資本金の減資が人気?手続き方法や3つのメリット・デメリット完全ガイド

公開日:2018.10.9  |  最終更新日:2025.5.30



減資」とは、文字通り資本金を減らすこと。

逆に資本金を増やす「増資」であれば経営がうまく行っているイメージですが、減資と聞くと業績悪化や規模縮小といったマイナス要素が思い浮かびます。しかし、実は減資にはメリットがあり、積極的に減資を行う経営者が増えてきているのです。

では、減資を行う意味は一体何なのでしょうか?この記事を最後まで読めば、減資の基礎知識はもちろん、気になる株主への影響や手続き方法まで、減資のすべてが100%わかります。

減資によって会社を立て直せる可能性もあるので、ぜひ最後まで読み進めていきましょう。


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■資本金の減資とは?

資本金とは、株式会社あるいは有限会社を設立するにあたり、出資者によって差し入れられた資金のこと。

一般的には、資本金が多いことはサポートが強い証であり、信用面で有利と言われています。その金額を減らす方法が「減資」です。

減資には、大きく分けると2つの種類があります。

ひとつめは「有償減資」。これは、会社の規模・事業内容と資本金を比べて「資本金のほうがあまりに大きい」と判断した場合に、余剰資金分を株主に払い戻すことです。有償減資は実質上の減資であり、会社の財産が確実に減少します。



(出典:減資の方法)


そしてもうひとつは、「無償減資」です。これは名義上の減資であり、減資した分を株主に払い戻すことはせず、帳簿上で資本額を減らすというもの。経営不振によって純資産が資本金を下回る「資本欠損」の状態である場合、資本金を純資産額より少なくすることでこの問題を解消します。



(出典:減資の方法)


つまり、無償減資は財務構造改善を目的として行われるもので、ポジティブな意味合いが含まれています。もちろん不採算といったマイナス状況にあるのは事実ですが、減資には会社の将来に影響を及ぼすうれしいメリットもあるのです。

なお、「増資についても知りたい!」という方向けに、以下のページでは増資について詳しくご紹介しています。


増資とは?資本金を増やす3つの方法とメリット・デメリットまとめ|Founder


■資本金の減資はなぜ行う?3つのメリットを徹底解説!

では、減資を行うと具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主となる3つのメリットについて詳しく解説していきます。


【減資のメリットその1】配当金を増やせる

これは、余剰の資本金額を株主に返還する「有償減資」を行った場合のメリットです。

株主への配当金は剰余金から出すのが基本で、株主から出資してもらった資本金から出すことはできません。しかし有償減資を行えば、減資した分を剰余金に計上変更でき、結果的に配当金を増やすことが可能となります。


【減資のメリットその2】累積赤字を補填できる

無償減資を行うことで、赤字を回避できる点も大きなメリット。具体的には、貸借対照表上で減資を行えば資本金と繰越欠損金を相殺でき、累積赤字が補填されて帳簿上赤字ではなくなるというわけです。

やはり企業の業績を判断する最もシンプルな方法は、「黒字か赤字か」を見ることでしょう。赤字の場合は経営不振という印象を持たれ、会社の株価にも大きな影響を与えます。また、銀行からお金を借りにくい状態になったり、取引をしている企業の信用を下げてしまったりと、さまざまな悪影響が生じてしまうのです。

しかし、減資によって帳簿上の累積赤字がなくなれば、「赤字会社」というマイナスイメージを消し去ることができます。もちろん実質的に黒字になったわけではありませんが、帳簿上の見た目は確実に良くなります

そうすることで銀行からお金を借りやすくなったり、取引先に不信感を与えずに済んだりといったメリットが。現状は経営不振でも、前向きに事業を展開していくための大きなきっかけになることもあるでしょう。


【減資のメリットその3】節税できる

無償減資には、もう1つメリットがあります。それは、税金の負担額を減らすことができること。

税法では資本金の額によって課税区分が異なるしくみになっており、資本金の大きい大企業になるほど税金は高くなります。そこで減資をすれば、税金負担を少なくすることが可能です。

特に注目したいのが、資本金が1億円超か1億円以下かで税金負担が大きく変わること。税法では資本金1億円超の企業を大企業、1億円以下の企業を中小企業と区別していて、中小企業は数百万円~数億円もの節税が可能な場合があります。

つまり、「資本金1億円以下」という点が、税務上のメリットを得られる大きなボーダーラインに。そのなかでも、資本金1,000万円以下、資本金3,000万円以下、資本金1億円以下と3つの区切りのどこに属するかによって、得られる恩恵が異なります。

具体的にどのような違いがあるのか、以下で詳しくご紹介しましょう。


【資本金1,000万円以下の場合】

・設立時に資本金が1,000万円以下であれば、創業後に2事業年度分の消費税が免除される
・法人住民税における均等割税金が、毎年11万円程度減る


【資本金3,000万円以下の場合】

「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別控除」が適用される


【資本金1億円以下の場合】

・法人税の計算上、軽減税率が適用される
・交際費を全額損金にできる(上限:年間800万円)
・30万円未満の減価償却資産を全額損金にできる(上限:年間300万円)
・特定同族会社の留保金課税欠損金が免除される
・欠損金の繰越還付制度が適用される
・法人事業税の外形標準課税が免除される
・法人道府県民税及び法人市町村民税の均等割税金が割安になる
・国税局管轄から税務署管轄に変更される


このように、資本金額を1億円以下に抑えることで税務上のさまざまな特典を受けることが可能です。

実際に節税を目的として、減資をした企業はたくさんあります。例えば2015年にシャープが1,200億円以上あった資本金を5億円に、吉本興業が約125億円の資本金を1億円に減資して話題となりました。

両社は減資によって節税などの恩恵を得られ、今となってはそれが得策だったと言えるかもしれません。ただし、減資によって節税効果を得るためにはさまざまな適用条件があるため、専門家と相談しながら慎重に計画を進めることが必要です。


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■資本金の減資の注意点は?3つのデメリットを徹底解説!

減資によって会社が得られる嬉しい効果をお伝えしましたが、都合よくメリットばかりがあるわけではありません。デメリットもきちんと視野に入れた上で、本当に減資すべきかどうかを考える必要があります。


【減資のデメリットその1】会社の財産が減る(有償減資の場合のみ)

減資によって資本金の額が少なくなると、有償減資の場合は必然的に会社の財産が減るというデメリットがあります。資本金は多いほうが大きなビジネスにチャレンジしやすいため、それが少なくなるということは経営の自由度が下がってしまうことを意味します。


【減資のデメリットその2】会社の信用度が下がる

無償減資の場合は会社の財産が変わるわけではなく、上でご紹介したデメリットはありません。ただし、帳簿上の資本金の額が減ることによって、会社の信用度が下がるリスクがあります。

その背景には、世間的に「資本金の大きさ=会社の信用力」というイメージを持たれていることが大きく関係しています。本来、会社の信用力は資本金によって判断されるものではなく、会社の損益状況や財務の安定性、業歴の長さや将来性によって左右されるもの。

ですが、特に未上場企業の場合は自社の業績や財務状況を詳しく開示しておらず、「ホームページに載せているのは資本金程度」というところはたくさんあります。そのため、資本金の額によってその会社の信用力を判断せざるを得ない状況は少なくないのです。

ですから、無償減資によって実質的な財産は減少していないとはいえ、数字上で資本金の額が少なくなれば、会社の信用度が下がるリスクが大きいと言えるでしょう。資本金の額を見て「この会社は経営力が低い」とマイナス評価されてしまう可能性が高いということです。


【減資のデメリットその3】株主への説明に時間と労力がかかる

信用度が下がるリスクは、その会社だけのデメリットではありません。

出資している株主にも、大きな影響をもたらします。減資したからといって一株あたりの価値が変わるわけではありませんが、会社における世間からの評価が下がってしまうことは株主に不安感・不信感を与えてしまうでしょう。

そのため、減資を実行するには株主からの理解が絶対条件と言えます。減資を行う目的や今後の方針といった具体的な説明がなければ、反発を引き起こす恐れがあるでしょう。

一般的には適切な資本金からスタートし、その都度増資しながら現在に至るという会社が多いため、減資することはまたスタートラインに戻るようなものだからです。

株主を説得して減資への理解を得ることは、決して簡単なことではありません。説明に時間も労力もかかりますが、出資という形で会社を全面的に応援してもらっている以上、きちんと株主と向き合う必要があります。


メリット
デメリット
・株主への配当金を増やせる
・「赤字会社」ではなくなる
・税金負担を減らせる
・財産が減ってしまう(有償減資の場合)
・会社の信用度が下がるリスクがある
・株主からの理解を得るのが大変


このように、減資には前向きに事業を続ける上でメリットになる点と、逆に信用低下など会社の評価に関わるデメリットがあります。減資したあとの状況を事前にしっかり想定し、自分の会社にとって減資は本当に必要なことなのか見極めることをおすすめします。


■資本金の減資はどうやって行う?手順を分かりやすくご紹介

減資を実行する方針が固まったとしても、社長の一声や役員会議などで勝手に実行できるわけではありません。基本的には、以下4つのプロセスで減資計画を進めていきます。


【手順その1】
株主総会で特別決議を行う
【手順その2】
債権者保護手続きを行う
【手順その3】
減資の効力発生
【手順その4】
管轄法務局への登記申請


手順としては少ないですが、それぞれのプロセスには時間もコストもかかります。具体的にどのような手順を踏んでいくのか、以下で詳しく解説しましょう。


【減資を行う手順その1】株主総会で特別決議を行う

まずは株主総会を開き、決議してもらうことが必要不可欠です。減資する目的についてきちんと説明し、株主の賛成を得た上で減資を成立させることが求められます。

賛成が得られたら、減資の具体的な額を決定します。そして、減資の効力発生日(資本金の額が実質上、あるいは形式上減少する日)についても決めていきます。

この特別決議によって無事決議してもらえれば、具体的な手続きに進むことが可能となります。


【減資を行う手順その2】債権者保護手続きを行う

会社が減資を行う旨を公にしてから一定期間(1ヵ月以上)は、債権者は異議申し立てを述べる権利があります。これを「債権者保護手続き」と呼び、会社は減資について異議がある場合は一定期間内であれば受け付けることを官報で公言し、知れている債権者には個別に催告します。

重大な利害が生じる可能性のある債権者に対しては、きちんと対応しなければなりません。官報では、以下の内容を必ず公言します。


・減資の具体的な内容
・最新の貸借対照表またはその要旨が掲載されている書類
・債権者が一定の期間内(1ヶ月以上)に異議を述べることができるという内容


ちなみに、知れている債権者には個別に催告するとお伝えしましたが、官報公告にプラスして日刊新聞あるいは電子公告にてダブルで公言した場合には、個別催告は免除されます。


【減資を行う手順その3】減資の効力発生

株主総会の特別決議によって決められた日に、減資の効力が発生します。

ただし、その日までに債権者保護手続きが完了していることが前提。未完了の場合は、完了を待って効力発生となります。

ちなみに、株主総会の特別決議前に債権者保護手続きを行ってもOKです。その場合、株主総会の特別決議日=減資の効力発生日とすることもできます。


【減資を行う手順その4】管轄法務局への登記申請

減資の効力発生日から2週間以内に、管轄の法務局に出向いて登記申請を行います。

申請を行ってから1週間~10日程度で登記完了です。この際、3万円の登録免許税がかかります。


これが減資成立までの流れです。このうち、重要なのはやはり【手順その1】と【手順その2】。

きちんと重点を置いて対処することで、トラブルを未然に防ぐことができます。弁護士や司法書士といった専門家にアドバイスをもらいながら、スムーズな手続きを目指しましょう。

なお、減らす資本金の額については慎重に検討しましょう。法律上は0円まで減額できますが、あまりにも大きい額を減らしてしまうとリスクも大きくなります。

決定に至るまで、そして額を決めるまでは何度も話し合いの場を設けて、適切な内容で減資を実行することが大切です。


■納得のいく減資で企業再生を

減資は、会社を立て直すためのひとつの手段です。身の丈に合った経営を目指すために減資を行うことで、それが企業再生の大きな原動力になる可能性があるでしょう。

ただし、会社は株主によって支えられていることを忘れずに。利害関係者がみな納得のいく減資であれば、良い意味で心機一転、負の流れから抜け出して再生への道のりを辿ることができるはずです。

また、「そもそも資本金がよくわかっていない…」という方には、以下のページがおすすめです。以下のページを合わせてチェックし、資本金の概要を理解してから読み進めれば、さらに理解度が深まるでしょう。

資本金とは?株式会社設立時はいくらがベストかわかる8つのポイント|Founder

自己資金・資本金の違いとは?正しい自己資金の作り方3つのポイント|Founder

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