上場させるとは?10分でわかる株式公開・IPOのやり方・メリット・デメリットまとめ
公開日:2017.8.31 | 最終更新日:2025.2.14

企業経営者のなかには「いつかは株式上場する!」と考えている人もいるでしょう。ここでは、銀行系シンクタンクでIPO支援担当10年のプロが、株式上場を考える経営者に向けて、上場するためにはなくてはならない事柄やメリット・デメリットをまとめて解説します。このページを最後まで読めば、IPOにグーンと近づきます。
株式上場前と株式上場後では、会社の体制が大きく変わりますし、得られるメリットも大きくなります。特に資金調達が容易になることや、知名度アップ、創業者利益を得られるなどは企業経営者にとって見逃せないメリットと言えるでしょう。とはいえ、株式上場にはコストが増加したり経営権を奪われたりするデメリットもありますので冷静に考えて取り組んでください。
■株式上場の基本
まずは株式上場の基本をおさえておきましょう。ここでは、株式上場の概要と仕組みを解説します。
株式上場とは
株式上場とは、証券取引所で自社の株式を自由に売買できるようにすることです。株式の上場により、それまでは創業者が自分の思いのままに進んでいた事柄について投資家などの第三者のチェックが入るようになります。トップダウンの企業体質から組織的な企業運営へと変わることにより、管理体制の充実も図れます。
公の会社、いわゆるパブリックカンパニーとなるため知名度のアップや社会的な責任の増加、資金調達をしやすくなるなどの変化が起こります。
株式上場の仕組み
株式を上場させたいからといっても、どんな企業でも簡単に上場できるものではありません。まず経営者の意思決定から始まり、申請と審査を経て上場が承認されれば株式が売り出されるようになります。
株式上場における一連の流れで重要なのは審査基準のクリアです。後述する基準をクリアできた企業のみが上場できる仕組みです。上場できる市場は複数あり、中小企業でも上場できるように基準の緩和がなされています。
ただ、上場したあとに上場継続が適当でないと判断された場合は、上場廃止になるおそれがあることには留意しておきましょう。
■株式上場の2つの基準
株式上場の実現には基準をクリアする必要があります。ここでは、数値で判断する形式基準と質疑応答で審査される実質基準について紹介します。
【基準1】形式基準
形式基準は利益水準や会社規模、株主数など数値で判断される基準です。上場申請の入口のチェックが形式基準と言えます。
【1】株式流通と株価形成を保つための条件
・上場時株主数と流通株式数
上場したあとの株式の流動性を確保する目的で定められている条件です。市場に流通する株式量が少なければ、需要と供給の関係性から少量の買い注文や売り注文で株価が乱高下する事態になります。株価の乱高下は避け、株価を安定させるのが大切なこと。株価が下がって良いことはありません。また、あまり現実的ではないものの株式を買いたいのに市場に存在しないという事態も起こりえます。
・時価総額
公募価格に上場した際の発行済株式の総数を掛け合わせた価格が時価総額です。時価総額の基準は証券取引所ごとに違いがあるため、上場する際は市場選びに注意しましょう。
【2】企業の上場適格性を保つための要件
・事業継続年数
取締役会が一定期間の活動実績を有していることが上場の適格性を保つための要件に含まれています。取締役会の設置が行われた日から、上場申請の直前期の末日か上場申請日までの期間において事業を継続的に行っていることが必要です。これは上場したあとも事業活動を継続的にできるかが上場の判断材料になっているためです。
・純資産の額
純資産の額は、上場申請日の直前事業年度末日の連結賃借対照表に基づいて算出されます。市場ごとに額が異なるため事前にチェックしておきましょう。
・利益の額
利益の額も市場ごとに大きな違いが見られます。たとえば、東証マザーズでは利益基準はないものの、東証1部や2部では最初の1年間で1億円、最近の1年間で4億円(税引き前利益または経常利益)の利益水準が求められます。
【3】適正な企業内容を開示するための要件
有価証券報告書などに偽りの記載がある企業や不適正な意見をする企業が市場に存在すると、市場の秩序を適正に維持するのが難しくなります。そのため、市場によって異なりますが上場廃止の基準として虚偽記載又は不適正意見等がないことが定められているところもあります。
また、上場会社監査事務所による監査は、監査の品質維持向上を目的にしたもので、ジャスダックやマザーズなどの形式要件に含まれています。
【4】株券の円滑な流通を形式面から担保するための要件
株式の円滑な流通を妨げないための形式要件として、株式事務代行機関の設置や株式の譲渡制限、単元株式数及び株券の種類などが求められています。いずれの場合も、申請会社の提出する申請資料によって確認されます。
【基準2】実質基準
次に実質基準を見ていきましょう。実質基準は定量的な基準ではないため、審査を受ける前に「この状態なら審査を通る」とは言いにくいものになりますが、ポイントをおさえておけば審査に通る可能性は高まります。
【1】企業経営の健全性
申請会社の誠実で公正な事業を営んでいるかをチェックされます。たとえば、申請会社の大株主や役員などのなかに、会社と近しい人間が特別な条件で商品やサービスの売買が行われていないか、金銭の賃借が行われていないかなどが当てはまります。
また、役員構成が代表取締役の親族だけになっていないか、適切に監査業務が行われているかなどもチェックされます。
【2】企業の継続性及び収益性
株式上場において、申請会社が上場を果たしてからも事業を継続的にできること、財政状態を良好に安定して収益性のある事業ができることが求められます。過去の販売や仕入れ実績、取引先企業との関係性、提供する商品やサービスの需要なども含めて事業の継続性を確認します。
収益性では、事業計画から業界の動向や会社の収益動向を確認し、上場後の利益水準の維持向上が可能かどうかをチェックされます。
【3】企業内容等の開示の適正性
企業内容の開示義務は上場前と後では大きく異なります。上場すると継続的な情報開示をしなければなりません。たとえば、プレスリリースや決算情報の開示、有価証券報告書の提出などです。また、適切な経理業務ができているのか、商品力を反映した利益計画になっているかなどについてもチェックされます。
【4】経営管理体制の整備
上場会社には経営管理体制の整備が求められます。大きくは内部監査制度ですが、会計制度の整備、内部牽制組織、社内規定、マニュアルなど内容はさまざまです。それぞれをきちんと整備したうえで、不正や事などのネガティブ情報を含めてタイムリーに開示できる体制を整備しなければなりません。
体制の整備は上場申請の2期前までに整備を終わらせて1年間の運用実績を積むことが大事です。
■株式上場させる6つの手順
上場するためにはやるべき業務がたくさん見えてきました。では、次に経営者が上場を決意してから何をするべきか、手順を見ていきましょう。特に重要なのは高度な事業計画書の作成、そして内部統制・強化です。
【1】監査法人を決める
企業が上場するためには多くの基準がありますが、見落としてはならないのが監査法人の立ち会いのもとで行われる実地棚卸です。原則的に上場申請3年前の決算期末の実地棚卸に監査法人の立ち会いが必要ですから、上場の意思を固めたらできるだけ早く監査法人の選定に入るのがおすすめです。
【2】主幹事証券会社を決める
主幹事証券会社についても、上場の意思を固めたら速やかに選定に入りたいところです。
監査法人も主幹事証券会社も、経営者と足並みを揃えて上場を目指すパートナーです。上場する際に必要な体制整備のアドバイスしてもらえますし、上場の手続、株式の募集・販売、IR活動支援など主幹事証券会社の役割は多岐に渡ります。
【3】主要株主・主要銀行と折衝する
外部の主要株主やメインバンクとの折衝を行って資本政策実施について了承を得る必要があります。この段階で了承されないというのは考えにくいですが、誠意ある対応と理解を得やすい説明が求められます。事前に監査法人や主幹事証券会社からアドバイスをもらうと良いでしょう。
【4】プロジェクトチームを編成する
株式上場という企業のビッグイベントですから、全社一丸となって協力体制を整えることが大事です。実務担当者でプロジェクトチームを編成し、内部監査制度の充実を図ります。
社内の体制が大きく変わる時期で、これまでの従業員が会社の体制に不満を抱きやすくなる傾向も見られますから、慎重に進めつつ理解を得ることが大事です。また、財務・経理・上場準備室が連携し、外部監査法人などを交えて高度な事業計画書の作成を行います。
【5】印刷会社を決める
印刷会社は目論見書や有価証券届出書、株券を印刷する以外に書類チェックの役割もあり、上場を支援してくれる存在です。よって、有価証券届出書に関する知見を有していることを印刷会社の選定基準に含めると良いでしょう。
【6】株式事務代行機関を設置する
株式事務代行機関は、上場したあとに配当金の事務や株主名簿の管理、株主総会の運営などを担うことになります。株式を公開する会社には、上場までに株式事務代行期間の設置をすることが義務付けられていますので、主幹事証券会社に相談して決定しましょう。
■株式上場する5つのメリットとデメリット
ここでは、株式上場における5つのメリットとデメリットを紹介します。創業者にとって最大のイベントになるからこそ、しっかりと把握しておきましょう。
5つのメリット
まずはメリットから見ていきましょう。いずれも上場前と比べて大きなメリットを享受できると言えそうです。
【メリット1】会社の信用度が高まる
私的な企業から公的な企業へと変わるため、世間一般からは「しっかりしている企業」というイメージを持たれやすくなります。また、取引先からの信頼も得られるため、新規ビジネスのチャンスも増えやすくなるでしょう。
【メリット2】資金調達が容易になる
信用力増大により金融機関からの融資を受けられやすくなります。また、証券市場を通じた資金調達もできるようになります。
【メリット3】知名度が上がる
会社の知名度アップはさまざまなところに波及する可能性があります。商品やサービスの売上増加を期待できる以外に、優秀な人材確保につながる期待もあります。
【メリット4】創業者利益を享受できる
上場直後は新規株の価格高騰が起こりやすくなります。創業者自身が持っている自社株式の売却により莫大な利益の獲得も夢ではありません。
【メリット5】健全な経営体制を実現できる
株式上場できる会社は厳格な管理体制を敷かなければならないのは既に説明した通りです。コンプライアンス、内部統制などで経営管理体制の強化により健全な経営体質になれます。
5つのデメリット
一方、デメリットにはどのようなことが考えられるのでしょうか。後悔することのないように確認しておきましょう。
【デメリット1】時間と費用がかかる
財務諸表監査は2期前から始まりますが、それ以前に体制整備に時間を費やすため長い年月を要することもあります。上場する市場によっては期間を短くすることも可能ですが、それでも数年単位の期間が必要です。
また、費用については内部管理体制の強化でコスト増が考えられますし、情報開示や株主総会などにかかる事務費の負担増もあります。
【デメリット2】情報開示の義務が発生する
株主や投資家に対して、事業報告書や有価証券報告書などを必要に応じて開示しなければなりません。会社にとって不利益な情報や不都合な情報も開示する必要があります。
【デメリット3】さまざまな株主が現れる
上場して市場に株券が出回るということは、多くの株主が現れるということです。たくさんの株主の声に耳を傾けて、要望や期待に応えていかなくてはなりません。
【デメリット4】確実な黒字経営を求められる
上場企業に対しては株主や投資家から安定的な黒字経営と企業価値の向上が求められます。長期的な視点で経営するのではなく、単年度ごとに確実な利益を出すことに注力しなければなりません。
【デメリット5】買収リスクが増加する
証券市場で自社株が自由に売買されることは買収リスクがあるということです。競合するライバル企業や買収ファンドなどからのTOBなどに備えて株主対策する必要性があります。
■まとめ
株式上場は経営者自身の意思決定がすべての始まりです。社内で号令をかければ、すべての従業員が株式上場に向けて前向きに努力してくれるでしょう。経営者としては、確実に上場するために、メリットとデメリットを理解しつつ、上場基準を満たすために施策を講じて企業の体制を整えていくことが大事です。
そのためには、優秀な監査法人と主幹事証券会社の存在が欠かせません。どんなに優れた経営者でも、ひとりで株式上場を実現できるわけではありませんので、よりよいパートナーを見つけることがスムーズな上場を実現できるポイントと言えるでしょう。
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