【保存版】前渡金(前払金)とは?仕訳方法や買掛金を使う例外をわかりやすく解説!仮払金との違いなど3つのポイントも紹介!

登録日:2019.8.31  |  最終更新日:2019.9.24


会計・経理において、前払いを「前渡金(前払金)」で処理する場面がよくあります。しかし、前払いしたものすべてが「前渡金」になる訳ではありません。

前払いには、前払費用・仮勘定・仮払金など、様々な勘定科目があります。これらは、会計処理上で、まったく異なるものです。間違えて記帳してしまうと、財務書類にも影響します。

そこで本記事では、前渡金(前払金)について、わかりやすくまとめました。

  • 前渡金に仕訳されるのはどんなもの
  • 前渡金の正しい仕訳方法は?
  • 前渡金の仕訳で買掛金を使うのはなぜ?
  • 前渡金と前払費用の違いは?
  • 前渡金と建設仮勘定・貸付金・仮払金の使い分け方は?

この記事を読むと、これらを簡単に理解できます。前渡金の処理にお困りの方は、ぜひご覧ください。


前渡金(前払金)とは何?初心者にもわかりやすく解説!


前渡金(前払金)とは『前払いした内金・手付金』

前渡金は、「まえわたしきん」または「ぜんときん」と読みます。

前渡金とは、商品等の購入の際に、前払いした代金のことです。「前金・手付金・内金」と呼ばれる、商品代金の一部または全額を指します。

また、前渡金は、前払金(まえばらいきん)とも言います。

以下は、内閣府令の財務諸表等規則です。前渡金について、次のように定められています。

(財務諸表等規則 第15条1項11号より引用)
商品及び原材料(これらに準ずるものを含む。)の購入のための前渡金をいう。ただし、破産更生債権等で1年内に回収されないことが明らかなものを除く。

引用元:内閣府令第13号 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則|e-Gov 電子政府の総合窓口

前渡金(前払金)の役割は『費用計上までの一時的な勘定科目』

前渡金(前払金)は、商品等が納品されるまでの、一時的な勘定科目です。

企業では、前払いにより支出が生じると、その取引内容を記帳する必要があります。しかし、仕入金額は、商品等が納品されるまで費用計上できません。

そこで、商品提供を受けるまでは、一時的に「前渡金」として仕訳を行います。

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前渡金(前払金)は『貸借対照表上の流動資産』

前渡金(前払金)は『資産=権利』

前渡金は、貸借対照表(バランスシート)で「流動資産」に区分されます。


代金を払ったのに、費用ではなく資産となる理由は、商品等の提供を受ける権利があるため。この権利が、資産なのです。商品等が納品された時点で、資産(前渡金)ではなく、費用(仕入高等)になります。

なお、貸借対照表(B/S)の見方や作成方法について知りたい方は、以下のページをご覧ください。

関連記事:貸借対照表と損益計算書の関係!見方やカンタンな作成方法を紹介!
関連記事:貸借対照表/バランスシートの読み方が100%わかる!8つのポイントの見方(初心者OK)
関連記事:貸借対照表の書き方100%ガイド!初めての個人事業主・法人でも簡単にわかる

前渡金(前払金)は『正常営業循環基準』に該当

前渡金(前払金)が流動資産に分類されるのは、「正常営業循環基準」に該当するためです。
※正常営業循環基準=通常の営業取引による資産

「通常の営業取引」とは、事業売上に関する仕入や販売を指します。

前渡金は、この基準に当てはまるので、1年基準に関わらず、常に流動資産となるのです。
※1年基準=決算日の翌日から1年間を基準とするルール

前渡金(前払金)は『非金銭債権』

前渡金(前払金)は、前述のとおり、資産に区分されますが、金銭債権ではありません。「非金銭債権」の扱いとなります。

あくまでも「商品等を請求する権利」のため、「金銭を請求する債権」とは、明確に区別されるのです。そのため、前渡金は貸倒引当金の対象とはなりません。

前渡金(前払金)の5つの具体例を紹介!


前渡金(前払金)に仕訳されるものは、主に以下の5つです。

<前渡金(前払金)の具体例>

  1. 原材料の仕入れ代金の内金・手付金
  2. 商品等の購入代金の内金・手付金
  3. 外注加工費の内金・手付金
  4. 不動産売買に伴う解約手付金
  5. ホテル・宿泊施設等の予約金

前渡金(前払金)仕訳時の3つ+αの注意点・ポイントは『建設仮勘定・短期貸付金・仮払金』


前渡金(前払金)の仕訳においては、以下の3つ+αのポイントがあります。

<前渡金(前払金)の3つ+αの注意点・ポイント>

  1. 建物代金の前払いは『建設仮勘定』
  2. 継続的な前払いは『短期貸付金』
  3. 用途・金額が未確定の前払いは『仮払金』
  • その他:前払時は消費税の計上不要

それぞれのポイントについて、以下で解説いたします。

【前渡金(前払金)の注意点・ポイント1】建物代金の前払いは『建設仮勘定』

代金を前払いした時の勘定科目には、前渡金(前払金)の他に「建設仮勘定」があります。前渡金と建設仮勘定は、まったく別の物なので、仕訳の際に区別が必要です。

建設仮勘定とは、未完成の有形固定資産に対する前払い代金を指します。たとえば、建設中の建物の内金・手付金などです。

前渡金と建設仮勘定には、下記の違いがあります。

 前渡金(前払金)建設仮勘定
定義商品・原材料等の前払い代金有形固定資産の内金・手付金
勘定科目の役割商品等を受け取るまでの一時的な勘定科目・建物等の引渡しを受けるまでの一時的な勘定科目
・有形固定資産の取得権利を有する明示
仕訳・計上のタイミング前払い時に前渡金として仕訳前払い時に建設仮勘定として仕訳
貸借対照表上の区分流動資産有形固定資産

※貸借対照表の見方や作成方法については、以下のページをご覧ください。
関連記事:貸借対照表と損益計算書の関係!見方やカンタンな作成方法を紹介!

上記のように、前渡金と建設仮勘定では、貸借対照表上の区分が異なります。どちらも資産ですが、「将来的に何にかわる資産なのか」が違うので、明確に分けましょう。


建設仮勘定は、建物だけではなく「完成後に固定資産となる物」全般に使われます。具体的には、下記の物に対する前払いが、建設仮勘定となります。

<建設仮勘定の具体例>

  • 建物
  • 舗装道路
  • 機械・装置
  • 車輌
  • 船舶

固定資産の中でも、無形固定資産(ソフトウェアなど)の前払いには、建設仮勘定は用いません。

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【前渡金(前払金)の注意点・ポイント2】継続的な前払いは『短期貸付金』

商品代金等の前払いは、前渡金(前払金)で仕訳するのが通常です。

しかし、同一の取引先へ、継続的に前払いをすると、税務上で資金援助とみなされることがあります。その場合は、前渡金ではなく、短期貸付金で処理するのが適切です。

短期貸付金とは、金銭等を貸し付けた場合の債権のうち、返済期限1年以内のものを指します。
下記は、前渡金と短期貸付金の比較表です。

 前渡金(前払金)短期貸付金
定義商品・原材料等の前払い代金返済期限1年以内の貸付金等の債権
仕訳・計上のタイミング前払い時に前渡金として仕訳貸付時に短期貸付金として仕訳
貸借対照表上の区分流動資産流動資産

貸借対照表上では、どちらも流動資産に区分されます。
短期貸付金の具体例は、以下のとおりです。

<短期貸付金の具体例>

  • 取引先・下請会社に対する運転資金等の貸付
  • 従業員に対する住宅購入資金等の貸付

なお、従業員・取引先等の経費を一時的に立て替えた場合は、短期貸付金ではなく「立替金」を使います。立替金(立て替え払い)については、以下のページをご参照ください。

関連記事:立て替え払いした際の領収書の書き方や、立て替える前に気を付けるべきポイント!

【前渡金(前払金)の注意点・ポイント3】用途・金額が未確定の前払いは『仮払金』

前払い時に使う勘定科目には、前渡金や建設仮勘定の他に「仮払金」もあります。

仮払金とは、使用目的や金額などが未確定のものに対する前払いのことです。たとえば、出張費用を従業員へ事前に渡した場合は、仮払金になります。

下記は、前渡金と仮払金の比較表です。

 前渡金(前払金)仮払金
定義商品・原材料等の前払い代金使用用途や金額が未確定の前払い代金
勘定科目の役割商品等を受け取るまでの一時的な勘定科目内容や金額が確定するまでの一時的な勘定科目
仕訳・計上のタイミング・前払い時に前渡金として仕訳
・納品時に仕入等へ振替
・前払い時に仮払金として仕訳
・用途・金額等の確定時点正式な勘定科目へ振替
貸借対照表上の区分流動資産流動資産

仮払金は、内容・金額が確定した時点で、本来の勘定科目へ振替えます。そのため、金額等が初めから明確なものには、仮払金を用いません。

具体的には、以下のようなものが仮払金となります。

<仮払金の具体例>

  • 宿泊費・交通費等を含めた出張費用の前払い
  • 備品等の買い出しのためにあらかじめ渡す現金

なお、出張費用等の前払いは「立て替え払い」ではありません。仮払金と立替金を混同しないように、注意しましょう。立て替え払いについては、以下のページで詳しく解説しています。

関連記事:立て替え払いした際の領収書の書き方や、立て替える前に気を付けるべきポイント!

【前渡金(前払金)の注意点・ポイント:その他】前払時は消費税の計上不要

前渡金の仕訳の際は、消費税を計上しません。消費税法では「サービス提供があった時点で、消費税が生じる」となっているためです。

前払の時点では、まだサービスを受けていないので、納品時に消費税を計上します。
国税庁では、下記のように記載されています。

(平成31年4月1日現在法令等より引用)
消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、所得税、法人税の場合と同じように、原則として資産の引渡しやサービスの提供があった時とされています。

引用元:前受金や前払金などがあるとき|国税庁

前渡金(前払金)と前払費用の違いとは?意味や具体例をわかりやすく解説!


前渡金(前払金)と似ている勘定科目に、「前払費用」があります。この2つは混同されがちですが、まったく別の物です。

そこで、以下の点について、説明していきます。

  • 前払費用とは
  • 前渡金(前払金)と前払費用の違い
  • 前払費用の具体例

前払費用とは『翌期費用に繰り延べるための勘定科目』

前払費用とは、決算時に出てくる勘定科目です。翌期に提供されるサービスに対して、当期中に支払った代金「前払費用」として記入します。

一定の継続的なサービスにおいて、支払い済の金額を、翌期の費用(経費)として繰り延べるためのものです。

前渡金(前払金)と前払費用の違いは『取引の継続性』と『計上のタイミング』

前払金(前渡金)と前払費用は、どちらも「商品やサービスを受ける前の支払い」です。しかし、以下のように、それぞれの定義や仕訳のしかたは、まったく異なります。

 前渡金(前払金)前払費用
定義事前に支払った内金・手付金継続的なサービス代金の前払い
勘定科目の役割商品等を受け取るまでの一時的な勘定科目翌期の費用となる分を、決算時に繰り延べるための勘定科目
サービス等の提供状況受ける前・全く受けていない受けている途中
取引の継続性単発継続的
仕訳・計上のタイミング前払い時に前渡金として仕訳決算時に前払費用へ振替(繰延べ)
貸借対照表上の区分流動資産流動資産

実務上では、仕訳・計上のタイミングが異なります。また、共通点は、どちらも流動資産であることです。前払費用については、以下のページで、さらに詳しく解説しています。

関連記事:【保存版】前払費用とは?仕訳方法や振替のタイミング・消費税計上など3つのポイントを解説!長期・短期の違いも紹介!

前払費用の具体例を紹介!

前払費用として計上するものには、以下のような例があります。

<前払費用の具体例>

  • 事務所等の家賃
  • 駐車場料金
  • 自動車保険料
  • 火災保険料
  • リ-ス料金
  • 前払利息

たとえば、12月末決算の会社で、7月に1年分の家賃を支払ったとします。この場合、翌年1~6月分の家賃は、翌期のサービス(賃貸)に対する費用です。そのため、6ヶ月分の金額を「前払費用」として翌期に繰り延べます。

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前渡金(前払金)の正式な会計処理・仕訳方法を具体例付きで解説!


前渡金(前払金)の仕訳方法の原則は『前払い時点で前渡金として記帳』

前渡金(前払金)の正式な仕訳方法は、原則として、以下のように行います。

仕訳のタイミング原則的な仕訳方法
1.前払時前払いした金額を「前渡金」で借方へ記帳
2.納品時・「前渡金」を貸方へ振替
・残金(買掛金 等)を貸方へ記入
3.残金支払時「買掛金」を借方へ振替

具体的な数字を入れた仕訳例は、以下で紹介いたします。

前渡金(前払金)の記帳・仕訳方法の具体例をわかりやすく紹介!

【前渡金(前払金)の仕訳方法・具体例の設定】

下記の具体例を使って、前渡金(前払金)の仕訳方法を解説していきます。

 前払金の支払い例
取引内容原材料の仕入れ
代金20万円
前払金額2万円
残金額18万円
支払方法納品前に一部前払い・残金を掛払い

【前渡金(前払金)の仕訳方法・手順1】<前払時>前渡金として仕訳

前払いで支払った金額を記入します。勘定科目は前渡金で、借方へ仕訳します。

1.前払時の仕訳
借方金額貸方金額
前渡金20,000現金20,000

【前渡金(前払金)の仕訳方法・手順2】<納品時>前渡金を貸方に振替

納品時は、代金全額を「仕入」として借方に記入します。支払い済みの前渡金は貸方へ振替し、残金も貸方へ仕訳します。

2.納品時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
仕入200,000前渡金20,000
買掛金180,000

この支払い例では残金掛払いのため、上記のように、残金分を「買掛金」とします。この買掛金の支払い時には、次の手順3の「残金支払時の仕訳」が必要です。

買掛金についての説明は、下記のページをご参照ください。
関連記事:【簡単にわかる】流動負債とは?買掛金・未払金など11個の勘定科目を徹底解説!3つの経営指標もわかりやすく紹介!

もし残金を現金で払うのであれば、以下のように仕訳します。

2.納品時の仕訳(残金を現金払いの場合)
借方金額貸方金額
仕入200,000前渡金20,000
現金180,000

現金払いの場合は、これで支払いが完了するので、この後の「残金支払時の仕訳」は発生しません。

【前渡金(前払金)の仕訳方法・手順3】<残金支払時>買掛金を借方に振替

残金の支払時は、買掛金を借方へ振替えます。貸方の記入内容は、買掛金の支払方法(現金等)です。

3.残金支払時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
買掛金180,000現金180,000

以上で、前渡金の記帳・仕訳は完了です。

前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法で「買掛金」を使うのはなぜ?理由や注意点を徹底解説!


商品代金等を前払いした時、通常は、前述の「正式な仕訳方法」で処理します。ただし、例外的な方法もあります。下記のように、勘定科目に「買掛金」を使う、4つの仕訳方法です。

<前渡金の例外的な仕訳方法4つ>

  • パターンA:納品時点で仕入代金の全額買掛金として仕訳
    • 仕訳方法1. 納品時に前払金額の打ち消しあり
    • 仕訳方法2. 納品時に前払金額の打ち消しなし(残金支払時に前渡金を記入)
  • パターンB:前払時点支払った金額買掛金として仕訳
    • 仕訳方法3. 決算期末で前渡金に振替なし
    • 仕訳方法4. 決算期末で前渡金に振替あり

上記の仕訳方法について、「買掛金」を用いる理由や、注意点を解説いたします。

前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法で「買掛金」を使う4つの理由

例外的な仕訳方法1~4の特徴は、「買掛金」の勘定科目の使い方です。「買掛金」の本来の意味は「未払いの代金」ですが、例外的な仕訳方法では、原則とは違う処理をしています。

前払いの処理で、あえて買掛金を使う理由は、主に次の4つです。

<前渡金の処理で「買掛金」を使う4つの理由>

  1. 前払いと仕入の担当者が異なるため
  2. 仕入件数が多いため・作業の簡略化
  3. 会計ソフト・システムによる自動処理
  4. 債権・債務の見落とし防止のため

以下で、それぞれの内容を説明していきます。

【前渡金処理で買掛金を使う理由1】前払いと仕入の担当者が異なるため

買掛金を使う理由の1つは、前払いと仕入の担当者が異なるためです。

たとえば、前払いの処理は経理が行い、仕入計上は購買部で行う場合があります。担当者が違うために「どの仕入に対する前払いなのかが、わかりづらい」という状況です。

そのため、ひとまず全額を買掛金にしておき、納品後や残金支払時に、仕入と前渡金の紐付けを行います。このパターンは、発注者側よりも、受注者側で時々発生する状況です。

【前渡金処理で買掛金を使う理由2】仕入件数が多いため・作業の簡略化

納品時点で全額買掛金とするのは、作業を簡略化するためという理由もあります。

原則どおり「納品時に、前渡金と買掛金に分けて記帳」をするには、「どの仕入に対して、いくらの前払いがあるか」を確認しなければなりません。

それを毎回行うとなると、仕入件数が多い会社では大変です。そのため、納品時には全額買掛金で処理しておき、後で紐付けるという手段を用います。

前述の理由1は「担当者が異なるために、やむを得ず」というパターンでした。それと比べ、理由2の場合は、担当者が同一であっても「作業簡略化のために、あえて買掛金で処理をする」ということです。

【前渡金処理で買掛金を使う理由3】会計ソフト・システムによる自動処理

買掛金を使うのは、システム上の都合に起因することもあります。

たとえば、会計ソフトで、仕入高と買掛金が紐付いている場合です。仕入計上すると、代金全額分の買掛金自動的に処理されます。

その場合、納品時は、一旦全額を買掛金にせざるを得ません。そして、納品後や残金支払時に、前渡金と買掛金を相殺するという手法です。

【前渡金処理で買掛金を使う理由4】債権・債務の見落とし防止のため

債権・債務の見落とし防止のために、買掛金を使うという理由もあります。

債権等を色々な勘定科目に分散させると、見落としてしまう可能性もあります。そのため、「債権等すべて買掛金(=負債)にまとめることで、ミスを防ぐ」という、リスク管理を目的としたパターンです。

前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法3・4の注意点

例外的な仕訳方法3・4の特徴は、前払いした金額を「買掛金」として仕訳する点です。

しかし、買掛金の正式な意味は「未払いの代金(=負債)」です。本来であれば、支払済みの代金は、買掛金ではありません。

ですので、前払金を買掛金とする「例外的な支払方法3・4」は、簿記会計の原則からは外れています。ただし、前述した理由のとおり、システムの都合や慣習により、実務上でこの方法を用いている企業もあります。

買掛金について詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。

関連記事:【簡単にわかる】流動負債とは?買掛金・未払金など11個の勘定科目を徹底解説!3つの経営指標もわかりやすく紹介!

前渡金(前払金)の例外的な会計処理・仕訳方法4つを具体例付きで徹底解説!


下記の例外的な仕訳方法4つについて、それぞれの記帳のしかたを説明いたします。

<前渡金の例外的な仕訳方法4つ>

  • パターンA:納品時点で仕入代金の全額買掛金として仕訳
    • 仕訳方法1. 納品時に前払金額の打ち消しあり
    • 仕訳方法2. 納品時に前払金額の打ち消しなし(残金支払時に前渡金を記入)
  • パターンB:前払時点支払った金額買掛金として仕訳
    • 仕訳方法3. 決算期末で前渡金に振替なし
    • 仕訳方法4. 決算期末で前渡金に振替あり

【前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法・具体例の設定】

以下の支払い例を使って、前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法4つを解説していきます。

 前払金の支払い例
取引内容原材料の仕入れ
代金20万円
前払金額2万円
残金額18万円
支払方法納品前に一部前払い・残金を掛払い

【前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法1】納品時に全額買掛金として仕訳&前払金額の打ち消し

例外的な仕訳方法1が、原則と異なる点は、下記のとおりです。

 仕訳方法の相違点
原則納品時に「前渡金」と「買掛金」を貸方に仕訳
例外的な仕訳方法1納品時に代金全額「買掛金」として貸方に仕訳

例外的な仕訳方法1では、以下の手順で記帳を行います。

仕訳のタイミング例外的な仕訳方法1
1.前払時前払いした金額を「前渡金」で借方へ記帳
2.納品時・仕入代金の全額「買掛金」で貸方に記帳
前払済の金額を打ち消す仕訳を記入
3.残金支払時「買掛金」の残額を借方へ振替

具体的な数字を入れた仕訳例を、以下で紹介していきます。

【例外的な仕訳方法1-手順1】<前払時>前渡金として仕訳

前払いで支払った金額前渡金として、借方へ記入します。これは、正式な仕訳方法と同様です。

1.前払時の仕訳
借方金額貸方金額
前渡金20,000現金20,000

【例外的な仕訳方法1-手順2】<納品時>代金全額を買掛金として仕訳

納品時は、まず仕入代金の全額20万円を、買掛金として貸方に記入します。(※原則では「前渡金2万円+買掛金18万円」を貸方に記帳するところ)

しかし、本来は買掛金18万円なので、前払済みの2万円を打ち消す仕訳も必要です。そこで、支払済みの2万円を、買掛金として借方へ、前渡金として貸方へ記帳します。

2.納品時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
仕入200,000買掛金200,000
買掛金20,000前渡金20,000

上記の打ち消しの仕訳により、買掛金の残額が18万円となります。

【例外的な仕訳方法1-手順3】<残金支払時>買掛金の残額を借方に振替

残金の支払時は、買掛金の残額18万円を借方へ振替えます。

3.残金支払時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
買掛金180,000現金180,000

以上で、例外的な仕訳方法1の記帳は完了です。

【前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法2】納品時に全額買掛金として仕訳&残金支払時に前渡金を記入

例外的な仕訳方法2が、原則と異なる点は、下記のとおりです。

 仕訳方法の相違点
原則納品時に「前渡金」と「買掛金」を貸方に仕訳
例外的な仕訳方法2・納品時に代金全額「買掛金」として貸方に仕訳
残金支払時「前渡金」を貸方に記帳

例外的な仕訳方法2では、以下の手順で記帳を行います。

仕訳のタイミング例外的な仕訳方法2
1.前払時前払いした金額を「前渡金」で借方へ記帳
2.納品時仕入代金の全額「買掛金」で貸方に記帳
3.残金支払時・代金全額分の「買掛金」を借方へ振替
「前渡金」貸方へ記帳

具体的な数字を入れた仕訳例を、以下で紹介していきます。

【例外的な仕訳方法2-手順1】<前払時>前渡金として仕訳

前払いで支払った金額前渡金として、借方へ記入します。これは、正式な仕訳方法と同様です。

1.前払時の仕訳
借方金額貸方金額
前渡金20,000現金20,000

【例外的な仕訳方法2-手順2】<納品時>代金全額を買掛金として仕訳

納品時は、仕入代金の全額20万円を、買掛金として貸方に記入します。(※原則では「前渡金2万円+買掛金18万円」を貸方に記帳するところ)

「例外的な仕訳方法1」と異なり、ここでは、前渡金2万円の打ち消しを行いません。

2.納品時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
仕入200,000買掛金200,000

【例外的な仕訳方法2-手順3】<残金支払時>買掛金を借方に振替

残金の支払時は、買掛金20万円(=代金全額分)を借方へ振替えます。

貸方には、前渡金を差し引いた金額(=本来の買掛金の金額18万円)を記帳。この時の勘定科目は、買掛金の支払方法(現金等)です。

さらに、前渡金2万円を貸方に記入します。(※原則では、納品時に貸方へ仕訳するもの)

3.残金支払時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
買掛金200,000現金180,000
前渡金20,000

以上で、例外的な仕訳方法2の記帳は完了です。

【前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法3】前払時に買掛金として仕訳&決算期末の振替なし

例外的な仕訳方法3が、原則と異なる点は、下記のとおりです。

 仕訳方法の相違点
原則・前払時に支払った金額を「前渡金」で借方に仕訳
・納品時に「前渡金」と「買掛金」を貸方に仕訳
例外的な仕訳方法3前払時に支払った金額を「買掛金」で借方に仕訳
・納品時に代金全額「買掛金」として貸方に仕訳

前述の注意点のとおり、「例外的な仕訳方法3」は、簿記会計の原則からは外れますが、実務上で用いられる場合があります。(詳しくは、本記事内の「例外的な仕訳方法3・4の注意点」をご参照ください。)

例外的な仕訳方法3では、以下の手順で記帳を行います。

仕訳のタイミング例外的な仕訳方法3
1.前払時前払いした金額「買掛金」で借方へ記帳
2.決算期末・翌期首振替なし
3.納品時仕入代金の全額「買掛金」で貸方に記帳
4.残金支払時「買掛金」の残額を借方へ振替

具体的な数字を入れた仕訳例を、以下で紹介していきます。

【例外的な仕訳方法3-手順1】<前払時>買掛金として仕訳

前払いで支払った金額買掛金として、借方へ記入します。(※原則では、前渡金として仕訳するところ)

1.前払時の仕訳
借方金額貸方金額
買掛金20,000現金20,000

【例外的な仕訳方法3-手順2】<決算期末・翌期首>振替なし

例外的な仕訳方法3では、決算時の振替を行いません。この具体例では、決算時点で未納品ですが、納品済の場合も同様です。

【例外的な仕訳方法3-手順3】<納品時>代金全額を買掛金として仕訳

納品時は、仕入代金の全額20万円を、買掛金として貸方に記入します。(※原則では「前渡金2万円+買掛金18万円」を貸方に記帳するところ)

前払済の2万円の打ち消しは行いません。

ここでは「買掛金20万円」=「買掛金2万円+買掛金18万円」と考えます。すると、前払時の借方の「買掛金2万円」で、納品時の貸方の「買掛金2万円」が消されます。実質的には「買掛金18万円」が残っている状態です。

3.納品時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
仕入200,000買掛金200,000

例外的な仕訳方法3の場合、決算と納品の順序が逆でも、納品時の記帳内容は同じです。

【例外的な仕訳方法3-手順4】<残金支払時>買掛金の残額を借方に振替

残金の支払時は、買掛金の残額18万円を借方へ振替えます。残額は、納品時に記帳した買掛金20万円から、前払済の2万円を差し引いた金額です。

4.残金支払時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
買掛金180,000現金180,000

以上で、例外的な仕訳方法3の記帳は完了です。

【前渡金(前払金)の例外的な仕訳方法4】前払時に買掛金として仕訳&決算期末に前渡金へ振替

例外的な仕訳方法4が、原則と異なる点は、下記のとおりです。

 仕訳方法の相違点
原則・前払時に支払った金額を「前渡金」で借方に仕訳
・納品時に「前渡金」と「買掛金」を貸方に仕訳
例外的な仕訳方法3前払時に支払った金額を「買掛金」で借方に仕訳
・前払金額分を決算期末「前渡金」に振替・翌期首で再振替

この方法も、「例外的な支払方法3」と同様に、簿記会計の原則からは外れますが、実務上で用いられる場合があります。(詳しくは、本記事内の「例外的な仕訳方法3・4の注意点」をご参照ください。)

例外的な仕訳方法4では、以下の手順で記帳を行います。

仕訳のタイミング例外的な仕訳方法4
1.前払時前払いした金額「買掛金」で借方へ記帳
2.決算期末前払金額分の「買掛金」を「前渡金」に振替
3.翌期首「前渡金」を「買掛金」に再振替
4.納品時仕入代金の全額を「買掛金」で貸方に記帳
5.残金支払時「買掛金」の残額を借方へ振替

具体的な数字を入れた仕訳例を、以下で紹介していきます。

【例外的な仕訳方法4-手順1】<前払時>買掛金として仕訳

前払いで支払った金額買掛金として、借方へ記入します。(※原則では、前渡金として仕訳するところ)

1.前払時の仕訳
借方金額貸方金額
買掛金20,000現金20,000

【例外的な仕訳方法4-手順2】<決算期末>買掛金を前渡金に振替

この方法では「例外的な仕訳方法3」と異なり、決算期末で振替処理を行います。目的は、決算時の内容を、原則的な仕訳方法に合わせることです。

そのために、前払時点で買掛金とした2万円を、前渡金に振替えます。記帳内容は、借方に前渡金、貸方に買掛金です。

2.決算期末の仕訳(決算時に未納品の場合)
借方金額貸方金額
前渡金20,000買掛金20,000

上記の仕訳により「期中は買掛金としておき、決算時のみ前渡金へ振替」ができます。

なお、決算書の書き方を詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

関連記事:【誰でも簡単】決算報告書とは?書き方・作り方の3つのポイント!起業家が知っておきたい役割や開示義務も解説!

【例外的な仕訳方法4-手順3】<翌期首>前渡金を買掛金に再振替

決算期末に前渡金へ振替えたものを、翌期首買掛金へ再振替します。

3.翌期首の仕訳(決算時に未納品の場合)
借方金額貸方金額
買掛金20,000前渡金20,000

この再振替により、決算期末の振替前の状態に戻ります。

【例外的な仕訳方法4-手順4】<納品時>代金全額を買掛金として仕訳

納品時は、仕入代金の全額20万円を、買掛金として貸方に記入します。(※原則では「前渡金2万円+買掛金18万円」を貸方に記帳するところ)

前払済の2万円の打ち消しは行いません。

考え方は、「例外的な仕訳方法3」と同様です。前払時の借方の「買掛金2万円」で、納品時の貸方の「買掛金2万円」が消されます。それにより、実質的には「買掛金18万円」が残っている状態となります。

4.納品時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
仕入200,000買掛金200,000

【例外的な仕訳方法4-手順5】<残金支払時>買掛金の残額を借方に振替

残金の支払時は、買掛金の残額18万円を借方へ振替えます。残額は、納品時に記帳した買掛金20万円から、前払済の2万円を差し引いた金額です。

5.残金支払時の仕訳(残金を掛払いの場合)
借方金額貸方金額
買掛金180,000現金180,000

以上で、例外的な仕訳方法4の記帳は完了です。

 

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