起業後は失敗とピボットの繰り返し。その経験から見いだした「新規事業を創造する3原則」を元に新たな領域で事業拡大を目指す Anyflow株式会社 代表取締役CEO 坂本蓮様
公開日:2019/6/17 | 最終更新日:2019/7/20
Anyflow株式会社 代表取締役CEO坂本蓮様に起業ストーリーと、起業後の経験から見いだした新規事業の考案方法や資金調達についての意見をお聞きしました。
これまで20以上のプロダクトを制作してピポットを行う経験をされ、大学卒業後、一度は就職したものの再び起業家の道を選んでプロダクト開発を続けてこられた坂本様。なぜそこまで新しいプロダクト開発にこだわるのか、数々の失敗から学ばれたことは何だったのか、詳しくお話してもらいました。
坂本様が起業に至った経緯をお聞かせください。
大学4年のときにKDDIが開催しているアクセラレータプログラム「KDDI ∞ Labo (ムゲンラボ)」に採択されたことがきっかけです。住友不動産やGoogleの支援も受けながらメンターとともに事業をつくっていくプログラムですが、会社がなければ進められないということで、大学卒業間近の2月に会社設立をしました。
ただ、当時はマネタイズの未来が見えなくて不安があって、卒業後はサイバーエージェントへの就職を選びました。会社では「Ameba」の基盤部分のメンテナンス業務を行っていましたが、あくまで既存のサービスを維持する仕事です。在職中も自分でプロダクト開発を続けていて、朝10時に出社して夜8時に帰宅、夜中の2時まで開発という生活を1年ほど続けていました。そのうちに、会社で仕事をしている時間がもったいないと感じてきてしまったんです。
なぜ新しいプロダクトの開発にこだわるのでしょうか?
もともとパソコン以外に得意なことが何もなかったので、自分にはプロダクト開発しかないと思ってた事からですかね。
子供の頃は何をやっても普通で、秀でたものがない子でした。そんななか、小学4年のときに家に初めてパソコンがやってきたんですよ。当時はあまり家庭に普及していなかったので、少し扱えるだけで周囲より優位に立つことができたので、「僕はパソコンが得意だ」という意識が持てたんです。
しかし、本格的にプログラミングの世界に足を踏み入れると、似たような年齢で自分よりすごい人がたくさんいる…。このままだと自分のアイデンティティを失いかねないと気づいて必死で勉強してプロダクト開発を始めていった。というところが原点だと思います。
アイデンティティを突き通すためにも、起業の道に進む決意をされたのですね。その後はどうでしたか?
たくさんのプロダクトを生み出しては失敗の連続でした。20くらいは創ったと思います。
例えば、ルームシェアのルームメイトを検索するサービスを創った時の事。
テレビ番組の「テラスハウス」でシェアハウスが話題になりましたが、シェアハウスは不動産会社が家を借り上げ、部屋を分けて貸し出す営利目的のサービスです。対してルームシェアは、家のスペースを余らせている人が住人を集めて一緒に住む、どちらかと言えば個人的なものですね。
このサービスはファウンダーと共に創造して挑戦しましたが、リリースをしてみたら、日本に市場がないことが分かったんですよ。日本の家は狭く、アメリカなどと比べると新しい家も多いので、家賃を割って住む事が得にはならない。そもそもルームシェアはボランティアであることも多く、お金が動いていないことや、法律的にグレーな部分もある事を事後に知りました。
加えて、困難な現実が表面化した時に、気持ちが折れてしまったことも失敗してしまった要因の一つ。このサービスが本当に必要だと思える原体験があるわけではなかったし、ルームシェアの事情もよく知らなかったので、やり続ける気持ちが持てませんでした。
このプロダクトの経験を通して、自身の原体験に基づいたサービス、あるいは自分が本当にいいと思うサービスを創造するべきだと学びましたね。
やはり原体験は大切なのですね。他に失敗から学んだ事はありますか?
「Dish」というランチの場所を探せるアプリです。これはTwitterで4万RTされ話題となり、トータル3万DLされた、いわゆる「バズった」アプリです。ユーザーが増えた事はよかったのですが、これもマネタイズができませんでした。
飲食店から広告費をもらおうとしても、飲食店はディナーの集客のためにランチを営業しているため、ランチに広告予算は割かない。予約手数料をもらおうと考えても、ランチ時間帯の予約は店舗にとっては迷惑です。ランチ探しにお金をかける人はいないのでユーザーからの課金も難しい。どの角度から考えてもマネタイズに結び付ける策が見いだせなかったんですよね。
Dishの失敗からは、マネタイズの方法が事前に明確化しているプロダクトを考えるべきだと学びました。
現在開発中のプロダクト「Anyflow」は、その失敗を踏まえて考えたのでしょうか。
Anyflow―様々なアプリケーションをかんたんに接続、連携
そうですね。
Anyflowは「原体験」「成長市場」「マネタイズの可能性」の3軸を元に考案しました。
ルームシェアには市場がなく、ランチアプリには参入できる隙間がなかった。「失敗」という原体験を踏まえて、今は小さいけれど、これから大きくなる市場に参入することで、市場の成長と同時に自分たちも成長していこうと考えました。
Anyflowは、複数のサービスを連携して業務効率化を行うプロダクトです。当社の3人のファウンダーは全員エンジニア出身だった事もあって、これまでの業務で少し時間がかこかるようなものがあれば、何でも自動化をして効率化を図ってきました。
その中で、自動化に関する知見や、わたし自身も自動化技術が好きだという気持ちがあったんです。
市場に関しては、現在のAnyflowはiPaaSに該当しますが、一度ピボットしていて、開発当初はRPAの領域でした。
RPAの市場は当時400億円ほどでしたが、2022年には2倍になると言われる成長市場です。これはマネタイズにも関わってくる事ですが、企業のニーズがあることは分かっていて、働き方改革や労働人口の減少で、自動化できる部分は機械に任せ、人間は本当に人間にしかできない仕事に時間を注がなければ生き残れないので、そのためには絶対にお金を払う。たとえ直近では難しくても、未来のマネタイズが明確に見えるものを創ろうと考えました。
このような感じで3軸を決めて事業を探した結果、いまのAnyflowになったわけです。
Anyflowに着手したとき手ごたえは感じられましたか。
結構ありました。特にピボットしてiPaaSの領域にシフトしたときに大きな手ごたえがありましたね。
Anyflowの意思決定したときから企業へのヒアリングを重ねていたのですが、当初は「まあ必要だよね」のくらいの反応だったのが、iPaaSへのシフトを図ったら前のめりなって、企業側から自社の課題感を話し始めたんです。その様子を見て、そこには大きな痛みがあり、その痛みを解決できればとてもいいプロダクトになるのだろうと思いました。
それから、資金調達においても、投資家の反応は全然違いましたね。
坂本様はエンジェル投資家からも投資を受けていますが、資金調達のポイントがあれば、お聞かせいただけますか。
エンジェル投資家とは相性がすべてです。プロダクトがその方の持っている知見や好みに合うか、その方とビジネスでの相性が合うかが大切ですかね。
その他でわたしの経験からアドバイスをするなら、自己資本で経営する期間を長めに確保して、これでやっていく!というプロダクトがある程度進んでからエンジェルなりVCにいった方がいいかなと思います。デッドファイナンスで中途半端な金額を最初に借りて、そこから事業が変わっちゃったりすると、再度調達したくても評価されにくくなるので。
わたしは起業後2年ほどピポットを続けていたので、投資家からいただいたお金で過ごしていた期間も一部あって、事業が進展していないのに時間ばかりが過ぎていく感覚は余計に苦しかったですね。もう少し自己資本でやっていれば、誰かに迷惑をかけることも、変に焦ることもなく事業を進められたのかなと思っています。
今後の展望をお聞かせください。
Anyflowは現在開発中ですが、2019年夏頃には正式リリースをしたいと考えています。今年中にはプロダクトが市場に受け入れられる状況を整え、メンバーや資金の追加調達を行ってさらに拡大していく予定です。その後も、人間の時間をつくるというコンセプトに基づいて、Anyflowを軸にいろいろな機能やプロダクトを追加したいと考えています。
最後に、起業家の方へメッセージをお願いします。
起業は正直辛いことだらけです。いい時期もありますが、会社のキャッシュが尽きそうになったり、従業員が急に辞めたいと言ってきたりすることもあれば、将来が見えずに自暴自棄になることもあります。
生半可な気持ちではなく、自分が本当にこれをやりたいんだ!という強い思いがあって、実現するためなら何でもすると思える人は起業をするべきですかね。逆に、それができない人は起業をしない方がいいと思います。
わたしはエンジニアなので、フリーランスや成功しているベンチャーに就職する道もありますが、それをしないのは、起業家として今までにない新しいものをつくりたいという強い思いがあるから。辛い状況を打破してでも、努力しようと思えるんです!
■Anyflow株式会社
コーポレートサイト
Anyflowは国産初のクラウドネイティブiPaaSを開発するAnyflow株式会社
Anyflow
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