100年続くブランド構築を目指して起業。小さな変化から世の中の当たり前をアイデアに変えていく 株式会社美溢る 代表取締役 渡部 有未菜様
公開日:2019/9/9 | 最終更新日:2019/9/9
株式会社美溢る(びあふる) 代表取締役 渡部 有未菜様に、起業にストーリーをうかがいました。
フリーランスとして、ライターやグラビアなど多彩な活動を行っていた中で出会った、「グラスに入ったビール」。この一杯と出会った事で、今までの価値観やそれからの行動が変わっていきました。2つのオリジナルのクラフトビール「梨花一心」「苺花一愛」への想いやエピソード、日頃の思考についてもお話しいただいています。
クラフトビールの企画販売の事業で起業したきっかけは?
あるお店で飲んだ桃のビールがとてもおいしくて、「ビールを作ってみたい」と思った事がきっかけです。
よく「アルハラ」と言っていますが、会社員時代に受けた”ビールの強制一気飲み”の印象が強すぎて、ビールは多様性がないと思い込んでいました。ワインや日本酒のように、「オシャレに味わいながら飲めないお酒」だと思っていて、全くいい印象が無かったんですよね…。
なのに、リンデマンスの「ペシェリーゼ」という桃のビールを飲んだ瞬間、フルーティで美味しくて、衝撃をうけました。当たり前のように抱いていたビールのイメージと全く異なり、ボトルデザインもすごく素敵、チューリップグラスに注がれたビジュアルにも痺れて、「こんなビールもあるんだ…」と感動したことがきっかけです。
わたしは小さい頃から好きなものに出会うと、どうやって作られたのかなど、バックグラウンドがすごく気になるタイプ。そうやって、クラフトビールをどんどん知っていくうちに、自分が生み出す側になりたくて、polcaで資金を集めて作ってみたんです。
「作ってみたい」で、すぐ実行したんですね。
クラフトビール創りの体験ができる場所を知ったので、polca で知人やフォロワーから20万円程協力してもらって、そこに自分のお金を足して小ロットで30本くらい作ってみたんですよ。これが後の、「梨花一心」(りかいっしん)の試作です。
わたしの実家は秋田で農家をやっていて、前から実家の梨を使って何かを作りたい。と思っていたので、せっかくの機会だし、「梨ビール」にしようと。そして、日本の梨は海外では珍しいと思うので、「どうせ作るなら日本らしいビールを」と思いました。
とはいえ、初めてで何も解らなくて…。すごく安直ですが、実家から梨を送ってもらって、自分でひたすら皮を剥いて、フードプロセッサーでジュースにしてペットボトルに詰めて、「梨のビールを作りたいです」と伝えて形にしました。
味は想像していたより梨の風味が生きていなかったので、もっと美味しいビールをつくって沢山の人に飲んでもらいたいと思ったのが、クラウドファンディングを行ったきっかけになります。
梨花一心の販売を行ってみてどうでしたか?
試作より格段に美味しく、バランスのとれたクラフトビールに仕上がっていて、「プロの仕事はすごい」と感じました。
故郷の秋田の梨をつかうので、製造も東北で行いたくて、岩手県の「いわて蔵ビール」さんに生産を請け負っていただきました。
「B級品」と言われる規格外になった梨を使って、「捨ててしまうものに付加価値をつけたい」という気持ちに共感をしてくれて、快く承諾していただけて嬉しかったです。
私は「自分ができないことはプロに任せるのが大事だ」と思っているタイプ。1人でやるより早いし、よりいいものが作れると思っています。構想を伝えて作ってくれる人がいるなら、任せたほうがスピーディーだし、関わってくれる人も幸せになります。
なので、ビールのコンセプトを伝えて、レシピは醸造家にお任せしました。やり取りができるように知識のインプットは行いましたが、変に固定概念に縛られないように、人に聞いて勉強しながら形にする方が完成度がたかまると思うので、私の中では理想的です。
試作品をブラッシュアップしようと思ってから約3ヵ月間。醸造所を探し、クラウドファンディングをして販売を開始して…。そして、2019年の1月にはほぼ在庫が無くなって、「あ、これは第2弾を作りたいな。」と思って、構想を練って考えたのが、「苺花一愛」(まいかひとめ)です。
その時に、今後継続して事業としてやっていくには、資金調達も信用も必要になるので、4月に法人化しました。前から「起業したい。会社をやりたい。」という気持ちは全くなくて、むしろ個人事業主のほうが気楽でいいと思っていたのですが、事業を拡大するにあたって法人化が必要だったので、登記した流れですね。
もともと起業したいとは思っていなかったんですね。
高校生の時は専門学校を卒業したら、結婚して専業主婦をやると思っていました。なので、最近の高校生が「起業したい」とか「事業アイデアがほしい」とか言うのはすごいなと思っています。
わたしは逆で、アイデアは多いけど、起業をしたいとは特に思っていなかったんですよね
「こういうものが世の中にあったらいいな」とか「自分がほしいな」と思うから、それを作るために、「お金が必要だよね」となって、「株式会社のほうが資金調達しやすいよね」とか、「会社にすれば信用も高いよね」という流れできているので、起業意欲のある方は野心があって尊敬します。
多くのアイデアが浮かぶ要因は何でしょうか。
「あたり前」という物事を、「何でそうなの?」と思えるか…ですかね。当たり前だと思うと、大体の事をスルーしてしまうんですよ。
例えば、トイレに行って、女性トイレにはベビーキープやオムツ替えスペースがあるのに、男性用にはなぜかない。
今の時代は、男性もひとりで子育てを行っている人もいるし、オムツを変えたりする人もいる。だから、男性用トイレにもベビースペースがあってもいいと思うんですよね。
「それは、前からそうでしょ。」とか、「昔からそうなんだから。」みたいな事でも、絶対にその在り方でなくてはいけない理由はありません。そこに気付く事がとても大切な一歩。
世の中のあたり前に「疑問や違和感」を持つことで、その違和感を磨いていくと、「世の中には存在していないけど必要な新たな何か」につながるのかなと。
ちなみに、第2弾の「苺花一愛(まいかひとめ)」はどのようなビールなのでしょうか。
静岡県の「きらぴ香」と食用バラを使って、静岡県沼津市にある「沼津クラフト」さんでつくったクラフトビールで、愛しい人に“好き”を伝えるために飲んで欲しいビールです。
実は…第2弾の構想を練り出した時に、一目惚れをしてすごく好きになった人がいました。(笑)
その人に対する気持ちを言葉で表したら「愛」。苺の花言葉は「愛情」と「尊敬」です。わたしはその方を人として尊敬もし、お酒は苦手な方でしたが、そういう方が飲みたいと思えるものを作りたいと思いました。
なので、苺花一愛は好きな人と2人で飲んで欲しいですね。
最初の飲み口はビール独特の苦めの味ですが、飲むにつれて苺の甘さが増していきます。味が変化していくのも2人で楽しんでもらいたいです。
最終的には結構甘めになるので、飲み口が甘くなった頃、雰囲気も甘くなっていると思うので、勇気を出して告白してもらえれば。お酒の力も借りられるよう、アルコール度数も8%になっています。3%じゃ足りないなって思ったので(笑)。
株式会社美溢るの紹介もお聞かせください。
美溢るでは、オリジナルクラフトビールの企画販売を中心に、お酒のプロデュースやイベントの企画・運営などを行っています。
ミッションは、「贈り物経済の醸成」です。贈り物経済とは、人に与えることを指します。お金でもモノでもスキルでも、誰かに何かを与えることがあたり前になってほしいと思っています。それが、成熟していってほしい。
その思いは「田舎のいいところと都会のいいところの中間地点がほしい」というところから発しています。モノやスキルの交換など人に与えることがありつつも、固定概念に縛られないといったバランスのとれた新しい世界観を作りたいです。
今後の展開をお聞かせください
今後1年くらいはフルーツをベースにしたビールを作っていきたいと思っています。
こだわりとして、その土地のフルーツを使ってその土地の醸造所さんと作りたいと思っています。
フルーツは配送の過程で傷がついたり痛んだりしやすく、遠方に送ると本来の味を損うもの。その土地で作ることで材料の良さをキープできるし、その土地の方々と共感を生みながら、全国の農家さんと「日本らしい」お酒や飲み物を作っていける活動をしたですね。
起業する人は3~5年後にIPOしたいとか、イグジットしたいなどが多いと思いますが、わたしは100年続くものを創りたい。自分が亡き後も続くブランドを作る、それが世の中に生き続けることに価値を求めて、新しい世界観を創っていきたいですね。
最後に、起業を志す方へメッセージをお願いします。
新しい何かを始めたい人は、まず「小さな変化」を起こしてみてはどうでしょうか。
わたしがフリーランスになった理由のひとつは、満員電車が嫌だったことです。
満員電車に乗らないためには、「職場の近くに引っ越す」「自転車通勤する」「家でできる仕事に転職する」など変え方はいろいろあります。不満を持つだけではなく、不快に思うことを実際に変えてみることが「小さい革命」となります。
自分だけの革命かもしれないけれど、世の中が少し変わって、世界が少し幸せになります。
わたしは、少しの変化を起こせるところが「経営者に向いているのかな」と思うところ。起業とはその変化をもう少し大きいスケールでやるだけのことです。今やりたいことがあるなら、まずは小さくていいのでやってみてほしいです。


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