【保存版】前払費用とは?仕訳方法や振替のタイミング・消費税計上など3つのポイントを解説!長期・短期の違いも紹介!

登録日:2019.6.30  |  最終更新日:2019.9.24

会計・経理をしていると、前払いした経費を処理する場面があります。
しかし「前払いした経費」=「前払費用」ではありません。

前払いには「前払費用」や「前払金」など、様々な勘定科目があり、それぞれ仕訳方法が異なるのです。前払費用の処理に誤りがあると、財務書類の数字にも影響します。

そこで本記事では、前払費用の基礎や仕訳方法について、わかりやすくまとめました。

  • 前払費用と費用・経費を振替えるタイミングはいつ?
  • 前払費用の消費税の計上時期はいつ?
  • 前払費用にできる経費・できない経費の違いは何?
  • 長期前払費用短期前払費用って何?

この記事を読むと、上記のことが簡単に理解できます。前払費用の会計処理に悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

 


前払費用とは?意味や条件・具体例をわかりやすく解説!


前払費用とは『翌期費用にするための勘定科目』

前払費用とは、企業等の決算時に出てくる勘定科目の1つです。

「先にお金を支払ったけど、その対価(サービス)を受けるのが翌期になる」という場合に使います。当期に支払い済の費用(経費)を、翌期の費用として処理する際に「前払費用」という勘定科目で記入します。

翌期にその金額分のサービスを受けて、繰り延べた前払費用を費用(経費)として計上します。これを「費用化」と言います。

この処理により、まだ受けていないサービスの代金を、当期の損益計算から除くことができます。前払費用は、貸借対照表上では「流動資産」として表示します。

関連記事:貸借対照表の書き方100%ガイド!初めての個人事業主・法人でも簡単にわかる

前払費用の条件は『一定の継続的なサービス』

決算時にサービス未提供であっても、翌期の費用に振替できないパターンもあります。
前払費用として処理できるものには、下記の条件があります。

一定の契約継続的に受けるサービスであること

「一定の契約で継続的に」とは、同じサービスが繰り返し提供されることを指します。その場限りではないということです。

ただし「今後ずっと継続する」という意味ではありません。例えば、1回だけの契約でも、期間1年間の保険は「1年間、継続的に受けるサービス」とみなされます。そのため「契約期間中、毎日もしくは一定間隔で、同じサービスを受ける」と解釈できます。

どのようなサービスが継続的とみなされるのか、具体例を紹介します。

<一定の継続的なサービスの例>(前払費用に振替可)
・契約期間1年間の火災保険
・年払い・月払いの自動車任意保険
・年払い・月払いの家賃

家賃は、月払いで1か月しか契約しない場合でも、継続的なサービスとみなされます。支払った瞬間だけサービスを受けるのではなく「1か月間、継続して受ける」という解釈です。

<一定または継続的ではない例>(前払費用に振替不可)
・翌期に1日だけ行ってもらう清掃
・翌期に行う社員旅行の費用
・実際の作業内容により、毎月請求金額の異なる広告運用の契約
・税理士等の顧問料

サービス提供が翌期であっても、1日だけでは継続性がないと判断されます。社員旅行も同様に、一時的なものです。

また、契約期間が数か月あっても、請求金額が毎月異なるのは、一定のサービスとはみなされません。顧問料は料金が一定でも、サービス内容が臨機応変に変わるため、一定とは言えません。

前払費用となる具体例を紹介!

前払費用として計上可能な物には、次のような例があります。

<前払費用の具体例>
火災保険料
自動車保険料
事務所等の家賃
・駐車場料金
・リ-ス料金
・前払利息

たとえば、6月1日に1年分の家賃を支払ったとします。決算日が12月31日の場合、決算時点では、6~12月の7か月分しかサービス(賃貸)を受けていません。

残り5ヶ月分の金額は、翌期のサービスに対する費用です。そのため、当期に支払い済の家賃のうち、5ヶ月分を「前払費用」として処理し、翌期に振替えます。

関連記事:リース取引の会計処理5つのポイントとメリット・デメリット総まとめ

短期前払費用の特例とは?条件や具体例をわかりやすく解説!


短期前払費用の特例とは『費用計上の簡略化』

前払費用には「短期前払費用」という制度があります。短期前払費用とは、前払費用の計上方法を簡略化する、特例措置のことです。

前払費用は原則として、支払い時に一旦計上し、決算時に前払費用へ振替える必要があります(前払費用の仕訳方法参照)。本来ならそれが正確な会計処理ですが、すべての前払費用でこの振替処理を行うと、業務が煩雑になります。

そこで、費用化の期間が1年以内の前払費用については、支払時に費用計上することが認められています。これを「短期前払費用の特例」と言います。

企業会計上の「重要性の原則」に基づいており、この特例で処理するには一定の条件があります。

短期前払費用の特例の条件は『1年以内の費用化』

短期前払費用として処理するには、下記すべての条件を満たす必要があります。

<短期前払費用の特例の条件>
・費用化の期間が支払日から1年以内(支払日から1年以内に受けるサービスの費用である)
・前払費用の条件(一定の継続的なサービス)に該当する
毎年継続して支払時に費用計上する
・収益計上と対応させる必要がない費用である
・決算時点で支払済である
・重要性の原則を逸脱していない
※金額の上限・下限は無し

金額の規定がないので、多額な費用でも条件に該当さえすれば、支払時に全額費用計上できます。

尚、短期前払費用として1度処理した経費は、その後も毎年同様の処理をしなければなりません。年度によって、通常の処理をしたり、特例を適用したりというのは認められません。

参考記事:短期前払費用として損金算入ができる場合|国税庁

短期前払費用の特例の具体例を紹介!

短期前払費用の特例に該当する例と、認められない例を紹介いたします。

<短期前払費用の特例の具体例>
・12月に支払った、翌年1月~12月分の家賃(支払日から1年以内の家賃のためOK)

短期前払費用の特例には、土地・建物等の賃料が該当することが多いです。
しかし同じ賃料でも、支払い時期が異なると、条件から外れることがあります。(下記の具体例を参照)

<短期前払費用として認められない具体例>
前払費用の内容認められない理由
10月に支払った、翌年1月~12月分の家賃支払日から1年を超えているため
・建物等を転貸する場合の、家賃収入に対する支払家賃収益計上と対応させる必要があるため
・借入金を運用する場合の、その借入金の支払利息収益計上と対応させる必要があるため
・未払いの費用支払い済であることが条件のため

長期前払費用とは?基準や具体例をわかりやすく解説!


長期前払費用とは『期間1年超の前払費用』

前払費用の1つに「長期前払費用」があります。「長期前払費用」とは、費用化にかかる期間が、決算日の翌日から1年を超える場合に使う勘定科目です。3年契約の保険料などの会計処理に出てきます。

「費用化にかかる期間」とは、前払いしているサービス等の提供を受ける期間です。決算日の翌日から1年以内の分を「前払費用」1年を超える部分「長期前払費用」として、処理を行います。

これは、1年基準に基づいて定められています。1年基準とは、資産が「流動資産」か「固定資産」かを決める際に、決算日から1年を基準とするルールです。

貸借対照表上において、長期前払費用は「投資その他の資産」となります。

関連記事:貸借対照表の書き方100%ガイド!初めての個人事業主・法人でも簡単にわかる

長期前払費用の具体例を紹介!

長期前払費用として処理されるものには、以下のような例があります。

<長期前払費用の具体例>
・契約期間1年超火災保険料
・契約期間1年超自動車保険料
・保証期間1年超の信用保証協会の保証料

火災保険や自動車保険は、長期契約で数年分を一括払いしている企業も多いです。その場合に、決算日の翌日から1年を超える期間の保険料は「長期前払費用」となります。

関連記事:信用保証協会とは?仕組みと有利に借入する活用法をわかりやすく解説

前払費用と前払金・前渡金の違いとは?意味や具体例をわかりやすく解説!


前払金・前渡金とは『内金・手付金』

「前払費用」と似ている言葉に、「前払金」があります。

前払金とは、商品等の発注時に支払った「内金・手付金」のことです。商品・サービスの提供を受けるまで、一時的に計上するための勘定科目です。

前払金は、前渡金(まえわたしきん・ぜんときん)とも呼びます。

前払費用と前払金・前渡金の違いは『サービス提供』と『計上のタイミング』

前払費用と前払金(前渡金)は、どちらも「商品やサービスを受ける前の支払い」です。しかし、以下のように、それぞれの意味や使う場面は全く異なります。

前払金商品注文時に支払った内金・手付金。商品を受け取るまでの一時的な勘定科目
前払費用継続的に受けているサービス等の代金の前払い。その中で翌期の費用となる分を、決算時に繰り延べるための勘定科目。

また、前払費用と前払金(前渡金)には、下記の違いがあります。

 前払費用前払金(前渡金)
商品・サービスの提供受けている途中受ける前・全く受けていない
取引・サービスの発生継続的単発
仕訳・計上のタイミング決算時に振替(繰延べ)支払い時に計上

実務上では、仕訳・計上のタイミングが異なります。

前払金・前渡金の具体例を紹介!

前払金として計上するものには、以下のような例があります。

<前払金の具体例>
原材料の仕入れ代金の内金・手付金
商品・サービスの購入代金の内金・手付金
・外注加工費の内金・手付金
・工事契約に伴う手付金

店舗等の工事契約を交わす場合は、契約金額が大きく、工事期間も長いです。受注する企業には、工事期間中も、材料費や人件費等の負担があります。

そのため、契約時に手付金として、金額の一部を前払いすることがあります。この手付金を、支払った時点で「前払金」として計上します。

前払費用の仕訳方法・手順を具体例を用いて解説!


ここでは、前払費用の具体的な仕訳方法を解説いたします。

前払費用の仕訳方法の原則は『支払時・決算時・翌期首』の処理

「前払費用」は、実際に支払った時点ではなく、決算時に出てくる勘定科目です。決算日の翌日以降にサービス提供を受ける分の金額を、翌期の費用として仕訳します。

原則として、以下のような仕訳を行います。

1.支払時の仕訳:当期の費用として全額計上
2.決算時の仕訳:翌期分の費用を「前払費用」に振替え(費用の繰延べ)
3.翌期首の仕訳:「前払費用」から「費用」へ再振替

【前払費用の支払い例】1年間の家賃の一括払い

以下の支払い例を使って、前払費用の仕訳方法を解説していきます。

<支払例>
支払日:2019年6月1日
決算日:12月31日
支払内容:1年間の家賃
サービス提供(賃貸)の終了日:2020年5月31日
支払金額:240,000円(1年分)
支払方法:現金

【前払費用の仕訳方法・手順1】支払時の仕訳<費用計上>

2019年6月1日に、今後1年間の家賃240,000円を前払いしました。
支払った時点で、一旦、当期の費用(支払家賃)として全額を計上します。

<1.支払い時の仕訳>
借方金額貸方金額
支払家賃240,000現金240,000

借方と貸方の金額は同じになります。

【前払費用の仕訳方法・手順2】決算時の仕訳<費用の繰延べ>

決算日の当日(2019年12月31日)には、以下の処理を行います。

まず、支払い時に費用計上した金額のうち、翌期の費用となる分を算出しましょう。その翌期の費用を、「支払家賃」から「前払費用」に振り替えます。これを「費用の繰延べ」と言います。

翌期の費用となるのは、決算日の翌日以後に受けるサービス提供に対する金額です。翌期の費用の対象となる期間を、下記のように確認します。

・支払日からサービス終了日までの全期間2019年6月1日~2020年5月31日12か月
・当期の費用の対象期間支払日(2019年6月1日)~決算日(2019年12月31日)7か月
・翌期の費用の対象期間決算日の翌日(2020年1月1日)~サービス終了日(2020年5月31日)12か月ー7か月=5か月


対象期間を確認できたら、翌期の費用は、次の計算で求められます。

「翌期の費用」=「サービス全額」×「翌期費用の対象期間」÷「全期間」
・サービス全額:240,000円(1年分の家賃)
・翌期の費用となる金額:240,000円×5か月/12か月=100,000円

前払いした金額のうち、翌期以降の5か月分(100,000円)を、「支払家賃」から「前払費用」に振り替えます。

<2.決算時の仕訳>
借方金額貸方金額
前払費用100,000支払家賃100,000

貸借対照表上、前払費用は流動資産の部に表示します。

【前払費用の仕訳方法・手順3】翌期首(決算日の翌日)の仕訳<再振替>

決算日の翌日(2020年1月1日)に、翌期の期首の処理を行います。

繰り延べた「前払費用」は、翌期にその金額分のサービスを受け、費用となります。そのため、決算日の翌日に「前払費用」から「費用・支払家賃」へ再振替の仕訳が必要です。

<3.翌期首時の仕訳>
借方金額貸方金額
支払家賃100,000前払費用100,000

関連記事:決算期の決め方4つのポイント!絶対見るべき注意点と3月9月12月が多い理由は?

長期前払費用の仕訳方法・手順を具体例を用いて解説!


長期前払費用の仕訳も、基本的な考え方は、前述の前払費用と同じです。異なるのは、翌期(決算日の翌日から1年以内)の費用を「前払費用」に、翌々期以降(決算日の翌日から1年超)の費用を「長期前払費用」に振り替える点です。

長期前払費用の仕訳方法の原則は『前払費用』と『長期前払費用』への振替え

原則として、以下のような仕訳を行います。

1.支払い時の仕訳:当期の費用として全額計上
2.当期の決算時の仕訳:「前払費用」「長期前払費用」に振替え(費用の繰延べ)
3.翌期首の仕訳:「前払費用」から「費用」へ再振替
4.翌期の決算時の仕訳:「前払費用」「長期前払費用」に振替え(費用の繰延べ)

【長期前払費用の支払い例】3年間の火災保険料の一括払い

以下の支払い例を用いて、長期前払費用の仕訳方法の具体例を解説していきます。

<支払例>
支払日:2019年6月1日
決算日:12月31日
支払内容:6月1日から3年間の火災保険料
サービス提供(火災保険の適用)の終了日:2022年5月31日
支払金額:72,000(3年分)
支払方法:現金

※解説の都合上、支払いをした当期を1期目、翌期を2期目、以降3期目、4期目とします。

【長期前払費用の仕訳方法・手順1】支払時の仕訳<費用計上>

2019年6月1日に、今後3年間の火災保険料72,000円を前払いしました。

<1.支払い時の仕訳>
借方金額貸方金額
支払保険料72,000現金72,000

【長期前払費用の仕訳方法・手順2】当期(1期目)の決算時の仕訳<費用の繰延べ>

当期(1期目)の決算日に、「費用の繰延べ」を行います。2期目の費用を「前払費用」に、3期目以降の費用は「長期前払費用」に振り替えます。

・支払日からサービス終了日までの全期間2019年6月1日~2022年5月31日36か月
・当期(1期目)の費用の対象期間支払日(2019年6月1日)~1期目の決算日(2019年12月31日)7か月
<決算日の翌日から1年間
・2期目の費用の対象期間
1期目の決算日の翌日(2020年1月1日)~2期目の決算日(2020年12月31日)12か月
<決算日の翌日から1年超の期間>
・3期目以降の費用の対象期間
2期目の決算日の翌日(2021年1月1日)~サービス終了日(2022年5月31日)17か月


・サービス全額:72,000円(3年分の火災保険料)
・2期目(決算日の翌日から1年以内)の費用となる金額:72,000円×12か月/36か月=24,000円
・3期目以降(決算日の翌日から1年超)の費用となる金額:72,000円×17か月/36か月=34,000円

※「3期目以降(決算日の翌日から1年超)の費用」は、1年間ではなく、3期目以降の全期間の合計金額となります。

<2.当期の決算時の仕訳>
借方金額貸方金額
前払費用24,000支払保険料58,000
長期前払費用34,000

前払いした金額のうち、2期目の12ヶ月分を「前払費用」に、3期目以降の17か月分を「長期前払費用」に振り替えます。「支払保険料」の金額は、「前払費用」と「長期前払費用」の合計金額になります。

貸借対照表上では、前払費用は「流動資産」の部に、長期前払費用は「投資その他の資産」の部に表示します。

【長期前払費用の仕訳方法・手順3】翌期(2期目)の期首の仕訳<再振替>

1期目の決算日の翌日(2020年1月1日)に、2期目の期首の処理を行います。

<3.翌期首時の仕訳>
借方金額貸方金額
支払保険料58,000前払費用24,000
長期前払費用34,000

【長期前払費用の仕訳方法・手順4】翌期(2期目)の決算時の仕訳<費用の繰延べ>

翌期(2期目)の決算日に、「費用の繰延べ」を行います。3期目の費用を「前払費用」に、4期目以降の費用は「長期前払費用」に振り替えます。

・支払日からサービス終了日までの全期間2019年6月1日~2022年5月31日36か月
<2期目の決算日の翌日から1年間
・3期目の費用の対象期間
2期目の決算日の翌日(2021年1月1日)~3期目の決算日(2021年12月31日)12か月
<2期目の決算日の翌日から1年超の期間>
・4期目以降の費用の対象期間
3期目の決算日の翌日(2022年1月1日)~サービス終了日(2022年5月31日)5か月


・サービス全額:72,000円(3年分の火災保険料)
・3期目(決算日の翌日から1年以内)の費用となる金額:72,000円×12か月/36か月=24,000円
・4期目以降(決算日の翌日から1年超)の費用となる金額:72,000円×5か月/36か月=10,000円

※「4期目以降(決算日の翌日から1年超)の費用」は、4期目以降の全期間が対象ですが、サービスが終了するため5ヶ月分の合計金額となります。

<2.当期の決算時の仕訳>
借方金額貸方金額
前払費用24,000支払保険料34,000
長期前払費用10,000

関連記事:決算期の決め方4つのポイント!絶対見るべき注意点と3月9月12月が多い理由は?

前払費用計上時の3つのポイントは『資産・消費税・費用化』!


前払費用の計上には、以下3つのポイントや注意点があります。

1.前払費用は資産として繰り延べる
2.費用化のタイミングで消費税を計上する
3.費用化(期首の再振替仕訳)を忘れない

それぞれについて、詳しく解説いたします。

【前払費用計上のポイント1】資産として繰り延べる

前払費用は、決算時に資産として繰り延べます。貸借対照表上において、前払費用が「流動資産」、長期前払費用が「投資その他の資産」となります。

ところが「前払費用」という名称のため、費用・経費なのか、資産なのか、わかりづらいです。そこで、「前払費用の仕訳方法」にも使った、家賃の支払い例で解説いたします。

<支払い例>
支払日:2019年6月1日
決算日:12月31日
支払い内容:1年間の家賃
サービス提供(家賃の対象期間)の終了日:2020年5月31日
支払い金額:240,000円(1年分)

決算日の時点で、6月~12月の7か月分のサービス提供を、既に受けています。

一方、決算日以降の5か月分(100,000円)については、料金を前払い済みですが、まだサービスを受けていません。つまり、100,000円分のサービスを受ける権利がある状態です。

この「権利」が「資産」であるという考え方にもとづいて、仕訳されます。翌期以降に、金額分のサービスを受けることで、資産(権利)が費用(経費)となります。

【前払費用計上のポイント2】費用化のタイミングで消費税を計上する

前払費用の計上や振替など、どの時点で消費税を計上するかについても、注意しましょう。消費税は、前払の時点ではなく、費用として振替えた時点で計上します。

消費税法においては「サービス提供や資産譲渡があった時点で、消費税が生じる」となっています。前払の時点では、まだサービスを受けていないので、消費税を計上しません。

例として、事務所の家賃前払い時の、消費税の計上方法を見ていきます。

<支払例>
支払日:6月1日
支払内容:7月分(1か月分)の事務所家賃
サービス提供期間(賃貸期間):7月1日~7月31日
支払金額:税込54,000円(消費税率8%)


<支払い時の仕訳>
借方金額貸方金額
前払費用54,000未払金54,000

翌月分の家賃なので、支払った時点では、まだサービス(賃貸)を受けていません。そのため、消費税の計上もしません。

<サービス提供時・費用振替時の消費税の計上>
借方金額貸方金額
支払家賃50,000前払費用54,000
仮払消費税4,000

翌月になり、サービス提供を受けたので「支払家賃」に振り替えました。この時点で「仮払消費税」を計上します。

関連記事:家賃・賃料の消費税がわかる完全ガイド。個人・法人の課税・非課税はどうなる?

【前払費用計上のポイント3】費用化(期首の再振替仕訳)を忘れない

前述の「仕訳方法」で説明した通り、決算時に、翌期の費用を「前払費用」として計上します。翌期首には、その前払費用を費用に再振替する仕訳が必要です。この再振替(=費用化)を忘れないように気を付けましょう。

では、もし再振替をしなかった場合、どうなるでしょうか?
「前払費用の仕訳方法」で挙げた、家賃の支払い例で見ていきます。

<支払例>
支払日:毎年6月1日
決算日:12月31日
支払内容:1年間の家賃
サービス提供(賃貸)の終了日:毎年5月31日
支払金額:240,000円(1年分)
支払方法:現金

毎年1回、1年分の家賃を前払いすると仮定します。

【1】1期目支払い時の仕訳

<1. 1期目支払い時の仕訳>
借方金額貸方金額
支払家賃240,000現金240,000

【2】1期目決算時の仕訳

<2. 1期目決算時の仕訳>
借方金額貸方金額
前払費用100,000支払家賃100,000

240,000円のうち、翌期以降の5か月分(100,000円)「前払費用」に振り替えています。

【3】本来するべき、翌期(2期目)期首時の再振替仕訳

<3. 本来するべき、翌期(2期目)期首時の再振替仕訳>
借方金額貸方金額
支払家賃100,000前払費用100,000

本来であれば、翌期首に上記の再振替をしなければなりません。
ここでは「再振替をしなかった場合、どうなるか?」を見るために、再振替仕訳をし忘れた前提で、次に進みます。

【4】2期目支払い時の仕訳

<4. 2期目支払い時の仕訳>
借方金額貸方金額
支払家賃240,000現金240,000

2期目も、また1年分の家賃を支払いました。

【5】2期目決算時の仕訳

<5. 2期目決算時の仕訳>
借方金額貸方金額
前払費用100,000支払家賃100,000

3期目以降の5か月分(100,000円)を「前払費用」に振り替えました。

【6】検証結果・結論

2期目の期首で再振替をしなかった場合、1期目の決算時に計上した100,000円が、前払費用(=資産)の科目にそのまま残ります。そして、2期目の決算時に、また100,000円の前払費用(=資産)を計上します。

前払費用は資産なので、会計処理上、資産が増え続けていきます。しかし、実際には資産は増えていないはずです。

繰り延べた前払費用は、翌期にその金額分のサービスを受けて、費用・経費となります。その処理をするため、期首時に「前払費用」から「費用」への再振替が必要なのです。

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