2回目の起業で学んだ、自分が信じる未来を信じられる仲間と共に創っていくこと 株式会社パスチャー代表取締役 甲斐優理子様
公開日:2019/6/19 | 最終更新日:2019/6/19

株式会社パスチャー代表取締役 甲斐優理子様に、起業ストーリーと事業内容でもあるSNSマーティングの最新動向について伺いました。
シンガポールで起業をするも事業が軌道にのらず廃業。その後、新たに起業をして現在にいたります。2度の起業経験から得た事や学んだ事、SNSマーケティング事業をおこなっている目線から、起業家がSNS運用を行う際に気をつけるべきポイントと、「バズ狙い」ではなく「確実に相手に届く戦略」が必要!?など、効果的なSNSの活用法と最新動向を教えてもらいました。
甲斐様が起業をされた経緯をお聞かせください。

周りにいた起業家の熱量や思いに共感し、自分にとって起業をすることが自然な環境にいたので、それが「一緒に働きたい人像」であり「自分がこうなりたい像」でもありました。
私は小学生の頃からWEBサービスが好きで、オンラインの友人のほうが身近に感じるくらいでした。大学に入る頃、SNSがどんどん盛り上がってきていたこともあって「海外にこんなおもしろいWEBサービスがあるよ」とTwitterで紹介することを始めたら、そのTwitterからのご縁で起業家が集まるシェアオフィスに出入りするようになって、オフィスにいる起業家達が実際に仕事を作って成功していく姿を間近で見ていたことが大きな刺激になりましたね。
その他にも、大学時代に大手外資系銀行から数人のベンチャーまでインターンを10数社やってみたのですが、それぞれ数週間〜数カ月でしたがいろいろ経験して思ったのは、「誰かに与えてもらう仕事」ではなく「自分で目標設定をして動きたい」「自分で生み出す仕事をしたい」ということでした。結局会社員として勤めることは選択せず、大学4年生の時にシンガポールでアパレル販売の事業で起業をしました。
海外で起業ですか!?
ジャパンブランドとジャパンカルチャーが好きな東南アジアに、日本のアパレル(洋服)の在庫を売ればいいマッチングになると感じてシンガポールにいきました。
当時アパレル系事業をやっている友人が多くて、多くの企業が「ワンショット消費」に合わせるために在庫を積んで機会損失がないようにしていました。なので、1シーズン過ぎると在庫が膨らんで処分に困っていたんですよね。
最初はその悩みを解消できれば…と始めましたが、仕入れ先からは「海外で売れるカラーやサイズの販売データを出してほしい」とか、「マーケティングデータがもらえるなら無料で在庫を提供する」とか、「むしろお金を払う!」と言うブランドまであって、最悪、洋服があまりいい値段で売れなくてもマーケティング予算はとれるな…という別角度からの算段もありました。
でも、東南アジアの事情は想像と全然違っていて、思った以上に趣味やカルチャーが合わず思うようなに購買にはつながらなくて…。3年近くいましたが、結果的に挫折して日本に帰って来ました。
そこから日本に帰って来て、現在の事業をスタートしたのでしょうか?

いいえ。シンガポールから帰って来てしばらくは仕事から離れていました。
むしろ事業がうまくいかなかったことから、「自分には生きる意味がない」と思っていました。
そんなとき、シンガポールの事業にも付いてきてくれた中島が「甲斐さん、次なにやるんですか?僕はまだやりきれてないですよ!」と言ってくれて。「前を向かなきゃ。」と思えるようになりました。今の会社も一緒にやっていて、本当にいつも助けてもらっています。
大変な時期でしたね。その他に起業をしてから苦労されたことはありますか?
本質的なことを振り返ると「みんなと働く」というのが分からなかったのが、一番苦労した点です。人とのコミュニケーションが全くうまくいきませんでした。
これを言うとヤバイ人みたいに思われそうで怖いですが、私は「コレ」と決めたら他の要素を徹底的に排除して効率的にやりきるタイプなんですよ。なので、みんなも同じように、感情とかテンションとかを排除して、効率的かつ最適に時間を費やせるものなのだと思っていたので、特に「時間内の生産性」については他のメンバーの考え方が理解できなくて…。
例えば「確認します」と言われたら、「何時何分に確認し終わるの?」「(5分おきに)もう確認終わった?」と聞いたり、「1時間以内に終わらせます」と言った人が1分でも遅れて提出したら、遅れた理由を詰めてしまったりしていたので、ものすごくプレッシャーを与えていたと思います。今思うと、すごく嫌な上司だし、空気は最悪だったなと思います。本当に反省しかないです。
当然、ものすごい勢いで人が辞めていき、「今、精神科に通っていて、甲斐さんとのコミュニケーションが原因だろうと診断されました」と言われるほどでした。
それは非常に辛いですね…どの様に対応なさったのでしょうか。

その時は、しばらく会社に行くのをやめて外から見守ってみる事にしました。
この状況をどうにかしなきゃいけない…と思ったものの、なかなか打開する方法が分からくて、とにかくたくさん調べてみたり、100冊以上の組織や人材に関する本を読んでみたり、経営者の知人にアドバイスをもらったりしました。
そこで感じたのが「組織も事業も人でできている」ということで。当たり前なんですが、事業機会も事業成長も人がつくるしかないので、この人たちを信じられないとこの会社は終わるなと思いました。
同時期に、創業メンバーの1人から「しばらく会社に来ないでください」と言われたんですよね。私は事業から離れて経営をやれ、事業には口を出すな…と。その時は実際に1ヶ月程ほぼリモートワークにして、「経営判断に関わるところだけしか口出ししない。」事業については「言いたいと思ったことを1日1個まで。24時間経っても言いたければ言う」とかルールを決めて、メンバーの仕事を見守るようにしていました。
すると、メンバーががそれぞれ目標を設定して、積極的に仕事を行ってくれていて…こんなベンチャーに飛び込んできているので、元々はすごくヤル気があるんですよね。それを信頼も評価もろくにできていなかったことを胸が苦しくなるくらい反省して…そこから今いるメンバーを信じよう、と心から思えるようになりました。
それからは、完全に手放しでは任しませんが、マイクロマネジメントやプロセス管理はせず、「ここからはみ出たら危険だよ」というアラートだけ飛ばすことにしました。個々の力を伸ばすようなコミュニケーションにすると会社の雰囲気もガラッと変わりました。
起業をすると、会社の目標=「起業家本人の夢」の部分が大きいと思うんですよ。でも、ついて来てくれる人それぞれの夢もある。私の夢や理想論ばかりを語らずに、皆の幸せも考えないといけないと感じた出来事でもありました。
今思うと、あのときの創業メンバーの一言が無かったら、今私は1人だっただろうなと思います。
現在の事業についてご紹介いただけますか?
株式会社パスチャーは、SNS上の投稿データ解析をもとに、よりターゲットに効く戦略を立案・実施するソーシャルメディアマーケティングの会社です。
起業1社目のとき、買い付けた洋服をSNSにアップしていたら「カワイイ!」「ほしい!」という声がバンバン寄せられました。インスタがメインでしたが「インスタってすごいな」と思って勉強しました。「このノウハウが何かに生きればいいな」と思って、パスチャー創業1年目はインスタマーケティングのコンサルをやっていました。
現在は、分析ツール「MASAI」を主軸に、購買者の生活習慣、趣味、嗜好、価値観などを反映したサイコグラフィックデータの収集・分析をおこなっています。
例えば何百万PVの女性向けメディアなら、閲覧者の女性比率はもちろん、彼女たちが年に何回海外旅行に行き、シャネルを買う人はどのくらいいるのかなどの分析が可能です。広告主に媒体の魅力が伝わりやすく媒体宣伝が楽になるようなデータをお出しする事ができます。
起業家がSNS運用を行う上でのアドバイスをいただけますか?

SNSを使うなら、届けるべき相手に届くように活用するべき。
「SNSマーケティング」と聞くと、企業の公式アカウントを運営することだと思われがちですが、アカウント運営を行うことだけが大切ではありません。それ以外に、自社に対してどのようなことが言われているかという「ソーシャルリスニング」をはじめ、できることが多種あります。
公式アカウントにフォロワーをつけることが大事なのか、SNS上でクチコミが生まれるようなキャンペーンをすることが目的なのか、目標によってやることが全然違うので設定が大切です。発信すればするほど、データもどんどん溜まる蓄積するので、その後の闘い方も見えてきます。
今までは「バズる」と言われる一発当てて拡散するようアイディア企画が多かったのですが、これからは既存のSNSデータを分析して戦略を立てていったほうが、確実に結果がでるようになってきています。
パスチャーではターゲットと伝わり方に明確な目標設定をするので、運任せの仕事はしないという意図で「バズる」という言葉はNGワードにしています。「バズる」だと「不特定多数に」「運が良かったら」「ハマるかも」という感じでマーケターとしてイケてないじゃないですか。。
どの様な分析を行って戦略を立てれば良いのでしょうか。
戦略の1つとして弊社が行なっていることで言うと、競合商品のSNS上での広がりを調べ、その商品のPR施策や広告には、どのくらいの予算がかけられているかを分析します。そして成功と失敗のパターンを分析してクライアント商品の戦略立案から実行までを計画する方法です。
今後の展望をお聞かせください。
より多くの企業にSNS上の投稿データの価値に気づいてもらいたいです。今のソーシャルは、若い子に「やっておいて」という感じで、手が空いている人がちょっとやるという雰囲気があり、あまり重く見られていません。ソーシャルのすべてのデータを分析しながらより搾り込んだ戦略をお手伝いできるようになりたいですね。
最後に、起業家の方へメッセージをお願いします

「早く行きたいなら1人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」
自分で何かをはじめる時に、「なんかこれをやりたいな」といったフワッっとした「夢」と、これで生きていくという「起業」を分けて明確にしたほうがよいと思っているわけですが、この違いは、目標と計画の実現性だと思うんですね。
目標と計画ができるだけ具体的に描けたら、それが自分1人の目標なのか、自分を超えた世界の目標にするのかが見通せる。そうすると、1人で早期実現に向けて行動した方が良いのか、みんなの力を借りて大きな未来を描くことが必要なのか、どのような形で実現していきたいのかが理解できます。
それを理解した上で、経営者としてみんなの力を求めるなら、彼らの力を最大限に引き出し、方向を集中させられるようにしなきゃいけないのだと思っています。
■株式会社パスチャー

コーポレートサイト 株式会社パスチャー
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