起業家・投資家向けコラム(個人事業主)

個人事業主が消費税を納めるのは売上1000万円から!計算方法や手続きなどをわかりやすく解説!

登録日:2020.3.30   |  最終更新日:2020.4.8


この記事は以下のような疑問を持つ個人事業主の方に向けています。

「個人事業主で消費税を納税しないといけない人ってどんな人?」
「消費税ってどこで支払って、どうやって計算するの?」
「個人事業主の消費税に関して注意点が知りたい」

個人事業主であれば、所得税について話す機会は多いと思います。しかし、消費税についてはあまり話題に上がらないのではないでしょうか。個人事業主として活動し始めは、消費税の支払い対象となる方は少ないですからね。

消費税に関して無関心でいると、いざ納税対象となったときに支払い方法や計算方法で困ります。また、近年は軽減税率をはじめとする様々な改革が進められており、消費税に関して個人事業主が知っておくべき情報が出てきています。今後の活動に大きく影響を及ぼす可能性のある変更もあるので無視できるものではありません。

そこで、個人事業主の消費税に関する情報を徹底的にまとめました。

具体的には以下の項目について解説します。

  • 個人事業主が消費税を納税する条件
  • 消費税の支払い方法
  • 消費税の計算方法
  • 消費税の還付を受ける方法
  • インボイス方式について理解しておかないと仕事がなくなるかも

この記事を読んでもらえば、消費税の取り扱い方や、今後どのように動いていくべきかが分かります。サクッとよめるようにまとめているので是非参考にしてみてください。


個人事業主が消費税を納税しなくてはいけない条件とは?免税事業主と課税事業主の違いを理解しよう


個人事業主の消費税についてまず理解しておきたいのは、消費税納税の義務がある個人事業主と、消費税を納税しなくてもよい個人事業主がいるという点です。納税の義務がある個人事業主を課税事業主、義務がない個人事業主を免税事業主といいます。

課税事業主と免税事業主はどのような条件で分かれているのでしょうか?もう少し掘り下げてみましょう。

【個人事業主で消費税の納税義務アリ】課税事業主


個人事業主のうち、消費税を納める必要があるのが課税事業主です。課税事業主として扱われる条件は以下の3つ

  1. 基準期間の売上高が1000万円を超えている
  2. 前年の1月1日から6月30日までの売上高が1000万円を超えている
  3. 自ら課税事業主となる手続きを行っている

上記の条件を1つでも満たしていれば課税事業主となります。それぞれについて補足しますね。

【条件1】基準期間の売上高が1000万円を超えている

まず1つめの「基準期間の売上高が1000万円を超えている」についてです。ここでいう基準期間とは、消費税を納める年の2年前を指しています。2年前に1000万以上稼いでいたら、納税の年に売上高が1000万以下でも消費税を納税しなくてはいけません。

1つ目の条件では、個人事業主として活動をはじめてから2年間は元となる基準期間が存在しないということが言えます。つまり、事業を開始してから2年間は納税の義務が発生しません。


ここで注意していただきたいのが、あくまで売上高であるという点。所得ではありません。例えば、年間の所得は300万円だけど、売上高は1100万円だから消費税を納税しなくてはいけないケースもあるということです。

【条件2】前年の1月1日から6月30日までの売上高が1000万円を超えている

次に、2つ目の条件である「前年の1月1日から6月30日までの売上高が1000万円を超えている」について補足していきます。注目したいのが前年であるという点。1つ目の条件のように2年前ではありません。

売上高が1000万円を超えている時点で課税事業者として扱われることが確定しているものの、短期間で1000万円以上稼いでしまうとことで適応されるタイミングがはやくなってしまうということですね。

【条件3】自ら課税事業主となる手続きを行っている

3つ目の条件である「自ら課税事業主となる手続きを行っている」について解説していきます。実は「消費税税事業者選択届出書」を提出することで、1と2の条件に当てはまっていなくても課税事業主となることが可能です。

これを聞いて「自ら課税事業主になるメリットなんてあるの?」と思う方もいるでしょう。ケースバイケースですが、課税事業主となったほうがよい場面も存在します。


わざわざ課税事業主になるメリットってあるの?と思うかもしれません。ケースバイケースですが、課税事業主になったほうが得する場合もあります。メリットについては別の項目で触れていますが、還付金とか、インボイス方式に対応するために課税事業主になっておくのはアリです。

一度課税事業主になったら一定期間は免税事業主に戻れないので注意しましょう。

【個人事業主で消費税を納める義務ナシ】免税事業主


免税事業主は、消費税を納める必要のない個人事業主のことです。課税事業主でない個人事業主はすべて免税事業主として扱われるため、免税事業主になるためにこれといった条件があるわけではありません。

強いて条件あげるとするなら、課税事業主から免税事業主に戻る場合に届け出が必要となることです。


免税事業主が抱える疑問に「納税する義務がないのに消費税を請求していいのか?」というものがあると思います。結論からいうとOKです。納税の必要がないので、消費税分は利益になりますよね。免税事業主は利益は徴収しても問題ないとされているからです。ちなみにこれを「益税」といいます。

ではなぜ、消費税を課税する事業主と課税しない事業主が存在するのでしょうか?理由は、消費税の計算に手間がかかってしまうことにあります。計算方法については、後程詳しく説明します。

消費税の計算に時間がとられて、本業がおろそかになってしまう状況は好ましくないです。そこで、一定のラインを設けることで売上げの少ない事業主の負担を軽減しようという狙いがあります。

このように、免税事業主は消費税の納税の義務がない個人事業主のことをいいます。

個人事業主が納める消費税の計算方法は2通りある


ここからは、個人事業主が納める消費是の計算方法についてみていきますね。

消費税の計算方法は以下の2つに分けられます。

  1. 一般課税制度
  2. 簡易課税制度

どちらも重要な計算方法なので両方押さえておきましょう。では以下で詳しくみていきます。

【個人事業主の消費税計算方法1】一般課税制度

消費税計算のベースとなるのが、一般課税制度です。一般課税制度の計算方法は以下3つの手順で行います。

  1. 「売上高」と売り上げを出すためにかかった「仕入高」を調べる
  2. 「売上高」と「仕入高」の消費税を算出する
  3. 「売上高」の消費税から「仕入高」の消費税を引く

課税事業主は売上高の消費税をそのまま納付するわけではなく、売上高の消費税から仕入高の消費税を引く必要があります。この点が消費税の計算をややこしている原因です。上記の3手順をもとに例を出してみます。

例えば、売り上げが10000円、仕入れに3000円かかったとしましょう。このときの消費税を10%で計算します。

すると売上高の消費税は1000円、仕入高の消費税は300円です。

1000円-300円=700円となり、支払う消費税は700円となります。


また、2019年の10月から適応される軽減税率により消費税が10%と8%で混在することになります。一般課税制度による消費税計算はさらに手間がかかりますね。

【個人事業主の消費税計算方法2】簡易課税制度

上記で述べたとおり、一般課税制度は手間が多く、事業主のへの負担が大きい計算方法です。そこで、事業主の負担を減らすために簡易課税制度というものが存在します。

簡易課税制度とは仕入高の消費税計算を省略して消費税の計算を行う方法。仕入高の消費税計算が楽になれば結果的に消費税の算出も楽になります。

簡易課税制度では「みなし仕入れ率」をつかって計算します。みなし仕入率とは、簡易課税制度を利用するために業種ごとに決まっている税率のこと。みなし仕入れ率をもとに売上高から仕入高の消費税をおおまかに計算します。分かりにくいとおもうので実際に例を出してみますね。

例えば小売業を営んでいて、みなし仕入れ率が80%であったとしましょう。

売上高の消費税が1000円であった場合、みなし仕入れ率80%によって仕入高の消費税を800円とします。あとは売上高の消費税から仕入高の消費税を引くだけなので1000円ー800円=200円が課税される消費税です。

このように、売上高の消費税さえわかれば仕入高を調べずに消費税の計算が可能になります。

業種ごとのみなし仕入れ率は以下のとおり。以下は国税庁から引用。

  • 第一種事業 卸売業など 90%
  • 第二種事業 小売業など 80%
  • 第三種事業 農業や林業など 70%
  • 第四種事業 飲食業など 60%
  • 第五種事業 運輸通信業 50%
  • 第六種事業 不動産業 40%


【国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm】

簡易課税制度を利用する場合は「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出します。2年間は強制適用なので、簡易課税制度を利用する場合はよく考えてから行うようにしましょう。

ちなみに、基準期間の売上高が5000万円を超えていると簡易課税制度は利用できません。

個人事業主が消費税を支払う方法


個人事業主は1月1日~12月31日の間に発生した売上高をもとに消費税を計算し納付を行います。期限は翌年の3月31日までです。

前年に支払った消費税の金額が48万をこえる場合は中間納税をおこなう必要があります。前年、まとまった消費税を支払っている事業主は、今年もある程度の消費税支払いが想定されるからですね。

個人事業主が消費税の還付を受け取る方法


事業を行っていると必ずしも、売上高が仕入高を上回っているとは限りません。設備投資などで仕入れ高の方が高くなる場合もあります。その場合、上記の計算方法で課税される消費税を計算するとマイナスになりますよね。例えば、売上高の消費税が500円で仕入高が1000円である場合、500円-1000円は-500円になります。

このように、消費税の払い過ぎが発生してしまうケースが考えられますよね。その場合は税務署から還付を受けられます。

ただし、消費税の還付を受けられるけられるのは消費税の支払いを行っている課税事業主のみ。免税事業者は還付を受けられません。あらかじめ多額の仕入れが考えられる場合は、あえて課税事業主になっておいた方がよいかもしれません。

また、簡易課税制度を利用している場合も還付がうけられません。簡易課税制度の計算方法では、仕入高が高くなることはありません。

消費税が免除されている個人事業主が知っておくべき「インボイス方式」とは?


2023年の10月から「インボイス方式」という制度が導入されるのですがご存じですか?別名「適格請求書等保存方式」ともいいます。インボイス方式を知っていないと、今後取引できる相手が限られてくる可能性があるので必ず知っておくべきです。

インボイス方式とは、事業者が発行した番号に登録番号を付けて発行する方式。登録番号が付けられている請求書を適格請求書といいます。適格請求書を発行できるのは課税事業主のみです。言い換えると、課税事業主はインボイス方式を利用できるが、免税事業主はインボイス方式を利用できません。

実は今後、インボイス方式で発行された請求書でしか取引相手は消費税を控除できなくなるんです。つまり、インボイス方式を利用していない個人事業主との取引をやめようという流れが発生する可能性があります。個人事業主取引する側としては消費税を控除できる相手と取引を行った方がいいですよね。

今後、インボイス方式の請求書を発行できることが取引を行うか否かのひとつの基準になる可能性は大いにあります。

とくにtoBビジネスを行っている事業主には影響が大きいでしょう。

経過措置として、インボイス方式で発行されていない請求書も2026年9月までは消費税該当額の80%までは控除してよいとされています。2026年10月~2029年9月までは50%。

例えば、外注に10万円かかったとしましょう。外注費は仕入高として扱われます。このとき消費税率が10%であれば外注費用の消費税は1万円なので、外注費の税込金額は11万円です。従来は消費税分1万円は消費税の計算にそのまま使えました。しかし、インボイス方式がはじまってしまうと消費税分を計算に利用できません。

しかし、急にインボイス方式に事業者が対応できるとは限りません。発注側も受注側も困ってしまうでしょう。そこで、インボイス方式でなくても従来の80%までは期限付きで認めるようにしようという話です。今回の場合だと1万円の80%である8000円は今までどおり認められるということですね。


このように、インボイス制度は課税事業者しか利用できないため、今後は免税事業者の方が不利になる可能性が高いです。現在個人事業主である方は、タイミングをみて課税事業主への変更が必要となるでしょう。

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