開業医の平均年収は勤務医の1.7倍!あなたが開業医になるメリット・デメリット3つ
公開日:2018.3.20 | 最終更新日:2019.10.26

医師として働く上で、いつかは自分の病院を開業したいと思っている人は多いでしょう。勤務医は毎月給与が支払われて生活は安定していますが、働く病院の方針やルールに従わなければならず、中には医局の人間関係に悩んでいる人も少なくないようです。
開業医になると、自分の理想の病院を作って患者さんに向き合うことができ、病院で働くスタッフも自分で面接して採用することができます。
一方、開業医ならではの問題点や悩みも出てくるでしょう。たとえば、医師の仕事だけに専念できないことや、自分で患者さんを集めてくる必要があることなどが挙げられます。勤務医として働いていたときには気づくことのないできごとに直面することも多々あります。
ここでは、医師の開業を20年支援してきたプロが開業医ならではのメリットやデメリットをご紹介します。この記事を読めば開業医として成功し、医師としての大きなキャリアップが見込めるでしょう。
■開業医と勤務医の大きな違いは?
病院と雇用契約を結んで働く勤務医に対して、自分で病院を経営するのが開業医です。勤務医の場合は毎月給料が支払われますが、開業医は病院で利益を上げた分だけ収入に還元される事業収入となります。開業医は勤務医に比べて収入が多く、平均的に見て約1.7倍ともいわれています。
収入アップを目指して開業を決意する人も少なくないでしょう。ただし、開業医は病院の経営者として全ての責任を自分で負わなければならず、資金面においてもリスクを抱えることになります。
また、勤務医は医療に専念することができますが、開業医は医師としての仕事だけでなく、病院全体のマネジメント業務にも携わることになります。
■開業医になれば年収1億円も目指せる
開業医の平均年収は2500万円。
一般に開業医で保険診療だけを行うと、1日40名の患者さんを見ると年収2000万に届くと言われています。この時点で勤務医時代から年収アップする方も多いかもしれません。
ただし、得意な自由診療があればさらに高収入を目指すことができます。
患者さんの悩みが深い分野の自由診療項目が得意で、医院の売りにできれば年収1億円も見えてきます。
実際に、不妊治療やアンチエイジング、レーシック治療などに提供する項目を絞っている方のなかには、年収1億円を超える方もいらっしゃいます。
開業医は、非常に夢のある仕事だと言えるでしょう。
■開業医になるメリットって何?
勤務医として働く人の中には、開業医を目指す人が多いようですが、その理由として収入がアップすることが挙げられます。経営に携わることができるため、よりやりがいを感じるという人もいるでしょう。ここでは、開業医になるメリットを詳しく見ていきます。
【メリット1】収入アップになる
開業医は勤務医に比べて収入が格段にアップします。厚生労働省が実施した調査によると、下記の表のようなデータがあります。単純に、開業医は勤務医の約1.7倍の収入を得ていることになるのです。収入アップを目的に開業医を目指す人も少なくないでしょう。ただし、これはあくまで経営がうまくいったときの場合です。開業医は自分で病院の経営も行うため、経営がうまくいかないと安定した収入を得ることはできません。
| 勤務医 | 約1479万円(月123万円) |
| 法人の開業医 | 約2530万円(月211万円) |
| 個人の開業医 | 約2458万円(月205万円) |
勤務医の場合は、勤務先の病院と雇用契約を結んで給与が決まっているため、どれだけ患者数が増えても給料は変わりません。一方の開業医は、患者数が増えれば増えるだけ収入アップにつながります。
これは医師としてもモチベーションアップにもなるでしょう。さらに、開業医の場合はさまざまな支払いを経費として扱うことが可能です。たとえば、自家用車を往診に使う際には按分して経費に計上することができ、交際費や接待費、書籍の購入費なども経費とすることができます。
経費などを考慮すると、勤務医と開業医が同じ収入の場合、相対的には開業医の方が所得が高くなります。
【メリット2】理想的な医療が実現できる
医師を目指して学んでいるときから、自分の理想の医療を夢見てきた人は多いでしょう。しかし、患者のためにどんな医療が可能なのかと考えていたものの、実際に勤務医として働くと病院側のルールや方針に従わなければならず、時には対立することも少なくありません。勤務医は病院に雇われているため、最終的には病院の決定に従うことになります。その点、開業医になれば自分の理想の医療を追求することができます。 開業医は病院の経営者でもあるので、自分で病院の方針を決めることができるというメリットがあります。
病院の方針に賛同するスタッフを雇い入れることができるため、ストレスも比較的少ないのが特徴です。また、勤務医の場合は勤務時間も決まっていますが、開業医の場合は診療時間を自分で決めることができます。働き方によっては当直を少なくしたり、学会の日は休診にしたりなど自由裁量で仕事を進めることが可能です。
【メリット3】経営にやりがいを感じられる
開業医には医師・経営者・管理者の3つの役割があるといわれています。医師の仕事だけでなく、病院をうまく運営していく経営者としての手腕、スタッフを教育・管理する管理者としての能力も求められます。特に、経営者としては、全ての決定権があるのと同時に、全ての責任を自分で負わなければなりません。
運営がうまくいかなくなったら負債を抱えるというリスクも負うわけです。
勤務医として働く場合は医師の業務に専念できますが、開業医は経営にかかわることもできるので、人によってはよりやりがいを感じることができるでしょう。
■開業医になるデメリットとは?
開業医にはさまざまなメリットがありますが、同時に開業医ならではの問題点もあります。勤務医として働いていたときには気づかなかった、経営者の大変さを身にしみて感じるでしょう。では、どんなデメリットがあるのかご紹介します。
【デメリット1】代診がいない
開業医には法人経営と個人経営がありますが、個人経営の場合だと医師が自分一人というところが多く、代わりの医者がいないというデメリットがあります。もし、自分が体調不良で休んだり、学会に参加することになったりしたときには、病院を休みにするしかありません。本来なら診療可能である日に急遽病院が休みになると、急患で治療を必要としている患者さんは困ってしまうでしょう。勤務医の場合は、他の医師が代診で対応してくれるので安心です。
【デメリット2】集患対策を自分で行う必要がある
勤務医の場合、病院に来てくれる患者さんに対応していれば毎月の給与がもらえるシステムです。しかし、開業医になると患者さんからの診療報酬で病院が運営されて、自分やスタッフの給与が支払われるため、患者さんの数が病院の経営に直結します。特に、開業したてのときは周辺地域の人にも知られていないので、集患対策をとる必要があります。
集患対策としては、ホームページ作成や広告、予約システムの導入などが挙げられます。 ホームページを持っている病院は多いと思いますが、診療時間だけを記載しているような簡単なものでは病院の魅力が伝わりません。
病院の雰囲気やスタッフの顔がよく分かる写真、地図付きのアクセス方法、院長の挨拶、病院の方針などを詳しく掲載することで、患者さんに安心感を与えることができます。
今はスマートフォンを使用して病院検索をする人も多いので、スマホ対応のページを作ることも重要です。忙しい人のために、予約システムの導入を検討するのもいいでしょう。オンラインで予約ができると、集患率がぐっと上がります。
また、開業医は地域に密着した医療を行うという特徴があるため、地域の情報誌でPRする、イベントや講演会などに参加するなどして、知ってもらうことも必要です。
【デメリット3】患者のクレームや訴訟に直接対処する必要がある
開業医は医者であるのと同時に病院の経営者(責任者)でもあります。もし、何らかのトラブルが発生した場合には、すべて自分が責任を負わなければなりません。患者からのクレームや医療過誤が起きた場合の訴訟の対応など、全面的に対処する必要があります。スタッフがミスをした場合でも、経営者である自分が責任を負うことになるでしょう。
勤務医の場合は、たとえ医療過誤を起こしてしまったとしても、病院という盾があり守ってもらえます。
■開業医に向いている人材とは?
勤務医として経験を積んだら誰でも開業医になれるわけではありません。なりたいかなりたくないかだけでなく、向き不向きや資金面の問題もあるでしょう。ここでは、一般的にどんな人が開業医に向いているのかを見ていきます。
マネジメント能力のある人
開業医になるためには、医療の知識や技術だけでなく、病院を総合的にマネジメントしていく力が必要です。どういった病院にしていきたいのかを設計をする、資金計画を立てる、金融機関に融資の交渉をする、税金対策を行うなどの実務が圧倒的に増えます。
また、一緒に働くスタッフを採用して教育することも大切な仕事です。自分は患者さんの治療に専念したいという人は勤務医の方が向いているでしょう。
高いコミュニケーション能力がある人
医師にとって欠かせないコミュニケーション能力。具合の悪い患者さんの話をしっかりと聞き、ちょっとした変化にも敏感に気づく繊細さが求められます。そのため、医師の何気ない言動や思いやりのない態度で傷つき、二度とその病院を訪れなくなるといったケースもよくあります。病院に勤務している場合には、患者さんが減ってもそんなに気にならないかもしれませんが、開業医ともなると患者さんが減ることは死活問題です。
さらに、一緒に働くスタッフとも円滑な人間関係を築くことが必要です。経営者は時としてワンマンになりがちですが、自分の考えをスタッフに押し付けてばかりいては、長続きしないでしょう。院内の雰囲気も悪くなり、患者さんが離れていくことにつながります。
スタッフ一人一人の意見もきちんと聞き、みんなで病院を盛り上げていくことが大切です。
向上心がある人
勤務医の中には、何らかのビジョンを持って開業を決意する人が多いのではないでしょうか。自分の理想の医療を提供したい、収入をアップさせたいなどを理由にする人が多いようですが、地域や社会にもっと直接的に貢献したいという人もいるでしょう。
病院を開業するためには理想だけでなく、経営などのシビアな面も多々あります。
それを乗り越えてやるといった強い志のある人にこそ開業医は向いています。 また、開業医になっても、学会に参加して研究発表をしたり、新しい治療法について勉強したりと、常に向上心を持ってスキルアップを目指すことが求められます。
■開業医へなるために必要なのは?
開業医へなるためには、思いつきではなく長期的な計画が必要です。医師としての経験に始まり、資金計画や実際の手続きなど、必要な手順を一つ一つクリアしていきましょう。ここでは開業医へなるためには何が必要なのかをご紹介します。勤務医としての経験
医師免許を取得して経験もないまま、すぐに開業医になろうと考える人はいないでしょう。まずは、勤務医として病院で働き、さまざまな経験を積むことが大切です。勤務医と開業医の一番の違いは、経営に携わるかどうかですが、医師としての経験がまだ浅い時期に、病院の運営に関わる実務までこなせるはずがありません。
勤務医としてしっかりと経験を積み、医師として自信をつけた後に開業を考えることになります。
将来に備えた自己資金の用意
病院の開業ともなると、物件の取得から内装・外装費、医療機器の導入などと、かなりまとまった資金が必要になります。開業時に金融機関や公的機関から資金を借り入れたり、助成金に頼ったりする人も少なくありません。しかし、開業してすぐは患者さんの流れも読めず、安定した経営ができるかどうか不安に感じることが多いでしょう。
そんなときに借入額が大きいと、借入金の返済のことまで心配することになります。 うまく経営が軌道に乗ればいいですが、そうでないと借入金の返済のために働かなくてはいけない状況になりかねません。
そうならないためにも、勤務医として働く間にできるだけ自己資金を貯蓄しておくと安心です。病院の経営面だけでなく、自分の生活の面においても蓄えがあると精神的負担を減らすことができます。
計画の立案と行動
自分の理想の医療を追い求めて開業を目指す人が多いですが、実際に開業するとなると具体的な計画が必要です。頭の中のイメージを形にするためには、まずしっかりとした開業計画を立てましょう。特に重要なのが病院のコンセプトの決定です。どんな診療をするのか、病院の規模は、ターゲットとなる患者はなど、病院の核となる部分を固めておきましょう。
その後、病院の場所・物件の決定、資金調達(融資など)、病院の外装・内装、医療機器の導入と続きます。資金調達や税金対策などについては、専門家に相談すると安心です。
病院として開業するためには、各種申請や届け出が必要になります。まずは、診療所開設届を申請しましょう。診療所開設届は、開設後10日以内に病院開設予定地管轄の保健所に届け出、保健所の立会い検査が行われます。
この申請が終わった後に、病院で保険診療ができるようにする保険医療機関指定申請を行います。
こちらは診療所開設届が受理された後でなければ、申請することができません。病院開設予定地管轄の厚生局へ届け出てください。
開業前にはスタッフの面接や教育を行う、集患活動を行うなどのステップがあります。準備が全て整ったら晴れて開業できます。
■開業医で稼ぐためにオススメの科5つ
ここまで読み進めて開業医になって稼ぎたいと考えて始めた方に、オススメを5つ紹介します。
将来開業医で稼ぎたい方は、勤務医時代にこれらの技術を培っておくと役立つでしょう。
医師免許を持っていれば歯科と麻酔科以外は表記することができますが、専門外の科目を標榜すると信用問題に関わります。
あくまで、自分の専門科目を表記するようにしましょう。
■【開業医で稼ぐためにオススメの科その1】総合診療科
特に地方で開業を考えている人におすすめなのが、総合診療科。
複数の疾患を持つ高齢者が増加していることにより、包括して診療をおこなう総合診療科の需要は高まっています。
開業する地域に密着した診療ができれば、かかりつけドクターとして活躍できるでしょう。
病気の早期発見や健康維持のためのアドバイスをおこなうことができるため、幅広い年代に対応できるのも特徴です。
総合診療専門医は2018年にスタートしたばかりなので、まさにこれから目指すのにオススメの専門領域といえるでしょう。
■【開業医で稼ぐためにオススメの科その2】リハビリテーション科
高齢化社会が進むについて、リハビリテーション科のニーズも高まるでしょう。リハビリテーション科の医師はすでに供給が足りていないため、これから始めるにもぴったりです。
リハビリテーション科では特定の臓器や疾患を対象としているわけではありません。寿命が伸びた今、筋肉や関節の機能が落ちて日常生活に支障をきたす患者は年々増えています。健康的寿命を伸ばすためにお金を使う先はリハビリ科であり、その内容自体の需要も増加していくことでしょう。
入院期間を短縮し、リハビリを介入させることで医療費を削減するという国の方針も後押しし、稼ぎやすい科になると考えられます。
■【開業医で稼ぐためにオススメの科その3】美容皮膚科
皮膚科は収益率が高く、緊急外来の可能性も少ないという特徴をもっています。特に自由診療をおこなう美容皮膚科では、高収入を期待できるでしょう。
美容皮膚科のなかでもアンチエイジングのためのボトックス注射やレーザー治療は、定期的に行う患者の多い治療です。リピーターが多いため、一度患者を確保できれば安定した収入が見込みやすいは大きなメリットでしょう。
口コミで評判を広げることができれば、高収入を見込みやすい診療科です。
■【開業医で稼ぐためにオススメの科その4】美容整形外科
美容整形外科の平均年収は4000〜5000万円といわれており、間違いなく稼ぎやすい診療科と言えるでしょう。
ただし開業人気も高いので、美容整形外科として成功したい場合は内容を絞って差別化するのがオススメです。手広く対応していると返って技術が低いのではないかという印象を与えることもあります。
人気のある二重まぶたや脂肪吸引などの中から専門を決めて実績を積んだ方が評判は広がっていくでしょう。
■【開業医で稼ぐためにオススメの科その5】精神科・心療内科
心療内科の開業は一旦落ち着いたとも言われていますが、いまだにニーズの高い分野です。
厚生労働省によれば、ストレスを抱えることによる精神疾患の患者数は392万人にものぼっており、年々増えています。また、高齢化社会により認知症患者も急増していくことでしょう。
国は精神障害患者に対して、地域と精神科医療機関、福祉関係者でケアしていくシステム構築の必要性を掲げています。地域の連携病院が日常の医療を担うことを求めているので、さらに医師が必要になると考えられます。
地域と繋がって支えていける精神科・心療内科医は、幅広い年代から必要とされ稼げるでしょう。
■開業医になるならメリットを最大限に活かそう
開業医になれば、理想の医療を追求することができる上に、病院の経営責任者としても活躍することができます。勤務医として十分に経験を積んだ後、さらなる収入アップを目指して開業を考える人もいます。患者さんやスタッフなどとも、今まで以上に密接な関係を築いていくことが必要なので、やりがいを感じる場面も増えるでしょう。
開業医になることで得られるメリットはたくさんあります。事前にしっかりと準備をして、失敗のない開業を目指しましょう。
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