リスケジュールで銀行返済をストップさせる5つのコツとメリット・デメリット
公開日:2017.3.7 | 最終更新日:2025.2.14

「銀行から借り入れを行って事業をしているけど、上手く行かない。返済をどうしよう・・・」
あまりよろしくないこととはいえ現実問題、こういった事態に直面してしまうことは十分にありえます。
会社をつぶさず事業を継続し続ける方法の一つとして「リスケジュール」、通称「リスケ」と呼ばれる手法があります。これは銀行と交渉して返済のスケジュールを決め直し、無理のない返済を行うもしくは一時的に返済を猶予してもらうという制度です。
返済を猶予してもらっている間に経営再建を行うことで倒産の危機を回避し、また金融機関側も「貸し倒れ」の不良債権発生を防ぐという、双方にメリットが有る制度となっています。
今回はこのリスケジュールを銀行に飲んでもらうためのコツを5つと、リスケジュールに伴うメリット・デメリットをご紹介いたします。
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No.1 相談を迅速に行う
リスケジュールというのは、基本的に二つ返事で決まるわけではありません。なぜなら「一担当者の裁量可能範囲を超えている」ためです。
そのため通常の銀行融資を受ける以上に時間がかかるケースが多く、中にはリスケジュール申し込みから承認まで2~3ヶ月かかるということもザラにあります。リスケジュールを検討する場合、「もうどうにもならない!」という状態になってしまう【一歩手前の段階】で、金融機関に相談を持ち込むのが必須事項となります。
また金融機関としては当然、「お金を返せない」という根拠となる数字を加味した上で、「貸しはがしよりリスケに応じた方がよいメリット」を考える作業に入ります。こういったプロセスをはさむ必要があるのでリスケには時間がかかる、と考えておいた方がよいでしょう。
基本的にリスケが必要なほど事業が上手くいっていないということは、「来月分が返済できない!」とギリギリの状態になる前に、「あれ、なんだか予想と違うぞ・・・?」と現実が見えているはずです。そういった「危なそう」な兆候があればそのうち何とかなるだろう、と楽観視するのではなく、常に最悪の可能性を考えて準備を行うようにしましょう。
準備をした上で無駄になるだけならたいしたことはありませんが、準備をしていなかったがゆえにリスケを受けられず事業倒産してしまえばもうどうにもなりません。どちらの「リスク」を取るべきか言うまでもありません。
No.2 事業を再生するプランを提示する
リスケジュールとは基本的に、「事業を再生させて借りたお金を完済」することを前提とした提案になります。金融機関としては「事業再生の芽がないなら今すぐ一括返済を求めて、少しでも資産があるうちに回収して損失を抑えたほうがよい!」という結論になってしまいます。
リスケを持ち込む段階においては、「お金を返せないんです」と相談するだけでは受け入れてもらえません。「こういう返済計画にしてもらえれば、その間に事業をこういった形で建て直せるので返済を猶予してください!」と頼み込むことが必須です。
またあまり金融機関側からすれば愉快なことではありませんが、再生プランを提示することにより「まとまった運転資金」が必要です。通常、リスケを申し込んだ段階で該当銀行の口座にある預金は封鎖されしまうため、再建計画の資金を確保するためにも「必ず全額引き出してから」交渉に当たるようにしてください。
プランを提案するときに用意する資料としては、以下の3種類が最低限必要です。
【事業再生プランの提案に必要な資料】
- 「現在の収入と支出」を記載したキャッシュフロー表
- 「再建計画のプランと数値」をまとめた再建計画表
- 再建計画とキャッシュフロー表をベースに「返済可能な数字を計算した」リスケジュール要望書
この部分で手を抜くと大抵ロクなことにはなりません。キッチリと準備を行い、「神経質すぎるかな」というぐらいまで細部を詰めましょう。
No.3 「経理担当」ではなく「経営者自身」が出向く
No.2でご説明したとおり、リスケとはファイナンス(資金調達)における財務的なプロセスではなく、「経営再建を前提」とした提案です。そのため経理担当に「お金のことだからお前が行って来い!」というのではなく、必ず経営者自身が金融機関に赴き、まずは返済できそうに無いことへの謝罪と対策、そして今後の展望を直接説明するようにしましょう。
経営者自身が現在の状況とリスケジュール計画、再建計画を説明することで本気度が伝わりやすくなります。担当者も「しょうがないな・・・」と相談に乗ってもらい易い空気になる可能性もあります。
またこれは小手先の話だけではなく、事業者としての「品性」の話にもなります。借りたお金を返せそうに無い、という状況にもかかわらず経理担当に丸投げして経営者責任を果たさないというのは、「不信感」を植え付けてしまうのに十分な要素です。
ですので、必ずリスケの提案は経営者自身がアポを取った上で赴くようにしてください。ちなみに、無いとはおもいますが「会社に呼びつける」なんていうのも論外です。こちらから相手にムリをいう以上、必ず誠意を尽くすようにしましょう。
こういった提案で相手がどのような反応をするかは、担当者との普段のお付き合いによっても変わってきます。ビジネス相手には常に誠意をもって対応するように心がけましょう。
No.4:「断られるのは当たり前」だと考える
金融機関に「返せないので返済計画を変えてください」といったところで、「はい、わかりました」と二つ返事で答えるところなんて存在しません。むしろ二つ返事で引き受けていたらキッチリと返済する事業者なんていなくなってしまいますし、金融機関のビジネス自体が立ち行きません。
冒頭にて「金融機関も不良債権化を防げる」と述べましたが、それはあくまで客観的に見てメリットを無理やり探した場合の話です。本来は「約束どおりに返済を行う」のが当たり前の話であり、金融機関からすれば「『経営の失敗』という結果に発生した損失を押し付けられている」形になります。そういった中で、いわば「勝手に決めた返済計画」を即OKしてもらえると考える方がどうかしているといえます。
ですので「リスケは断られるのが当たり前」、むしろ一度断られてから「どうやって交渉のテーブルについてもらうか」が本番です。
リスケジュールで金融機関を「説得」するために必要なこと
ここでは、相手側の「メリット」を提示しつつ、返済の実現可能性が高いと思わせるようなプランを用意することが必要です。単に「返済を猶予してください」とお願いするだけでなく、「もし猶予してもらえれば不良債権となる可能性があるものがこういった形になります」と、理論立てて説得をしましょう。
またこの説得ですが、必ず「理屈」で相手を納得させてください。よくドラマなどに影響されて相手の「感情」に訴えかけようとする方がいらっしゃいますが、それでOKを通す金融機関はありません。よしんば担当レベルでOKが出たとしても、最終的には審査部や上司によって判定を下されることとなります。では、担当者が上層部に伝えるときに経営者のような「迫真の感情がこもった説得」をしてくれるでしょうか?普通はそこまでしないと考えるのがベターだと思われます。
まとめると、「リスケは断られるのは当たり前」、その上で「相手方のメリットを理論立てて解説」するようにしましょう。金融機関側のメリットとしては、「不良債権化が防げる」こと、「返済期間が延びることにより最終的な収益率は(上手く行けば)よくなること」などが挙げられます。
No.5 現在の会社の収入をベースに提案する
返済金額については「返せません」というだけではなく、借り入れ後の事業推移やリスケジュール後の返済計画など「数字」をベースとした説得を行うようにしましょう。
リスケジュールにおける事業計画において大切なのは「利益の向上」です。本来ならば新規事業融資は「熱意と実効性」という部分を加味した上で審査されることが多いですが、リスケにおいてはすでに一度「金融機関との約束を破っている」わけで、対外的な信用という意味では0です。そのため熱意やらなんやらといったものはいったん横へ置いて、理論と数字で説得を行う必要があります。
説得材料として最も使うのは収入、とりわけ「現在の収入」です。現在の収入をベースに「このままでは返済できない旨」を伝え、その上で「こうやって数値を改善する」という根拠を提示します。そうしてはじめて「リスケジュールのスタートライン」に立てると考えてください。
「収入ベース」でリスケジュールを提案する場合の注意点
一般的なリスケジュールは半年から一年間、利息の支払いのみで返済を進めるというケースが多いです。そのため「1年ぐらいの収入ベース表でいいか」と手を抜く方がいますが、これはNGです。金融機関側からすれば「事業で詰まりかけている人・法人が、半年そこそこで経営改善できるわけないだろう」というのが正直な見解です。実際、それができなかったからリスケするハメになってるわけなので、まさに核心を突いているといえます。
ですので「リスケ期間は一年程度でも、5年から10年後の収益計画」を作成し、それをベースに説得を行う必要があります。また当然、リスケが終了した1年後に経営改善を行えていなかった場合は再度リスケ交渉をすることとなります。一見「倒産よりはましだ!」とリスケに飛びついてしまいたくなりますが、現実は破産より茨の道かもしれません。
「複数の銀行」から借り入れがある場合のリスケジュール
収入ベースにリスケを提案する際、「複数の銀行」から借り入れがある場合はさらに知恵を絞る必要があります。銀行というのは横並び体質が強いため、「リスケにおいて飲む条件」を全ての銀行が平等(つまり負担率が同じ)になることを求めます。
ですが現実問題、借り入れ金利も違えば期間も違い、今までの付き合いといった密度も違います。よって、このあたりの調整は非常に難航します。
条件交渉の部分を乗り切るコツは、各銀行の担当者にリスケ提案を行ったあと、「他行に持ち込んだリスケジュール案」をすべて共有してしまうことです。そうすれば何処にどれだけの負担を求めるのかが明確化され、話が多少進みやすくなります。
ここまでは、リスケジュールを金融機関に認めてもらうための5つのコツをご紹介してきました。最後に、リスケジュールのメリットとデメリットについて再度確認していきましょう。
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No.6 リスケジュールのメリット
【リスケジュールのメリット】
- 会社を倒産させずに企業再生を図れる
- 「借入金の返済に失敗した」という事実が記録に残らない
リスケジュールを行う最大のメリットは、「会社を倒産させること無く、企業再生を図ることができる」というポイントです。
通常、法人・個人を問わず、「再生」もしくは「自己破産」後の再出発を行う際はこれまで取得した資産等を手放し、文字通り0からの再スタートとなります。ですがリスケジュールの場合、「金融機関からの承認さえ取れれば再スタート」を切ることができます。
また個人再生・自己破産との違いは、リスケジュールは「記録に残らない」というメリットにもあります。
通常、貸し倒れや倒産、不渡りなどが発生した場合、その記録が信用情報や官報などに残り、「失敗した」という事実が大々的に公表されます。直近ですぐに再スタートを切ることは不可能に近いです。
一方で、リスケジュールの場合はあくまで「借入金の支払い猶予」になります。融資を受けている金融機関を除いて、他の金融機関からは「ブラックリスト」入りさせられることもありません。あまり褒められた方法ではありませんが、極論「リスケジュール中である」ということが新規取引の金融機関にバレなかった場合、さらに融資を受けられる可能性もあります。
「与信・信用」に傷をつけずやり直しのチャンスが与えられるというのは、他の再生方法に無い大きなメリットです。
No.7 リスケジュールのデメリット
【リスケジュールのデメリット】
- 金融機関と長い交渉が必要
- 一度リスケジュールを行うと、今後その金融機関からお金を借りにくくなる
- 結果的に「返済年数が延びる」ため、当初よりも返済総額が多くなる
リスケジュールを行うデメリットとして、まず「金融機関と長い交渉が必要になる」ということが挙げられます。金融機関としても「リスケジュール」を二つ返事で認めていたのでは、「真面目にお金を返してくれる先」など無くなってしまいますので無理からぬ話ではあります。
また当然、業績がキッチリと安定し、業務が好調な状態に戻らない限り「リスケジュールを申し込んだ金融機関からは厳しい目で見られる」というデメリットも存在します。もちろん業績が改善すればその限りではありませんが、金融機関の心情的に「一度リスケを行った法人に再度、お金を貸したいか?」と問われれば「できればあまりかしたくない…」という回答が返って来るのが正直なところではないでしょうか。
またリスケジュールの目的は、あくまで「返済計画の見直し」です。そのため元本(借入金)が減額されるなどといった処置は存在しません。内容としては、「返済年数が延びることによる月々の返済額減額」と「一時的に金利の支払いのみで元本充当をストップ」という「支払猶予」制度です。最終的に返済する金額自体に変わりはなく、むしろ返済年数が延びたことによって「当初の返済総額」よりは多くなります。
まとめ
リスケジュールというのは決して簡単なものではなく、「経営再建」を前提として細部をきっちりと詰める必要があります。
本気で申し込みを行うほどに「事業を継続したい」という思いが無い方は、素直に倒産したほうがまだ楽かもしれません。
いろいろと難しいことを書いているように見えるかもしれませんが、内容は「迅速かつ誠意をもって行動する」「勝手な思い込みだけでなく根拠(数字)を出して説得する」というビジネスの基本事項をキッチリと押さえればいいだけです。
何事にも近道はないので、この部分をキッチリ押さえてリスケを勝ち取りましょう。
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