銀行融資を引き出す事業計画書の作成10のポイント!

公開日:2017.7.31  |  最終更新日:2025.3.13



銀行融資に申し込むと審査が実施されますが、審査で確認されるのは企業のこれまでの実績だけではありません。銀行の立場からすると、「今後の事業に成功しなければ返済財源を確保できない」と考えるはずなので、銀行は企業の将来性にも着目します。

そこで重要になってくるのが、申し込み時に提出をする「事業計画書」です。事業計画書は企業の今後の方針や将来性を判断するにはぴったりな書類であり、魅力的な事業計画書を作成できれば融資の可能性はぐっと高まります。

そこで今回は、銀行融資における事業計画書作成のポイントをご紹介します。今後起業を考えている方やすでに起業家として活動されている方は、この記事を参考に事業計画書の書き方をマスターし、銀行融資を成功させましょう。

■【事業計画書のポイントその1】必須項目を把握しておく

事業計画書には、特に決められた形式や書き方はありません。インターネット上にテンプレートはいくつか公開されていますが、一般的にはそのようなテンプレートを参考にしながら、経営者・起業家自身が自由に作成することになります。

しかし、決められた形式や書き方がないとは言っても、記載が必須となる項目はいくつか見られます。まずは、そのような必須項目から確認しておきましょう。

 

・事業の目的や動機単なる目的や動機ではなく、熱意が伝わるように「融資というリスクを負ってまで、なぜ事業を始めたかったのか」を意識しながら記載することが重要。
・経営者(起業家)の略歴等経営者のこれまでの経歴を記載する。経営者の能力や人柄を伝える部分になるので、可能な限り細かく記載することが望ましい。
・取り扱う商品やサービス事業の主力となる商品・サービスを記載する。各商品・サービスの内容だけでなく、事業全体に対する売上割合も記載することが望ましい。
・取引先や取引関係の情報販売先や仕入先、外注先など、事業を進めるにあたって取引を行う企業などを記載する。従業員を雇う場合は、従業員に給与を支払うサイクル(給料日など)を記載することも重要。
・従業員に関する情報自社に属する従業員を、社員とアルバイト・パートに分けて記載する。
・借入状況他の金融機関から融資を受けている場合は、各金融機関の名称と借入金額を記載する。資金使途や年間返済額なども記載し、具体的な状況を伝えられるように工夫をすることがポイント。
・必要資金と調達方法その事業を始めるにあたって、必要になる資金とその内訳を細かく記載する。
・事業の見通し事業の見通しとして、簡単な損益計算を記載する。

 

以上が事業計画書の基本的な項目になります。ただし、上記でご紹介した項目を全て含んでいれば、問題がないというわけではありません。前述の通り事業計画書の形式は自由であるため、状況に合わせて項目を増やしたり、さらに詳しく記載をしたりすることが必要です。

ほかにどのようなポイントを意識するべきなのかについて、以下の見出しから詳しく見ていきましょう。

■【事業計画書のポイントその2】5W1Hを意識する

事業内容を記載する際に、より多くの情報を記載しようとして複雑になってしまっているケースは少なくありません。しかし、銀行の担当者に説明できる時間は限られているので、事業内容は分かりやすくシンプルに伝えることが重要でしょう。

そこで意識しておきたいのが、「5W1H」です。下記の5W1Hを意識して事業計画書を作成すれば、余計な情報を省いてシンプルに事業内容を伝えられるでしょう。

 

・What?消費者に対して、どのような商品・サービスを提供するのか。商品・サービスの概要を上手にまとめる。
・When?市場に参入するタイミングはどこなのか。それ以外に、利益を確保できるタイミング、商品・サービスのライフサイクルなどもまとめることが望ましい。
・Where?どの市場をターゲットにするのか。市場分析の結果を踏まえて、なぜその市場を選んだのかなどもまとめておく。
・Why?なぜその事業を始めたのか?目的や動機に加えて、企業理念などもまとめておく。
・Whom?どのような層をターゲットにするのか。ターゲット層の性別や年齢層、地域などをまとめる。
・How?どのような方法で事業展開していくのか。

 

上記の6項目を全て意識すれば、計画している事業のイメージがはっきりとしてくるはずです。逆に、上記の項目のうち何かが欠けている場合は、作成した事業計画に穴がある可能性が高いので注意しておきましょう。

■【事業計画書のポイントその3】事業のコンセプトを記載する

事業のコンセプトは、その事業を進める上で軸となるものです。このコンセプトが定まっていないと、状況が変わった時にどのような対策をとるべきか迷ってしまい、間違えた選択肢を選んでしまう可能性が高まります。

そのため、どのような事業であってもコンセプトは必須と言えるでしょう。コンセプトに関しては、競合他社を分析した上で決めることが大切です。競合他社と全く同じコンセプトにすると、知名度や資金力の差で顧客を奪われてしまう恐れがあるためです。

コンセプトは事業の方向性を決めるものなので、銀行の担当者も気にするポイントでしょう。「なぜこのコンセプトにしたのか」を合理的に説明できるように、競合他社や市場の分析をきちんと行った上で、ぴったりなコンセプトを見つけるようにしましょう。

 

■【事業計画書のポイントその4】事業が成功する理由を書く

魅力的、理想的な事業計画書を作成しても、銀行の担当者から「実現性が低い」と判断されてしまえば意味がありません。実現しなければ予定していた利益は生じませんし、銀行側からすると返済財源も確保できないためです。

そのため、事業計画書には事業の内容だけではなく、その事業が成功する理由や背景も記載しましょう。事業に関連する事象は業種ごとに異なりますが、以下で挙げる事象は多くの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

①政府の動向、法律の改正
②人口動向
③円安や円高
④技術革新
⑤流行

 

ただし、⑤の流行については、時間の経過とともに過ぎ去る恐れがあるので注意が必要です。流行に依存し過ぎた事業を計画すると、「流行が過ぎ去ると赤字が膨らむ」と判断されてしまう可能性があります。

■【事業計画書のポイントその5】顧客のメリットを記載する

どのような商品・サービスを提供しても、顧客にとってメリットがなければ利益にはつながりません。ほとんどの消費者は、「メリットがある」と判断しないと商品・サービスを購入しないためです。

企業が売上を安定させるには、顧客の獲得が必須と言えます。したがって、顧客側のメリットもきちんとまとめておき、「自社が顧客を獲得できる理由」を説明できるようにしておきましょう。

顧客のメリットとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。 

①商品・サービスの価格
②商品・サービスの品質や利便性
③店舗の立地や従業員の配慮など、商品・サービス以外の魅力

 

顧客のメリットを見つける際には、もちろん競合他社を意識することが重要です。競合他社よりメリットが小さければ、消費者は当然競合他社の商品・サービスを選ぶためです。

もし顧客のメリットをこの時点で見つけられない場合は、提供する商品・サービスの魅力が少ない可能性があるでしょう。このようなケースに関しては、事業計画を見直す努力が必要になります。

■【事業計画書のポイントその6】販売戦略・ビジネスモデルを明確に記載する

実際の事業は、魅力的な商品・サービスを開発して終わりではありません。いくら魅力的な商品・サービスを開発しても、その評判が広がらなければ売上にはつながらないのです。

したがって、販売戦略・ビジネスモデルも事業計画書には記載する必要があるでしょう。 

・販売戦略商品・サービスの開発から、顧客に知ってもらい購入に至るまでの戦略。
・ビジネスモデル代金回収や利益が生じる仕組みなど、その事業を長期間続けられる要因やフローチャート。

 販売戦略やビジネスモデルは、文章のみで記載をすると長文になり、分かりにくくなってしまう恐れがあります。そのため、図やフローチャートなどを用いて、シンプルにまとめることを意識しましょう。

■【事業計画書のポイントその7】社内体制を分かりやすく記載する

計画した事業を円滑に進めるには、社内体制を整える必要があります。事業によって適した社内体制は異なってくるので、計画に最適な社内体制を事前に考えておき、図などを用いながら分かりやすく記載しておきましょう。各従業員の役割分担や、社内の意思決定の流れなどを図にしてまとめると、銀行の担当者に分かりやすく伝えられるはずです。

社内体制は複雑になっているケースが多いので、経営者自身が理解しているつもりであっても、第三者から見ると「分かりづらい」といったケースは少なくありません。「ひと目でどのような体制か分かるようにする」ことを意識して、きれいにまとめることが大切です。 

■【事業計画書のポイントその8】短期間だけではなく、長期間の計画を記載する

商品・サービスを開発し、1年ほど売上が良好な状態を続ける企業は世の中に数多く見られます。しかし、その状態を5年以上続けるとなると難易度は跳ね上がり、数年後に急激に売上が落ちるケースは珍しくありません。

これは、消費者の需要や流行の変化競合他社の出現などが要因として挙げられます。売上が落ちると企業は資金繰りに悩み、最終的には倒産というリスクが潜んでいるので、銀行側も短期的な計画のみを重視することはありません。

会社が今後何十年後も残っていくためには、長期的な財務計画・事業計画が必須です。少なくとも、3年先~5年先を見据えた計画でなければ、担当者から高い評価を受けることは難しいでしょう。

そのため、今計画している事業だけではなく、3年後~5年後のビジョンもきちんと考えましょう。需要が変化した時にどう対応するのか、流行が去った時にどう転換するのかなどを事業計画に含めておけば、「将来のこともきちんと考えている会社である」と評価が高まる可能性があります。 

■【事業計画書のポイントその9】毎月の返済プランを記載しておく

銀行は融資をする際に、「きちんと返済してもらうこと」を何よりも重視します。貸し倒れのリスクは何よりも避けたいと考えているので、返済プランを練っていない経営者は評価されません。

そのため、銀行から融資を受けた場合の返済プランもきちんと記載しておきましょう。毎月の返済額だけではなく、返済プランでは以下の情報を盛り込むことが重要です。 

①返済財源は何なのか。
②毎月の返済日に、十分な現金を確保できているのかどうか。
③返済開始から完済までの流れ。

 

例えば、毎月の利益から返済金額を捻出する場合は、試算表や資金繰り表などを用いて十分な利益があることを説明しなければなりません。返済財源がきちんと確保できていれば銀行側としても安心できるので、ひと目で返済財源が分かるようにしておきましょう。

■【事業計画書のポイントその10】全ての数字を説明できるようにしておく

銀行に提出をする事業計画書には、多くの数字が記載されているはずです。自己資本やこれまでの実績だけではなく、今後の資金繰りや売上予想など、将来に関する数字も多く記載されているでしょう。

では、銀行の担当者がこれらの数字を見た場合に、素直に全ての数字を信じてくれるでしょうか?答えはノーです。

事業計画書の数字通りに実際の事業も進むのであれば、世の中に倒産をする企業はほとんど存在しません。実際に事業を進めた結果、事業計画書とは異なる数字になっているからこそ、倒産をする企業が存在しているのです。

したがって、銀行の担当者をしっかりと説得できるように、事業計画書の全ての数字を説明できるようにしておきましょう。例えば、以下のような方法を実践すれば、事業計画書に記載した数字に根拠を持たせることができるはずです。

 

①数字を記載する前には、きちんと分析や実験を行う。
②予想が必要な部分については、可能な限り統計を用いる。
③競合他社や同業者の経営状態を確認し、その結果を参考にしながら計算をする。

 

②の統計に関しては、政府が公表しているものなど信用性が高い統計を使用することが重要です。信用性が低い統計では説得力が上がらないので、その点に注意しながら使用する統計を選ぶようにしましょう。

 

■まとめ

銀行は貸し倒れのリスクを防ぐために、申込人の細かい情報までチェックします。その中でも特に事業計画書は重要であり、事業計画書で上手にアピールをすることができれば、融資の可能性はぐっと高まるはずです。

今回ご紹介した事業計画書の書き方を参考にし、丁寧に作成していきましょう。

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