増資とは?資本金の増やし方・3つの方法とメリット・デメリットまとめ

公開日:2017.8.4  |  最終更新日:2025.5.30



会社が健全な経営を維持していくことと、資金調達は切っても切り離せないもの。なぜなら資金繰りが立ち行かなくなることは、そのまま会社の破綻に直結するためです。また、会社を成長させていくためには、収益が増大した転換点で事業拡大を図る必要があります。

このように、まとまったお金が必要になった際に資本金を効果的に増やす方法として、増資があります。今回は資金調達法の1つである増資について、3つの種類ごとにメリット・デメリットなどを解説していきます。


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■資本金を増やして事業拡大!増資とは?

Neal Lindsay

通常、起業をして会社を立ち上げる際は株式を発行し、株とお金を交換する形で資本金を集めます。この株式の発行をもう一度新たに行い、資本金を集めることを増資と言います。

企業の営業活動、広告・宣伝活動、業務効率化のための施策などが実を結び、商品やサービスが売れるようになり収益が増大すると、たいていの企業はさらなる成長を求めて事業拡大を図ります。事業拡大の方法は企業の提供する商品やサービスによって異なりますが、例えば以下の方法が見られます。

 

・海外に出店する
・新規事業に着手する
・工場の機械を一新して生産性を向上させる
・研究設備を充実させる

 

いずれの場合も、通常はある程度まとまったお金が必要になりますが、そのような場合に増資は効果的な手段となり得ます。

 

【増資のメリット】資本金を増やすと運用資金を確保できる

増資の最大のメリットは、長期に運用できる資金を確保できる点です。資金調達には増資のほかにも、融資(銀行から借り入れること)や社債の発行(投資家から借り入れること)などの方法があります。しかし、これらはいずれも返済の義務を負う他人資本であるため、満期までに全額を債権者へ返さなければなりません。加えて、定期的に利息を支払う必要もあります。

一方で、増資は株式を買ってもらうことで得られる資金なので、起業時の出資同様、返済の義務がない点は大きなメリットになります。また、増資で得られる資金は自己資本になるため、安定しているという点も重要なポイントです。

融資や社債などの他人資本は、業績が良好か不良かにかかわらず、約定に従って元金と利息を返済しなければなりません。しかし、増資などの自己資本は、業績が好調であれば利益を配当金として株主に還元しなければならないものの、業績が悪化していれば、配当金としての利益の分配を見送ることもできます。

さらに、増資によって自己資本比率が高くなれば企業の評価が高まり、融資を受けやすくなるというメリットもあります。

【増資の種類】資本金の増やし方3つの方法

増資は、大きく有償増資無償増資2つに分けられ、それぞれに増資の目的が異なります。ここまで単に「増資」とだけご紹介してきた資金調達の手段としての増資は、より厳密にいえば有償増資に該当します。

一方で無償増資とは、資本準備金などの会社の資産を振り替えることで発行した株式を、資産価値を変えないまま既存株主へ割り当てることを言います。無償増資の特徴は、投資家による金銭の払い込みを伴わないことです。

無償増資を行うことで、株式を増やしたり株価を引き下げたりし、より幅広い一般投資家に株式を購入してもらう目的があります。ちなみに、1991年の商法改正により、無償増資は現在では「株式分割」という名称に変わっています。

また、資金調達の手段である有償増資は、誰に向けて株式を発行するかによって、公募増資株主割当増資第三者割当増資3つに分けられます。以下ではこの3つの増資の方法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説していきます。

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■【増資の方法その1】公募増資

Dick Thomas Johnson

既存株主や特定の投資家に限定せず、不特定多数の投資家に新株取得の申し込みを募集する増資の方法を、公募増資と言います。公募増資の場合は幅広くさまざまな一般投資家が株主になれる機会があるため、より多くの資金を集められるのが最大の特徴です。また、株主が増えることで上場を維持しやすい、自社の株式の流通量が増えるため自己資本が活性化する(投資家が株を売買しやすくなる)というメリットもあります。

一方で、株主が増える、株式の流通量が増える、ということは1株当たりの利益が小さくなってしまうことを意味します。そのため特に、すでに出資している既存の株主が損害を被る可能性があります。また、株式の取引量が少ない、あるいは業績悪化などが原因で株価が下がりぎみのときに公募増資を実施すると、需給悪化(株を売りたい人が多く、買いたい人が少ない状態)の懸念が強まり、株価が暴落する可能性があります。

株価の大幅な下落は、会社自体はもちろんのこと、既存株主が大きく利益を失うことになります。そのため、市場が停滞している状況においては、たとえ大規模な資金調達が必要であっても、公募増資を選択することは難しいといえるでしょう。

さらに、公募増資は株主の募集を限定しないことが特徴なので、どれくらいの投資家が新株を引き受けてくれるのかを事前に把握することが難しく、資金計画を立てにくいという経営上のデメリットもあります。

 

メリットデメリット
・幅広い一般投資家から資金を集められるため、大規模な資金調達が可能になる

・株主(個人投資家)が増加し、上場の維持を図れる

・株式の流通量が増え、さらに投資家を集めやすくなる

・既存株主の利益が小さくなる可能性がある

・市場が低調な状況で行うと、株価が暴落する恐れがある

・増資額の目途が立たず、資金計画を立てにくい

■【増資の方法その2】株主割当増資

一般投資家への公募を行わず、既存の株主からのみ新株取得の申し込みを募集する増資の方法を、株主割当増資と言います。よりわかりやすく言えば、既存株主から追加出資を得る資金調達法となります。

株主割当増資の場合は、既存株主の持ち株数に応じて新株を引き受ける権利が付与されます。そのため、増資後も株主の構成やそれぞれの持ち株比率が大きく変わらない点が、株主割当増資の大きな特徴と言えます。

この特徴は、既存株主の利益の損失を回避しつつ、資金調達が可能になるというメリットにもつながっています。ただし、株式の引き受け先が既存の株主のみに限定されることから、公募増資のような大規模な資金調達は難しいと言えるでしょう。

また、株主割当増資の場合、すべての既存株主に新株の取得権が与えられますが、株主側には権利を与えられたからといって、必ずしも新株の申し込みや払い込みをする義務はありません。それぞれの株主の裁量において新株を購入しない選択をすることもでき、申し込みがなされない場合は新株の取得権が失効することになります。

このように考えると、多くの既存株主が新株の申し込みや払い込みを行わなかった場合、資金調達は困難になるようにも思えます。しかし、既存の株主は、そもそもその企業の理念や目的、その企業が行う事業と、投資の目的が合致しているからこそ株主となっているわけです。

そのため、増資の目的によほど妥当性がないと判断されない限りは、ほとんどの既存株主が増資に応じてくれます。このことから、株主割当増資は一般的に、公募増資や第三者割当増資に比べて、比較的確実性の高い資金調達法だと考えられています。

 

メリットデメリット
・株主の構成や持ち株比率が大きく変わらず、既存株主にとってもっとも損失が少ない

3つの増資方法の中ではもっとも確実に資金調達ができる

・増資額の目途が立ち、資金計画を立てやすい

・新株取得権を既存株主に限定してしまうため、大規模な資金調達が難しい


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■【増資の方法その3】第三者割当増資

特定の第三者に向けて新株取得の申し込みを募集する増資の方法を、第三者割当増資と言います。特定の第三者とは、株主割当増資のように必ずしも株主である必要はなく、通常は自社と縁のある企業や個人に対して募集が行われます。

そのため、縁故募集縁故者割当増資などと呼ばれることもあります。新株を引き受けてもらう相手方としては、例えば以下のような存在が挙げられます。

 

・取引先、取引先金融機関
・自社の役員、従業員
・業務提携先、将来的な利害関係が見込める企業
・持ち株会

ちなみに株主割当増資の場合は、既存株主の持ち株数に応じて平等に新株を割り当てるのが原則なので、ある株主にだけ新株取得の権利を与えない、あるいはある株主にのみ新株の割り当てを増やす、といったことはできません。新株の発行が既存株主のみを対象にしたものであっても、それぞれの持ち株比率に応じた割当とならない場合は、すべて第三者割当増資に含まれます

第三者割当増資の場合は、新株を発行する投資家が一部に限定されるとはいえ、自社の縁故者といえばかなりの数になります。そのため、公募増資ほどとは言えないまでも、株式割当増資に比べればそれなりにまとまった金額の資金調達が望めます。

また、公募増資のように株価への影響が少ないため、業績悪化などで経営再建を図りたいときなどにも有効に活用できる増資方法です。ただし、公募増資と同じく新たな株主が参入してくることになるため、1株当たりの利益が小さくなる可能性があり、既存株主に損失が発生する可能性もあります。

また、新株を取引先や業務提携先などに向けて発行する場合は、自社関連企業とのつながりをより強固なものにすることが可能になるでしょう。あるいは、新株を自社の役員や従業員に向けて発行すれば、会社の利益を配当金という形で社員に還元することができるため、自社への帰属意識やモチベーション生産性・業務の質向上につなげられます。

つまり第三者割当増資は、資金調達の手段でありながら、会社経営にも大きく関わってくる点が特徴と言えます。

 

メリットデメリット
・業績不振の際も比較的多くの資金が集められる(経営再建が可能)

・関連企業とのつながりが強固になる

・社員の帰属意識やモチベーション向上につながる

・既存株主の利益が小さくなる可能性がある

・増資額の目途が立たず、資金計画を立てにくい

 

増資の3つの方法である公募増資、株主割当増資、第三者割当増資について、それぞれの特徴を以下の表にまとめています。こちらも参考に、それぞれの違いを比較してみてください。

 

増資の方法メリットデメリット
公募増資・大規模な資金調達が可能

・上場の維持が可能

・株式の流通量が増加

・既存株主が損失を被る可能性も

・株価が暴落する恐れも

・資金計画を立てにくい

株主割当増資・確実に資金調達が可能

・既存株主に損失がない

・資金計画を立てやすい

・大規模な資金調達が難しい
第三者割当増資・経営再建が可能

・関連企業とのつながりが強固に

・社員のモチベーションアップ

・既存株主が損失を被る可能性も

・資金計画を立てにくい

■結局どの増資方法を選ぶべき?

John Loo

これまで見てきたように、3つの増資方法にはそれぞれに特徴があります。そのため、確実に必要な額の資金を調達するためには、企業の規模や形態、現在の経営状況などからもっとも適した増資方法を選ぶことが大切です。ここでは、どのような場合にどの増資方法を選ぶべきかご紹介します。

 

○公募増資 

主に、上場企業が設備投資といった大きな規模の資金を集めたいときに選択する増資方法です。前述のとおり、市場が低調ぎみのときや、そもそも取引量が少ない場合は、株価の暴落により自社も既存株主も損失を被ることになります。そのため、未上場の中小企業などに適した増資方法ではないと言えるでしょう。

反対に、上場企業において業績が右肩上がりに好調のときは、公募増資を行うチャンスです。需給悪化の懸念がそこまで強く表に出ないため、自社にとっても既存株主にとっても損失を最小限に、大規模な資金調達が望めます

 

○株主割当増資

最大の特徴は、増資後も株主の構成と持ち株比率に変化がない点です。そのため、経営には影響を出さず資金調達だけを望む場合に適しています。

また、株主割当増資の場合は、株主の数が増えれば増えるほど増資の合意が得られにくくなるため、起業したばかりでまだ株主も少なく、出資後すぐに増資をしたい場合などにも向いていると言えるでしょう。

 

○第三者割当増資

業績が振るわず公募増資が難しい上場企業や、未上場の中小企業などに適した増資方法です。また、資金調達が目的でありつつも現状の経営状況を変えていきたい場合は、戦略として第三者割当増資を効果的に活用していくのもよいでしょう。 

■まとめ

長期的に運用できる安定した資金を確保できる増資は、数ある中でも企業にとってメリットの大きい資金調達法だと言えます。

もちろん、今回ご紹介した3つの増資にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、自社に合わせた増資方法を選ぶこともポイントになります。

こちらの記事を参考に、資本金を増やす1つの手段として、増資についての知識を深めていきましょう。

資本金とは?わかりやすく解説!増資の方法とメリット・デメリット完全ガイド

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