あなたが経営者に!タイミングを間違えないための開業届の出し方ポイント5つ
登録日:2018.3.22 | 最終更新日:2019.10.17
経営者になるための第一歩として必要となる手続きに開業届がありますが、必要事項を簡単に記入してただ提出すればいいというものではありません。税務署に開業届を提出し、無事に受理されるためには事前の準備が必要不可欠です。
何の予備知識もなしに税務署へ出向いて開業しようとしても、必要な準備が足りていないと後日改めて出直すことになってしまいかねないので十分に注意しましょう。
開業届を提出するにあたっての流れや事前に知っておくべきポイントとしては何があるのかをチェックしておけば、迷うことなくスムーズな開業ができます。
過去15年にわたり100社以上の開業支援を行ってきたコンサルタントがそもそも開業届とは一体どういうものなのかという基本的な部分から、開業届に関する知識を紹介します。これを読めば受理されること間違いなしです。
■開業届とは?
開業届は簡単に言えば開業するための手続きに必要な届出のことですが、提出するためにはいくつか必要なものがありますし、書き方や提出方法も決まっています。開業届とは何なのかという基本的な部分をおさえておきましょう。開業届の意義
そもそも開業届とは、個人事業を開業したことを申告するための書類のことを指します。管轄の税務署への提出することになっており、個人事業を始める人は例外なく提出することになるので覚えておきましょう。ただし、開業届は正式名称ではありません。正式名は「個人事業の開廃業届出書」であり、書類上でもそのように明記されているので間違えないように気をつけましょう。なかには開業届の提出をしない人もおり、法的なペナルティーが課せられるわけではありませんが、提出することによって得られるメリットは多いです。そのため、できれば早い段階で開業届の手続きをしておくことをおすすめします。
開業届の提出に必要なもの
開業届を提出する際には、開業届だけがあればいいわけではありません。ほかにも、マイナンバーや本人確認書類、それから印鑑が必要になります。マイナンバーと印鑑は税務署の職員に提出するというわけではありませんが、開業届に記入する際に必要となってくるものなので必ず用意しておきましょう。開業届の用紙は管轄の税務署で受け取るのが一般的ではありますが、国税庁のホームページからデータを拾って印刷することも可能です。税務署内で開業届の記入をすることもできますが、事前に書いておいたほうがスムーズに手続きができるでしょう。
必要なもの |
開業届 |
マイナンバー |
本人確認書類 |
印鑑 |
開業届の書き方
開業届の書き方は特別難しいというわけではありませんし、基本的には項目に沿って必要事項を記入していくのみですが、いくつか注意しながら記入しなければならない部分があります。まずは期日の記入です。書類の提出日と開業日をそれぞれ記入しましょう。開業日はいつでなければならないという決まりはありませんが、できる限り正確な期日に設定しておきましょう。また、忘れてはならないのがマイナンバーの記入です。2016年から始まった制度で必ず記入しなければならないので忘れないように気をつけてください。事業に関連することでは屋号と事業内容の記入も重要なポイントだと言えます。事業内容は飲食業を開くなら飲食業、製造業として経営するなら製造業といった具合に事業内容に沿ってシンプルに書いて問題はありません。
しかし、屋号は店舗の名前にもなり得る事業名ですから、こだわりのあるものにしましょう。同名の企業やサービス名がなく、一般名詞に埋もれてしまうことのないような独自性のある屋号名にするのが望ましいです。
開業届の提出方法
続いて開業届の提出方法ですが、至ってシンプルで大きく分けて2つの方法があります。税務署の窓口に提出 |
税務署へ郵送で提出 |
どちらの開業方法でもいいため、提出しやすいと思う方法を選びましょう。2つの開業方法が持つそれぞれの特徴について取り上げていきます。
【方法1】税務署の窓口で提出
一般的な方法が税務署の窓口で提出する方法です。どこの税務署でもいいというわけではなく、管轄の税務署でなければなりません。税務署の窓口まで記入した開業届を持参し、窓口の職員に渡すだけという至ってシンプルな方法になります。本人確認書類と合わせて確認してもらい、内容に不備がないのならそのまま受理されるため、非常にスムーズです。ただ、事前に開業届の印刷をするというわけではないのなら、税務署に一度開業届の書類を取りに行ってから記入することになるため注意しておきましょう。
【方法2】税務署への郵送で提出
もうひとつの方法は、郵送で開業届の提出をする方法です。管轄の税務署が遠方にあって足を運びづらい場合や多忙でなかなか行く時間がない場合に使える方法になります。郵送の場合はただ開業届を送ればいいというわけではなく、控え用の開業届と返信用封筒の同封もしなければなりません。つまり、開業届を2つ用意することになりますが、控え用になる届出書には用紙の隅に赤色のペンで「控え用」と記載することを忘れないようにしましょう。また、控え用の届出書を送ってもらうための返信用の封筒には切手を貼っておくことも重要です。それから。税務署の受領印の日付は郵便局の発送日になるのでそれも踏まえたうえで提出する日を決めるようにしてください。
■開業届を出すメリットは?
開業届を出さない人もいますが、事業を始めるのなら出しておいたほうがいいに越したことはありません。なぜなら開業届を出すことでさまざまな恩恵を受けられるためです。一体どんなメリットがあるのかを詳しく説明していきます。青色申告ができるようになる
開業届を提出すると青色申告ができるようになります。正確には開業届だけではなく、青色事業承認申請書も提出しなければならないので注意しなければなりませんが、一度提出さえしておけば青色申告が可能です。確定申告で青色申告ができるようになるということは高い節税効果が見込めるということです。事業のために購入した備品や使用した光熱費、テナントの家賃代などは経費として計上することができますし、何より青色申告をすれば最大で65万円の控除が受けられるというメリットがあります。事業が軌道に乗らず赤字経営になってしまった場合、最大で3年間の損失繰り越し控除があるため、その後に利益が出たときには大いに役立つでしょう。
このように、青色申告ができることによる節税効果は非常に高く、大きなメリットだと言えるのは確かです。
さまざまな制度を利用できる
開業届を提出して開業をすることで、小規模企業共済などの制度を利用できるという魅力もあります。小規模企業共済の場合は別途で手続きをして加入をする必要がありますが、小規模企業共済で支払った掛け金を全額所得控除にして節税効果を高めることができますし、積み立てた金額は事業の廃業や退職をした際に退職金として受け取ることもできます。また、制度とは少し異なりますが、開業届を出しておけば、税務署からの青色申告の記帳説明会への無料参加や個別の記帳指導を受けられるというメリットもあります。初めての開業で確定申告の仕方に困っている場合には積極的に活用すべきだと言えるでしょう。
事業用口座を開ける
開業すると、開業届に記入した屋号名で口座を開くことが可能になります。事業内容によっては個人名の銀行口座だけで事足りるかもしれませんが、事業らしさを出すためにも屋号名の口座はあったほうがいいでしょう。これから事業を始めるのなら、事業としての信頼性にも繋がる部分でもあります。開業届を提出した際にもらった、受領印が押された控え用の開業届をみせることで事業用口座の開設は可能です。口座を開きたいと考えている希望の銀行の窓口で本人確認書類や印鑑と一緒に提出して開設しましょう。
経営者としての自覚が高まる
目に見えるメリットというわけではありませんが、開業届を出すことで経営者や個人事業主としての自覚が高まるというのも大きな魅力のひとつです。開業届を出すことで事業を始めたという意識が強くなりますし、それをきっかけとして「これからがんばろう」という気持ちも必然的に強くなります。モチベーションの問題ではありますが、この意欲の高さが事業への取り組み方を変えてくれるでしょう。■開業届の出し方で知っておきたいポイント5つ
開業届を提出するのなら、出し方のポイントを前もっておさえておきましょう。書類の提出さえすればいいというものでもないですし、意外と見落としてしまっていることもあるものです。確認をするという意味でも開業届の出し方で知っておきたいポイントについてチェックしてみてください。
【ポイント1】開業届提出に適切な時期
開業届はいつ提出してもいいというわけではありません。原則としては開業した日から1カ月以内と決められています。開業届を提出する日が遅れたからといって何らかのペナルティーが発生するというわけではありませんが、所得税法で決められていることですから、できる限り期日は守るようにしましょう。多忙な場合でも郵送で税務署に提出するという方法もあるわけですから、仕事や育児をしながらでも手続きすることは十分に可能です。
もし遅れてしまった場合は、できる限り速やかに開業届を提出するように心がけましょう。
【ポイント2】開業届は提出前にコピーしておく
開業届は事業者控えというものをもらえるようにはできていません。そのため、控え用にできる開業届を予め用意しておく必要があります。わざわざ2部それぞれに記入する必要はないですから、1部に記入し、その開業届を提出前の段階でコピーしておきましょう。税務署でコピーできる可能性もありますが、コピー機が設置されているとは限らないので、自宅かコンビニなどでコピーしてから提出するのが望ましいです。開業届を提出する際に見せればコピーした側の開業届にも受領印を押してもらえるので、そのまま控えとして保管できます。先述した事業用口座の開設にも必要となってくるものなので忘れないようにしておきましょう。
【ポイント3】知っていると得する提出タイミング
初年度の事業の年間所得が20万円に満たない場合には、課税対象にはなりません。そのため、本格的な開業のタイミングや開業届の提出タイミングを翌年に持ち越すという方法があります。20万円を少し超えてしまうくらいの年間所得になる場合は、経費を増やして収入額を調整し、20万円未満にするという方法があるので積極的に調整してみましょう。
いずれの場合でも開業届の提出を見送ると開業準備期間だと判断されます。ただし、開業準備期間は長くても1年間というのが一般的で、それ以上長くなると事業にかけた費用が開業費用として認められない可能性が高くなるので注意しなければなりません。
ただ、収入額が少ない場合にはこのように得ができるような開業届の提出タイミングも考慮してみるといいでしょう。
【ポイント4】失業手当がもらえなくなるケース
開業届を提出すると個人事業主、つまり事業をしているため失業状態ではないとみなされるようになります。そうなると本業や副業として働いている会社を退職したとしても失業保険がもらえなくなってしまう可能性があるので注意しなければなりません。開業した事業だけに絞り込んで仕事をしているのであればあまり関係のないことではありますが、ダブルワーカーとして事業を始めるのなら失業手当がどうなるのかを考慮しながら慎重に開業届を提出しましょう。
ただし、再就職手当に関しては、支給の要件さえ満たせているのなら開業届を提出している事業主でも受け取ることは可能なので覚えておいてください。
【ポイント5】青色申告をするなら承認申請書も同時に提出
開業届を出したら、確定申告をする義務がありますが、白色申告ではなく青色申告をしたい場合には青色申告承認申請書の提出も忘れないようにしましょう。青色申告承認申請書は開業から2カ月以内の提出だと決められており、提出期限が過ぎてしまうと受理してもらえません。期限が過ぎてしまった場合には今年度の青色申告ができなくなってしまうため、十分に気を付けましょう。
提出するのを忘れてしまわないようになるべく早く届け出るのもひとつの方法ではありますが、開業届と一緒に提出することをおすすめします。
開業届と同時のタイミングなら提出し忘れてしまうという事態を防げますし、何よりも2度も税務署に出向いたり、郵送したりといった手間を省くことが可能です。スムーズに提出し、問題なく青色申告ができるようにしておきましょう。
■賢く開業届を提出しよう
開業届を提出するのなら、前もって適切だと思う提出タイミングを定めておきましょう。滞りなく受理されるためにも、事業内容の書き方や屋号名なども予め決めておくことをおすすめします。事前にきちんと準備しておけば、それだけスムーズに受理されますし、開業する事業や仕事などの合間を縫って提出するわけですから貴重な時間の短縮にも繋がるはずです。
青色申告の控除を始めとしたさまざまな恩恵を問題なく受けられるように、スムーズな提出を意識しましょう。
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