金の額は定款に記載する必要があり、誰でも閲覧できるよう登記を行なう必要もあります。
事業を始めて、はじめから利益がでることはまずありません。そのため3~6ヶ月くらい利益がなくても大丈夫にしておくのが一般的。一般的に最大1000万にしておく企業が多いです。
資本金は会社の規模が測る際の参考とされます。資本金=会社の顔といってもよいでしょう。であれば、資本準備金はさしずめ裏方といったところでしょうか。
資本金についてはこちらで詳しく解説しています。
資本金とは?わかりやすく解説!増資の方法とメリット・デメリット完全ガイド
資本金と資本準備金の違いは、フットワーク。資本金の増減には厳格な手続きが必要になります。具体的には、資本金の取り扱いには株主総会で特別決議が必要です。
また、資本金を減らす方向で動かすと会社の信用に傷がつきます。そのため、資本準備金をつかった方が都合がよいですよね。
上記の章でも述べたとおり、資本金と資本準備金は実質同じです。どちらも事業の運転に使えるお金ですが、資本準備金を取り崩して利用したほうが何かと都合がよいということを覚えてもらえばとりあえずOKですね。
資本準備金と資本剰余金の違い
資本剰余金と書くと難しい感じがしますが、剰余=余りや残りなどの意味なので、簡単にいうと「資本金の余り」という意味になります。つまりは、株主から振り込み荒れた資金のうち資本金に入らなかったのが資本剰余金です。
その他資本剰余金とは、資本金や資本準備金を取り崩した際に発生するものです。
例えば、900万の赤字を補填するために資本金1000万円を取り崩したとしましょう。1000-900=100となり、100あまりますよね。これがその他資本余剰金です。
資本準備金として計上する3つのメリット
資本準備金については上記で理解していただけたかと思います。
ここからは、資本準備金を用意することで、どのようなメリットがあるのかをみていきましょう。
具体的には3つのメリットがあります。
- 赤字補填や増資が行ないやすい。
- 節税効果が望める
- 融資が受けやすい
それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう!
【資本準備金のメリットその1】赤字補填や増資が行ないやすい
資本準備金を多く用意すると、赤字補填や増資が行いやすくなります。
資本金でも賄えるんじゃないの?と思うかもしれませんね。確かに資本金を減らした(減資した分)で赤字補填をすることも可能ですが、資本金からの赤字補填は余り現実的ではありません。
なぜなら、資本金の増減は会社の信用に影響を与えますし、登記内容を変更しなくてはならず、非常に手間だからです。株主総会の特別決議を行なわなくてはいけません。資本金が下がった=業績が悪化したことが容易に想像できますから、株価が下がることも考えられるわけです。
会社を運営していて、何か困ったことがあった際に積み立てておくのが資本準備金。その性質上、資本金とくらべて取り扱いやすくなっています。具体的には、株主総会は普通決議でよく、登記の変更も不要です。
このように、資本準備金は赤字補填や増資に向いています。ただし、増資以外で資本準備金が減るときは債権保護手続きが必要なので、その点は注意が必要になりますね。
【資本準備金のメリットその2】節税効果が望める
法人は資本金の額によってかかる税金がかわってきます。節税したいなら、資本準備金の割合を多くして、資本金を低めに設定した方が賢いです。
例えば、株式会社設立時には設立免許税が15万円かかります。しかし、これはあくまでも資本金が一定額以下の話。設立免許税は資本金の0.7%と定められているため、資本金の額×0.7%が15万円を超えていれば、設立免許税はさらにかかります。
設立時の資本金についてはまだありますよ。資本金が1000万円以上の企業は消費税が加算されます。逆をいうと1000万より低ければ消費税はかからないということ。具体的には、設立から2年間は消費税が免除されますよ。
設立後はどうでしょうか。
設立後、資本金と絡んでくる税金は法人住民税の均等割が挙げられます。法人住民税の均等割とは、法人の売り上げに関らず徴集されるもので、その金額が資本金1000万円を堺に変わるんですね。具体的には1000万円以下であれば7万。1000万円よりも多ければ18万かかります。
このように、資本金の金額によって徴収される金額が変わるため、特に小さい会社や、設立から間もない会社は、資本金は程ほどにしておくのがよいです。
資本準備金としておけば、自己資本のトータル金額を買えずに資本金の金額を調整できますよね。資本金の額は企業の信頼に影響を与えるため、節税効果とのバランスを見ながら設定できるとよいです。
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【資本準備金のメリットその3】融資が受けやすい
一般的に資本金は多ければ多いほど融資が受けやすくなります。資本金が信用を測る材料になっているからです。融資を受ける際にもっとも重要視されるのは信用。返済のあてがない相手に銀行はお金を貸したくありません。
同じように、資本準備金も多ければ多いほど融資が受けやすいです。なぜなら、資本準備金は実質資本金と同じだから。会社は自己資本が多いほど、外部からは信用されやすいです。つまり、資本金に計上されていても、資本準備金に計上されていても特に大きな影響はありません。
ではなぜ信用を得やすいのでしょうか?資本準備金が多いことで、外部からの信用は主に以下が理由となっています。
- 財務体質がよいと推測できるから
- 規模の大きさが分かるから
- 融資を行なっても、自己資本による返済が望めるから
- 貯蓄能力があると分かるから
資本準備金が多い=経営に余裕がある、と簡単に推測できますよね。結果、財務体質がよく返済が見込めると判断できます。
また、自己資本の大きさは会社の規模と比例関係にあります。つまり、資本準備金が多い企業は大きい会社であることが分かるため、こちらも返済が見込めるとする判断材料になっていますね。
最悪の場合、もし相手が事業に失敗してしまっても、一定額資本準備金からの返済が望めます。よって、融資する側のリスクを減らすことができます。
また、通常融資を受ける際、経営者個人の通帳も見られる場合がほとんどです。もし、過去の履歴を見たときに、コツコツ資本準備金を積み上げていることが確認できれば貯蓄能力がある=信頼できる、と判断できますよね。
このように、資本準備金が多いほど融資先からの信頼を得やすく、結果として融資が受けやすくなります。
関連サイト:JFC日本政策金融公庫


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