売掛債権担保融資の審査を通す5つのコツ!売掛金の債権流動化であなたも資金繰り改善!

公開日:2017.6.2  |  最終更新日:2025.3.12



-あなたの会社に売掛債権はありませんか?

売掛金には担保としての価値があり、債権を第三者に売却する(債権流動化)ことで融資を受けるケースは多々見られます。このような融資制度は「売掛債権担保融資(ABL)」と呼ばれており、売掛金次第では1億円以上の融資も受けられるでしょう。

この売掛債権担保融資は資金繰り改善に役立つものですが、上手に活用するには概要や審査のコツを押さえておくべきです。そこで今回は、都市銀行に10年以上勤務した経験がある、現役の経営コンサルタントが売掛債権担保融資についてじっくりと解説します。

字面を見て「少し難しい…」と感じるかもしれませんが、あなたが起業家・経営者であれば必読のページでしょう。このページを参考に行動を起こせば、会社の資金繰りは100%改善されます

■売掛債権担保融資とは?

売掛債権担保融資とは、会社が保有している売掛債権を担保にして、金融機関から融資を受ける資金調達の方法を指します。もしも会社が借入金の返済ができなかった場合に備えて、金融機関は信用保証協会へ貸付残高の代位弁済を申し込み、返済ができなかった場合には信用保証協会が代位弁済を行ったのち、金融機関とともに売掛先からの回収を行う仕組みです。通常の融資には担保として不動産などの資産が必要ですが、売掛債権担保融資の場合は企業がまだ受け取っていないお金を売掛債権として担保にできるのが最大の特徴でしょう。

売掛債権担保融資では、融資希望額や売掛債権の状況をもとにそれぞれの借入限度額が設定されます。しかし売掛債権であれば何でも担保にできるという訳ではなく、審査では売掛先の信用状態が重視され、その信用状態や条件によっておよそ30%~50%を担保掛け目とするのが一般的です。例えば、売掛金が1,000万円であった場合は300万円~500万円の融資が受けられる計算となります。

売掛債権担保融資に有効な売掛先には、以下のような特徴があります。

・法人である
・継続的に取引を行っている
・経営状態が良く、信用がある

 

また、融資の対象となる売掛債権には、以下のようなものがあります。

・会社の事業者に対する売掛金
・運送料債権
・診療報酬債権
・工事請負代金債券
・派遣労働債権
・賃料債権
・製作請負代金
・割賦販売代金債権

 

 

このように、物品の提供において発生する売掛債権だけではなく、サービスなど目に見えないものに対しての売掛債権も融資の対象となります。

売掛先との契約内容に「債券譲渡禁止特約」がある場合は売掛債権担保融資を受けることができませんが、この特約に「金融機関および信用保証協会に対しては譲渡しても良い」という但し書きを設け債券譲渡禁止特約を解除することで、売掛債権の譲渡が可能になります。スムーズに審査へ進むためにも、申し込む前には必ず確認するようにしましょう。

申し込みができる金融機関としては、「銀行」「ノンバンク」の2種類があります。

銀行」の場合は、経営基盤が安定しているため比較的低金利で安心して取引ができ、多くの企業と取引を行っている銀行であれば経営に関するアドバイスを受けられる場合もあります。ただし、融資審査が厳しく、業績の少ない企業は審査に通らない可能性もあります。特に赤字決算や税金の滞納などがあれば、大手銀行の審査に通る可能性は極めて低いでしょう。

対して「ノンバンク」とは、消費者金融やクレジット会社、信販会社など、預金業務を行わず銀行から調達した資金をもとに与信業務を行う機関を指します。赤字決算や税金の滞納があっても審査に通る可能性があるなど、銀行に比べて比較的審査のハードルが低く手続きが早く済む反面、銀行よりも金利が高いのが特徴です。

どちらも一長一短ですが、会社の経営状態や資金調達までの希望日数をもとに申し込み先を選ぶと良いでしょう。

 

〇売掛債権担保融資のメリット・デメリット

メリット・売掛金を資金化することができる

・多額の資金調達が可能

・ほかのローンに比べて低金利で利用できる

・保証人が不要

・売掛先への通知が不要

・売掛先の承諾が不要

デメリット・審査に時間がかかるため即日融資は難しい

・必要書類が多い

・個人事業主は利用できない

 

では、売掛債権担保融資の審査においては、どのようなコツを押さえておくべきなのでしょうか?次からは、審査のコツを5つご紹介していきます。

 

■【売掛債権担保融資の審査のコツその1】安心できるノンバンクを見分ける

上記でもご紹介したように、申し込み先には銀行やノンバンクの機関がありますが、信頼度の高い大手銀行と違ってノンバンクにはいわゆるヤミ金と呼ばれる悪徳業者や詐欺業者など、違法業者が紛れている場合があります。銀行と比べて審査のハードルが低くスピーディーな資金調達が可能なためノンバンクを選ぶ方も多いですが、このような違法業者に騙されないためにも事前に見分けるポイントを知っておくと良いでしょう。

数ある金融業者の中から、安心して利用できる正規の業者を見分けるポイントは以下の4つです。

 

○会社の実体がある

公式サイトや店舗、電話番号を持っていることが最も簡単に見分けられるポイントです。違法業者の中には、直接会わずにメールや電話だけでやり取りを済まそうとする業者もいます。この場合は、正式な店舗を持っていない可能性があるため要注意です。

また、実在する業者名や登録番号を使って偽の名刺、チラシを作成しているケースもあります。初めての融資の際には、登録元の地方自治体にある貸金業対策課などで住所や電話番号を照会してみるくらい念を入れても十分なほどです。

○金利が法定金利内である

利息制限法により、貸金業者の利息には上限が定められています。以下を参考に、法定金利よりも高い金利を提示する業者は違法業者と判断して良いでしょう。

・元本が10万円未満の場合、上限金利は年間20%

・元本が10~100万円の場合、上限金利は年間18%

・元本が100万円以上の場合、上限金利は年間15%

○登録業者である

貸金業者には、国や都道府県に登録して営業許可を得るよう義務付けられています。そこで、公式サイトなどに登録番号が記載されているかどうか確認しておきましょう。上記でご紹介したように、登録番号があっても偽物の可能性もあるため、地方自治体などで照会しておくとより安心です。

○個人情報取扱同意書のやり取りがある

違法業者の中には、顧客の個人情報を他社に売って利益を得ている悪質な業者も存在します。契約前の問い合わせの段階でも、執拗に個人情報の提示を求められる場合には注意が必要です。

怪しいと感じれば、安易に情報を教えないようにしましょう。

正規の業者は公式サイトに個人情報保護方針を記載していることがほとんどのため、見分ける目安としてチェックしてみてください。

■【売掛債権担保融資の審査のコツその2】事前準備をしておく

スムーズに審査を受けるためには、事前準備が大切です。金融機関への申し込み前に確認しておきたい項目は以下のようなものがあります。

・赤字や税金の滞納があっても融資を受けられるかどうか
・審査から融資までにかかる日数
・提出に必要な書類

特に、提出に必要な書類は申し込み先によって異なる場合があるため必ず確認しておきましょう。売掛債権担保融資の申し込みにおいて、一般的に提出が求められる書類は以下の通りです。

・本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポート、マイナンバーカードなど)
・所得証明書または税務署印付確定申告書控え
・決算書または税務申告書
・譲渡担保対象売掛先一覧表
・売掛担保対象売掛先明細書
・概要記録事項証明書
・売掛先との取引内容や実績を証明する資料

 

「売掛先との取引内容や実績を証明する資料」には、取引基本契約書をはじめ、売掛先からの発注書や支払通知書、当社からの納品書や請求書、振込を受けている口座の預金通帳などがあります。必要に応じてこのほかの資料の提出を求められることがありますが、その場合は拒まず速やかに提出しましょう。 

■【売掛債権担保融資の審査のコツその3】面談に臨む際のポイントを押さえておく

ほかの融資と同じく、審査には担当者との面談があります。融資の審査の結果はほとんどが決算書などの書類審査によるものですが、面談での印象が悪かった場合は書類に問題が無くても審査に通らないこともあります。逆に言えば、書類上の数字が多少悪くても面談での印象が良ければ審査に通る可能性もあるのです。

第一印象を良くするために押さえておきたいポイントは以下の3つです。

○服装

人の第一印象は見た目で決まると言っても過言ではありません。そのため、清潔感のない服装や過度な装飾品、また高級時計などは控えましょう。服装はスーツが無難ですが、工場などに勤めていて普段から作業着で仕事をされている方や決まった制服がある方は、それらでも問題ありません。ただし、汚れたものではなくきれいな仕事着で出向くようにしましょう。

普段から私服で働いている方も面談は必ずしもスーツで行く必要はありませんが、サンダルや短パン、スウェットなど明らかに面談の場に相応しくない服装は言語道断です。TPOをわきまえた服装を心がけてください。

○態度

面談担当者は言葉遣いや表情、仕草なども見ています。相手が自分より若くても、威張った態度を取らず丁寧な言葉選びを意識しましょう。また、俯いてばかりなど自信の無さそうな仕草や、貧乏ゆすりなどのイライラしたような仕草も相手に悪い印象を与えます。姿勢を正し、質問にはハキハキと答えるなど面談担当者からの信頼を得られるような態度が大切です。

融資にあたって経緯の説明などを求められた場合に簡潔に説明できるよう、資金使途や希望金額について考えをまとめておくと良いでしょう。

○インターネットでの評判、発言

最近はSNSが発達し、会社名や社長の個人名を検索すれば簡単に情報が入手できる時代です。特に本名でSNSに投稿している方は、普段の投稿内容に問題が無いか今一度振り返ってみてください。

SNSやインターネット上には、無意識のうちにその人の人柄が表れるものです。会社の公式アカウントでなくても写真やプロフィールによって本人だと特定できる場合には、何気ない一言の投稿で会社に対する信用まで損なう恐れがあります。自由にプライベートな内容を投稿したい場合は、公開範囲を限定したり非公開にしたりするなど対策するのがおすすめです。

また、職種によっては顧客の口コミがインターネット上に投稿される場合もあるでしょう。悪い噂や口コミはすぐに広まり、会社のイメージダウンにつながるだけでなく、インターネット上にいつまでも残ってしまいます。

近年では人事担当者が就活生のSNSをチェックし、問題がないかどうか調べる企業もあります。融資の審査でSNSやインターネット上の評判がチェックされているかどうかは定かではありませんが、普段から誰が見ているか分からないという意識を持ち、SNSなどの使い方には気をつけた方が良いでしょう。

 

■【売掛債権担保融資の審査のコツその4】効果的にアプローチをする

金融機関に融資の申し込みをする際は、知り合いに紹介してもらう方法がおすすめです。直接窓口へ申し込みに行くのも間違いではありませんが、稀に「他の銀行に融資を断られた会社=貸し倒れリスクが高い」と判断されるケースもあります。

例えば、会社の顧問弁護士や顧問税理士、信頼度の高い大手企業や中堅企業の取引先に紹介してもらうと、銀行にとっては弁護士や税理士から直接会社の経営状況を聞いたり企業の状況を把握できたりするメリットがあるため、安心感を得やすく、融資につながる可能性も高くなります。紹介してもらえる人がいない場合には、融資の申し込みをする銀行に法人口座を開設するのがおすすめです。申し込み先の金融機関に入金出金が明確な口座があれば融資の審査に通りやすい上、法人口座があることで融資担当の営業職員から声がかかる可能性もあります。

 

■【売掛債権担保融資の審査のコツその5】審査に通らなかった場合の手段を考える

審査に落ちてしまった場合の資金調達手段として、ファクタリングサービスの利用も考えておくと良いでしょう。ファクタリングとは売掛債権を資金化する方法のひとつで、一見すると売掛債権担保融資と同じようにも思えますが、これらは似て非なるものでそれぞれ以下のような特徴があります。

 

○売掛債権担保融資の特徴

ここまでご紹介してきたように金融機関と信用保証協会を介して行われる方法で、審査に通れば資金を調達できます。売掛先への通知や承諾が不要のため、売掛債権担保融資に申し込んだことを取引先に知られることはありません。

■まとめ

売掛債権担保融資の審査では、申込み当社の信用度のほか売掛先の信用度も重視するため、ほかの融資審査に比べると提出書類が多い傾向があります。

普段から取引先とのやり取りを記録した書類はきちんと整理し、保存しておくことが申し込みの際に慌てずに済むポイントです。

審査に時間がかかるため即日融資ができないのが難点ですが、売掛金の回収を待たずに資金化することによって、会社の早期資金繰り改善や資金不足の解消が期待できるでしょう。

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