借り上げ社宅にすべき7つのパターンとメリット・デメリット!家賃負担や節税・社会保険料もわかりやすく解説!

公開日:2019.6.30  |  最終更新日:2025.3.19

住居関係の福利厚生として、最近「借り上げ社宅」が注目されています。従来の社宅や住宅手当よりも、メリットが多いと話題です。特に、節税効果が期待されています。

しかし、本当でしょうか?どういうカラクリで節税になるのでしょうか?正しく理解しておかなければ、損をしてしまう可能性があります。

そこで本記事では、「借り上げ社宅」「社有社宅」「住宅手当」「家賃補助」を比較し、それぞれの特徴をまとめました。
特に次のような方にはおすすめです。

  • 本当に節税になるのか確かめたい
  • とにかく1番得する方法を聞きたい
  • 企業と従業員のメリット・デメリットを知りたい

会社・社員の双方にメリットがあるなら、すぐにでも取り入れるべきです。ぜひ本記事を参考にしてください。

 


借り上げ社宅とは『民間所有の社宅』。意味や家賃の仕組みを解説!


社宅とは『会社が社員へ貸し出す住居』

社宅とは、企業が自社の社員へ貸し出す住居のことを言います。住居の形状に規定はなく、マンション・アパート等の集合住宅や、一戸建ての場合もあります。

社宅が用意されている場合でも、入居は強制ではなく、希望者のみが社宅に住むのが一般的となっています。社宅には主に2種類あり、「借り上げ社宅」はそのうちの1つです。

借り上げ社宅とは『会社で所有していない社宅』

借り上げ社宅とは、民間の賃貸マンション等を会社が借りて、それを社宅として社員へ貸すことを言います。1棟全部を会社で借り上げる場合もあれば、マンションの1室のみの場合もあります。

借り上げ社宅のオーナー(所有者)は、会社とは関係のない個人の大家さんや、不動産会社です。そのオーナーと会社との間で、賃貸契約を交わす形となります。

借り上げ社宅の『会社負担と社員負担の差額』は実質的な家賃補助!

借り上げ社宅の賃料については、会社が、大家さんへ家賃全額をまず納めます。そして、社員から毎月一定額を家賃として徴収します。

<借り上げ社宅の家賃例>
・物件家賃:9万円
・社員負担分(社宅家賃):5万円
・差額分:4万円

上記の例の場合、会社から物件オーナーへ9万円納め、社員は毎月5万円を払います。差額分の4万円は会社が負担する形となります。

実質的には、社員は差額分の支援を受けているのですが、形式上は、会社から社員へ現金の支給はありません。むしろ、社員から会社へ家賃を支払っている形となるのが、社宅の特徴です。

この場合、差額分(4万円)は会社の経費(福利厚生費)として計上されます。

会社負担分と社員負担分の割合は、法律上の定めはありません。借り上げ社宅へ入居する際は、負担割合と金額を、事前に会社へ確認しておきましょう。

借り上げ社宅・社有社宅・住宅補助の違いは『所有者』と『現金支給の有無』


社宅には、以下の2種類があります。

借り上げ社宅
社有社宅

また、住居に関する福利厚生には、社宅以外に下記2つの住宅補助があります。

住宅手当
家賃補助

借り上げ社宅とこれらの違いを、具体的に説明していきます。

借り上げ社宅と社有社宅の違いは『社宅の所有者』

社有社宅とは、土地・建物を自社で所有している社宅のことです。
借り上げ社宅と社有社宅には、以下のような違いがあります。

 借り上げ社宅社有社宅
土地・建物の所有者(オーナー)民間(個人の大家さんや不動産会社)会社(自社)
賃貸契約の当事者民間オーナー会社会社と社員
家賃の支払い・会社からオーナーへ全額支払い
・会社が社員負担分を徴収
・会社が社員負担分を徴収

社員負担分の家賃を毎月徴収するのは、どちらも同じです。

社有社宅は、借り上げ社宅と比べた場合に、以下のような特徴があります。

 借り上げ社宅社有社宅
物件の購入・建設費(初期投資)物件オーナー負担会社負担(莫大な金額)
民間オーナーへの月額賃料会社負担なし
毎年の固定資産税物件オーナー負担会社負担
維持管理・修繕費物件オーナー負担会社負担

借り上げ社宅では、会社から建物所有者(オーナー)へ家賃を支払います。

それに対し、社有社宅は自社所有なので、会社が支払う月額賃料はありません。ただし、最初に建設・購入する際の資金は数千万円かかることが想定されます。融資を利用して建てた場合には、金融機関への毎月の返済が生じます。

また、維持管理・修繕費や固定資産税等は、所有者である会社の負担となります。

借り上げ社宅と住宅補助の違いは『現金の支給の有無』

住宅補助とは、社員が支払っている家賃等の一部を、会社が金銭で援助することを指します。具体的には、「住宅手当」などの名目で、給与に上乗せして支払われます。

借り上げ社宅と住宅補助には、以下のような違いがあります。

 借り上げ社宅住宅補助
賃貸契約の当事者民間オーナーと会社民間オーナーと社員
家賃の支払い・会社からオーナーへ全額支払い
・会社が社員負担分を徴収
・社員からオーナーへ全額支払い
会社から社員への現金(手当)支給なし(家賃負担の差額分で支援)あり
会社から社員への住居(社宅)の提供ありなし

借り上げ社宅と住宅補助の『税金・社会保険料』の違い

前述の「借り上げ社宅」の場合、実際には現金を支給せずに、家賃の差額分で支援をしていました。それに対して「住宅補助」は、社員に金銭を支給するというのが大きな違いです。

家賃を援助するという意味では同じですが、この2つは、税金面で違いがあります。

住宅手当を支給すると、税制上は「実質的な給料アップ」として扱われます。つまり、給与金額をもとに決める所得税・住民税・社会保険料の金額が高くなるのです。社員の負担だけではなく、会社が負担する社会保険料も増えます。

それに対し、借り上げ社宅の場合、会社から社員への手当支給はありません。そのため、給与アップとはみなされず、税金や社会保険料の負担も増えないのです。

借り上げ社宅と住宅補助の『物件探し・賃貸契約』の違い

「借り上げ社宅」の場合は会社から部屋を提供されますが、「住宅補助」の場合は、社員が自分で物件を探します。不動産業者と自ら賃貸契約を結び、家賃も管理会社へ直接支払います。

会社は賃貸契約に一切関与せず、家賃の一部を補助するという形です。

住宅補助の『住宅手当』と『家賃補助』の違い

「住宅補助」には、「住宅手当」「家賃補助」と呼ばれるものがあります。どちらも、給料に上乗せして現金を支給するという点は同じです。

実は、この2つには明確な区別がなく、法律上の扱いに違いはありません。そのため、各企業で定義や呼び方が違うというのが現状です。

しかし、一般的には下記のように使い分けている傾向があります。

家賃補助賃貸住宅の家賃の一部を補助する
住宅手当所帯持ちまたは持ち家の場合に、住宅費用の一部として支給する

税制上の違いもなく、どちらも「給与アップ」の扱いとなります。

借り上げ社宅のメリット9選をわかりやすく解説!【企業・会社側】


借り上げ社宅は、企業側・従業員側の双方に多くのメリットがあります。導入する以上は、お得に活用できるよう、メリットを理解しておきましょう。

<企業・会社側のメリット>
1.法人税の節税・社会保険料の軽減ができる
2.初期投資を低額におさえられる
3.維持管理費・修繕費の負担が少ない
4.固定資産税の支払いがない
5.物件管理の手間・人件費が少ない
6.転勤者の負担軽減・事務所移転への対応が可能
7.社員満足度の向上・求人募集でのアピールが可能

【借り上げ社宅のメリットその1】法人税の節税・社会保険料の軽減ができる

住宅手当と違い、借り上げ社宅による支援は、税制上で給与アップとみなされません。そのため、社会保険料の増額はありません。実質的に同じ金額を援助するなら、住宅手当よりも、借り上げ社宅の方が負担を軽減できます。

また、借り上げ社宅で家賃の一部を会社負担とする場合、福利厚生費として経費に計上できます。

<借り上げ社宅の家賃例>
・物件家賃:9万円
・社員負担分(社宅家賃):5万円
・会社負担分(家賃の差額分):4万円

上記の例の場合、会社負担分の4万円が、経費(福利厚生費)として計上されます。経費が増えると、会計処理上、会社の利益が減ります。その結果、納める法人税が少なくなり、節税につながるのです。

【借り上げ社宅のメリットその2】初期投資を低額におさえられる

社有社宅のように、自社で土地建物を所有する場合は、資金が莫大にかかります。規模にもよりますが、土地購入と社宅建設で、数千万円はかかることが予想されます。

それと比べて、借り上げ社宅の場合は自社で建設する必要がありません。月額賃料を払えば、既に建っている建物を利用することができます。初期投資を最低限に抑えられるのは、借り上げ社宅のメリットです。

【借り上げ社宅のメリットその3】維持管理費・修繕費の負担が少ない

社有社宅の場合、維持管理費・修繕費は所有者である会社の負担となります。

例えば、備え付けの機械器具の修理や、経年劣化・耐用年数による設備の入れ替えなどは、入居者ではなく所有者負担で行わなければなりません。また、建物自体に大規模修繕が必要な場合は、多額のコストがかかります。

一方、借り上げ社宅であれば、維持管理・修繕費は原則として物件オーナーの負担です。契約内容によっては、月額賃料に修繕費等が含まれる場合もあります。それでも、すべてを自社でまかなうことと比べたら、わずかな負担金額で済みます。

【借り上げ社宅のメリットその4】固定資産税の支払いがない

固定資産税は、土地・建物の所有者に支払い義務があります。

そのため、社有社宅の場合は、初期投資以外に毎年の固定資産税がかかります。固定資産税の金額は一定ではなく、土地や建物の資産価値が高い程、納める税額も高くなります。

その点、借り上げ社宅であれば、固定資産税オーナーの負担です。

【借り上げ社宅のメリットその5】物件管理の手間・人件費が少ない

社有社宅の場合は、建物の維持費だけでなく、物件管理の手間や人件費もかかります。

トラブルや緊急時の対応・各種点検の実施や立会い・清掃や衛生管理など、業務内容は多岐に渡ります。物件管理のノウハウがあれば良いですが、不動産関係の知識がない場合は大変です。

その点、借り上げ社宅であれば、物件管理オーナーや不動産会社が行ってくれます。自社での管理項目は、家賃の徴収など、最小限で済みます。

【借り上げ社宅のメリットその6】転勤者の負担軽減・事務所移転への対応が可能

拠点が複数あり、転勤が多い企業の場合、社宅があると社員の負担を軽減できます。転勤のたびに物件を探す労力や、そのつど敷金・礼金を払う金銭的負担が生じないためです。それにより、転勤の希望や快諾が増える可能性もあります。

さらに、社有社宅ではなく借り上げ社宅であれば、会社の負担も少なく済みます。仮に全拠点の近くに社宅を建設するとなると、数億円単位の費用がかかってしまいます。でも借り上げ社宅なら、必要に応じて借り、不要になれば解約すれば良いのです。

また、事務所移転の際にも同じことが言えます。借り上げ社宅の場合、移転場所に合わせて新たな物件を借りるという、柔軟な対応が可能です。

【借り上げ社宅のメリットその7】社員満足度の向上・求人募集でのアピールが可能

福利厚生が充実していると、やはり社員は満足感があります。

住居費の援助があるだけでも充分ですが、税金や社会保険料の増額がなく、補助だけを受けられるとなれば、さらに満足度は高まります。そういう意味で、借り上げ社宅は社員にとってもお得な制度です。

そして、社員満足度の高い福利厚生があるという点は、求人募集でもアピールできます。その結果、より優秀な人材の確保が可能となります。

借り上げ社宅のメリット9選をわかりやすく解説!【従業員・社員側】


<従業員・社員側のメリット>
8.所得税・住民税の節税・社会保険料の軽減ができる
9.相場よりも安い家賃で借りられる

【借り上げ社宅のメリットその8】所得税・住民税の節税・社会保険料の軽減ができる

借り上げ社宅による家賃支援は、税制上で給与扱いとなりません。そのため、給与金額をもとに決定される所得税・住民税・社会保険料の負担は増えません。

さらに、社員負担分の家賃を給料から天引きしてもらうと、もっと節税ができます。個人が支払う所得税は、所得×税率で決まります。その計算のベースとなる「所得」が、家賃天引きによって、少なくなるのです。そうすると、納める所得税も減ります。

借り上げ社宅は、会社と社員の双方にとって節税効果のある福利厚生です。

【借り上げ社宅のメリットその9】相場よりも安い家賃で借りられる

借り上げ社宅は、会社が物件所有者へ月額賃料を納め、社員はその一部を負担する形となります。そのため、同じ物件を社員個人で契約するよりも、家賃が安くなるのが一般的です。

支払う家賃よりも高い水準の物件に住めるので、利便性や精神面での充実など、日常生活でもメリットを得られます。

借り上げ社宅のデメリット7選をわかりやすく解説!【企業・会社側】


借り上げ社宅には、メリットだけでなくデメリットも当然あります。しかし、メリットでカバーできる点もあるため、よく理解して、上手く活用することが大事です。

<企業・会社側のデメリット>
1.月額賃料の支払いがある
2.途中解約の違約金の負担がある
3.空室時の家賃負担がある
4.資産価値がない
5.第三者への貸し出しや二次利用は不可

【借り上げ社宅のデメリットその1】月額賃料の支払いがある

借り上げ社宅の場合、物件オーナーへの月額賃料が毎月発生します。ローン返済とは違い、払い終わることがないというのがデメリットです。

社有社宅であれば自社所有なので、会社が払う賃料はありません。ただし、初期投資が莫大にかかるか、融資で建てた場合には毎月の返済が生じます。

そのため、借り上げ社宅の月額賃料が必ずしも損になるとは言えません。

【借り上げ社宅のデメリットその2】途中解約の違約金の負担がある

借り上げ社宅の場合、民間との賃貸契約なので、一般的には契約期間を定めることが多いです。そのため、社宅が不要になり途中解約した場合、違約金が生じるケースもあります。

一方、社有社宅なら違約金は発生しません。必要な時だけ借りられる手軽さが借り上げ社宅の良さですが、こうしたデメリットも存在します。

【借り上げ社宅のデメリットその3】空室時の家賃負担がある

借り上げ社宅が不要になった際に、解約せず、そのまま賃貸し続ける選択肢もあります。例えば、社員が退職や転勤により退去した後、次の社員が入居するまで空室にしておくケースです。

その場合、解約の違約金は発生しませんが、会社で借り上げている以上、空室でも月額賃料は払わなければなりません。空室時は社員からの家賃徴収もないので、費用は全額会社負担となります。

しかし、社有社宅だと空室時でも維持管理費がかかるため、いずれにしても、空室のリスクは多少あります。

【借り上げ社宅のデメリットその4】資産価値がない

社有社宅の場合は、自社所有なので土地や建物が会社の資産となります。それと比べて、借り上げ社宅は第三者の持ち物です。月額賃料を払い続けてもオーナーの収入となるだけで、会社の資産にはなりません。

【借り上げ社宅のデメリットその5】第三者への貸し出しや二次利用は不可

社有社宅では、空室となった場合に、第三者へ貸し出して家賃収入を得ることが可能です。また、社宅以外の目的での二次利用など、有効活用ができます。

ところが、借り上げ社宅ではそれができません。賃貸契約では、決められた目的以外での利用や、第三者への転貸は、契約違反となります。自社の社員を住まわせる社宅として契約した以上、他の目的には利用できません。

ただし、社有社宅の場合も、第三者への貸し出しや二次利用は、管理運営が煩雑になるなどの難しさがあり、簡単ではありません。

借り上げ社宅のデメリット7選をわかりやすく解説!【従業員・社員側】


<従業員・社員側のデメリット>
6.退職時に退去しなければならない
7.間取り・立地の自由度が低い

【借り上げ社宅のデメリットその6】退職時に退去しなければならない

借り上げ社宅は、会社の福利厚生で借りている物件なので、退職した場合は退去しなければなりません。しかし、退去せずに住み続けられる可能性も、全くない訳ではありません。

会社の名義で契約している物件を、自分の個人名義で契約し直すことができれば、退去しなくても済みます。ただし、これには物件所有者・勤務先との協議や手続きが必要です。

退職時期がわかっているなら、前もって話し合いを進めておきましょう。また、退去する場合は、早めに次の住居を確保しておくことをおすすめします。

【借り上げ社宅のデメリットその7】間取り・立地の自由度が低い

借り上げ社宅の物件探しは、会社と従業員のどちらが行うか、決まりはありません。会社側で物件を指定する場合、社員は間取りや立地等を選べません。

また、社員が物件探しをするケースでも、会社から条件を提示されるため、自分の要望をすべて叶えるのは難しいです。社宅として提供を受ける以上、ある程度は妥協せざるを得ません。

とは言え、場所も間取りも変えられない社有社宅と比べると、借り上げ社宅の方が、選択の余地はありますね。

借り上げ社宅にすべき7つのパターンを紹介!


それぞれのメリット・デメリットをふまえると、以下のパターンでは借り上げ社宅を選択すべきと言えます。

1.節税社会保険料の軽減をしたい
2.社宅用の物件をまだ所有していない
3.維持管理費・修繕費用を低額で済ませたい
4.物件管理の労力・人件費をおさえたい
5.転勤や事務所移転の可能性がある
6.社員満足度を上げたい
7.社員満足度を上げたい

借り上げ社宅には違約金や月額賃料というデメリットはありますが、自社で建設するコスト維持管理費と比べたら、圧倒的にメリットの方が多いです。

また、住宅手当・家賃補助の支給は、会社・従業員の双方に税金や社会保険料の負担があります。節税につなげるなら、住居系の福利厚生は「借り上げ社宅」を選択するべきでしょう。

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