社会貢献型アプリ「テーブルクロス」で世界中に食を通して幸せを届ける為の起業ストーリー。知識は無くても自分に選択肢を与える為の行動習慣とは 株式会社テーブルクロス 代表取締役 城宝薫様
公開日:2019/4/24 | 最終更新日:2019/6/10
大学在学中から、メキシコへの日本酒輸出や学生団体の運営など、幅広いプロジェクトの実行を行い、飲食店予約で途上国に給食の寄付ができるアプリ「テーブルクロス」を立ち上げて大学生の時に起業した、株式会社テーブルクロス 代表取締役 城宝薫様。
起業から5年。新たにインバウンド事業「Tokyo by Food」の提供も開始し、社会貢献が出来る食のポータルサイトのグローバル化を目指すフェーズに入った城宝様に、起業までのストーリーや、ハードルをクリアしてきた実体験に基づいた、起業家に向けてのアドバイスなどを伺いました
社会貢献型アプリ「テーブルクロス」の発想の原点を教えてください。
私は、子どもの頃から途上国の子どもへの課題に対しての関心がありました。より深く考える転機となったのは、高校1年の時に親善大使として訪れたアメリカで、障がい者を支援するNPO団体の打ち合わせに参加した経験でした。
そこで話し合われたテーマは「どうすれば団体の価値を社会に提供できて、対価としてお金をいただけるか」という内容でした。「社会課題は単発の寄付やイベントでは解決できない。継続的な仕組みを築くことが大切」という思考に、支援は寄付とかボランティアで行うものだと思い込んでいた私は、大きな衝撃を受けました。
その時に聞いた言葉が、その後の起業へのモチベーションとなり、どの様にしたら「社会課題の解決の継続的な仕組みづくりができるか」を考え続けたのが、社会貢献型のアプリ「テーブルクロス」のアイデアと起業の原点となっています。
起業に至るまでのストーリーをお聞かせください。
大学の時は学生団体の運営や多数のプロジェクトを行っていました。
例えば、大学1~2年生の時に行っていた日本酒をメキシコに輸出するプロジェクトがあります。メキシコに2ヶ月ほど滞在していた事があって、現地の方は母国のお酒(テキーラ)について熱く語ってくれるんです。私も日本人として日本のお酒を語りたいと思いましたが、現地のバーやレストランで日本酒の認知度調査をしたところ、認知度は1%を切っていました。そこで、日本酒のメキシコでの認知度を上げたいと思い、シンプルなビジネスモデルを作って日本酒の輸出を始めてみました。
テーブルクロスを起業するきっかけとなったのは、飲食店の広告販売を行っている企業で、アルバイトとして販売業務を行った事です。その中で、飲食店の広告業界は独占的なマーケットで、これから成果報酬型に仕組みが変わろうとしていることに気がつきます。そこで、「社会課題の解決の継続的な仕組みづくり」にリンクできるのではという構想が脳裏に浮かんできました。
飲食店のオーナーさんも途上国の子どもたちも、両者が幸せになる仕組みづくりができたらいいなと思いましたね。加えて、食べログ、ぐるなび、ホットペッパーの3社が独占状態の中に新たな価格帯の広告が入れば、価格競争も起こるだろうとも思いました。そこからは勢いで起業むけて進めていきましたね。
私はアイデアを思いつくと、いろいろな方へ話すのですが、その時は「城宝に合いそうな人がいる」とビジネスパートナーを紹介してくれたり、高校の先生をはじめ、いろいろな人が「お金を出すよ」と申し出てくれたりしてスムーズに進み、大学3年生だった2014年6月25日の法人登記完了まで、たった2週間というスピード起業でした。
起業をしてみて大変だったことをお聞かせください。
起業したものの、会社経営に関する知識がまったくと言っていいほど持っていなかったことです。
第三者割り当て、ストックオプション、有限責任、といった言葉すら当時はわかっていませんでした。会社法も理解しておらず、何においてもまずは勉強することばかり…というスタートでした。
資金に関しても「予約をしたら、子供たちに給食が届くサイトを作ろう!」くらいに考えでいたので、ふたを開けてみると、構想通りのサービスを提供するには、想定よりもはるかに大きなプラットフォームが必要で、金額にすると6000万円は必要だということが起業した後に解りました。当時は時給950円のアルバイトの経験しか無かったわたしには、桁が違いすぎて驚くを通り越していましたね。
資金集めはどのように進めましたか?
手元にある資金と、実際に必要な資金の乖離が大きすぎた事で、逆に素直に受け止めて動くことができました。
最初に融資が決まったのは政策金融公庫です。2014年当時、学生企業で政策金融公庫から融資を受けた事例がなく「学生に融資するのは1社目です」と言われました。それに続いて信用組合、信用金庫、ベンチャーキャピタル(VC)といった金融機関から、少しずつ調達が進んでいきました。
金融機関に提出する事業計画書も自分では解らなかったので、伝手をたどって、手伝ってくれる方と一緒につくりました。学生だったこともあり、様々な審査に落ちるのは当たり前で、オフィスの賃貸契約や銀行の法人口座といった、信用調査系はまったく通らず…起業したものの、想定外の連続でしたね。
その後も「こんなにお金かかるの!」「こんなつもりじゃなかったのに…」の積み重ねで、思った以上のハードルの高さでした。
心が折れそうな時に「大切だった」と思えることは何ですか?
「人に恵まれた」といいますか、壁にぶつかった時に、同じ壁を経験してきた人に、即座に話を聞けたことでした。
例えば、1億円の資金調達が必要な時に、経験済の方に出会えたりした。その方は経験があるので必ず選択肢をいくつか持っています。知識がないということは、課題を抱えた時に解決する選択肢がないということです。話を聞くことで、自分の選択肢を増やしていき、その中で1番いい選択をすることができたと思っています。
初めて会った人でも、例えばシステムが得意だとわかれば、すかさずメッセージを送ることは、いつもしています。その方の周辺には、やはり詳しい方がいるので、どんどんコミュニティが広がっていきます。その時に大切なのは、自分が困っていることを、いかに事細かに伝えることができるかです。単に「外国人の採用をしたい」ではなく「外国人のビザの取得ができなくて困っていて、仕事内容はマーケティングです」まで言えれば、つながる範囲も大きく変わってきます。
課題にぶつかった時に、相談する人がいないと、そこで止まってしまいます。自分の中で人脈を作って「この人はファイナンスに強そう」「開発に強そう」など、必要な事業ごとに1人ずつメンターを置くような感じで、頼れる人を見つけていって、毎年のようにそのポジションを入れ替え続けることを繰り返しています。
ほかにビジネスのために行っている習慣とか行動はありますか?
頭の中にエクセルのリストを作っているようなイメージで、不安とか怒りなどの感情をすべてタスク化するというのは習慣づけています。
起業した直後くらいに、本当にモチベーションがなくなった時があって、その時にこの解決策を見いだしました。モチベーションを左右する感情は、必ず言語化できるという定義を勝手に作って、その時に起こっていることを頭の中でエクセルの表にして、モヤモヤしている感情などの原因を明確にしています。
あとはリストの上から順番に解決していけば、モチベーションが下がらなくなるので、常にその状態に身を置いています。そしてリストの中に解決法が埋まらない空欄があると思った瞬間には、誰かにメッセージを送っていますね。
あらためて株式会社テーブルクロスの事業内容についてお聞かせください。
飲食店の予約をすることで社会貢献ができる「テーブルクロス」というグルメアプリの提供と、2019年から新たに外国人向けに体験型のアクティビティやイベント予約ができる「Tokyo by Food」というメディアの運営をスタートしました。
テーブルクロスは、アプリから飲食店を予約することで、予約1人につき途上国の子どもたちに給食が1食支援される「チャリティ予約」が最大の特徴です。予約することで寄付ができるという形で幸せを提供しながら、自分たちも楽しく飲食ができます。現在、掲載店舗数が約1万軒で、給食支援数は22万を突破しました。
インバウンド事業のTokyo by Foodはどの様なサービスでしょうか。
Tokyo by Food - Best Cooking Classes and Food Tours in Tokyo
Tokyo by Foodは日本食を海外の人に紹介するプラットフォームです。
現在は、東京に特化して日本食に関する情報を英語で提供したり、ラーメンツアーや料理教室など、外国人が興味を惹かれる体験型アクティビティの紹介と予約ができるサービスの提供を行っています。
また、テーブルクロスと同様、1人の予約でカンボジアに10食分の給食支援をおこなっています。外国人旅行者が日本食の体験をすると、カンボジアの子供達も食事ができるという社会貢献も行える事も特徴の1つです。
2019年の6月に大幅なリニューアル予定との事ですが、詳細をお聞かせください。
責任者のトソ・セルカン様にも同席いただきお話をお伺いしました。
2019年の6月からは日本全国にエリアを広げて、サービス名も「By Food.com」にグレードアップします。
海外の人が日本に来る目的の8割は「日本食」と言われています。いっぽうで、日本の飲食店を英語で紹介するサイトはありますが、外国人が英語で飲食店の予約ができたり、イベントを探せたりできる、グルメに特化した英語のプラットフォームがありません。外国人旅行者が予約代行を依頼できるサービスもありますが、1予約5000円など、非常に高額な事がネックです。
2019年6月にBy Food.comへ生まれ変わります。
そこで、By Food.comでは、チャット予約の機能をつけて、各国の言語で入力を行うと、システムが自動でレストラン予約を行うというサービスを提供する予定です。もちろん現在提供しているグルメイベントのブッキングも引き続き行っていきます。
また、今後はユーザーに寄付団体を選んでもらい、寄付金額も含めてユーザーが自由に社会貢献を行ってもらえる仕組みを導入予定です。子供達に関わる食べ物や教育、施設の建設など、毎月新しいプロジェクトを提供して、ユーザーとBy Food.comが一緒になって社会貢献の輪を拡大していきたいと思っています。
将来的にはタイ、アメリカといった世界展開や、日本で体験した食材を母国に帰ってから買えるようになるEコマースなどもビジョンに入れ、海外向けの日本食ポータルサイトを目指していく予定です。
株式会社テーブルクロスのロードマップをお聞かせください。
「Spceading Happiness Through Food」
世界の人に食を通して幸せを届けたい を会社のミッションにしていますので、飲食店予約、体験型イベントの予約、Eコマースの3つの軸を中心に、食を通して世界中に幸せを届ける事を追求していきます。
各NPO団体のファンドレイジングに繋げるのも、これからもっと強化していく予定です。その様なプロジェクトを、どんどん立ち上げていきたいと考えています。
最後に、起業を目指す方にメッセージをお願いします。
起業を考えている人なら、こういう社会になったらいいな、こういうサービスや商品があったらいいな、というアイデアはお持ちのはずです。そして、自分のオリジナルだと思っているアイデアも、実は誰もが考えていたりします。違うのは「やったか、やらなかったか」だけ。起業したい!という思いがあるのであれば、まずは前に進んでみてください。
■株式会社テーブルクロス
ホームぺージ テーブルクロス: 社会貢献ができるグルメアプリ
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