日本政策金融公庫の融資に落ちた!審査対策とリベンジ方法とは?
登録日:2018.12.10 | 最終更新日:2019.12.22
中小企業の経営者、あるいは個人事業主に対し、積極的に融資を行っている日本政策金融公庫。しかし、日本政策金融公庫は希望すれば必ず利用できるわけではありません。審査に落ちて融資を受けられない事業者もたくさんいます。
ただ、審査落ちしても諦めるのはまだ早いです。審査ポイントを押さえてその点を改善することで、リベンジできる可能性は十分にあります。
ここでは、事業用融資に精通している現役20年の銀行員が、日本政策金融公庫の審査対策やリベンジ方法を徹底解説。これを読めば、なぜ審査落ちしてしまったのか、そして再チャレンジして審査を突破するにはどうしたら良いのかが一目瞭然です!
■【融資審査に通りやすい?】日本政策金融公庫の融資とは
まずは日本政策金融公庫の役割や融資の特徴、制度利用の流れなど、基本的な概要を押さえておきましょう。
日本政策金融公庫の役割
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している政府系金融機関です。国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業という3つのチームから構成されています。
日本政策金融公庫には、大きく分けて3つの役割があります。日本経済が更なる発展を遂げるために貢献すること、地域活性化に貢献すること、そして、セーフティネット機能を発揮することです。
セーフティネットとは、事業者が経済的苦難に陥ってしまった際に保護を行う、安心安全策のこと。つまり、日本政策金融公庫は「事業者にとことん寄り添った機関」であることがわかります。
具体的には、民間の金融機関を補完することが主な活動内容です。つまり、事業者が民間の金融機関では融資を受けられないという場合に、事業資金の調達をサポートする役割を担っています。
さまざまな資金調達法がある中で、日本政策金融公庫の強みは、何と言っても事業用融資の種類が多いことです。特に「創業融資」に力を入れており、起業したての事業者が利用しやすい融資制度が整っています。
また、企業の経営状況に合わせてコンサルティングや財務診断も行うなど、積極的な情報提供も実施しています。全国に150店舗以上構えていて、各種関連団体と連携していることから、充実したネットワークを活かしたサポート体制も大きな魅力です。
融資の特徴
日本政策金融公庫の融資には、主に以下3つの特徴があります。
創業間もない企業でも借りやすい
先述したように、日本政策金融公庫は日本経済の活性化をサポートする役割を担っています。そのため、事業を新しく始めようとしている人にも非常に協力的です。
他の資金調達法では信用度で融資するか否かを判断するケースが多く、起業したてで実績のない事業者への融資は消極的です。
ですが、日本政策金融公庫は創業融資を積極的に行っているため、起業したての事業者はもちろん、これから起業する人も利用しやすい制度となっています。
金利が低め
日本政策金融公庫の基準利率は、2.15%。しかも申込時から完済するまで利率が変わらない、固定金利です。
銀行のプロパー融資に比べるとやや割高ではありますが、ビジネスローンなどその他の資金調達法と比較すると、圧倒的に低金利と言えるでしょう。
銀行から融資を得られやすくなる
日本政策金融公庫の融資を受け、きちんと期日内に完済すれば、それが「実績」となって信用度がアップします。それ以前は銀行融資を断られてしまった事業者でも、次回以降は審査に通りやすくなります。
制度利用の流れ
日本政策金融公庫の融資を希望する場合は、以下の流れで申込手続きを行います。
①電話にて相談・申込
事業資金相談ダイヤル(0120-154-505)に電話をし、融資を受けたい旨を申し伝えます。
②支店窓口を訪問
お近くの日本政策金融公庫に出向き、相談を行います。その際に「創業計画書」を持参すると、より具体的に話を進めることが可能です。
③借入の申込
融資の申込内容が具体的に決まったら、「借入申込書」を提出します。その際、以下の書類を添付する必要があるため、不備のないように準備することが大切です。
- 創業計画書
- 【設備資金申込の場合】見積書履歴事項全部証明書、あるいは登記簿謄本(法人のみ)
- 【担保を希望する場合】不動産の登記簿謄本、あるいは登記事項証明書
- 【生活衛生関係の事業者】都道府県知事の「推せん書」、あるいは生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」
④面接
再度申込をした店舗に出向き、日本政策金融公庫の担当者との面接が行われます。所要時間は30分~1時間半程度です。
⑤現地調査
担当者が実際に事業所、あるいは開業予定地を訪問します。
⑥融資決定
融資が決定したら、契約に必要な書類が郵送されてきます。その書類に記入・捺印の上、返信用封筒に入れて返送します。
⑦着金
契約書類が日本政策金融公庫に到着してから3営業日後、指定口座に融資額が送金されます。
⑧返済開始
契約時に定められた返済期日に基づき、返済を行います。
以上が、日本政策金融公庫における融資の基本的概要です。ご紹介した通り、事業者の経済的苦難を積極的にサポートしてくれる機関であるため、銀行など民間の金融機関に比べると審査は緩めの傾向があります。
ただし、それは融資担当者を不安にさせないポイントをしっかり押さえていることが前提条件です。返済能力があり、経済の発展に貢献できる企業として「信頼」を得ることができるかどうかが、審査突破の大きな鍵となります。
■【日本政策金融公庫の審査対策1】書類を確実に用意する
まず、必要書類は記入漏れや不足がないよう、確実に用意することが大切です。
申込時、そして面接時に提出すべき書類は事前に案内があるため、その通りに準備して出向きます。1つでも不備があると悪い印象を与えてしまうため、何度も確認してすべて揃えておきましょう。
■【日本政策金融公庫の審査対策2】事業資金相談ダイヤルで相談しておく
実際に日本政策金融公庫の店舗に出向く前に「制度の流れ」でご紹介した「事業資金相談ダイヤル」で事前相談しておきましょう。
その際に融資利用にあたって気になることや不安なことを質問すれば、きちんと認識を持った上で手続きや面談に臨むことができます。融資を受けられる可能性は高いのか低いのか、もし低い場合は何がマイナス要素となっているのかを把握することも可能です。
また、事業計画書を手元に用意の上、内容のチェックをしてもらうことをおすすめします。事業計画書は審査の上で非常に大きな要素となるため、提出前にチェックしてもらえれば安心です。
日本政策金融公庫の審査に通過するコツは、事前にしっかり準備できるかどうかで決まると言っても過言ではありません。万全の状態で審査を受けるために、相談ダイヤルへの問い合わせでたくさん質問をして、疑問はすべてクリアにしておきましょう。
■【日本政策金融公庫の審査対策3】税金の支払いや借入の返済をきちんとしておく
実は審査の際には、申込者本人の信用情報が大きく関わってきます。「事業用資金を借りるのだから、個人用資金とはまた別の解釈になるのでは?」と思うかもしれませんが、たとえ用途が違っても、審査は借りる本人の人間性や信頼性が重要視されます。
そのため、もしも税金や公共料金の支払い、プライベートでの借入などに延滞が見られる場合には、それが命取りとなるでしょう。
融資を受けられる可能性が低くなってしまうため、もしも不安な場合は信用情報機関に問い合わせをし、自分の金融事故の履歴が残っているかをチェックしておくことをおすすめします。
また、未納の税金がある場合は、まずはそれを完済してから融資の申込をしましょう。「国税徴収法」によって、税金の支払いは融資の返済よりも優先される可能性が高く、そのままでは審査落ちしてしまう恐れがあります。
現在進行形でキャッシングをしている場合も審査に通りづらいため、完済した上で融資の申込に臨むことが大切です。
また、キャッシングのカードをそのまま持っていると「現在も利用している」と勘違いされてしまうケースがあるため、カードは解約しておくと安心です。
■【日本政策金融公庫の審査対策4】ある程度の自己資金を用意しておく
審査では「どのくらい自己資金を集めたか」という点も注目されます。自己資金とは、文字通り「自分自身で用意したお金」のこと。自己資金が多ければ多いほどリスクは少ないと判断され、審査は有利になるでしょう。
融資希望額のうち、自己資金が占める割合を「自己資本比率」を呼びます。審査の際に目安となる自己資本比率は40%です。
30%程度でも中小企業の場合は借入できるケースもありますが、20%以下となると「貸倒れリスクが高い」と判断されてしまう可能性が高いでしょう。
ちなみに、日本政策金融公庫は「通帳の原本」を見て自己資金の金額と、どうやって集めたかをチェックします。
そのため、審査を突破したいがために一時的に親族などからお金を借り、振込や預入などで金額を増やしても、すぐに「見せ金」と気付かれてしまうため注意しましょう。
自己資金不足が原因で融資NGとならないよう、融資希望額の40%を目標にコツコツと自己資金を集めておくことが大切です。
■【日本政策金融公庫の審査対策5】面接での印象を良くする
融資担当者との面接では、提出した資料をもとに事業計画や資金の具体的用途などの確認が行われます。ただしそれ以外にも、担当者が注目しているポイントがあります。それは「事業者の人柄」です。
謙虚な態度かどうか、常識的な言動かどうか、そして事業に対して切実な思いを持っているかどうかをチェックされます。もしも悪い印象を与えてしまうと「融資はふさわしくない」と判断され、その時点で審査落ちとなるでしょう。
面接にはきちんとした清潔な身なりで出向き、終始担当者の目を見て真摯な姿勢で話すことを心がけましょう。話したい内容を心をこめて伝える努力をすれば、その真剣さや懸命さは確実に伝わり、好印象を与えることができます。
面接担当者はその面接の内容を報告書にまとめて上司に提出し、それをもとに上司が融資可否の判定を下します。つまり、面接担当者に気に入られれば、審査を通過できる可能性が高くなるということです。
「この事業者・この企業を応援したい」と思ってもらえるように、面接では誠心誠意の気持ちを表現しましょう。
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■審査に落ちてもリベンジは可能
たとえ日本政策金融公庫の審査に落ちてしまっても、申込は再度行うことが可能です。ただし、審査に落ちた際の原因が解消されない限り、申込んでもまた審査落ちしてしまいます。
前述したように日本政策金融公庫は、比較的融資を受けやすい機関です。その審査に落ちたという情報は、今後融資を受ける上でマイナスになってしまうでしょう。
そうならないためにできることは、改善点を見つけ、それを改善してから申込むことです。具体的には
- 落ちた理由を明確にする
- 6ヶ月後に再度申込む
- 経験や実績を積む
の3つを実行し、万全な体制を整え、再チャレンジに臨みましょう。
■【リベンジ方法1】落ちた理由を明確にする
最も大切なのは、落ちた理由を明確にすることです。
とはいえ、日本政策金融公庫に問い合わせても、そのはっきりとした理由を教えてもらうことはできません。さまざまなポイントを考慮した上で審査の可否が出されるため、明確に「ここ」と伝えてはいけない決まりになっているからです。
しかし、過去に審査落ちして事例を見ても、審査に落ちる原因は主に以下4点に絞られます。当てはまるものがないかどうか慎重にチェックしてみましょう。
✔ |
自己資金が不足している |
✔ |
事業計画に無理がある、あるいは事業計画書の内容が曖昧 |
✔ |
信用情報に金融事故の履歴がある |
✔ |
面接での印象が良くない |
1つでも当てはまるものがあると、再度審査落ちしてしまう可能性があります。リベンジする場合は、この4点が確実に改善された段階で行うようにしましょう。
■【リベンジ方法2】6ヶ月後に再度申込む
日本政策金融公庫では、前回の申込から最低6ヶ月経過していれば、再度申込することが可能です。
「たった6ヶ月しか経っていないのに審査に通ることはあるのか」と不安に思う人もいるでしょう。実はその6ヶ月という期間は企業にとって「大きな経験」となり、審査の際にプラスに働く可能性があります。
なぜなら、日本政策金融公庫が主な融資対象とする業歴の浅い企業は、たった半年の業歴でも、経験や実績に大きな違いをもたらすためです。
もちろんこの方法が有効なのは、落ちた原因がクリアになっていることが前提です。まずはマイナス要素をしっかり改善し、6ヶ月待った上で再度申込してみましょう。
■【リベンジ方法3】経験や実績を積む
事業に関する経験や実績は、審査の際に大きなアピールポイントとなります。その理由は、事業に詳しい人や経験豊富な人の方が「経営者としての能力が高い」と判断され、貸した額をきちんと返済してくれるはずと信頼してもらえるからです。
もしも1度目の申込時にそういったアピールが弱かったという自覚があるなら、経験や実績を積んだ上でリベンジすると良いでしょう。経験や実績は「事業計画書」にわかりやすく明記します。
その際、プロ意識を見せようと専門用語を並べる人がいますが、わかりづらくなるため、かえって逆効果です。あくまでも「わかりやすく自分の魅力を伝える」ことを意識して説明する必要があります。
できるだけ数字を入れて説明すると、その経験や実績への信憑性が増すでしょう。グラフや表など見やすい工夫を施すこともおすすめです。
ただし、経験や実績を踏むためにもそれなりの資金力が求められます。賢く利用するポイントは、まずハードルの低い少額資金で融資を申込み、その資金をもとに事業をコツコツと発展させて経験と実績を積むことです。
そして経営者としての魅力や信用度が高まった段階でより大きな金額の融資を希望すると、かなり審査に通りやすくなります。初めから無理に大口資金を得ようとせず、小口資金で事業を発展させる計画を立ててみると良いでしょう。
■「審査対策」を確実に押さえた上で申込みを
事業者にとって好条件である日本政策金融公庫の融資は、ぜひ積極的に利用したいところです。ここでご紹介した「審査対策」をしっかり押さえて、万全な状態で申込をしましょう。
また、万が一審査に落ちてしまっても、原因の究明とそれに応じた対策を講じれば、100%リベンジ可能です。
ぜひこの記事でご紹介したポイントを参考に、日本政策金融公庫からスムーズな融資を受け、事業の成功を目指しましょう。
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