個人や企業のブランディング支援を通して、行動する起業家を支える。7年間の赤字と9事業の失敗から学んだ起業での大切なこととは 株式会社ファーストブランド 代表取締役 河本扶美子様
公開日:2019/5/9 | 最終更新日:2019/5/13
「ブランディング」という言葉や価値が日本にはまだ浸透していなかった2002年に株式会社ファーストブランドは設立されました。以来、ブランディングとインターネットを軸にサービスを提供し続け、現在は専門家のブランディングを行い集客を助ける専門家紹介サイト「マイベストプロ」、求人サイト「マイベストジョブ」、コーポレートサイトやブランドサイトの企画・開発などを行うインテグレーション事業の3事業を中心に展開しています。
今や約50名の従業員を抱え、順風満帆に成功してきたかのように思えるファーストブランド。しかし設立してから7年間は赤字が続き、9つの事業を失敗してきました。講演で登壇した際は失敗談を中心にお話されるという株式会社ファーストブランド 代表取締役の河本扶美子様に、起業を決意した理由や起業後の失敗談、数々の失敗から得た学びについてうかがいました。
はじめに、河本様のご経歴をお聞かせください
事業経営をしていた祖父の影響で、私も自分で事業を立ち上げ、世の中を変えていきたいという思いが子どもの頃からありました。それを実現するために、大学では経営学部の経営学科を選び、卒業後は銀行に就職しました。就職先に銀行を選んだのは、経営者になるにあたってお金の仕組みや資金調達の仕方を現場で学びたいと考えたからです。
銀行には2年間勤め、その後外資系の航空会社に転職しました。経営者になりたいと思っていたもののビジネスアイデアがなく、そのヒントを得るために海外を見たいと思っていたこと、起業する前に多くのことを学ぶ時間と場所がほしいと思ったことがその理由です。航空会社には9年勤め、日本からアメリカへの路線で日本語のアナウンスやお客様の通訳を担当する機内通訳と、アジアの路線での客室乗務員を経験しました。
その経験を通して気づいたのは、アメリカは「ブランディング」に注目しており、企業だけでなくそこで働くひとりひとりが自分自身のブランディングを意識しているということ。どんなにいいサービスであっても自分自身のファンをつくらなければ、夢の達成も企業の成長もないと考えられていたんです。この頃、日本には「ブランディング」という言葉すらあまり知られていない時代でした。
これが私のビジネスヒントとなりました。それと同時に、当時は日本にインターネットのバブルが来ていたことから、インターネットを使ってブランディングを軸としたサービスを展開すれば日本の多くの方にファンをつくるノウハウを伝えることができ、それが日本の強さになっていくのではないかと考えました。そして、2002年に起業を果たしました。
思い立ってから、すぐに起業されたのですか。
いえ、実は航空会社の仕事がおもしろく、正直とても迷いました。航空会社にいれば格安で海外に行けて、普通よりもいいお給料がもらえる。そこに仕事を辞める理由がなかったんです。本当は30歳で起業しようと思い描いていたのですが、結果的に起業したのは35歳でした。
何が起業を後押ししたのですか。
自分が80歳になったときに、あのとき起業していたらどんな世界が待っていたんだろうという後悔を絶対にすると思ったんです。失敗してもやり直しはできるけれど、時間だけは絶対に戻せない。人生は一度きりなのに大きな後悔を残したくないと感じたことが、起業を後押ししました。ちょうどインターネットのバブルが弾けたときだったので、周囲からはなぜこのタイミングなのと散々言われましたね(笑)。
起業してから7年間の赤字、9事業の失敗を経験されたとうかがいました。どのような失敗をされたのですか。
最初の苦難は、航空会社を辞め、起業準備をしていたときに訪れました。
私は会社を辞める前、たくさんの方に起業後のビジョンやビジネスモデルを話し、「そのアイデアすごくいいね」「応援するよ」という言葉をいただいていました。それらの言葉があったからこそ、起業に踏み切れたところもあったんです。
ところがいざ会社を辞めてみると、「応援する」と言っていた人たちが、全員周りからいなくなりました。極めつけは、会社を辞めて起業準備のためにパソコン教室に通っていた際に言われた言葉。生徒同士の雑談の中で「もともとは航空会社で客室乗務員をやっていて、今は起業準備をしている」と話したところ、「でも、今は無職だよね」と言われたんです。
そのときに気づかされたのは、これまで自分のブランディングをしてきたつもりが、客室乗務員の河本扶美子としてのブランディングをしてきただけであって、その看板がなくなればただの無職の人でしかないということ。つまり、本当の意味で自分自身を応援してくれるファンをつくれていなかったことを痛感しました。
ただこの経験があったからこそ、どんなに事業で失敗を重ねても、ブランディングの重要性を訴えかけるサービスを提供し続けることができたと感じています。逆に言うと、この経験がなければ、ここまで強い信念を持って続けることはできなかったでしょう。
そのほかにも数々の失敗から学びを得てこられたかと思いますが、その中から特に起業家の方へ伝えたいことは何ですか。
さまざまな失敗をする中で分かったことは、失敗しなければ見えない本質があるということです。私はまだ成功しているわけではありませんが、失敗からは成功するために必要な要素を必ず見いだすことができます。
ピボットするという言葉がありますが、経営においてピボットはとても大事です。ただ、失敗したからまったく違うビジネスをやろうというのでは、過去の失敗が何も生かされません。私はブランディングを軸に、さまざまなサービスを展開してきました。サービスは、ブランディングによって人や会社のファンをつくり、人を幸せにして日本を活性化するというビジネスの目的を達成するための一つの手段にすぎないと考えています。
成功、つまりビジネスの目的を達成するためには、一つの軸を変えずに、失敗から見出した要素を生かして次のチャレンジにつなげることが重要なんです。
起業家に必要なブランディングは何だと思われますか。
まずは自分がサービスを積極的に世の中に広げて、IPOを目指すスタートアップビジネスを行いたいのか、事業の拡大は積極的に考えないスモールビジネスを行いたいのかをはっきりと決めることが大切です。
そのうえでスタートアップとして世の中を変えていくビジネスがしたいのであれば、それ相応の覚悟をする必要があります。特に女性は、ロジカルに話しているつもりでもロジカルではないと思われてしまうことがある。男性と同様に資金調達や大企業との提携、新たなチャレンジを行っていくためには、男性よりも勉強し、行動し、よりロジカルにチャレンジするべきだと考えています。
あらためて、株式会社ファーストブランドのサービスについてご紹介ください。
当社のメインサービスは「マイベストプロ」というポータルサイトです。
マイベストプロは、個人事業主様や従業員5名以下の小規模事業主様を地域の専門家として紹介するプラットフォームで、インターネットを介して専門家と地域の方々のつながりを創出しています。専門家には、すごくいいサービスを持っているのにもかかわらずアピールがうまくできないばかりに知名度がないという方が多いため、そういった方のブランディングをお手伝いしています。
特徴は、「マイベストプロ 東京」「マイベストプロ 大阪」というように、47都道府県すべてに専用ページがあること。また、それぞれの地域で最も地元の方々に親しまれているテレビ局や新聞社と提携をし、その地域の提携メディアの審査に通った専門家の方々をご紹介していることです。
私たちは、対価を支払ってでもこの人がいいと選んでくれるファンをつくることをブランディングと定義しています。しかしインターネットによる情報発信は、拡散力やタイムリー性はあっても、信用力が弱い。そこで、地元の方々に信頼されているメディアのバックアップを受けることにより、信用力の高い専門家のプラットフォームを実現しているんです。
そのほか、新聞広告やテレビCMで専門家のみなさまをご紹介したり、海外や百貨店のカルチャー講座で講師をするリアルな場を設けたりといった機会もご提供しています。
起業家が「マイベストプロ」に登録したいという場合は、どうすればいいのでしょうか。
まずは気軽にお問い合わせいただければと思います。各メディアによる審査はありますが、最も重視しているのは、真摯にお客様にいいものを届けたいという思いです。私自身も個人事業主としてスタートしていますが、サービスはいいのに、それを見つけてもらえる場所がないことですごく苦労しました。そのため、たとえ独立したばかりで実績がないという方であってもご利用いただけるようになっています。
現在は2400人強の事業主様にご登録いただいていますが、2年後には3万人を目指したいと考えています。また、一昨年から海外展開もスタートしており、「マイベストプロ」に登録されている事業主様を海外にお連れし、その国にお住いの方にサービスを披露できる場を提供しています。
NYでの活動が現地メディアに大きく取り上げられています
今後は海外へも積極的に展開していくことにより、日本の活性化の一端を担いたいと思っています。
最後に、起業家の方にメッセージをお願いします。
夢を実現するためには、とにかく行動が大事です。失敗を積み重ねると行動することが恐くなり、それゆえ行動することに勇気と覚悟が必要となってきます。でも、行動しなければそこで起業家は死ぬんです。うまくいかないことが連続するということは、チャレンジできているということ。だから自信を持って行動し、道を切り開いていってほしいと思います。
■株式会社ファーストブランド
ホームぺージ こころが感じられるサービスをー株式会社ファーストブランド
住所 大阪市北区堂島浜2-2-28 堂島アクシスビル 9F
■マイベストプロ
ホームぺージ 頼れるプロが見つかる【マイベストプロJAPAN】全国版
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