時代に先駆けて在宅ワークの導入を行い起業して20年。10万人の母親ネットワークを生かして「働く価値」を上げていきたい 株式会社キャリア・マム 代表取締役 堤 香苗様
公開日:2019/1/16 | 最終更新日:2019/4/30
普通の主婦が発信した「女性は結婚をして子供を産んで終わりではなく、どんな状況でも自分らしく生きていける!」という言葉に、1500人もの母親が賛同してコミュニティが出来上がりました。それがキャリア・マムのストーリーの始まりです。テレワークという働き方をいち早く採用し、女性の「働く」を20年以上も支える、株式会社キャリア・マム 代表取締役 堤 香苗様に、ご自身の起業エピソードとマインド、起業を志す方へのアドバイスをお伺いしました。
はじめに、堤様の自己紹介をお願いします
大学時代は、早稲田大学文学部で女優の道を目指し勉強の日々を送っていました。卒業後1年間は演劇養成所に通い、その後在学中から活動を行っていたフリーアナウンサーとして、TVやラジオなどのパーソナリティの仕事に注力する様になりました。
私は26歳で結婚をしましたが、その頃から仕事場での周囲の反応が変わって来ました。当時の女性は、20代半ばで結婚をして母となる事がゴールデンコース。結婚したら女性は「寿退社」をする事が当たり前で「いいお母さん」を求められる時代です。そこから外れると「女性としての価値」まで疑問視をされるような風潮がありました。私も30歳手前で出産をし、仕事を一時的にセーブしていました。そして、子供を公園で遊ばせる様になった頃から、母親達の異質な空気に違和感を覚え始めたのです。
異質な空気とは何でしょうか?
「ミステリーCircle」と命名していましたが、自分たちと違った雰囲気の者を受け入れない「異質な小さなコミュニティ」が出来ていました。
価値観や生活バックグラウンドが同じ人としか関りを持たず、「その他の人は排除していい」という、母親達の光景が、まるでイソップ寓話の*1「ネズミの相談」を見ているようで、生産性のないことに時間をかけているように思えました。
(*1「ネズミの相談」ネズミたちが相談してライバルである猫の首に鈴をつけて危機を回避しようとするが、誰も鈴をつけようとはしないというお話)
その様な光景を目の当たりにして、周りの評価を気にする事を軸に、人間関係・その人自身を形成してしまっている様であれば、実に勿体無い。他人軸ではなく、自分から見た自分の評価という視点に変わればいいなと感じていましたね。
そんな中、転機があったとの事ですが…
障害を持つ子の母親が公園で仲間はずれになり、辛い思いをしていた事を耳にした時、「私は結局行動を起こさなかった」と恥じた事が大きな転機となりました。
先述した事を心の中で思っているだけでは「ミステリーCircle」のメンバーと同類です。そこで、何か行動を起こそうと思い、東京・多摩ニュータウンを拠点に有志を集って企画したのが「この1日だけは皆で楽しく過ごそう」と企画した親子で楽しむイベントでした。
それが1995年に育児サークル「PAO」で企画したショッピングモールでのイベントですね。
主要新聞が取り上げてくれた事もあり、多摩市聖蹟桜ヶ丘ショッピングモールに500組もの親子が集まってくれて、イベントは大盛況でした。
<協力:StudioAmi、京王SC>
イベント終了後も子育て雑誌や新聞に、「女性は結婚をして子供を産んで終わりではなく、どんな状況でも自分らしく生きていける!」という言葉が掲載され、大きな反響を貰いました。その結果1500人の母親が「堤さん賛成!」と集まってくれました。
当時はインターネットの無い時代。メディアや口コミのみで1500人はすごいですね。
母親コミュニティが出来た事は嬉しかったのですが、1500人と言っても、企業に売りになるラベルが無い普通の主婦です。このネットワークをどの様に生かしていくかを考える事はとても難しかった。大々的に声を上げた以上、そこから何もやらないと嘘になりますからね。そこから半年間「1500人の母親ネットワークを買って下さい」と色々な場所で言っていました。
そんな時、広告代理店に勤めている知人から「マーケティングって知ってる?1500人のママの声を企業に提供するってどう?」と言われました。当時の多摩ニュータウンはマーケティングに適していて、街で調査を行っている事も珍しくはなかった。かといって私にマーケティング知識がそなわっている訳では無い。でも、前のめりに突っ込むしか無いと思いました。
その後は、「独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)」から声がかかり事務局を運営。知人からホームぺージの立ち上げを進められ着手した事で「ベネッセコーポレーション」からのマーケティングの仕事の話を頂くなど、紆余曲折ありがならも「ラベルが無い普通の主婦コミュニティ」が、少しずつ価値を生み出す「企業」としてビジネスを行える様になっていきました。
堤様の行動力が凄いと思いますが原動力は何だったのでしょうか?
考えがあって始めたというより「行動しないと世の中がどんどんおかしくなる」と思った事が原動力でしたね。
「解らない!」という事は全部人に聞いていました。人間って「困っている」という事を発信していると、対応できる人が絶対教えてくれるものです。なので、「恥ずかしい」とも思わずひたすら発信していました。
後、本気で走り出した時に一番足りなくなるものは「時間」です。時間が限られる状況になると、今まで行って来たことが生きてきます。例えば、私はPAOを立ち上げる前に、多摩のケーブルTVのレポーターをボランティアで行うなど、たとえ無償でも出来る事は何でもやるスタンスでいました。そのレポーターの仕事が多摩での認知度と人脈を形成していてくれた為、後の仕事に大いに役立ったのです。
行動は嘘をつかず、全てに結び付いて来ます。許す限り、何でも行動してみる事はとても良い事だと思いますね。
その後~現在のキャリア・マムについて教えて下さい。
ホームぺージの影響で「ITに明るい会社」というイメージがつき、2000年の「E-ジャパンの構想」による時代の流れにものって、ITの下請け業務を行っていきました。シリコンバレーを訪れた時にインターネットの重要性を確信した事もあり、テレワークというシステムを採用した事で現在にもつながるキャリア・マムの基盤が出来上がりました。
現在はテレワークを活用した「アウトソーシング事業」「コンテンツ事業」で主婦の力を生かしたサービスの提供を行う他、官公庁と共に女性の「働く」を支援する「キャリア支援事業」そして、おしごとカフェ キャリア・マムの企画・運営、新規事業として託児スペース付きコワーキング施設CoCoプレイスの企画・運営を行っています。
CoCoプレイスは、通常のコワーキングスペースとしての機能の他、厚生労働省委託事業のサテライトオフィス多摩センターとしての役割も有る為、事前登録された企業の従業員は無料で施設を利用出来ます。(保育室など一部は有料)また、東京都認定インキュベーション施設として、起業や創業を行う方へのバックアップを行っている施設です。
キャリア・マムで働いている女性は、どの様な働き方をしていますか?
現在の会員数は約10万人。内3000人ほどが常に稼働しています。
管理職含める直雇用社員3層と、業務委託などの4層の計7層の組織構造で運営しており、完全在宅や時短、オフィス出勤半分のハイブリット型など様々な時間や働き方を採用しています。在宅ワークの為のシステムには現在まで数千万円を投入して、常に改善を行っています。「従業員がより良く働けるためにはどうすれば?」は常に考えていますね。
働く女性や主婦へのアドバイスがあればお願いします。
出来る事が多い方が価値は上がるので、何でもチャレンジしてみた方がよいですね。自分の心や体を傷つけない全ての経験を沢山積んでいく。
怖がりで臆病な場合は、色々な経験をしている人の話を聞きに行ってみてはどうでしょうか。実際に見たり、聞いたりして体感する事は、インターネットの現代でもとても大切な事です。
後、どんな仕事でも文書でやりとりする事が多いので、文字や文書を読み書き出来ないといけません。しかし、女性は特にビジネス文章を読まない。ロジック的に文書を構築する事が苦手な方も多いので、日経などの新聞を読みビジネスルールに触れて学んでいく事も大切です。
今後のキャリア・マムの展望をお聞かせ下さい。
「学ぶ」と「働く」を連動させ、誰かの役にたつ機会を沢山作りながら「働く」という事の価値をもっと上げていきたいですね。今現在声もある海外展開も見据えて、今後も展開していきたいと思っています。
最後に、起業を志す方へメッセージをお願いします。
起業を目指している方は「いいパートナーが見つかった時」とか「上手く言った時に起業しよう」と思っている人が多い印象ですが、そんな事300%ないです!ただ、その様なレベルで考えている時でも、他人に笑われようが進めていた事が、いざという時に役立ちます。出来る事を何でも良いのでチャレンジしてみて下さい。
自分で事業をやる事は一番面白い働き方です。チャンスがあるなら、やってみたいと思うなら、全員起業してみればよいと思います。
新しい一歩を踏み出す時、他人の目や評価が気になる事も有りますが、評価って相手が勝手に貼るラベルであって、どんなラベルを貼られても自分自身は変わる事は無いんですよね。人生は自分の物。他人のものではありません。自分自身の「価値」とか「バリュー」とか「自分がこうありたい!」と思う事を一生懸命掘っていると、いつかそれが現実となってくる。是非前向きに頑張って欲しいと思います。
■株式会社キャリア・マム 企業・事業紹介
10万人の母親のネットワークを生かした、企業へのマーケティング支援や人材の提供を行い、東京都 多摩センターを起点として「働く女性」を20年以上にわたって支援している企業です。時代に先駆けて「テレワーク」という働き方をいち早く採用し、「子育て」と「働く」の実現とサポートを行っています。
住所 東京都多摩市落合1-46-1 ココリア多摩センター 5階
ホームぺージ 株式会社キャリア・マム
お問合せ キャリア・マムーお問い合わせ
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