【保存版】合弁会社とは?3つのメリット・デメリットや設立までの手順などを解説!
登録日:2019.5.30 | 最終更新日:2020.5.14
あなたは合弁会社(合弁企業)という言葉をご存知ですか?
主に法人が海外進出する際に利用される、会社の設立スタイルを指します。
世の中には様々な会社形態がありますが、合弁会社は他の会社と一体どのような違いがあるのでしょう。
今回の記事では合弁会社について、以下の点を解説しています。
- 合弁会社とは?
- 有名な合弁会社にはなにがある?
- 合弁会社を設立するメリットデメリット
- 合弁会社の設立方法
この記事を読んで貰えば、合弁会社がどういったものなのか理解できるはずです。
会社形態について詳しくない方でも簡単に分かるようにまとめさせていただいたので、是非参考にしてみてください。
合弁会社とは?概要を30秒でサクッと解説!
まずは合弁会社の概要について理解していきましょう。
合弁会社は、複数の法人が共同で作る会社
合弁会社とは、複数の法人が共同で作る会社をいいます。会社がつくる会社です。お金も一緒に出し合いますし、技術やノウハウ、人員などの資本も共有しますね。ジョイントベンチャーとも呼ばれています。合弁会社とは反対に、単独出資によって設立される会社は独資会社です。
合同会社が設立される理由はさまざまですが、多くの場合、それぞれの企業が持つ強みを活かしあって事業の拡大を狙うのが主。共同出資なので、事業で発生した利益に関しては出資額に応じて分け合います。
合弁会社は海外企業と国内企業とで設立されることが多く、海外企業と国内企業の共同出資で作られる会社=合弁会社と認識されがちです。しかし、この認識は間違い。日本法人同士の共同出資であっても合弁会社といいます。
合弁会社設立には2つのパターンがあります。
- 新しい会社を複数の会社が共同出資で立ち上げるパターン
- 既存の会社の一部買収行なうことで共同経営していくパターン
合弁会社を立ち上げる場合、1の新しい会社を立ち上げるパターンが一般的。
とりあえず、事業拡大のために複数の法人が一緒につくった会社=合弁会社と覚えてもらえばOKです。
会社法に「合弁会社」はない
日本には様々な会社形態があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
- 特例有限会社
合弁会社も上記のような会社の1形態だと思うでしょう。しかし日本の会社法には「合弁会社」という記載はありません。つまり、正式には日本に合弁会社は存在しません。あくまで複数の法人がつくった会社を便宜上「合弁会社」と呼んでいるだけです。
複数の法人が共同で株式会社をつくればそれは「合弁会社」ですし、共同で合同会社をつくっても「合弁会社」。合弁会社という会社形態は本来存在しないので勘違いしないようにしましょう。
また、株式会社と有限会社については以下の記事で詳しく解説しています。
【保存版】株式会社と有限会社の違いは?メリットとデメリットを3つのポイントで簡単に解説!
合同会社の資本金はいくらから必要?1円でもいいの?現実的な金額を実例と共に解説!
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合弁会社と合併、提携の違いを解説!
合弁会社について大まかに理解はできたと思います。もう少し掘り下げていきましょう。
「合弁」と似た言葉に「合併」と「提携」があります。この違いが分かりますか?
どれも「複数の企業が一緒に事業を行なう」という点では一緒であるため、どのような違いがあるのかよく分からないかたも多いと思います。
まずは表をご覧ください。
法人格 | 法人からの出資 | |
合弁 | 複数 | 約50%ずつ(場合による) |
合併 | 単一 | 出資はない |
提携 | 複数 | 出資しないor低い |
表をみてもあまりピンとこないですよね。より詳しくみていきましょう。
合弁会社と合併の違い
合弁と合併は似ているようで全く違います。
決定的な違いは、一方の法人格が残るか残らないか。例えば、A社とB社がそれぞれ、合弁と合併を行なったとしましょう。
まずは合弁の場合です。A社とB社は一緒に事業を行なうために新たに合弁会社C社を立ちあげます。そのとき、A社とB社は法人として残っています。これが合弁です。合弁の場合、法人格はそれぞれ残ります。
次に合併。A社とB社が合併によって一緒に事業を行なうとなると、A社かB社、どちらかの法人は完全に片方に吸収されてひとまとめとなります(今回はA社がB社を吸収したと考える)。B社は吸収されてしまったので、残ったのはA社のみ。合併の場合一方の法人格は残りません。
このように、合弁の違いは法人がどのように扱われるかを見れば把握できますね。合弁は残り、合併は残らない。
合併の場合、完全に1つの会社に吸収されるので、事業に対する強制力は強いです。今回の場合だと、A社は旧B社の意見にとらわれず、自由に運営が可能となっております。解散してA社とB社に戻すのは困難です。
合併に対し、合弁はお互いの意見を尊重しながら事業をすすめていくため、どちらか一方の意見を無視して運営などはできません。容易ではないものの、解散も可能です。
合弁会社と提携の違い
次に合弁と提携をみていきましょう。
提携には2つの種類があります。資本提携と業務提携です。資本提携とは提携する企業同士で出資しあう(株式会社の場合は株を持ち合う)こと。業務提供は、お互いの利益のためにお互いのもつ技術などを出し合い協力することです。どちらか一方、もしくは両方を行なっているときに「提携している」といいます。
業務提携のみであれば、出資を伴いませんし、資本提携でも、出資する割合は少ないです。つまり、一緒に業務を行なうにしても、強制力はそこまで強くありません。合併のようにどちらか一方の法人格がなくなることもありません。比較的ゆるいつながりで協力しあうのが提携です。
また、あらたに新規の会社を立ち上げることもありません。あくまで既存の業務面での協力です。
まとめると、合弁と提携はどちらも法人格はのこるものの、提携の方が出資額は少ない、もしくは0であるため結びつきが小さいということです。
このように、提携、合併、合弁では大きく違いがあることが分かると思います。結びつきの強い順は、提携<合弁<合併の順で考えるとよいでしょう。
有名企業が設立した合弁会社3選
上記で合弁会社が一体どういったものなのか、理解していただけたと思います。では有名な合弁会社にはどのようなものがあるのでしょうか?以下でみていきましょう。
【合弁会社その1】ビックカメラ×ユニクロ
家電量販店のビックカメラと衣料を販売しているユニクロが立ち上げた合弁会社に「ビックロ」があります。一時期ニュースなどで話題になっていたので、ご存知のかたも多いのではないでしょうか?
ビックカメラとユニクロはお互いの顧客層が似ており、合弁事業を開始するに至りました。ビックロの店舗は東京の新宿駅の近くという一等地に立てられているのですが、共同出資により、お互いの負担を減らしています。
【合弁会社その2】LINE×サイバーエージェント
サイバーエージェントとLINEも合弁会社を立ち上げ新規事業に乗り出しています。事業内容はゲーム開発。LINEはアジアに強いユーザー基盤を持っています。サイバーエージェントはスマホ向けのゲーム開発をメインで取り組んでいる会社。
それぞれの得意分野を活かしつつ、主にLINE GAME向けのゲームを開発していくのが目的です。
【合弁会社その3】Findability Sciences(アメリカ)×ソフトバンク
海外法人との合弁会社も紹介しますね。
2018年10月4日にFindability Sciences(アメリカ)とソフトバンクで合弁会社が東京に設立されました。Findability Sciencesという会社はAI分野に強く、自社の技術を駆使したサービスを展開している会社です。
日本はAI分野で遅れているため、ソフトバンクにとってFindability Sciencesとの合弁はまたとないチャンスとなっています。Findability Sciencesと一緒に日本企業むけにAI技術の提供を行なっていくようです。
合弁会社化するメリット3選+α
ではここからは合弁会社を設立するメリットを3つ紹介させていただきます。具体的には以下のとおりです。
- 海外進出しやすい
- リスクが軽減される
- 相手企業の資本を利用できる
それぞれ詳しくみていきましょう。
【合弁会社化するメリットその1】海外進出しやすい
合弁会社の設立を検討する理由は企業によって様々です。しかし、ほとんどの方は海外進出の際し合弁会社での設立を検討しています。なぜなら、海外進出しやすいのが合弁会社だからです。
海外で会社を立てるのに1から自分達の力だけで会社を立てるのはかなりハードルが高いです。国によって商習慣が違いますし、法律も違います。現地の商習慣や法律を0から勉強して、会社を建てるとなると、時間もお金も労力もかかりますよね。
その点、海外の企業と共同し、合弁会社を設立すれば、相手方の海外企業が協力して運営してくれます。人脈や販売力やコネの利用も可能です。この恩恵は、独資による会社設立では得られません。現地の企業が参加しているので、他の現地企業からの反対も抑えられるでしょう。
また、国によっては外資規制がある場合もあります。外資規制とは、自国外の資本100%では、会社設立はできないという法律です。つまり、外資規制のある国では、独資による会社設立はできません。合弁会社であれば共同で資本を出し合うので、自国外の資本が100%になることはないです。
日本も一部外資規制を採用しています。海外から進出してきた企業に合弁会社が多いのは、外資規制が理由です。
このように、合弁会社は海外進出をやりやすくしています
【合弁会社化するメリットその2】リスクが軽減
合弁会社は共同出資によって設立されます。つまり、仮に事業に失敗してしまっても損失を軽減できるということです。単独で出資するよりもリスクを減らせます。
もちろん、失敗を前提に新規事業を行なう方はいませんよね。ただ、ビジネスを行なうのなら、失敗してしまったときの可能性も考えておかなくてはいけません。失敗してしまったとおきのリスクヘッジという点で、合弁会社設立はよい選択であるといえます。
【合弁会社化するメリットその3】相手企業の資産を利用できる
合弁会社を設置する目的の1つが、相手企業が培ったノウハウや技術などの資本を利用し、新規事業を開拓することです。自社にはない独自の資本を利用できるので、開発スピードがはやく、うまくいけばかなり短期間で成果をのこすことができます。
資本となるのは、土地や施設といった物的資本や経営者、技術者といった人的資本が挙げられるでしょう。相手方に強いブランド力があれば、それも資本と呼べますね。
このように、いい意味でお互い利用し合えるのが合弁会社のよいところです。
合弁会社化するその他のメリット
M&Aほどの強制力はありませんが、合弁会社は共同出資によって事業が行なわれるため、提携が解消されづらいです。用意に解消できないことが事前に分かっているので、より念密な事業目的のすり合わせが行なえたり、関係性を深めることができます。
提携であれば、比較的容易に解消できてしまいますよね。どちらか一方の都合で、関係を切られてしまうということも考えられます。
合弁会社化するデメリット3選+α
次にデメリットをみていきましょう
【合弁会社化するデメリットその1】トラブルが発生する可能性
共同で会社を設置するということは、経営方針などで揉めてしまうなどのトラブルが発生する可能性があるということです。特に海外法人との合弁契約するのであれば、言語の壁、文化の違いなどにより、うまく連携して経営が行なえない可能性があります。
単独出資であれば、経営する法人は1つだけなので、まず揉めるということはありません。社内でトラブルが発生するなどはあるかもしれませんけどね。
経営がうまくいっていれば、揉めることも少なくなるのでしょうけど、問題はうまくいっていないときですよね。修整しないといけないタイミングで意見が食い違っていては、成功する事業も成功しません。合弁会社が失敗してしまう原因の1つに、相手方の法人とのトラブルが含まれています。
万が一揉めてしまっても、スムーズに意思決定が行なえるよう、設立前ルールを設けておく必要がありますね。
【合弁会社化するデメリットその2】技術の流失
合弁出資のメリットで「相手の資本が利用できる」と述べさせていただきましたが、それは相手からしても同じです。結果、自社が培ったノウハウや技術が流出してしまう可能性が高くなります。
合弁会社を設立する際のリスクとして、技術が流失する可能性は覚悟しておくべきですね。
【合弁会社化するデメリットその3】共同出資者を見つけるのは難しい
とくに海外進出の場合に言えることですが、共同出資者を見つけるのは容易ではありません。
仮に見つけられたとしても、相手が信頼できるかどうかは話が別。
特にコレといって縁のない国へ進出するのであればなおさらです。合弁会社を設立する際は、相手方にもメリットを感じてもらう必要がありますからね。特に、規模の小さい中小企業などは、信頼できる共同出資者を見つけるのは容易ではありません。
合弁会社化するその他のデメリット
合弁会社は共同出資ですから、利益はもう一方の企業と分けます。自社の取り分が減ってしまうのはしかたがないとはいえ、少々デメリットですね。
単独出資であれば、利益は総取りです。合弁会社を設立する際は、利益が減ることにも注意して設立しましょう。
合弁会社を作る3つのステップとは
合弁会社を作るといっても、法的には合弁会社というものは存在しないため、既存の会社形態から選択して設立していくことになります。
ただし、合弁会社は共同出資者と一緒に会社を作るという性質上、一定の手順を踏む必要はあります。
合弁会社を作る際、一般的には以下の手順を踏むことになりますね。
- パートナーの選定
- 契約内容のすり合わせ
- 設立手続き
それぞれみていきましょう。
【合弁会社作成その1】パートナーの選定
合弁会社を設立する際、もっとも重要なステップがパートナーの選定です。
合弁会社を設立する理由はさまざまですが、だれしもが事業の発展や新規事業の開拓のために合弁会社を設立するはずです。もし、パートナーとなる法人が信頼できない会社であったり、協力的ではなかったり、独占しようと考えていたりすると、事業の成功は難しくなります。
パートナーとの信頼関係が、事業の可否を分けるといっても過言ではありません。
本当にパートナーは適切か、他のパートナーではダメなのかよく検討してください。
【合弁会社作成その2】契約内容のすり合わせ
パートナーが決まったら、より具体的な契約に入っていきます。会社を運営し始めてからトラブルにならないよう念密に契約内容をすり合わせていくべきです。このとき作成する契約書をジョイントベンチャー契約書といいます。一例として、以下の内容を検討していくとよいでしょう。
- 新規設立or既存会社
- 出資比率及び配当
- 役員構成
- 解約時の処理
- 紛争処理
- 事業目的
- 意思決定の範囲
- 秘密保持条約 など
お互いの役割や、事業の目的、利益の配分、役員構成など決めるべきことはたくさんあります。
特に重要なのが出資比率。出資比率によって利益を分けます。約50%ずつで出資するのが通常です。
「約50%」と表記したのは本当に50%と50%にしたら決まるものも決まらないから。特に株式会社で設立した場合、出資比率が高い方が強い権利をもちます。
また、上記で紹介したデメリットである「技術の流失」などは秘密保持条約である程度制限をかけることが可能です。事前に防げるリスクはふせぎましょう。
契約内容を決定するときに、軸となる考え方があります。「揉めたときにどう対処するか」です。
揉めたときにどうするかが決まっていないと、合弁会社という性質上、どうしても意思決定が遅れます。どちらか一方を無視して経営を継続するのは不可能と考えてよいでしょう。
契約内容に問題がなければ、次に設立の手続きにはいっていきます。
【合弁会社作成その3】設立手続き
国内で会社を設立するのであればそこまで難しいことはありません。株式会社か合同会社、どちらかを選択して登記をおこなっていくだけです。問題は、海外で会社を設立するとき。国ごとに法律が違うため、設立方法も多種多様。海外進出の場合だと、半年~1年以上かかることも。
日本貿易振興機構(JETRO)のサイトでそれぞれの国の設立手続きが必要になります。
多くの場合、現地の専門科に依頼することになるでしょう。設立の手続きが終了すれば、合弁会社として運営可能です。
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