投資ラウンド完全ガイド!シード/アーリー/グロース/レイター/ABC/スタートアップ徹底解説

公開日:2017.10.30  |  最終更新日:2025.5.30



-「シード、アーリー、グロース、レイター」-

これらの単語が、何を意味するのかについてご存じでしょうか?

 

スタートアップ企業が覚えるべき用語は数多くあります。中でも投資に関する用語は、企業の資金調達にも深く関わってくるので、きちんと内容を理解しておくべきと言えます。

上記で記載した用語は、いずれも投資ラウンドを表しています。この投資ラウンドを理解しておけば、これまでよりも明確な資金調達や資金計画を100%立てられます。

このページでは、企業への投資に10年以上携わってきた経営コンサルタントが、投資ラウンドについて分かりやすく解説します。最後まで読み進めて、資金調達や資金計画に対する考え方を変えてみましょう。


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■そもそも投資ラウンドとは?投資ラウンドの基礎知識を解説!

まずは、投資ラウンドについて詳しく解説していきましょう。投資ラウンドとは、簡単に言えば「企業に対して投資をする段階」のことです。

投資をする側の代表例としてはVC(ベンチャーキャピタル)が挙げられますが、ベンチャーキャピタルは特定の時期のみに投資をするわけではありません。ベンチャーキャピタルは投資の目的を常に意識しており、その目的を果たしやすい時期を狙って投資を行っています。ベンチャーキャピタル側もしっかり利益になる企業に投資したいですからね。

もう少し理解しやすくするために、以下ではA社・B社の2つを例に挙げて解説していきます。

 

【A社】…起業から数ヶ月経過しており、業績が着実に伸びている

【B社】…起業前であり、アイデアはあるものの形になるかは現時点で分からない

 

利益のみを求めるベンチャーキャピタルは、リスク回避のためにA社を選ぼうと考えるはずです。それに対して、イノベーションの実現を主な目的としているベンチャーキャピタルは、B社へのサポートを積極的に考えるでしょう。ベンチャーキャピタルの属性も頭に入れておく必要がありますね。

このように、ベンチャーキャピタルが投資をする時期はさまざまであり、中にはある程度成長を遂げた企業に対して投資をするベンチャーキャピタルも見られます。そこで、投資を受ける企業の段階を分かりやすく表すために、「投資ラウンド」が考案されました。この投資ラウンドは、IT企業が集中している米国のシリコンバレーで主に使用されています。

では、投資ラウンドには具体的にどのような段階があるのでしょうか?機関ごとに名称や使い方は異なりますが、以下ではよく見られる段階(ラウンド)について概要をまとめました。

 

投資ラウンド概要
①シード起業前の段階。
②アーリー起業~起業直後の段階。

「スタートアップ」とも呼ばれる。

③エクスパンション事業を本格的に始める時期。

「ステージA」とも呼ばれる。

④グロース事業が軌道に乗り始めた時期。

「ステージB」とも呼ばれる。

⑤レイター累積損失が解消され、組織が確立した時期。

「ステージC」とも呼ばれる。

 

上記の表を見ただけでは、どのような企業が各段階に該当するのか、各段階に該当する企業の特徴などは分かりづらいでしょう。そこで次からは、上記①~⑤の投資ラウンドについてさらに細かく解説していきます。

■【投資ラウンドその1】シード

Uzi Yachin

シード(seed)は直訳すると、「種」という意味です。その意味通り、シードは企業が種の状態、つまり起業前の状態を指します。以下に該当する会社は、シードの企業と言えるでしょう。

このステージではまだビジネスの準備段階と言えるため、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資が大きくなりますが、金額は数百万程度とそこまで多くはありません。  

・コンセプトやビジネスモデルがある程度決まっている
・事業計画書は作成しているものの、法人はまだ設立していない
・商品やサービスの実現には至っていない

 

シードの企業は、ほかの投資ラウンドに該当する企業に比べると資金をあまり必要としません。ただし、市場調査や人件費、会社の設立費用などのコストはかかってくるので、起業前に資金調達を希望する起業家も多く存在しています。

シードの起業家がベンチャーキャピタルなどから投資を受けるには、ビジネスプランの質を高めることがポイントです。ビジネスプラン以外に会社をアピールする方法が少ないので、説得力の高い事業計画書を作成する必要があるでしょう。

■【投資ラウンドその2】アーリー(スタートアップ)

アーリーは、起業直後の状態を指します。軌道に乗るまでは赤字経営となりますが、アーリーの企業は以下などの資金を用意しなくてはなりません。

 

・運転資金
・設備資金
・ライセンスの使用料
・販売促進費
・特許の取得費

 ベンチャーキャピタルからの出資に頼るのもありですが、金融機関からの借り入れや補助金、助成金を活用しても良いでしょう。

アーリーに該当する企業についても、投資を受けるにはビジネスプランの質を高めることが必要になります。すでに起業をしている分、シードに比べて事業リスクが高い段階と言えるので、事業計画の実現性や利益性の高さを十分にアピールする必要があるでしょう。

なお、この時期に差しかかると、企業の資金調達手段の幅が広がります。主な手段としては、以下が挙げられるでしょう。

 

・金融機関からの資金調達銀行やノンバンクからの資金調達。

低金利であるため、日本政策金融公庫からの資金調達を希望するケースが多い。

・補助金や助成金制度を利用した資金調達各自治体などで実施されている制度を利用した資金調達
・手形による資金調達手形貸付や手形割引による資金調達。
・ファクタリング売掛金を売却することで、資金調達する手段。
・投資家(ファンド)からの融資や出資で資金調達エンジェル投資家などにビジネスプランをアピールし、融資・出資を受ける資金調達の手段。

 

掛金による取引が多く、「売上はあるもののキャッシュがない…」と悩んでいる企業には、ファクタリングによる資金調達がおすすめです。ファクタリングはバランスシート上で負担になりませんし、最短即日での資金調達も可能なので、資金繰り改善の効果を期待できるでしょう。


■【投資ラウンドその3】エクスパンション(ステージA)

frankieleon

アーリーの時期を過ぎると、企業は事業を本格的に進めるエクスパンション(ステージA)と呼ばれる段階へと移ります。エクスパンションに該当するケースとしては、以下などが挙げられるでしょう。

 

・商品やサービスがある程度確立している
・顧客が存在している
・社内にチームがある

 

事業としてはまだ軌道に乗っていない状態であり、エクスパンションに該当する企業の多くは資金不足に悩まされます。商品開発や人材の確保を常に進める必要があり、かつ収益もそこまで伸びていない段階であるためです。

ベンチャーキャピタルからの出資が得られやすいステージ。ベンチャーキャピタルからは資金だけでなく、経営のアドバイスや社会的信用を得ることができます。そのためにも自社にあったベンチャーキャピタルを見つけることが大切。ベンチャーキャピタルによって重視するポイントやアドバイスの内容も違うので、しっかり状況を調査しましょう。

したがって、この段階に該当する企業は常に資金繰り(資金調達)を意識しなければなりません。前述でご紹介した手段はもちろん、IPOを目指す企業はベンチャーキャピタルからの出資による資金調達、場合によっては資本提携や事業提携もなどの資金調達方法を検討する必要があるでしょう。

なお、ベンチャーキャピタルの主な投資先は、このエクスパンション以降の企業と言われています。

 

■【投資ラウンドその4】グロース(ステージB)

グロースに差しかかった企業は、事業が軌道に乗り始めて売上がどんどん伸びていきます。順調に成長すれば、経営が損益分岐点(収支が0になる点)を超えて黒字になるでしょう。

グロースに該当する具体的なケースとしては、以下などが挙げられます。

 

・商品やサービスの顧客が存在しており、売上が安定してきている
・社内に中~大人数のチームがある
・利益を生み出す仕組みが検証され始めている

 

しかし、売上が伸びたからと言って資金不足に悩まされないわけではありません。売上が伸びると設備投資費や仕入費、人件費などが必要になるので、必要な資金が一気に増えることもあります。資金調達が間に合わず、黒字経営の状態で倒産をする(黒字倒産)企業も見られるので、安心できる状況とは言えないでしょう。

ベンチャーキャピタルからの出資が大半を占めるでしょう。とはいえ、1社のベンチャーキャピタルからに絞るのではなく、複数のベンチャーキャピタルからの出資を検討するのも良いでしょう。

ただし、グロースに差しかかった企業にはある程度の実績がありますし、事業計画の実現性や利益性も予想しやすい傾向にあります。そのため、ベンチャーキャピタルはこの段階の企業に対して積極的な出資を行っており、企業側は資金調達の手段が以前よりもさらに広がります。民間の金融機関から融資を受けやすくなる点も、資金調達がしやすくなり企業にとっては大きな変化でしょう。

株式公開(IPO)を目指すには少し早い段階ですが、株式公開を目標としている場合はこの段階で資本政策を意識することが大切です。

 

■【投資ラウンドその5】レイター(ステージC)

Katheirne Hitt

グロースを過ぎた企業は仕組みや組織などが確立し、さらに経営が安定する状態へと移ります。この段階はレイター(ステージC)と呼ばれることが多く、積み上げた実績により資金調達の難易度が下がります。ベンチャーキャピタルも投資をしやすい状態です。

レイターに差しかかった企業の主な資金調達手段としては、以下が挙げられるでしょう。

 

・金融機関からの資金調達

株式公開を目指さない場合は、メインの手段となる。
・シンジケートローンによる資金調達複数の金融機関から、同一条件で資金調達する手段。
・ストラクチャードファイナンスによる資金調達不動産などの資産や債権を流動化して、資金調達する手段。
・ベンチャーキャピタルからの出資による資金調達株式公開を目指す場合は、ベンチャーキャピタルも主な選択肢になる。

事業会社系のベンチャーキャピタルである、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)からも投資を受けやすくなる。

 

なお、レイターに差しかかった企業は経営が安定しているので、中には外部から資金調達しない企業も存在します。


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■スタートアップからEXITまでの流れ!一例をご紹介

ここまで、企業の投資ラウンドについて解説してきました。では、シードから始める起業家は、実際にどのような流れで成長を遂げるのでしょうか?

次からはよりイメージをつかみやすくするために、スタートアップからEXITまでの一例をご紹介します。

 

【その1】シード

まずは法人を設立する前に、起業家Aは以下のことに取り組みます。

 

・法人のコンセプトやビジネスプランを決める
・市場分析をして、ビジネスプランの実現性や利益率などを予想する
・ビジネスプランを事業計画書としてまとめる

 

なお、起業直後の運転資金・設備資金はもちろん、会社設立や市場分析などにもコストはかかります。しかし、仕組みが確立しておらず、実績の少ない状態では資金調達手段は限られてきます。

そこで起業家Aは自己資本に加えて、補助金・助成金制度や日本政策金融公庫からの融資を利用して起業資金1,000万円を資金調達しました。

 

【その2】アーリー(スタートアップ)

事業計画や資金計画の目途が立った段階で、起業家AはB社を設立しました。運よく商品・サービスがヒットして、ある程度の売上が生じます。

しかし、売上を安定させるには人件費や特許費研究開発費などが必要になります。そこで起業家Aは、金融機関からの借入やファクタリングに加えて、エンジェル投資家からの投資も検討し始めました。

ヒット商品を生み出した実績により、見事にB社は当面の運転資金・設備資金を調達します。資金を調達したB社は、その資金や株式の分配ストックオプションの発行などを利用して、優秀な人材の確保を目指しました。

 

【その3】エクスパンション(ステージA)

優秀な人材の確保により、経営が安定したB社。規模拡大を目指すものの、そのためには資金が不足しています。

そこで、将来的に株式公開を目指すB社が検討し始めたのは、ベンチャーキャピタルからの投資。順調に成長していることが注目され、見事にベンチャーキャピタルから3億円の投資を受けられました。経営が安定していることでベンチャーキャピタルからの信用も高いことが伺えます。

B社はベンチャーキャピタルから得た資金を使って、設備投資や支店の増加従業員の拡充などを進めていきます。

 

【その4】グロース(ステージB)

さらなる規模拡大を目指して、B社は資金調達を積極的に進めていきます。メガバンクや民間の金融機関からの評価も高まり、ベンチャーキャピタルを含む多方面から融資・出資を受ける状況へと変わります。

B社の規模拡大は順調に進み、経営や売上とともに株式価値も上昇していきました。また、株式公開を本格的に目指すために、これまで以上に資本政策に力を入れていきます。

 

【その5】レイター(ステージC)

資本などの条件が整ったB社は、いよいよ株式公開を実現。世間的な知名度も高まり、企業としてはピークの時期を迎えました。

 

上記のB社は、シードからレイターまで順調に成長を遂げました。株式価値も高まりましたが、会社経営はレイターで終わりではありません

例えば、レイターの状態から長期間停滞が続いた場合には、ベンチャーキャピタルや各投資家が保有株式を手放し、企業価値が大きく下がるリスクが考えられます。また、流行や需要の変化、思わぬトラブルなどによって業績が悪化する恐れもあるでしょう。

そこで起業家Aが考えるべきなのが、「EXIT」と呼ばれる出口戦略です。起業家Aが利益を残して会社を去るには、M&Aなどの出口戦略を前もって考えておく必要があるでしょう。


■まとめ

今回は一例などを交えて、投資ラウンドについて詳しく解説してきました。

今回ご紹介した内容が基礎知識となりますが、各投資ラウンドの名称や意味合いは、時代や地域によって異なる場合があります。例えば、「ステージA」が「シリーズA」と呼ばれるケースもありますし、「アーリー」と「ステージA」が同じ段階として考えられるケースも見られます。

今後の資金計画、経営プランを立てている方は、その点に注意しながら投資ラウンドを理解し、順調に成長を遂げられる計画を立てていきましょう。

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