決算期の決め方7つのポイント!絶対見るべき注意点と3月9月12月が多い理由は?

公開日:2018.1.8  |  最終更新日:2019.10.17




会社を設立する際はいくつも決めるべき事項がありますが、決算期もそのひとつです。決算期は任意で決定することができるため、何となく決めてしまっていませんか? しかし、決算期の決め方ひとつで、あなたの会社にかかる税金の負担が変わってくる可能性があります。


そこで今回は、20年以上にわたって企業の決算に携わってきた現役の税理士が、ポイントを絞って正しい決算期の決め方を解説していきます。この記事を最後まで読めば、あなたの会社にピッタリな決算期の決め方が100%見つかります。




■決算期は自由に決められる!


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日本の会社には、決算期を3月にしている企業が多くあります。そのため、何となく「よそと揃えておいた方がよいのでは?」「何か決まりがあるのでは?」と思っている人もいらっしゃるかもしれませんね。


しかし、実は決算期は経営者が任意で決めることができます。例えば新しい会社を、2018年4月2日に設立したとしましょう。


事業年度は最長で1年間と決められているため、1期目を少しでも長くしたいのなら2019年4月1日を決算日として設定できます。


もちろん、きりよく3月末までに設定することも可能ですし、12月末までなど設立月とはまったく別の月に設定するケースもあります。多くの企業では任意の月の月末までを事業年度として設定し、2期目以降は1年間を事業年度として設定します。


ちなみに、個人事業主に関しては暦年課税することが決まっており、1月~12月までの1年間が事業年度とイコールになります。


法人とは違って自由には決められないので、注意しておきましょう。


■決算期を決める7つのポイント


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決算期を決める際には、次のようなポイントを意識することが大切です。「何となく」で決算期を決めると、後で苦労することが多いので注意してください。


【決算期の決め方のポイントその1】繁忙期を意識する


会社が決算期を迎えると、そこから2ヶ月以内に法人税等の確定申告を行い、納税しなければなりません。決算書の作成や確定申告の準備には、大変な時間と手間がかかります。


また、株式会社を設立している場合は、株主総会の準備もしなければなりません。
これらの業務には外部とのやりとりが多く必要になるため、繁忙期に重ねると本来の業務が止まる危険性があります。決算から税金の申告までの2ヶ月間、作業をおこなう時間をとれるかどうかを判断基準にしましょう。


繁忙期を避け、できれば閑散期に決算期を設定した方が負担は少なくなります。


【決算期の決め方のポイントその2】節税対策を意識する


決算期は売り上げが大きく上がる繁忙期の直後ではなく、ある程度の期間を空けた時期に設定することをおすすめします。季節変動のある業種では、売り上げの大きな月が期首にくるよう調整しましょう。


利益が大きくなると納税額が増えますが、決算までに時間があればさまざまな節税対策が可能となります。


売り上げの変動が大きくなる時期が期首にあれば、年間の予測が立てやすくなるので、利益に合わせて調整できるのです。


期末ギリギリに大きな利益が出ると、節税対策が間に合いません。ピークの売り上げが読めない事業の場合は、特に意識しましょう。


【決算期の決め方のポイントその3】資金繰りを意識する


法人税や消費税の納期限は、【ポイント1】でご紹介したように原則として決算日から2か月です。納税資金でキャッシュフローが圧迫されないよう、ある程度資金繰りが楽な時期に決算期を合わせるという方法もあります。



売掛金の回収ができるのは、売り上げのあった月の1〜2ヶ月後となることが多いでしょう。そのため、ピークの時期の2ヶ月後くらいが最も資金繰りの良い時期になります。また、期末に現金残が多ければ、来期に向けて資産を購入したり、従業員に賞与を支給することで税金対策も可能です。


特に現金商売ではなく掛売を行っている企業では、この点に注意してください。


ちなみに、多くの売掛金が存在している企業には、売掛金を売却するファクタリングがおすすめです。ファクタリングは、バランスシート上で負債になることはありませんし、信用情報に影響を及ぼすことなく資金調達ができます。



【決算期の決め方のポイントその4】消費税の免除期間を意識する


資本金額が1,000万円未満の会社を新規に設立した場合、当初の2事業年度(大規模法人の子会社を除く。第2期については一定の要件あり)について、消費税の納税が免除されるという規定があります。


納税が免除される期間は事業年度を基準としているため、1期目については事業年度の期間によって免除期間が変わってきます。


例えば、1月1日に設立した会社の事業年度を4月から3月に設定すると、1期目の期間は3か月間です。消費税の免除期間は、2期目と合わせて1年3か月となります。


一方、同じく1月1日に設立した会社の事業年度を1月から12月に設定すると、1期目の期間は12か月。2期目と合わせて、丸ごと2年間の消費税免除が受けられるわけです。


すなわち、 設立した月から一番遠い月を期末にすると免税効果が高くなります。


なお、2期めに免税を受けるには、前年度の事業年度開始日から6ヶ月を見たときに、下記いずれかの条件を満たす必要があります。


  • 課税売上高が1,000万円以下

  • 給与の合計額が1,000万円以下


この条件を超える見込みの場合、2年目の消費税免税は受けられません。ただし、設立1期目が7ヶ月以下の場合は例外に当たり、要件を満たさなくても2年目免税になります。


そのため、1期目が7ヶ月以下になるように設立日を調整すれば、売上高や給与支払い額が大きくても、2期分の消費税はかかりません。


事業規模を考えた上で、もっとも免税期間が長くなるように決算期を決めても良いでしょう。


【決算期の決め方のポイントその5】決算書の印象を意識する

決算期には貸借対照表や損益計算書を作って、会社の経営成績をみえるようにします。決算書を見たときに借入金が多い状態や、未払金の割合が高い状態だと、資金状況が悪い会社という印象を与えかねません。


事業の融資を申請するときも、決算書は重要な情報です。決算書から、事業が安定しているように見えなければ、融資を下ろすことができません。


売り上げのピークの終わりを決算期にすることで決算書の成績がよく見えるため、決算書重視ならば売り上げの高い位置を期末に合わせるといいでしょう。

【決算期の決め方のポイントその6】入札や免許の更新時期に合わせる

公共事業の入札をしていたり、認可や免許の更新が必要な会社は官公庁に合わせて決算期を3月にしておくと良いでしょう。官公庁の期末が3月のため、各種規則やフォーマットは3月末決算を意図して作られています。


書類作成の手間を減らすためには、フォーマットに乗っかることができるように決算時期を合わせた方がよいでしょう。



【決算期の決め方のポイントその7】棚卸しの業務負担の少ない時期を選ぶ

在庫を抱えるビジネスである小売業や製造業の場合、棚卸しの業務負担の少ない時期を選んでも良いでしょう。


決算前には、店舗や倉庫に保管されている在庫数を確認する「実地棚卸」が必要です。実際に全ての在庫を目で見てカウントし帳簿の値と確認する作業で、多くの労力がかかります。通常業務に加えて在庫確認の時間を要するため、現場負担の大きな作業です。


製造、販売のピークの時期は通常業務だけでも人手がかかるので、さらに棚卸の時間を作るのは現実的ではありません。また、ピークの前の時期は在庫を多めに持って備えていることが多いため、作業量が増えるでしょう。在庫が多いと、決算書としても良い状態ではありません。


在庫が少ない時期を決算期に設定すれば、現場の負担を減らすことができます。実際に数える分量が少ないほど、現場の棚卸しの時間を作るのも容易になるでしょう。



このように、ポイントを意識することで決算期の事務負担や節税対策効果が大きく違ってきます。会社設立当初の事業年度は、上記のポイントを意識して決定しましょう。


■決算期を決める際に特に意識しておきたい2つの注意点

決算期を決める際には、特に注意しておきたいポイントが2つあります。以下で挙げる点を軽視していると、余計な手間が発生したり損が発生したりするので、注意点についても細かく確認しておきましょう。


【注意点その1】損金や減価償却等の計算方法

決算期を変更した場合、1回だけ1年未満の期間で決算を行うことになります。その際は、損金の算入限度額も事業年度の期間に合わせて割合で計算しなければなりません。


例えば、交際費の損金算入限度額は年間800万円です。決算期変更に伴って1期が半年となる場合は、損金算入限度額は半分の400万円になります。



月割計算が必要になる項目は以下の通りです。


  • 減価償却費

  • 少額減価償却資産

  • 交際費

  • 法人税の軽減税率の適用基準金額

  • 法人地方税の均等割

  • 消費税の判定に用いる課税売上高の基準


損金に計上できる上限金額や税率計算にも影響してくるので、あらかじめ基準額を確認しておきましょう。

【注意点その2】税理士の都合ではなく会社都合で


決算期が集中する時期は税理士の事務作業が集中するため、顧問税理士からの申し出で決算期をずらしているという会社もあります。それが会社の都合とあっていればよいのですが、そうでない場合は会社の都合を優先させましょう。


決算期の決め方は、経営戦略や節税対策とも関連する重要な項目です。それに対して自己都合を優先するよう強要してくるような税理士であれば、顧問契約の解除も検討しましょう。


■決算期はどの月に多い?データで解説!

法人の決算期は何月が多いのでしょうか?参考にするために、法人の決算期を調べてみました。


1月 January

        97,385

2月 February

      180,027

3月 March

      511,904

4月 April

      190,515

5月 May

      221,876

6月 June

      261,993

7月 July

      204,854

8月 August

      235,653

9月 September

      292,541

10月 October

      127,901

11月 November

        96,515

12月 December

      275,404


(出典:国税庁 平成29年度直接税 課税状況)


どの月も決算期にしている企業があり、それぞれの状況に合わせて選んでいることがわかります。各企業が事情に合わせて決算期を決めているのでしょう。


傾向をみてみると、最も多いのは3月決算、ついで9月、12月の順になっています。なぜこれらの月が人気であるのか、理由を調べました。次の章で解説します。


■法人の決算期が「3月・9月・12月」に多い理由は?



Kevin Dooley


国税庁の発表する統計情報によると、年1回決算法人における決算期別の申告法人数の割合は3月が最も多く、9月決算、12月決算はいずれも1割余りを占めています。


調査対象を上場企業だけに絞ると、約8割の企業が3月決算になっています。


すでにご紹介したように、決算期は会社の経営者が自由に決めることができます。それなのに、なぜ3月・9月・12月に決算を行う企業がこんなにも多いのでしょうか?


これにはそれぞれ理由があるので、以下で詳しく解説をしていきましょう。


○3月決算が多い理由

【理由その1】国や地方自治体の会計年度に合わせて


国や地方自治体、それらと関係の深い公共機関などでは、年度変わりに合わせて会計年度を4月から3月までに設定しています。公共事業を受注する民間企業では、それに合わせて決算期を3月にしているケースが多く見られます。



国や地方自治体は決算前に予算を消化するため、3月が近づくにつれて発注が増える傾向があります。そのため、同じタイミングを決算期にしておくと在庫が減ったり、資金繰りのいい状態で着地できるのがメリットです。


公共事業を受注できるような会社は一握りの大企業だけですが、下請けの中小企業に関しても元請けの大企業に合わせて、3月を決算期に設定するケースが増えています。


【理由その2】教育年度による刷り込み


日本では学校も1つの学年が4月にスタートし、3月に終了します。人材の採用計画や教育育成のプランも、それに沿ったものにせざるを得ません。

また、人材が入ってくるタイミングで人件費も動くので、採用に合わせて決算期を決めると利点が多いでしょう。


したがって、新採用の社員が4月に入社してくることから、そこを期首としているケースもあります。


【理由その3】税法の改正時期を考えて


税法はこまめに改訂される法律です。法律が改正された場合、4月1日から施行されることが多いため、3月を決算期としておけばきりよく期首から新法に合わせた処理が可能となります。


3月以外を決算期としている企業では、事業年度の途中で新しい法律に合わせた仕分けなどの対応をしなければなりません。


【理由その4】総会屋対策として


最近では聞かなくなりましたが、以前は「総会屋」と呼ばれる人たちによる迷惑行為が多く見られました。株式会社の所有者は、株式を持つ株主一人ひとり。総会屋とはそのことを利用し、いくらかの株式を事前に取得した状態で株主総会に出席し、権利を主張して株主総会を仕切ったり妨害したりする人たちです。


法律上の正式名称はありませんが、企業に多額の利益供与を求めるなどして問題となっていました。1981年に商法が改正され、利益要求が禁じられたことでほぼ姿を消しています。


株主総会に出席する総会屋が少なくなるよう、大企業では他の会社と決算期や株主総会の開催日を揃えることが通例となっていました。大企業にはその名残があり、取引先の中小企業も何となくそれに揃えているというケースが多いようです。


○9月決算が多い理由

【理由その1】監査法人や税理士の閑散期であるため


企業ごとの繁忙期は業種によって異なりますが、決算の実務における大部分を取り仕切るのは、ほとんどの企業が監査法人や税理士といった専門家です。これらの専門家にとって、多くの企業の決算期が集中する3月は、確定申告の時期と重なる繁忙期


この時期をずらすことで、企業の事務処理の負担は減らせる可能性があるでしょう。


【理由その2】人事異動などと時期をずらすため


人事異動や採用の時期と決算期をずらすため、9月決算を行う企業もあります。


○12月決算が多い理由

【理由その1】個人事業からの流れで

個人事業主は暦年課税となっており、暦と同じく1月~12月が事業年度に統一されています。個人事業主が事業を拡大して法人格を得るときに、そのまま事業年度として採用することが多くあります。


【理由その2】国際会計基準に合わせて


大企業の中には、グローバル化を見すえて12月決算に移行する企業も増えてきました。欧米では12月決算の企業が多くあり、中国では法律で12月決算と定められています。


国際会計基準(IFRS)によると、親会社と子会社の決算期を統一する必要があります。海外に12月決算の子会社を持つ企業では、連結決算を作成する際に「期ズレの例外適用」を受けなければなりません。


将来的に海外進出する可能性があるのなら、それを見すえて会社設立の際に12月決算にしておいてもよいかもしれません。




■決算期は変更も可能!

ご紹介した4つのポイントを意識せずに決算期を決めてしまい、すでに会社を設立してしまった人は諦めるしかないのでしょうか?ご安心ください。実は決算期は、意外にカンタンに変更ができます

決算期は事業年度の最後の月にあたります。事業年度は定款に掲載している企業が多いのですが、定款に必ず載せなければならない項目である「絶対的記載事項」ではありません。公序良俗、または会社の本質に反しない限り自由に定めることのできる「任意的記載事項」にあたります。そのため、設立後に変更したとしても会社設立時と異なり、公証役場での定款の認証は必要ありませんし登記も不要となっています。


ただし、実際に決算期の変更をする場合は株主総会で決議し、議事録を作成して社内に適切に保管しておきましょう。過半数の賛成を得る普通決議ではなく、3分の2の賛成を得る特別決議が必要です。決議後は決定した通りに定款を変更し、社内に保管しておきます。


また、決算期の変更は納税にも大きくかかわるので、決議を得たあとは管轄する税務署や都道府県税事務所への届出も必要です。「異動届出書」の書式を取得し、必要事項を記載して提出しましょう。


税務署への届け出の具体的な期限は特に決まっていませんが、「すみやかに」届け出るよう定められています。申告手続きのことを考えれば、変更後の決算期の2か月後までには届け出ておく必要があるでしょう。


登記が必要ないため、必ずしも司法書士や行政書士といった専門家に依頼する必要はありません。決算期の変更だけであれば社内での手続きで完了できます。


税務署などへの届け出の際も、手数料や印紙税は特に必要ありません。拍子抜けするほどカンタンに変更できるので、決算期を適当に決めてしまって後悔している場合は、早めに変更することをおすすめします。


■まとめ

本記事では、決算期の正しい決め方についてご紹介しました。

多くの企業ではそれまでの慣習に合わせて何となく3月末を決算期としていますが、実際には任意に決められる項目です。4つのポイントを意識し、あなたの会社に合った決算期はいつなのかをしっかりと考えてみましょう。


これから設立する会社はもちろん、すでに設立している会社の決算期も意外にカンタンな手順で変更することができます。適切な決算期にすることで事務負担を軽減し、資金繰りや節税対策に役立てましょう。


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