ファクタリングと手形割引の違いは?両方の特徴や自社に合った資金調達方法は?

公開日:2025.6.4  |  最終更新日:2025.6.4

ファクタリングは、売掛金を売却することで早期に現金を得られる資金調達方法です。

担保や保証人が不要な点から、特に中小企業でも利用しやすい手段として注目されています。

一方の手形割引は、企業が受け取った約束手形を、満期を待たずに銀行などで買い取ってもらう方法で、比較的低コストで資金調達できる点が特徴です。

本記事では、売掛金を活用するファクタリングと、手形を現金化する手形割引について、それぞれの仕組みや手数料、審査基準、メリット・デメリットまでを詳しく解説します。

さらに、2026年に予定されている約束手形の原則廃止を踏まえ、ファクタリングが今後ますます重要になる理由についても解説します。

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ファクタリングと手形割引それぞれの仕組み

企業が資金調達を行う手段として、ファクタリングと手形割引という方法があります。

ここでは、ファクタリングと手形割引それぞれの仕組みについて解説します。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングは、企業が保有する売掛金(商品やサービスの代金)を、期日前にファクタリング会社に譲渡(売却)することで、売掛金を早期に現金化する資金調達方法です。

この仕組みを利用することで、売掛金の回収サイトが長い場合でも、早期に資金を手にすることができ、資金繰りの改善に繋がります。

ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。


2社間ファクタリング3社間ファクタリング
売掛先への通知原則不要
(通知・承諾なし)
必要
(譲渡通知と承諾を得る)
手続きスピード比較的簡単でスピーディー売掛先とのやり取りが発生するため、
2社間ファクタリングより時間がかかる
手数料比較的高い比較的安い
売掛金の回収利用企業が売掛先から回収し、
ファクタリング会社に支払う
売掛先がファクタリング会社に
直接支払う
審査の重点利用企業と売掛先の信用力主に売掛先の信用力
債権譲渡登記必要となる場合がある原則不要

2社間ファクタリングは、スピーディーかつ売掛先に知られずに利用できますが、手数料は比較的高めです。

一方で、3社間ファクタリングは、手数料が比較的低いのがメリットですが、売掛先にファクタリングの利用を知られる点や、手続きに時間がかかる点に注意が必要です。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングどちらを選ぶかは、企業の状況や優先順位(スピード、手数料、取引先との関係性など)などによって判断しましょう。

手形割引の仕組み

手形割引とは、企業が取引先から受け取った「約束手形」を、満期日(支払期日)前に銀行や手形割引業者に買い取ってもらい、現金化する資金調達方法です。

約束手形は、将来の一定期日に一定金額の支払いを約束する有価証券であり、企業間の取引において代金決済の手段として利用されます。

手形割引を利用すれば、手形の満期日を待たずに資金を調達できるため、急な資金需要に対応したり、運転資金を確保したりできます。

なお、手形割引を行う際には、満期日までの期間に応じて「割引料(利息相当額)」が差し引かれ、その残額が企業の口座に振り込まれる仕組みです。

ファクタリングと手形割引の共通点

ファクタリングと手形割引は、企業が持つ将来の金銭債権を早期に現金化する手段である点で共通しています。

また、多くのケースで担保や保証人を必要としないため、担保資産が少ない企業でも比較的利用しやすいという共通点も挙げられるでしょう。

次項で、それぞれの共通点について詳しく解説します。

売掛債権の早期現金化

ファクタリングと手形割引に共通する最大の特徴は、将来入金予定の債権を、満期日前に現金化できる点です。

ファクタリングでは、企業が商品やサービスの提供によって得た売掛金をファクタリング会社に譲渡することで、通常は数週間〜数ヶ月先に入金される代金を前倒しで受け取れます。

一方の手形割引では、取引先から受け取った約束手形を、銀行や手形割引業者に買い取ってもらうことで、支払期日を待たずに資金化できます。

いずれの方法も、将来の売上を早期に現金化することで、企業の資金繰りを安定させる手段として活用されています。

担保・保証人不要の場合が多い

ファクタリングと手形割引は、いずれも融資とは異なり、原則として担保や保証人を必要としない点も共通しています。

ファクタリングでは、売掛金の信用力や売掛先の支払い能力が審査の中心となるため、不動産などの担保や経営者の個人保証を求められるケースはほとんどありません。

手形割引も同様で、金融機関や割引業者は手形の振出人(支払い義務者)の信用力を重視して審査を行います。

そのため、手形を受け取った企業自身の担保や保証が不要となる場合が多いです。

このように、ファクタリングと手形割引は債権そのものの信用をベースに資金化できるため、担保資産に乏しい中小企業や創業間もない企業でも、比較的利用しやすい資金調達手段と言えます。

ファクタリングと手形割引の違い

ファクタリングと手形割引の主な違いは、下記の通りです。


ファクタリング手形割引
資金調達の対象売掛金
(未回収の請求債権)
受取手形
(将来の支払いが記された有価証券)
賃金業法の適用範囲原則適用されない
(売掛債権の売買のため)
一部を除き適用
(実質的に貸付と見なされるため)
償還請求権の有無原則なし
(ノンリコース契約が一般的)
原則あり
(リコース契約が一般的)
手数料・割引料売掛金に対して数%〜20%程度年率1%〜8%程度の割引料
審査基準売掛先の信用力を重視手形振出人と利用者双方の信用力を確認
資金調達スピード比較的早い
(最短即日も可能)
業者によっては日数がかかる
取引先への影響2社間:通知不要で影響なし
3社間:通知・承諾が必要

基本は通知なしのため影響しないが、
確認連絡により知られる可能性あり

会計処理「売掛債権の売却」として処理「短期借入金」として処理

次項で、それぞれの違いについて詳しく解説します。

資金調達の対象

ファクタリングでは、「売掛金」が資金調達の対象となります。

売掛金とは、企業が商品やサービスを提供した後、取引先からまだ支払われていない代金債権を指します。

一方、手形割引では、「受取手形」が対象です。

これは、取引先が将来の特定日に一定金額を支払うことを約束した有価証券で、企業が取引の代金として受け取るものです。

つまり、ファクタリングは将来受け取る予定の「売掛金」に対して、手形割引は「支払いを約束された手形」に対して行われるという違いがあります。

賃金業法の適用範囲

ファクタリングは、基本的に「売掛債権の売買」にあたるため、貸金業法の適用対象にはなりません。

これは、融資ではなく債権譲渡という形を取っているためです。

ただし、償還請求権付きのファクタリング(リコース契約)や、給与ファクタリングなど一部のケースでは、実質的に貸付と判断され、貸金業法の適用を受ける可能性があります。

一方、手形割引は、特に銀行や信用金庫以外の民間業者が行う場合、貸金業法の規制対象となります。

これは、手形割引が「手形を担保とした実質的な貸付」とみなされるためです。

そのため、手数料や金利の上限なども、貸金業法に基づいた制限を受けます。

このように、両者の法的な位置づけの違いは、利用者にとっての契約条件やリスクにも関わってくるため、利用前にしっかり確認することが重要です。

償還請求権の有無

ファクタリングの大きな特徴の1つに、「償還請求権なし(ノンリコース)」の契約が多い点が挙げられます。

これは、万が一売掛先が倒産して支払いが不能になった場合でも、利用企業がその債権を買い戻す必要がないという仕組みです。

未回収リスクは、原則としてファクタリング会社が負担します。

一方、手形割引では「償還請求権あり(リコース)」が一般的です。

つまり、手形の振出人が不渡りを起こした場合、手形を割引して資金を得た企業は、その手形を割引業者に買い戻す義務を負います。

このように、ファクタリングは未回収リスクを業者側に移転できる点で安心感がありますが、手形割引は最終的なリスクを利用企業が背負うケースが多いという違いがあります。

資金調達の際には、この点をしっかり理解して選ぶことが大切です。

手数料・割引料

ファクタリングでは、売掛金に対して一定の手数料がかかります。

一般的な相場は、下記の通りです。

  • 2社間ファクタリングの場合:8%〜18%程度
  • 3社間ファクタリングの場合:2%〜9%程度

手数料率は、契約形態(2社間か3社間か)や売掛先の信用力によって変動します。

特に、売掛先に通知しない2社間ファクタリングはリスクが高いため、3社間よりも手数料が高めに設定されるケースが多いです。

一方、手形割引では、手形の金額から満期日までの利息相当額を割引料として差し引かれます。

割引料は、手形の残存期間、振出人の信用度、市場金利などによって決まり、一般的には年率1%〜8%程度が目安です。

なお、ファクタリングは償還請求権なしのケースが多く、貸金業法の適用も原則受けないことから、手形割引よりも手数料が高くなる傾向があります。

コスト面も比較しながら、自社にとって最適な資金調達手段を選びましょう。

審査基準

ファクタリングの審査では、主に「売掛先」の信用力が重視されます。

利用企業の財務状況が厳しい場合でも、売掛先に十分な支払い能力があれば、審査を通過する可能性は高くなります。

つまり、「誰に対する債権なのか」が評価の中心です。

一方、手形割引の審査では、手形の振出人(支払いを約束する側)の信用力に加えて、手形を割り引こうとする企業自身の信用力も見られます。

これは、手形が期日に不渡りになるリスクを金融機関が回避するためです。

このように、ファクタリングは「売掛金の回収見込み」に重点を置いた審査であるのに対し、手形割引は「振出人の信用」と「申込企業の健全性」の両方が判断材料となります。

資金調達スピード

ファクタリングは、資金調達までのスピードが比較的早いのが特徴です。

特に2社間ファクタリングでは、オンラインで手続きを完結できるサービスも多く、書類が揃っていれば最短即日での入金も可能です。

これは、売掛先の情報や信用力に基づいた審査が中心であるため、迅速に判断が下せるためです。

一方、手形割引は、取引先金融機関や業者によって対応スピードが異なり、審査に時間がかかるケースもあります。

特に、初回取引の場合は、企業自身の信用調査も必要となるため、即日対応が難しい可能性もあります。

このように、即日や緊急の資金調達を重視する場合は、ファクタリングの方がスピード感のある手段と言えるでしょう。

取引先への影響

2社間ファクタリングは、原則として売掛先に通知されずに利用できるため、取引先に知られることがなく、関係性への影響もありません。

同様に、手形割引も基本的には取引先に通知されることはなく、利用しても直接的な影響はありません。

ただし、金融機関や割引業者が手形を確認するために、振出人(取引先)へ連絡するケースもあり、その場合は間接的に利用が知られる可能性があります。

また、3社間ファクタリングは、売掛債権の譲渡にあたって売掛先の承諾が必要となるため、ファクタリングの利用が取引先に必ず知られます。

その結果、資金繰りに不安を抱えていると誤解されるなど、取引先との関係性に悪影響を与える可能性もあるでしょう。

そのため、取引先への影響を最小限に抑えたい場合は、2社間ファクタリングを選ぶのがおすすめです。

会計処理

ファクタリングは、通常「売掛債権の売却」として会計処理します。

取引の内容や契約条件によっては、バランスシート上に計上されず、オフバランス処理が可能です。

一方、手形割引は、一般的に「短期借入金」として処理します。

これは、手形を担保に資金を借り入れたという扱いになるためで、企業の負債として計上します。

このように、ファクタリングは「資産の譲渡」、手形割引は「負債の増加」として扱われる点が、両者の会計処理上の違いです。

資金調達後の財務諸表への影響にも差が出るため、導入時には会計処理の違いも十分に理解しておきましょう。

手形は2026年までに原則廃止なのでファクタリングが重要になってくる

企業間の取引において長らく利用されてきた約束手形ですが、2026年を目処に原則として廃止される方向へと進んでいます。

この背景には、社会全体のデジタル化の流れや、手形取引特有の課題などが挙げられます。

次項で、約束手形が廃止になる背景と、それに伴いファクタリングが重要になる理由について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

約束手形が廃止になる背景

約束手形の廃止が進められている背景には、下記が挙げられます。

  • 紙ベースによる非効率な運用がデジタル化の流れに適していない
  • 中小企業にとって不利な商慣習となっている

これらの要因が重なり、約束手形に依存しない取引環境への移行が加速しています。

次項で、それぞれの背景について詳しく解説します。

デジタル化の流れと非効率性の問題

紙の約束手形は、印紙税の支払い、郵送作業、手作業での管理など、多くの手間とコストがかかる非効率な仕組みです。

近年では、インボイス制度や電子帳簿保存法の施行などを背景に、企業間取引のデジタル化が進んでおり、紙ベースの手形はこうした時代の流れにそぐわなくなっています。

さらに、約束手形による支払いは60日〜120日と支払い猶予が長く、中小企業の資金繰りを圧迫する原因にもなっていました。

こうした点から、手形取引の見直しが求められています。

中小企業にとっての不利な慣習

手形決済は、大企業が自社の資金繰りを優先し、支払い時期を調整する手段として利用されるケースがあり、中小企業にとっては不利な商慣習とされてきました。

また、支払いの遅延や不渡りが発生した際には、そのリスクの多くを中小企業が負うことになります。

さらに、銀行などで手形割引を利用する際には手数料が発生するため、結果的に中小企業の資金負担が重くなるという構造的な問題も指摘されています。

手形割引に代わってファクタリングが重要になる理由

ファクタリングは、手形割引と同様に売掛債権を早期に現金化できる手段であり、資金調達手段として十分に代替できます。

また、デジタルインボイスや請求書を活用した取引にも柔軟に対応できるため、紙の手形に依存しないスムーズな資金調達が可能です。

さらに、担保や保証人が不要なケースも多く、審査も比較的通りやすいため、中小企業にとっても導入しやすい資金調達手段として重要性が高まっています。

次項で、手形割引に代わってファクタリングが重要になる理由について詳しく解説します。

手形割引の役割をファクタリングが代替できる

手形割引は、約束手形の満期を待たずに、銀行などが利息や手数料を差し引いたうえで資金を前払いする仕組みで、将来の入金を早めて現金化する手段として活用されてきました。

これに対し、ファクタリングも売掛債権(請求書)をファクタリング会社に売却することで、期日前に資金化できるサービスです。

そのため、約束手形の廃止後も、ファクタリングを活用すれば、従来の手形割引と同様の資金調達の仕組みを継続できます。

デジタルインボイスや請求書ベースの取引に対応している

近年、請求書の電子化やクラウドサービスの活用が進み、取引のデジタル化が加速しています。

ファクタリングは、紙の手形を必要とせず、デジタルインボイスなど電子化された請求書に基づいて資金調達ができるため、現代のビジネス環境に適した手法です。

一方、手形割引は紙の手形が前提となるため、デジタル化が進む中ではその役割を果たしにくくなり、今後はファクタリングの重要性がより高まっていくと考えられます。

中小企業でも利用しやすい

手形割引は、銀行などの金融機関による審査が厳しく、実質的に融資に近い扱いとなるため、中小企業にとっては利用のハードルが高い場合があります。

一方、ファクタリングは、利用企業よりも売掛先の信用力を重視して審査を行う傾向があるため、設立間もない企業や財務状況に不安のある企業でも利用しやすいのが特徴です。

こうした審査の柔軟性から、ファクタリングは中小企業にとって現実的で利用しやすい資金調達手段として注目されています。

ファクタリングを利用するメリットと注意点

手形割引に代わる資金調達手段として注目されているファクタリングですが、利用する際にはそのメリットと注意点をしっかりと理解しておきましょう。

ファクタリングは、資金調達のスピードが早く、担保や保証人が不要といったメリットがある一方で、手数料が高くなる場合や悪質な業者が存在するなどの注意点があります。

次項で、ファクタリングのメリットと注意点について詳しく解説します。

ファクタリングのメリット

ファクタリングの主なメリットは、迅速かつ柔軟な資金調達が可能な点です。

審査から入金までのスピードが早く、最短で即日資金を確保できるケースもあり、急な資金ニーズにも対応しやすいのが特徴です。

また、担保や保証人を必要としないため、資産や信用力に不安がある企業でも利用しやすく、与信への影響も最小限に抑えられます。

さらに、償還請求権のない(ノンリコース型)契約であれば、売掛先が倒産した場合でも返済義務を負う必要がない点もメリットの1つです。

次項で、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

資金調達スピードが早い

ファクタリングは、売掛金の有無や売掛先の信用力を重視して審査を行うため、融資と比べて審査に時間がかからず、スピーディーに資金を調達できるのが特長です。

特に、オンラインで手続きが完結するサービスであれば、申し込みから最短即日で資金化が可能なケースもあり、急な支払いにも素早く対応できます。

このスピード感は、資金繰りの悪化を未然に防ぎ、ビジネスの機会損失を減らすうえでも大きなメリットと言えるでしょう。

担保・保証人不要

ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡(売却)して資金を得る仕組みであり、融資とは異なり原則として担保や保証人を必要としません。

そのため、不動産などの担保資産がない中小企業や、設立間もないスタートアップでも、売掛金があれば資金調達が可能です。

また、経営者の個人保証も求められないため、万が一の際のリスクを抑えられます。

担保や保証に依存せずに資金調達できる点は、企業にとって大きな安心材料と言えるでしょう。

取引先の信用情報に影響を与えにくい

2社間ファクタリングでは、売掛先に通知せずに資金調達ができるため、取引先との関係に影響を与えるリスクがほとんどありません。

一方で、3社間ファクタリングでは売掛先の承諾が必要なため、取引先にファクタリングの利用を知られます。

取引先との関係性に配慮し、できるだけファクタリングの利用を知られたくない場合は、2社間ファクタリングを利用しましょう。

償還請求権がない

ファクタリングの多くは、償還請求権なし(ノンリコース)の契約が一般的です。

これは、万が一売掛先が倒産し、売掛金が回収できなくなった場合でも、ファクタリング会社がその損失を負担し、利用企業に買い戻しを求めない仕組みです。

そのため、利用企業は売掛金回収のリスクから解放され、資金繰りへの不安を軽減しながら本業に専念できます。

ファクタリングの注意点

ファクタリングを利用する際は、手数料が比較的高額になる場合がある点に注意が必要です。

また、不当な契約や高額な手数料を請求する悪質な業者も存在するため、契約内容や業者の信頼性を十分に確認したうえで利用しましょう。

次項で、それぞれの注意点について詳しく解説します。

手数料が高い場合がある

ファクタリングは売掛金を早期に現金化できる便利な資金調達手段ですが、利用にあたっては「手数料」が発生します。

この手数料は、下記によって異なります。

  • ファクタリング会社の方針
  • 契約条件
  • 売掛先の信用力
  • 売掛金の金額
  • 支払いサイトの長さ

特に、2社間ファクタリングや信用力の低い売掛先を対象とする場合は、手数料が高くなる傾向があります。

手数料の高さは、資金調達コストを増加させ、企業の利益を圧迫する可能性があります。

そのため、複数のファクタリング会社から見積もりを取り、手数料の内訳や総コストを慎重に比較検討することが重要です。

また、手数料があまりにも高すぎる場合は、他の資金調達手段も検討しましょう。

悪質な業者も存在する

ファクタリング業界には、残念ながら悪質な業者も存在します。

法外な手数料の請求、不明瞭な契約内容、不利な条件の押し付け、さらには強引な取り立てといったトラブル事例も報告されています。

また、ファクタリングを装って実質的に高利貸しを行う悪徳業者も存在するため、注意が必要です。

こうした業者と契約してしまうと、資金繰りが悪化するだけでなく、法的トラブルや企業の信用失墜に繋がるリスクもあります。

ファクタリング会社を選ぶ際は、会社の信頼性や実績、利用者の口コミ、契約内容の透明性などをしっかり確認しましょう。

不安がある場合は、弁護士や中小企業診断士といった専門家に相談するのもおすすめです。

手形割引を利用するメリットと注意点

手形割引は、古くから企業の資金調達手段として利用されてきました。

ファクタリングと比較検討するうえで、手形割引のメリットと注意点も把握しておきましょう。

手形割引は、比較的低い割引料で資金調達が可能であり、銀行との取引を持つことができるというメリットがあります。

一方で、下記のような注意点もあります。

  • 不渡リスクがある
  • 信用情報に影響を与える
  • 金額を分割して利用しにくい

次項で、手形割引のメリットと注意点について詳しく解説します。

手形割引のメリット

手形割引は、比較的低い割引料で資金調達ができるため、コストを抑えて現金化できる点がメリットです。

また、主に銀行などの金融機関との取引となるため、信頼性が高く、安心して利用しやすい資金調達手段と言えます。

次項で、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

比較的低い割引料で資金調達が可能

手形割引は、一般的に割引期間が短いため、割引料を比較的低く抑えられる傾向があります。

これは、手形が将来の支払いを約束する有価証券であり、振出人の信用に裏付けられているため、金融機関にとって一定の安全性があると判断されるためです。

その結果、資金調達コストが融資やファクタリングなどに比べて低くなるケースも多いです。

ただし、割引料は手形の振出人の信用力や市場金利によって変動するため、常に低いとは限りません。

銀行との取引になる

手形割引は、主に銀行や信用金庫といった金融機関が取り扱っています。

銀行と取引を持つことで、企業の信用力向上や経営支援に繋がるメリットがあります。

例えば、手形割引の実績が将来的な融資に有利に働いたり、銀行から経営に関する有益な情報やアドバイスを受けられる場合もあるでしょう。

また、銀行は信頼性が高く、安心して取引できる点もメリットと言えます。

手形割引を通じて、金融機関との信頼関係を築くことは、長期的な資金調達の選択肢を広げるきっかけにもなります。

手形割引の注意点

手形割引にはいくつかの注意点があります。

まず、振出人が支払い不能になった場合、手形を受け取った企業が代金を返還する義務を負う「不渡リスク」があります。

また、手形割引の利用は信用情報に記録されるため、他の金融取引に影響を与える可能性にも注意が必要です。

さらに、手形は原則として一括での取引となるため、必要な金額だけを分割して資金化することが難しいという制約もあります。

次項で、それぞれの注意点について詳しく解説します。

不渡リスクがある

手形割引は、手形の振出人(支払いを約束した側)の信用力を前提に資金化する仕組みですが、満期までに振出人の経営が悪化したり、倒産するリスクは常にあります。

万が一、不渡り(期日までに支払いが行われないこと)が発生した場合、手形を割り引いた企業は、金融機関や割引業者から代金の返済や手形の買い戻しを求められます。

つまり、手形割引には資金を早期に受け取れるメリットがある一方で、最終的な支払いリスクを利用企業が負うという点に注意が必要です。

信用情報に影響を与える

手形割引は融資ではありませんが、金融機関によっては企業の借入金とみなされることがあります。

特に、頻繁に手形割引を利用している場合や、割引額が大きい場合は、企業の資金繰りに対する依存度が高いと判断され、信用評価にマイナスの影響を与える可能性があります。

また、割引に出した手形が不渡りになった場合、その情報が信用情報に記録され、今後の融資審査などに不利に働く可能性も否定できません。

このように、手形割引の利用は、直接的な借入ではなくても、企業の信用状況に間接的な影響を与える可能性があるため注意しましょう。

金額を分割して利用しにくい

手形は基本的に一枚単位で取引されるため、手形割引も原則としてその全額が対象となります。

例えば、100万円の手形を保有していて30万円だけ資金が必要な場合でも、部分的に割引に出すことは一般的にできません。

必要額にかかわらず、手形全体を割引に出して、その分の割引料を支払う必要があります。

このように、必要な金額に応じて柔軟に資金を調達することが難しい点は、手形割引のデメリットの1つと言えるでしょう。

ファクタリングは手形割引とは違い銀行以外の優良業者も多い

手形割引は、主に銀行や信用金庫などの金融機関が担うことが一般的です。

これらの金融機関は、銀行法や貸金業法といった規制のもとで手形割引サービスを提供しています。

一方で、ファクタリングは「売掛債権の売買」にあたるため、手形割引ほど厳密な金融規制の対象とはならず、銀行以外の多くの民間事業者が参入しやすい環境です。

そのため、ファクタリング業界には、銀行系の子会社に加えて、独立系の優良専門業者も多数存在し、企業の多様な資金ニーズに対応する柔軟なサービスを展開しています。

なお、信頼できるファクタリング会社を選ぶために知っておきたいポイントは、下記の通りです。

  • 料金体系が明確であるか
  • 長年の運営実績や利用者からの評価が高い会社であるか
  • 契約内容や手続きについてわかりやすく説明してくれるか
  • 償還請求権なし(ノンリコース)の契約であるか
  • 強引な勧誘をしないか

ファクタリング会社を選ぶ際は、これらの点を踏まえて複数の会社を比較検討することが大切です。

疑問や不安がある場合は、遠慮せずに質問し、納得したうえで契約を進めましょう。

ファクタリングと手形割引の違いについてよくある質問

ここでは、ファクタリングと手形割引の違いについてよくある質問をまとめました。

ファクタリングの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ファクタリングの仕訳方法は?

ここでは、実務でよく使われる「売掛債権をファクタリング会社に譲渡して資金化するケース」を中心に解説します。

例えば、2社間ファクタリングを利用して売掛金100万円をファクタリングし、手数料5万円が差し引かれて95万円が入金された場合の仕訳例は、下記の通りです。

借方貸方
現金または普通預金950,000円売掛金1,000,000円
売上債権売却損50,000円

使用している会計ソフトに「売上債権売却損」の勘定科目がない場合は、「支払手数料」や「雑損失」などの勘定科目で処理するケースもあります。

3社間ファクタリングの場合は、基本的な仕訳は2社間ファクタリングと同じですが、売掛先からの入金確認など、3社間特有の仕訳が発生するケースがあります。

これらの仕訳例はあくまで一例です。

実際の仕訳処理は、自社の会計方針や税理士との相談に基づいて行いましょう。

ファクタリングと手形割引の手数料・割引率の相場は?

ファクタリングと手形割引では、手数料の計算方法や相場が異なります。

ファクタリングの手数料相場は、下記の通りです。

  • 2社間ファクタリング:売掛金額の8%〜18%程度
  • 3社間ファクタリング:売掛金額の2%〜9%程度

手数料率は、売掛先の信用力、売掛金の金額、支払いサイト、契約期間などによって変動します。

一般的に、2社間ファクタリングの方が手数料は高くなる傾向があります。

手形割引の割引率の相場は、下記の通りです。

  • 年利:1%~8%程度
  • 金融機関(銀行・信用金庫など):年利1%~4%程度
  • 手形割引業者:年利4%~8%程度

割引率は、手形の期間、振出人の信用力、市場金利などによって変動します。

どちらの資金調達方法を選ぶにしても、複数の業者から見積もりを取り、手数料や割引率を比較検討することが重要です。

ファクタリングとでんさいの違いは?

ファクタリングとでんさいの主な違いは、下記の通りです。


ファクタリングでんさい
(電子記録債権)
主な目的売掛金の早期現金化による資金調達安全・効率的な電子的決済手段の提供
(資金調達も可能)
対象債権売掛債権
(請求書に基づく債権)
電子的に記録された金銭債権
仕組み債権をファクタリング会社に
譲渡し現金を受け取る
でんさいネットに登録された債権を
電子的に譲渡・決済
法的位置づけ債権売買契約電子記録債権法に基づく制度
資金化までのスピード早い(最短即日対応も可能)登録から期日まで一定の猶予あり
審査の対象売掛先の信用力が重視される振出人の信用力が重視される
担保・保証人不要
(ノンリコースが基本)
原則不要
(ただし金融機関の判断による)
柔軟性債権単位・金額単位での
選択が可能
一部譲渡・分割・担保設定など
電子的に対応可能
利用しやすい企業中小企業やスタートアップ企業ある程度与信力のある企業

簡単に言えば、ファクタリングは「売掛金を早く現金に換える」ためのサービス、でんさいは「電子的な債権管理と決済のインフラ」です。

資金調達を重視するならファクタリング、取引の効率化やペーパーレス化を重視するならでんさい、といったように、自社の目的に合わせて使い分けると良いでしょう。

ファクタリングと手形割引の必要書類は?

ファクタリングに必要な書類は、下記の通りです。

区分

詳細
法人確認書類商業登記簿謄本
印鑑証明書代表者の本人確認書類
(免許証やパスポートなど)
売掛債権に関する書類売買契約書
発注書
納品書
請求書
売掛先の会社概要など
財務状況を示す資料決算書確定
申告書納税証明書など
入金口座に関する情報銀行口座の通帳コピー
口座情報など
その他2社間:事業計画書債権譲渡登記承諾書
3社間:売掛先からの承諾書など

オンライン完結型のファクタリングサービスを利用した場合は、書類提出が簡略化される場合があります。

手形割引に必要な書類は、下記の通りです。

区分

詳細
法人確認書類商業登記簿謄本
印鑑証明書代表者の本人確認書類
(免許証やパスポートなど)
割引を希望する
手形の原本
左に同じ
手形の振出人に関する情報振出企業の会社概要など
財務状況を示す資料決算書
納税証明書など
取引口座情報銀行口座の届出印通帳
キャッシュカードのコピーなど
その他手形割引に関する契約書など

手形割引では、「手形原本の提出」が必須となる点が、ファクタリングとの大きな違いです。

いずれの方法でも、申込み前に必要書類を事前に確認しておくことで、スムーズに手続きを進められます。

不明点がある場合は、事前に各サービス提供会社に相談すると安心です。

ファクタリングと手形割引はどちらを選ぶべき?

ファクタリングと手形割引どちらを選ぶべきかは、優先したいポイントによって異なります。

下記のポイントを参考に、自社に最適な方法を検討しましょう。

優先したいポイントおすすめ手段
早期資金調達・スピード重視ファクタリング(2社間)
売掛先への通知を避けたいファクタリング(2社間)
担保・保証人なしで資金調達したいファクタリング
コストや安心感を重視手形割引
信用力の高い手形を保有している手形割引

まとめ

ファクタリングと手形割引は、いずれも企業が保有する債権を早期に資金化できる便利な資金調達手段です。

しかし、その仕組みや対象債権、法的な位置づけ、コスト、リスクなど、多くの点で違いがあります。

手形割引は、割引料が比較的低く、銀行との関係構築にも繋がる一方、不渡りリスクや信用情報への影響、金額を分割して活用しづらい点が課題です。

一方、ファクタリングは、スピーディーな資金調達や担保・保証人が不要などのメリットがある一方で、手数料が高くなるケースや悪質な業者のリスクにも注意が必要です。

2026年には約束手形の原則廃止が予定されており、これまで手形割引を活用してきた企業にとって、代替手段の検討が求められます。

その中で、ファクタリングは、デジタルインボイスなどの電子取引にも対応できる柔軟な資金調達方法として、今後ますます注目が高まると考えられます。

どちらを選ぶべきかは、資金調達のスピード、コスト、取引先との関係性、信用力、リスク許容度といった自社の状況を総合的に見極めたうえで判断することが大切です。

本記事が、資金繰りの選択肢を考えるうえでの一助となれば幸いです。

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