合同会社の資本金は最低いくら必要?平均は?1円でもいい?現実的な金額を実例で解説!
登録日:2019.6.29 | 最終更新日:2020.4.22
合同会社設立には資本金の振込みを行なう必要があります。資本金とは会社の運営資金となるお金です。資本金の振込みが行なわれなければ、合同会社設立の手続きを完了できません。
とはいっても、具体的にいくら資本金を払い込めばいいのか分からないですよね。資本金の金額は自由に設定できるのがメリットですが、あらかじめ予備知識がなければ、合同会社設立の適切な金額を設定するのは難しいでしょう。
今回は、合同会社の資本金について分かりやすくまとめました!
具体的には以下の点を解説しています。
- 合同会社の資本金についての基礎知識
- 節税に繋がる資本金額はいくら?
- 資本金は信用にも影響を与える
- 資本金が低すぎると行なえない事業もある
難しい専門用語は可能な限り使っていません。合同会社の資本金について全く知識がない方でも分かるはずです。合同会社の設立や組織変更をお考えの方は、是非参考にしてください!
合同会社の資本金について知っておきたいこと3つ+α!
まずは、合同会社の資本金について、基礎的な知識を紹介していきますね。
具体的には以下の点を紹介していきます。
- 合同会社設立は資本金1円から可能
- 合同会社への資本金出資者を「社員」という
- 合同会社の資本金はあとから増やせる
- 合同会社の社員が退社することで資本金が減ることも
それぞれ詳しく解説していきますね。
合同会社設立は最低資本金1円から可能
まず、合同会社設立にいくら必要なのかという話をしますね。
結論からいうと、合同会社の設立は資本金1円から可能です。合同会社は2006年の新会社法の施行と同時に設置されました。2006年以降に設置されている会社形態は全て資本金1円からで設立可能となっています。株式会社も同様です。
2006年以前は、最低資本金額が設定されており、株式会社設立に1000万、有限会社設立に300万の資本金が必要でした。会社設立に資本金1円~となったのは最近の話なんですね。
資本金を自由に設定できるのが、合同会社を設立する際のメリットだといえるでしょう。しかし、注意しておきたいのが、あくまで「設立は可能」という点。資本金の金額は税金や外部からの信頼などに影響を与えるため「資本金は1円~でいいから、1円にしよう!」とするのは、現実的ではありません。資本金と税金、外部からの信頼の関係については後ほど詳しく説明しますね。
とりあえず、合同会社設立は資本金1円からで法的には問題ないと覚えておけばOKです。
合同会社への資本金出資者を社員という
株式会社へ出資を行なった場合、出資者は「株主」として扱われますよね。合同会社への出資者は株主ではなく「社員」として扱われます。ここでの「社員」とは、皆さんが普段認識している従業員としてでの意味ではないので誤解しないよう注意してください。
社員と株主の違いは、社員は原則、会社業務を行う義務がある点。株主には会社業務を行なう義務はありません。所有と経営が別だからです。合同会社の場合、出資者である社員が経営も行なうので、所有と経営は一致しています。
ただし例外として、業務を行なう社員を定款に明記しておくことで、出資のみを行なう社員と差別化を図ることも可能です。定款に明記された業務を行なう社員を業務執行社員といいます。業務執行社員として明記されていない社員は、出資のみを行なう社員として扱われますね。
他にも社員と株主には、配当金の分配方法が違う点や、株主総会ではなく社員総会が開かれる点などの違いがあります。
株式会社の株主とは違い、合同会社の出資者は他の会社形態と取り扱いが大きくことなる点に注意しましょう。
合同会社の資本金はあとから増やすことも可能
合同会社に限らずですが、資本金は後から増やすことも可能です。資本金が増えるパターンは2つあります。1つは、既存の社員が増資を行なうパターン。2つ目は新たに社員が増えるパターンです。
ただ、増資ができるといっても、資本金額等の情報を変更する場合は、社員の同意や手数料がかかります。気軽に増資できるわけではないので、注意が必要です。
合同会社の社員が退社することで資本金が減ることも
合同会社の資本金は増やすこともできますが、逆に減らすこともできます。
社員同士が同意して減らしているのなら問題ありませんが、少々困るのが「社員の退社に伴う資本金の減額」。合同会社は社員が増えると増資できますが、退社する際に資本金の返還を求める可能性もあります。返還を求められれば対応しなくてはならない点は、合同会社のデメリットです。
株式会社だと、株を保有する役員が会社を辞めても出資金額の返還に対応する必要はありません。つまり、退社に伴って資本金が減ることはないです。
このように、合同会社の資本金は株式会社など、他の会社形態と取り扱い方が大きく異なります。
合同会社の資本金は1000万未満で税金対策
上記で「資本金は税金や信用に影響を与える」と述べました。そこで、まずは資本金と税金の関係について触れていきましょう。
実は、資本金は多ければ多いほど税金が多く取られる仕組みになっています。つまり、税金の支払いをなるべく抑えるためには、余計な税金が取られてしまうボーダーラインを把握しておく必要がありますよね。
結論からいうと、資本金が1000万未満になるようにすれば、支払う税金を最小限に抑えられます。さらにいうと857万以下であればベストです。
理由は以下のとおりです。
- 資本金1000万未満なら2年間消費税免税の対象になる
- 資本金1000万未満なら法人税が安く済む
- 資本金857万以下なら登録免許税が安く済む
それぞれ詳しくみていきましょう。
合同会社で資本金が1000万未満なら2年間の消費税免税の対象になる
通常、法人は消費税を納める義務があります。しかし、合同会社で資本金が1000万未満の場合は、設立してから2年間消費税を納める必要がありません。消費税の納税が必要ない事業者を免税事業者といいます。
ただし、これはあくまで一般的にという話。特定新規設立法人であれば、資本金が1000万未満でも消費税を納税しなくてはいけません。
特定新規設立法人となるのは以下の場合
①その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
②上記①の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。
(国税庁https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6531.htm)
簡単にいうと、株の50%以上が1つの株主グループに保有されており、かつその株主グループにおける一定期間の売上高が5億円を超えているときに特定新規設立法人として扱われます。
特定新規設立法人でなければ、消費税が免税されるので、合同会社を設立する際の資本金は1000万未満に設定しておきましょう。
合同会社の資本金が1000万未満であれば法人住民税が安く済む
法人が納める税金に法人住民税があります。法人住民税は会社の売り上げに対して課税される税金。では、会社の売り上げが0円であれば法人住民税はかからないのかというと答えはNOです。
なぜなら、事業の売り上げに関らず、法人住民税の均等割が適応されるから。たとえ赤字であったとしても、均等割分の法人税は支払わなくてはいけません。
実はその均等割の金額は、会社の資本金額によって決まるんです。地域ごとに若干の差はありますが、資本金が1000万未満であれば、均等割の金額は5~7万円と最も安くなります。
資本金が多くなればなるほど、均等割にて支払う金額は多くなるので合同会社の資本金は1000万未満にとどめておきましょう。
合同会社の資本金が857万以下であれば設立時の登録免許税が安く済む
合同会社を設立する際、登録免許税がかかります。この登録免許税も上記と同様に資本金額によって上下します。
登録免許税の計算方法は以下のとおりです。
資本金×税率0.7%=登録免許税
ただし、計算した登録免許税が6万円以下となる場合は、6万円の適応となります。極端な例だと、合同会社を設立する際の資本金が1円であっても設立免許税が6万円かかるということ。
上記の計算式で設立免許税が6万を超える資本金額は857万。つまり、資本金が857万以下であれば、登録免許税を最も安く済ませられるということですね。
このように、資本金の額が税金に影響を与えています。余計な税金の支払いを避けるためにも、合同会社の資本金は慎重に決定すべきです。
合同会社の資本金は信用の指標になる
上記では、資本金と税金の関係を見ていきました。次に合同会社の資本金と信用の関係をみていきましょう。
資本金の額は、会社が信用できるかどうかの指標となっています。なぜなら、資本金額の大きさは会社の規模と比例関係にあるからです。資本金の額は一般に公開するので、だれでも確認可能。「合同会社の資本金は1円にしないほうがよい」と述べたのは、資本金があまりにも低いと、やりとりにおいて不利になる可能性があるからです。
資本金額によって合同会社の信用を確認するのは、金融機関や、取引先となる法人です。具体的にはどのような影響があるのでしょうか?以下で確認していきましょう。
金融機関からの信用
資本金が低いことにより金融機関からの信用が低いと、合同会社を経営していく上で大きく2つのデメリットがあります。
1つ目は融資が受けられない点。もう1つは法人口座の開設ができない点です。
金融機関が法人に融資を行なう際、あらゆる面から「返済能力がある法人かどうか」を調べられます。資本金額が大きいということは、会社の規模が大きいと推測でき、問題なく返済してくれそうだと判断できますよね。
しかし、資本金が数万~数十万であれば「本当に返済してくれるのかな?」と金融機関から思われてしまいます。結果、融資が下りないことも往々にしてあるわけですね。融資が下りなければ、今後の事業に影響を与えてしまいます。
また、資本金が低すぎると法人口座が開設できません。近年、法人口座開設による詐欺が横行しているからです。少ない資本金で法人口座が開設できてしまうと、詐欺師も簡単に開設できてしまいますよね。法人口座が開設できないことにより、会社設立後に困ってしまう事業主もすくなくありません。
このように、資本金が少なすぎると、金融機関とのやり取りにおいて上記のようなデメリットが発生します。合同会社を経営していく上で、資金問題は必ずと発生してしまいます。資金問題を円滑に改善するためにも、金融機関からの信用は高く保っていたいですね。
取引先からの信用
資本金が低いと取引先からの信用が得られないこともあります。取引先の法人としては、できるだけ財務体制が健全な会社とやりとりをしたいですからね。資本金があまりにも少ないと「お金がない」=「儲けられていない」=「財務体制が悪い」と判断できます。
資本金が低いがために、取り引きが行なえないのは、合同会社を経営していく上で大きなデメリットですよね。信用というのは、事業を成功させるために軽視できるものではありません。
「消費者からの信用はどうなの?」と思う方もいるかもしれませんが、資本金の額が消費者との信頼関係に影響を与えることはほぼほぼありません。普段買い物をしていて「この会社の資本金は低いから、商品買うのやめよう」と考える人はいないですよね。資本金の額が信用に影響を与えるのは「金融機関」と「取引先の法人」が主であると考えてください。
なお、合同会社設立のために資金調達を行いたい方は、Founderのマッチングサービスで投資家からの支援を受けてみてください。
許認可事業は最低資本金が決められている
実は、資本金が少なすぎると行なえない事業があります。許認可が必要な業種です。許認可を必要とする事業は資本金に条件が設けられている場合があるからです。
例えば一般建設業などは自己資本が500万以上必要。一般派遣業では2000万必要です。
もし、許認可が必要な事業を行いたいのであれば、資本金に条件が課されていないか、事前に確認しておきましょう。
合同会社の設立は6ヶ月の運営資金を資本金にしよう
これまで、合同会社の資本金について解説してきました。合同会社は株式会社などの他の会社形態に比べ、違いがいくつもあること分かったのではないでしょうか。中にはここまで読んでも「合同会社の資本金をいくらにすればいいのか分からない」という方もいるでしょう。しかし、そこまで難しく考える必要はありません。
あなたが合同会社設立や組織変更を考えているのであれば、まとまった事業資金を用意すると思います。6ヶ月ほど収益が発生しなくても事業が行なえるよう資金を用意するのが一般的です。そこで、用意した6か月分の運営資金を合同会社設立の資本金とすればよいだけです。
資本金とはそもそも会社の運営資金として取り扱うもの。資本金の払い込みが完了すれば、合同会社を運営するために使って問題ありません。どんな事業を行なうにせよ、ある程度の資金は必要ですよね。つまり、事業を行なうために資金を調達していれば、自ずとまとまった資本金を調達していることになります。
6ヶ月もあくまで参考程度。不安であればもっと多くても構いません。上記で説明した、税金面での注意点を参考にしながら、合同会社を運営するための資金を用意していただければと思います。
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