自己資本比率50%以上を目指す5つのコツ!つぶれない会社にするためには?

公開日:2017.11.3  |  最終更新日:2019.12.22



例えば、ここに似たような会社が2社あるとしましょう。会社の規模も総資本も同じ2社ですが、それぞれの企業の資金力は異なります。片方は経営が安定し、倒産のリスクもなく事業を拡大していくA社。そしてもう片方は資金繰りが悪化し、倒産してしまうB社です。

総資本は同じであるのにここまで明暗を分けてしまうのは、それぞれの自己資本比率の差が大きく関係しています。経営が安定しているA社は自己資本比率が60%で、倒産の危機にさらされているB社は自己資本比率が5%だったのです。

B社のように自己資本比率が低いために倒産してしまうのは、他人事ではありません。倒産を心配することなく経営を続けていくためには、自己資本比率が50%以上であることが望ましいと言われています。

そこで、この記事では、過去に数十社の経営難を救ってきた現役18年のコンサルタントが、自己資本比率50%以上を目指すコツについて詳しく解説します。これを読めばあなたの会社もみるみるうちに自己資本比率がアップすること間違いなし。ぜひ最後までお見逃しのないよう参考にしてみてください。


■そもそも自己資本比率とは?

まずは、自己資本比率についてしっかりと知っておきましょう。自己資本比率とは、企業の総資本のうち自己資本が占める割合を指します。総資本は、他人資本と自己資本から成り立っており、他人資本は金融機関をはじめとする第三者から借り入れた資金、自己資本とは株主からの出資金、余剰金、自己株式など返済する必要のない資金です。

総資本が多ければそれだけで資金力のある企業のように感じるかもしれませんが、会社の資金力を知るためには総資本のうち返済する必要のない本来の資金、つまり自己資本がどれくらいあるかを知ることが大切。自己資本比率が高ければ高いほど、それだけ資金力があり、融資に頼らなくても会社の経営を行うことができます。

反対に、総資本が多くても自己資本比率が低ければ、融資や資金援助に頼らざるを得ず、借入金の返済に追われ資金繰りも苦しくなるでしょう。自己資本比率は、以下の計算式で算出することができます。

 

自己資本比率(%)=(自己資本 ÷ 総資本)×100

 

例えば、以下の4社の総資本をご覧ください。

・A社…1,000万円

・B社…5,000万円

・C社…800万円

・D社…5,000万円

 

いかがでしょうか?総資本だけを見ると、多くの方が最も資金力のあるのはB社、D社だと思ったはずです。反対に、「C社は資金力がない」と感じた方もおられるのではないでしょうか。しかし、実際にはこれだけで企業の資金力は判断できません

それでは、それぞれの他人資本、自己資本の金額をもとに各社の自己資本比率を計算してみましょう。

 

総資本(万円)他人資本(万円)自己資本(万円)
A社1000100900
B社50004500500
C社800200600
D社500005000

・A社の自己資本比率…(900÷1000)×100=90%

・B社の自己資本比率…(500÷5000)×100=10%

・C社の自己資本比率…(600÷800)×100=75%

・D社の自己資本比率…(5000÷5000)×100=100%

 

今度はいかがでしょう?総資本だけを見た時と印象が大きく変わったのではないでしょうか?

一見すると資金力があるように見えたB社の自己資本比率は4社の中で最も低く、総資本だけではB社と違いが分からなかったD社の自己資本比率は100%でした。

自己資本比率100%ということは、いわゆる「無借金経営」を意味しますが、実際には自己資本比率が100%の企業は多くありません。誰もが知っている大企業の自己資本比率を例に見てみましょう。

 

・比較.com(株)…96.7%

・任天堂(株)…89.5%

・(株)ぐるなび…74.2%

・(株)NTTドコモ…73.5%

・ヤマハ(株)…64.2%

(いずれも2017年3月時点の数値)

 

このように大企業だからと言って、必ずしも自己資本比率が100%に近いとは限りません。融資を受ける機会の多い中小企業や、起業したばかりで自己資金の少ない企業は、なおさら自己資本よりも他人資本の方が上回っているケースが多いことでしょう。

では、自己資本比率は一体どのくらいを目安にすれば良いのでしょうか?次の項目でさらに詳しく見ていきましょう。


■自己資本比率は何に影響する?数値の目安は?

自己資本比率が高ければ、積極的に事業拡大ができ、経営のための設備投資に踏み切ることも可能。負債が少ないため経営が安定し、結果的に倒産しにくい企業となるでしょう。

さらに借入金が少ないということは財務が安定していると判断されるため、多額の資金を必要とすることがあっても、金融機関などの融資審査に通りやすいメリットもあります。

 

自己資本比率を高める3つのメリット
資金繰りの負担が軽減する
金融機関などから融資を受けやすくなる
経営が安定し、倒産しにくい

 

自己資本比率は、50%を超えると倒産するリスクのない優良企業だと言われています。また、自己資本比率が20~39%だと平均的な企業であると判断できますが、中小企業の場合は少し低い15%前後が平均値となっています。これらの平均値よりもさらに下がると、数値によっては経営危機に直面している企業や赤字経営の企業だと判断され、金融機関からの融資を受けられず資金繰りが悪化し、倒産してしまう可能性もあります。

そこで、あなたの会社の自己資本比率を把握しておくことが重要です。まずは上記でご紹介した計算式に当てはめて自己資本比率を割り出し、以下の表のどのランクに位置しているかチェックしてみましょう。

 

・理想的な企業70%以上
・優良企業40~69%
・平均的な企業20~39%
・成長段階の企業0~19%
・経営危機に直面している企業-4%~0%
・赤字経営だと判断される企業-4%未満

 

いかがでしたか?もしも自己資本比率が低く0%未満の場合は要注意。数値が上がるよう対策を考えなければなりません。また、数値が十分に足りていた場合でも、それを維持し、さらに高めるためにはいくつかのコツを押さえておくことが大切です。

では、ここからは自己資本比率を高めるコツについて解説しましょう。

■【自己資本比率を高めるコツその1】日頃から経営者自身が資産を貯めておく

FoodImage

経営者自身が出資することは、最もシンプルかつ早く結果に表れる方法だと言えます。たとえば、上記で自己資本比率が10%と低かったB社を例に見てみましょう。

 

B社(単位/万円)
総資本5,000
他人資本4,500
自己資本500

 

B社が平均的な企業と判断される自己資本比率20%まで数値を上げるには、700万円の出資が必要です。

 

{(自己資本500万+700万)÷(総資本1200万+4,500万)}×100=約21%

 

さらに、優良企業まで数値を上げるには2,500万円の出資が必要となります。

 

{(自己資本500万+2,500万)÷(総資本3,000万+4,500万)}×100=40%

 

これだけの金額を出資するためには、日頃からの貯蓄が重要。個人で数千万円の出資が難しければ、まずは数百万円を出資し、以下でご紹介する別の手段と組み合わせながら自己資本を増やす方法もあります。

■【自己資本比率を高めるコツその2】役員借入金をこまめにチェックしておく

役員借入金とは、従業員が会社に貸したお金や、会社から未払いになっている役員報酬、経営者が立て替えている資金などを指します。一般的な企業ではイメージしにくいかもしれませんが、家族経営などの場合、会社の資金繰り悪化などを理由に役員借入金があるケースも少なくありません。通常、未払い分や立て替え分があればきちんと返済しますが、この役員借入金を現物出資として資本金に振り替えることも可能です。

この方法は「Debt Equity Swap(債務の株式化)」、通称DESとして実際に用いられる財務改善方法のひとつ。たとえば、家族経営の会社で従業員Aが会社に500万円の貸付を行っていたとしましょう。当然、会社は従業員Aに対し500万円を返済しなければなりませんが、返済する資金がなかった場合、会社はDESを行って本来返済すべき500万円を会社に増資します。

すると、実際の500万円を動かすことなく返済すべき借入金がなくなる上、会社の自己資本が増えることになります。冒頭でも解説したように自己資本は返済する必要のない資金のため、他人資本と自己資本のバランスが改善し、自己資本比率が高まるのです。

これだけを見ると従業員にはデメリットしかないように見えますが、DESの場合は貸した500万円が現金として返ってくることがない代わりに、会社の株式が手に入ります。現金で500万円分の貸付金がある場合、従業員Aに万が一の事態が起こった場合には500万円の財産として相続税の対象となりますが、株式化しておくことで相続税の評価額が下がり、相続税を下げる効果が期待できます。

このように、貸し手、借り手双方にメリットのあるDES。未払い分や立て替え分は、負債として決算書に計上されているため、普段から資本金に振り替えられる役員借入金がないか把握しておくことがポイントです。

■【自己資本比率を高めるコツその3】固定資産・流動資産の必要性を見直す

不動産投資のために購入したものの、遊休財産と化している不動産や機械類などの固定資産、または過剰在庫などの流動資産はありませんか?これらを売却して現金化し、有利子負債の返済に充てることで自己資本比率を高める方法もあります。

遊休不動産などは保有しているだけでも税金や維持費、管理費がかかるため、売却することで支出を減らすことも可能です。流動資産も同じく、必要以上に在庫を抱えていると保管するだけでも管理費などの費用が発生するでしょう。

また、流動資産は不動産よりも価格の下落が早いのが特徴。食品類は消費期限があるため特に早く売り切るのが望ましいですが、消費期限のない商品も長期間在庫として抱えているだけでも劣化する恐れや、流行が過ぎて売れ残る可能性もあります。売り切れなかった商品は不要物として廃棄処分することになりますが、処分するにも費用が発生するため、支出がふくらむばかりです。

よって、必要のない固定資産、流動資産がないか以下の表を参考にしながら今一度見直しを行ってみましょう。

 

固定資産(例)
・田畑や宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野などの土地
・店舗や工場、住家、倉庫などの建設物
・美術品を含む工具器具備品
・機械装置
・車両運搬具

 

流動資産(例)
・過剰在庫となっている商品
・過剰在庫となっている製品
・試用品
・商品の原材料
・切手や印紙、資材などの貯蔵品
・販売可能だが企業の商品としては製造途中とされる半製品

 

また、流動資産とは上記のように有形資産だけではありません。売掛債権のように目に見えない無形資産も、ファクタリングを利用すれば売却によって現金化が可能です。

たとえば、資金調達プロでは、あなたの会社にある売掛債権を売却し、最短即日で最大3億円の資金を調達することができます。負債の返済に充てるために資金が必要な場合や、一時的なつなぎ資金が不足している場合にもすぐに資金を調達できるため、おすすめです。

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■【自己資本比率を高めるコツその4】中長期的な経営計画を練る

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ここまでご紹介した方法によって一時的に自己資本比率が高まったとしても、赤字経営が続くといずれ借入などが必要となり、再び自己資本比率が低下する可能性もあります。そこで経営計画を練り直し、中長期的に利益が生まれるよう経営改善することも大切。

黒字経営を行うためには、大きく分けて以下の5ステップを参考にすると良いでしょう。

 

【STEP1】会社の現状を分析し、把握する

赤字経営の場合は、なぜ赤字になっているのか、その原因を探ることから始めます。固定費や変動費などの支出をリストアップし、無駄な出費が発生していないか、また削減可能な経費はないかひとつずつチェックしていきましょう。

人件費や経費削減の具体的な対策も併せて考えてみるのがポイントです。

 

【STEP2】分析をもとに今後の損益予測を立てる

【STEP1】で無駄な支出を省いたら、それらをもとにした今後の損益予測を立てましょう。経費削減の対策を導入する場合は、導入時の数値を割り出します。

また、事業拡大などで今後増えると予想されるものも含めます。

 

【STEP3】損益予測をもとに今後の方針を決める

【STEP2】で立てた損益予測をもとに、どのような対策を実施すればどれだけの経費削減につながるのか、また削減できるまでにかかる期間はどのくらいか、具体的に数値化してみましょう。企業によって対策方法や削減できる経費は異なりますが、今後の経営の立て直しについておのずと方針が見えてくるはずです。

 

【STEP4】計画した対策を実施する

実施する対策や今後の方針が固まったら、実行していきます。対策を実施する中で課題が見えれば、その都度見直しを行い、改善していきましょう。

 

【STEP5】PDCAを行い、黒字経営へと確実に近付けていく

PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」の頭文字を取ったもので、生産管理や品質管理など管理業務を行う上で重要な手法のひとつです。

ここまで【STEP1】~【STEP3】で経営について計画を立て、【STEP4】で実行してきました。対策の実行により改善した点や課題点を評価・改善すると再度【STEP1】に戻り、計画を立て直します。これを繰り返すことで、徐々に経営が改善し、黒字経営へと近付いていくでしょう。

 

上記は時間をかけて行う方法のため即効性はありませんが、少しずつ確実に自己資本比率を高めていくことができるはずです。

 

■【自己資本比率を高めるコツその5】節税のみに目を向けない

経営改善によって利益が増えると、税金の支払いが勿体ないと感じ、節税に力を入れる方も多いのではないでしょうか?確かに節税をすると一見支出が減り利益が増えているように感じますが、節税をするには本来支払時期ではない借入金を返済したかのように記載するなど、損益計算書の純利益を下げる必要があります。

すると、実際に会社に資金があったとしても書類上は利益の少ない会社であるかのように見え、いつまで経っても自己資本比率は上がりません。自己資本比率は、会社の安定性を計るバロメーターとも言える重要な指標であるため、自己資本比率が低いと経営難に陥っていると判断されたり、自己資本が少ないと思われたりする恐れがあります。

金融機関から融資を受ける際にも、損益計算書などの資料をもとに自己資本比率も審査項目に含まれるため、自己資本比率が低いと金融機関からの信用を得られず、必要な融資を受けられない可能性もあるでしょう。

もともと自己資本比率が高く経営基盤がしっかりとしている会社や、融資を必要としない会社の場合は節税がメリットにつながるケースもあります。しかし、そうでない限りは節税による目先の利益よりも、長期的な信用を優先させる方が良いと言えます。

■まとめ

今回は自己資本比率50%以上を実現するためのコツについて解説しました。即効性のあるものから時間をかけて効果を得るものまで様々な方法をご紹介しましたが、取り入れたい方法は見つかりましたか?

今回ご紹介したコツを上手く活用しながら、あなたの会社の自己資本比率アップにお役立てください。

 

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