決算書の見方・読み方がわかるガイド!7つの重要ポイントで初心者でも理解できる
公開日:2018.1.8 | 最終更新日:2025.3.19

社員や経営者が1年間働いてきた成果が、数字となって表れたもの。それが決算書です。
企業にとって決算書は重要度の高い書類であり、自社を分析する際には欠かせません。決算書を正しく読み解けば、経営者として事業がうまくいっているかを正しく判断できるようになります。
そこで今回は、現役20年の税理士が決算書の正しい読み方をわかりやすく解説していきます。この記事を最後まで読めば、初心者の方でも見方・読み方を100%理解できます。
■そもそも「決算書」ってどんな書類?作成する目的は?
一般的に「決算書」と呼ばれる書類は、正式には「財務諸表」を指します。財務諸表は一定期間における経営成績や財務状況をまとめた書類であり、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などを含みます。上場企業では有価証券報告書の提出が義務付けられており、株主資本等変動計算書も作成しなければなりません。
企業における事業活動は、大まかにいえば「資金調達」「投資活動」「営業活動」の3つに分けられます。この活動のどこか一つでも滞れば、経営が傾いて倒産の危機が訪れます。
決算書の中でも重要度が特に高いものは、次の3つです。この3つは特に、「財務3表」とも呼ばれます。
貸借対照表 (B/S) | 会計期間における資産や負債、純資産の状態を示した表です。「バランスシート」とも呼ばれます。 |
損益計算書 (P/L) | 会計期間における収益と費用の状態を示した表です。 |
キャッシュフロー計算書 (C/F) | 会計期間における資金の流れを、営業活動、投資活動、財務活動の区分ごとにあらわしたものです。 |
決算書を作成する目的はたくさんありますが、その中でも代表的な目的としては以下が挙げられます。
株主への報告 | 株式会社において、所有者と経営者は別ものです。株主は出資した資金を経営者に委ねている立場なので、資金がどのように運用されたかを把握しなければなりません。その報告の手段として、決算書が活用されています。 |
出資の判断 | 既存の株主だけでなく、投資家が今後新たにその企業に出資するかどうかを判断する材料としても決算書が使われます。 |
取引先の判断材料 | 新規に取引を検討している企業やこれまで取引をしてきた企業が、今後の取引に値するかどうかを判断する材料としても、決算書が活用されます。 |
融資の可否判断 | 金融機関では融資を実行する際、審査の材料として決算書を活用します。貸し倒れのリスクを避けるため、健全な経営状況であることが求められます。 |
次の項目からは、決算書の中でも特に重要なポイントを解説していきましょう。
■【決算書の読み方重要ポイントその1】貸借対照表で財務状況の健全性が丸わかり!
貸借対照表は、決算日の時点における財産の状態をあらわしたものです。下の図のように、表の左側は「資産」、右側は「資本」をあらわします。
総資産 | 流動資産 現金、預金、有価証券、売掛金など | 流動負債 買掛金、短期借入金など | 総資本 |
固定負債 社債、長期借入金など | |||
固定資産 土地、建物、設備機器など | |||
資本 資本金、利益準備金、利益剰余金など |
資本とは、事業資金をどのように集めたかを示したものです。資産とは、それらをどのような形で保有しているかを示しています。
資本や資産が健全な状態であるかどうかを判断するために有効なのが、いくつかの指標です。代表的なものを紹介するので確認してみてください。
自己資本比率と固定比率は、長期的な事業の安全性・健全性を確認する指標です。
資本の額を総資本の額で割った数値を「自己資本比率」といい、これを算出すれば財務状況の健全性をカンタンに把握することができます。
自己資本比率の目安としては、40%以上であれば企業としては望ましいと言われます。しかし、10%未満となっていれば、あなたの会社は危機に立たされていると思いましょう。増資などによる自己資本増強が必要です。
固定比率は、固定資産を調達する資金源の安定性を示し、固定資産額を自己資本で割った値です。この値が低ければ、借入の必要がなく固定資産を自己資本によってまかなえることを示しています。100%以下になるようにすれば、資金調達が安定しているといえるでしょう。
流動比率と当座比率は、短期的な事業の安定性を示す指標です。
流動比率は、流動資産を流動負債で割って求められる値。一年以内に換金可能な資産が、支払うべき夫妻に対してどれくらいあるかを計算しています。この値の目標は200%。120%を下回ると資金繰りに苦戦する可能性が高いので、現金を増やす策を打つべきでしょう。
当座比率は、流動比率よりさらに厳しく短期的な事業の安定性をみる指標です。流動比率を求める式の分子を当座資産に変えたものを指します。流動資産には、すぐに使える現金ではありません。在庫など、お金に変えるのに時間がかかるものが含まれているので、これらを抜いてすぐに資金にできる分だけで安全性を確認したのが当座比率。100%が合格ライン、150%以上あれば安全といえます。
また、貸借対照表に示された現金残高が、実際に手もとにある現金と合っているかもチェックしておきましょう。実は経営者が勝手に口座から現金を引き出すなどして、数字が合わなくなっている企業は少なくありません。立替金として処理し、後日返還するなどの処理を行ってください。この点は税務調査の対象にもなりやすいので、特に注意が必要です。
管理体制が整っている企業では、あまり現金を社内に置いてありません。帳簿上多額の現金が置いてある会社は、金融機関や税務署などの信頼を損なう可能性があります。経営者に対する貸付金や仮払金、借受金なども忘れず処理しておきましょう。
■【決算書の読み方重要ポイントその2】本業で利益が出ているかわかる!損益計算書
損益計算書は、会計期間における経営成績をあらわしたものです。会社がお金をどの程度稼ぐことができたかはもちろん、そのためにかかった費用やどのように稼いだのか(本業で稼いだのか、副業で稼いだのか)といったこともわかります。
損益計算書の中では「売上高」のほか、費用を差し引いた各段階の利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期利益)が示されています。
科目 | 計算式 | ||
売上高 | A | 顧客から入ってくるお金 | |
売上原価 | B | 取引先へ支払うお金 | |
■売上総利益(粗利益) | C | A-B | |
販売費・一般管理費 | D | 従業員に支払う給与 | |
■営業利益 | E | C-D | |
営業外収益 | F | ||
営業外費用 | G | 銀行などの債権者へ支払う返済金 | |
■経常利益 | H | E+(F-G) | |
特別利益 | I | ||
特別損失 | J | ||
■税引前当期純利益 | K | H+(I-J) | |
法人税などの税金 | L | 国や地方自治体へ支払うお金 | |
■当期利益 | M | K-L | 株主に分配するお金 |
売上高の金額は、企業の事業規模をあらわします。営業利益を見れば、売上原価だけでなく給与や家賃、通信費といった一般管理費も差し引いた状態で本業の利益が把握できます。
配当や利息といった本業以外の収支を差し引いた「経常利益」もプラスになることが重要ですが、いくら利益が出ていても、本業で赤字になっている企業は健全経営とはいえません。損益計算書の推移を見ることで、企業規模や財務状況などの企業の調子がわかります。
ちなみに上記の表で「■」がつけられている利益は、損益計算書で特にチェックされやすい項目です。この5つの利益は、必ず算出するようにしましょう。
損益計算書で特に確認すべき指標は以下の通りです。
収益性を見る指標としては、限界利益率と経常利益率があります。
限界利益率は、売上高から変動費を引いた限界利益を使って求めます。限界利益を売上高で割った値で、高いほど良い指標です。これは会社の本業としている、商品・サービスで利益が出ているかを確認しています。
限界利益とは、売り上げから変動費を引いているので粗利に近い値。商品の原材料費を下げたり、歩留まりを改善することでこの値が大きくなります。メーカーとサービスを提供する企業では、限界利益率の目標値は大きく異なりますが、黒字化するために最低でも30%は必要です。
次に経常利益率。これは営業活動および、利息などの営業外収益と支出を含めた成績を指します。会社の経営活動全体の評価になるので、最初に経常利益率を確認する投資家や経営者が多いです。
まずは、経常利益率がプラスの状態を目指しましょう。目標とする経常利益率の目安は業界によって異なります。飲食業では2%程度、製造業では6%程度を出している企業が多いので、業界水準を目指しましょう。
■【決算書の読み方重要ポイントその3】企業のお金の流れが見える!
キャッシュフロー計算書は会社のお金の増減を一会計期間で示した書類です。キャッシュフロー計算書を読み取ることで、会社にどの程度お金があり、前期からどの程度お金が動いたのかがわかります。
企業は利益が出ていたとしても、手元に支払える現金がなくなると事業を続けることができません。これは黒字倒産と呼ばれていて、商品やサービスを売り上げてからその代金を回収するまでには時間差があることが原因です。損益計算書では利益が出ているのに、支払いタイミングが早く回収タイミングが遅いと手元から現金がなくなります。
お金の流れを把握し、経営の健全性を読み取れるのがキャッシュフロー計算書です。
キャッシュ・フロー計算書は下記の3つのパートにわかれています。
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
これらをわけることで現金の流れをよりわかりやすくし、問題点を把握しやすくなっています。
営業活動によるキャッシュフローは、本業によって増減した現金を示すパート。営業活動によるキャッシュフローがプラスになっていれば本業の資金繰りが好調であると言えます。一方でマイナスになっている場合は、本業で資金を食いつぶしている状態。在庫を減らしたり、売掛金の回収タイミングに問題がないか確認すべきです。
投資活動によるキャッシュフローは、固定資産や株、債券などの取得や売却で使ったお金を示すパートです。マイナスになっている場合は、固定資産の購入などに現金を使用したことをさしています。営業活動によるキャッシュフローがプラスで、投資活動がマイナスの場合は本業によって得た利益で投資している状態。成長中の企業に多い形です。
一方で投資活動によるキャッシュフローがプラスの場合は、土地や株式を売却してキャッシュを作っている状態です。何期もこの状態が続いている場合は、資産を食いつぶしている可能性も。本業で結果が出ているか見直しましょう。
最後に、財務活動によるキャッシュフローは貸し借りをしたお金をさす部分です。マイナスならば、株主の配当金や借入金の返済にお金を出していることがわかります。新たに借り入れたり、融資を受けたりするとプラスになります。
財務活動によるキャッシュフローがプラスの場合も、成長目的での借り入れであれば問題ありません。
キャッシュフロー計算書を見て最初に確認すべき項目は2つあります。
営業活動によるキャッシュフロー
フリーキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは、まさに企業の本業での成績を表す部分。ここがマイナスならば本業がうまくいっていないので、いずれ赤字化します。はやめの対策が必要です。
フリーキャッシュフローは下記のように求められます。
フリーキャッシュフロー = (営業活動によるキャッシュフロー)ー(投資活動によるキャッシュフロー)
フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、投資でお金が出て行ってしまい、金融機関からの借り入れに頼らなければなりません。常にマイナスが続いていると現金が手元になくなるので、会社の存続が難しくなります。
ただし、数年に一度多額の設備投資をおこなう産業もあるので、フリーキャッシュフローは長期で確認しましょう。目安として5期連続で見たときにフリーキャッシュフローがプラスであれば、健全な経営状態であると言えます。
■【決算書の読み方重要ポイントその4】金融機関はここを見る!
金融機関が融資審査のために決算書をチェックする場合、貸借対照表では「純資産」を見られます。この金額がプラスでなければ、融資審査であまり良い結果は得られないでしょう。
純資産の金額は、総資産から総負債をマイナスした金額です。純資産がマイナスの状態は「債務超過」と呼ばれ、資産をすべて処分しても負債が残るということを意味します。また、純資産がプラスであっても、内容によっては金額に見合う資産価値がないこともあります。例えば、回収の見込みが低い売掛金などは資産価値が低いと考えましょう。
融資を受けるためには、純資産をプラスにしておくことが大切です。また、純資産を総資産で割って算出する「自己資本比率」も、財務の健全性をあらわすため重視されます。
○借入金月商倍率もチェックされやすい!
また、「負債の部」に記されている借入金を合計した金額を「総借入金」といい、この金額が月商の何倍であるかという点も金融機関からチェックされます。この数値は「借入金月商倍率」と呼ばれます。
借入金月商倍率は3か月までであれば適正と判断されますが、3か月以上になると多いと判断されます。6か月以上になると借入金が過大と判断され、新規の借り入れは難しくなるでしょう。ただし不動産賃貸業など、融資比率がどうしても大きくなる業種はこの限りではありません。
○営業利益・経常利益は黒字であることが前提!
金融機関は、損益計算書では「営業利益」「経常利益」の2項目を重視します。当期純利益は単発的な特別利益や特別損失に左右されるため、それほど重視されません。
その企業が恒常的に利益を上げる力を持っているか判断するには、本業における利益をあらわす営業利益や経常利益が重要となるのです。この2つも黒字であることが前提となります。
当然のことですが、キャッシュフローがマイナスになった時点で企業は倒産します。設備投資や事業規模拡大などの予定がなくても、金融機関からの融資を受けることでキャッシュフローに余裕が生まれます。
融資審査でよい結果が得られるよう、財務の健全性は常に経営者としてチェックしておきましょう。
※ なお、エンジェル投資家から資金調達をしたい経営者の方は、当サイト「Founder」の利用もおすすめです。Founderには数多くの起業家・投資家が登録しているので、資金提供をしてくれるエンジェル投資家がきっと見つかります。
登録はカンタン1分で無料なので、こちらのフォームにメールアドレスを入力してみてください。
■【決算書の読み方重要ポイントその5】営業利益率は適正?
営業利益がプラスになったからといって、すぐに安心はできません。営業利益を売上高で割った「営業利益率」が低い場合は、注意が必要です。売り上げに対する利益の割合の低さは経営の効率が悪いことを意味しており、ちょっとした売り上げの減少がすぐに赤字のきっかけになってしまう可能性があるためです。
営業利益率は業種による違いが大きく、一律の数値で判断することはできません。飲食業では業界平均の営業利益率が1%を切っています。その一方で、不動産業では業界平均が10%近くあります。同業他社や、似たような規模の会社の数値と比較することが望ましいでしょう。
売上高を上げるだけでなく、売上原価や販売管理費の圧縮を図ることで営業利益率の向上を図ることが大切です。
■【決算書の読み方重要ポイントその6】売掛金や買掛金の割合は?
回収前の売り上げを意味する売掛金や、支払い前の費用を意味する買掛金。これらは一時的な費用科目です。売り上げや仕入れ全体の金額に対して、これらの割合が1か月分から2か月分程度であれば問題ありません。
ただ、全体の4割を超えるほど売掛金が計上されている場合は注意が必要です。一部の取引先で、回収が滞っている可能性があるかもしれません。
この場合は、経理担当者や顧問税理士に相談し、内容を詳しく精査してみましょう。買掛金の支払いが滞っている場合も、信用を損なう恐れがあるため好ましくありません。
売掛金の入金は早ければ早いほど好ましく、買掛金の支払いは遅めであればあるほどキャッシュフロー上では有利です。例えば回収が売り上げの3か月先なのに、買掛金の支払いが1か月後などと極端に差があると、黒字であっても資金繰りが難しくなることも。支払いあるいは回収のサイクルを変更できないか、取引先と交渉してみましょう。
また、前述で解説したファクタリングも、売掛金を解消する効果的な手段となります。
■【決算書の読み方重要ポイントその7】使途不明金のチェックも忘れずに!
「雑費」や「雑損失」といった勘定科目は、合計額だけをみても実際の使途が把握できません。これらの勘定科目に不自然な多額の金額が計上されていないか、チェックしておきましょう。従業員による不正で、これらの科目に使途不明金が計上されていることがあります。
取引先との共謀による仕入れの水増し計上といった不正が行われていると、売上高に対して原価率がぐっと高くなります。水増しした金額の請求書を取引先から送ってもらい、差額を従業員個人にキックバックしてもらうという方法です。売上原価率の推移もチェックしておき、不自然に上がっている場合は詳細を確認してください。
このように、決算書からは企業のさまざまな実情を読み取ることができます。そのため、金融機関や投資家、ベンチャーキャピタルなどが、決算書を重要な判断材料にしているケースは珍しくありません。
スムーズに資金調達をするには、経営者自身が決算書を正確に読み取り、会社の問題点をいち早く見つけることが重要です。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事でご紹介したように、決算書(財務諸表)に記されている数字は単なる数値ではありません。それらの持つ意味を一つひとつ読み解いていくことで、財務状況の健全性や事業運営の状態、不正の有無に至るまでさまざまなことを知ることができます。
税理士や経理担当者に任せきりにするのではなく、経営者として自分の会社の決算書はしっかりと読み込んでおきましょう。経営者が決算書をきちんと理解すれば、会社の経営状態は今よりも好転するはずです。
日本最大級の
起業家・経営者&投資家
マッチングサイト
創業10期目・年商10億円程度のベテラン経営者の方々にも
ご利用いただいております。
No.1
39,818名
No.1
7,351名
無料で投資家が見つかる
1,000万円の事業資金調達が可能
投資先が見つかる
資金繰りやつなぎ資金のサポートもOK
売上アップ
集客数アップ
取引先数100社増
ビジネスパートナーが見つかる
無料で投資家が見つかる
1,000万円の事業資金調達が可能
資金繰りやつなぎ資金のサポートもOK
取引先数100社増
売上アップ&集客数アップ
投資先やビジネスパートナーが見つかる
- 昨日の登録数
- 経営者2名 投資家0名
- 昨日の投稿数
-
経営者3件 投資家0件
- 先月のマッチング数
- 15組
- 先月の資金調達総額
- 7億円以上






